影を買う店
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長編
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影を買う店の評価:
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影を買う店の総合評価:
9.50/10点 レビュー 4件。
感想一覧
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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つい最近になってものすごい勢いで著作が出版されているのを知り、まずは「海賊女王」、「少年十字軍」など読破していった。
しかしそれらの作品は名手が描く安定感のある幻想歴史もの(そんな言葉あるか?)としては素晴らしいものだったと思うのだがどうもぴんとこなかった。見果てぬ文学少女の夢というか…ものすごいレベル高めな腐女子系文学といおうか…意味不明で申し訳ないがそんな感想を抱いた。
ところがこちら…
内容は読んでいただければ分かるがおそらく森鴎外の娘、森茉莉さんのことを書いていらっしゃると思うのだがこちらを読んでもうその一線超えまくった感性にまたノックアウトされてしまった。
本気でこんなことを想うんだろうか…いや、本気ではなくても…やはり皆川博子さんは変わっている。
それはもう変人などという俗な言葉を通り越して、……いやはや失敬、完全な「流薔園」の住人である。
中井英夫さんが管理人をしてくださってる「流薔園」に住む住人たちは、横の世界とは繋がれない。
文字を介した縦のつながりに、その細い細い糸を心の命綱にして日々をなんとか生きている。
そんな、「流薔園」に住んでいる人たち、あるいは残念ながらもう一杯で入れませんよと言われて入所待ちをしている人たちの隠れ場所、それが皆川博子さんの著作であったり、森茉莉さんの著作であったりするのだろう。
いいなあ、皆川さんは流薔園の正式な入所資格を持っているのだ、きっと。
私も入りたいと思うが叶わなかった。
おそらく理由は、私が時々 流薔園の人々を裏切るような真似をしてしまうからなんだろう。
普通には全然なれないくせに、普通にあこがれて、普通のふりをしてる。
そんな私の態度が流薔園の人々を時々傷つけてしまう。傷つけたいなんて思ってはいないけれど、自分を偽ることというのは結局誰かを傷つけるのだ。
愛想笑いをやめて、潔く自分はそっち側の人間ですと、いや、少なくとも、自分にひっそりと妄想する場所さえ与えてくれたら、誰も傷つけないように生きていくような、そっち側の人間でありたいのですと、言うことができたら、入所を許されるだろうか。そんな日は永遠に来ないかもしれないが。
それでも優しい中井英夫さんは、時々こっそり流薔園の門の鍵を開けて、薔薇の香りをかがせてくれる。
皆川博子さんの著書との出会いも、そんなようなものだったのかもしれない。
ちなみに私は実は筋金入りの森茉莉さんのファン。(過去にレビューあり)
でもこちらの著作は全然悪い気がしなかった。
遠回りしまくっているけれど、おそらくはこちらはきっと森茉莉さんを好きだということなのだ。
どっかの女流エッセイストがしょーもない感性垂れ流しで書いた書いた森茉莉さんに関する随筆なんかより、ずっとこっちのほうがいい。
実は私もあちらの世界に入り込んでいくとき森茉莉さんの文章の力を借りることがある。
なぜだろう・・・?おそらく森茉莉さんは鍵を持っているのだ。あちら側の。