(短編集)

殺意の重奏



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    初公開日(参考)1974年11月
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    短編集

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    殺意の重奏 (広済堂文庫)

    2002年10月01日 殺意の重奏 (広済堂文庫)

    商社の経営課員が多額の金を使い込みアパートで死体となって発見される。その事件を機に職場で重用され美しい妻を射止めた男だが新妻お気に入りのポピュラーミュージック「ひき潮」が殺人事件に関する隠された記憶を甦らせる―。夫婦の心理の交錯を描く表題作の「殺意の重奏」他、企業社会や家庭生活、山岳を舞台にしたものなど様々なテーマを掘り下げながら本格推理の醍醐味を満喫されてくれる傑作短篇集。 (「BOOK」データベースより)




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    No.5:
    (5pt)

    図書館で

    なかったので購入しました
    短編なんで読みやすかったです
    殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)Amazon書評・レビュー:殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)より
    4041365201
    No.4:
    (5pt)

    トリックなしの完全犯罪を目指す面々たち

    「殺意の重奏」、「稚い殺意」、「虚構の殺意」「静かなる発狂」、「垂直の陥罪」、「北ア山荘疾走事件」の6作短編集。
    極身近なサラリーマンなどによる完全犯罪殺人をもくろむ面々たち。
    決して巧妙なトリックを使っていないだけに読みごたえがあった。
    特に「稚い殺意」は衝撃的な殺人で子供たちが砂場に児童を埋める遊びで死にかけたものを普段から憎んでいた親の子供を追い打ちをかけて砂場で殺してしまう衝撃性が見ものだった。
    一般文学通算2067作品目の感想。2018/04/30 16:25
    殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)Amazon書評・レビュー:殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)より
    4041365201
    No.3:
    (5pt)

    表題作を含む6編の短編集!

    本書は1974年11月、中公文庫から初出版されました。本書に含まれる作品は、すでに発表されたものを再編集したものです。そこ後、角川文庫、広済堂文庫から再出版されています。現在、中公文庫がkindle化しました。
    「殺意の重奏」
    三宅明は、東京日本橋にある大手商社、共生物産経理課に勤務している。経理課長、篠崎に遠縁の娘を紹介された。その娘は、同じ共生物産総務課にいる立花弓子であった。寂しそうな翳があるが、優しい面立ちでプロポーションも良い。交際が始まり、すぐにプロポーズした。結婚披露宴には、社長や専務までが出席してくれた。それは、三宅の顔によるものでは無く、篠崎の社内における実力を示すものだった。重役たちの信頼も厚く、部長昇進も時間の問題とされていた。三宅は、結婚という緊密な繋がりを持って、篠崎のヒキを得ることが出来た。将来は、保証されたようなものだった。結婚と同時に社宅へ入った。他の社員たちが入っている団地のようなものではない。会社が金を出して借りてくれた民家である。三部屋ほどの小さな平屋だが、ホヤホヤの新夫婦には、庭付きで広すぎるくらいであった。二人の熱々の新生活がスタートした。弓子は、音楽が好きで、嫁入り道具に、かなり豪華なコンポーネント型のステレオを持ち込んだ。ポピュラー音楽が好きで、好みのレコードを毎日聞いていた。三宅は、歌謡曲は好きだが、ステレオには興味がない。だがよく見ると、弓子が持ってきた嫁入り道具の中に、どこかで見たことのある物が入っていた。それは、チャックフィールドのレコード“ひき潮”とフランス製のレコード静電気防止スプレーだった。また、三宅は、それが何処で見たものかも思い出した。それは、元、同じ経理課の秋本忠雄の部屋だった。元と言うのは、秋本は、半年ほど前にアパートの自室で何者かによって、殺害されていたからだ。犯人は、まだ捕まっていない。秋本が死んで、代わりの者が秋本の帳簿を引き継ぐと、一千万円ほどの穴が見つかった。死んだ秋本は、日を遡り懲戒解雇処分とされていた。その秋本の部屋で見たのだ。秋本も洋楽が好きで、“ひき潮”のレコードとフランス製の静電気防止スプレーを持っていた。日本に数本しか輸入されていないものだ、と自慢していたのも覚えている。三宅は、秋本の部屋で、それを見ていた。何故、弓子が同じ物を持っているのか?仕事に潔癖な秋本が、本当に帳簿に穴を開けたのか?何故、篠崎は弓子を三宅に紹介したのか?それを考えると、三宅は、恐ろしいほどの寒気を感じた。美しい妻と優秀な上司の化けの皮は?
    「稚い殺意」
    “星渓寮”は、菱井商事の中堅管理職用の社宅である。都心から一時間の武蔵野の面影の残る閑静な環境の地域にある。日本の代表的な商事会社の幹部職の寮だけあって、至れり尽くせりの設備である。都心のデラックスホテルにも劣らない。各戸3LDK、セントラルヒーティングの暖房と冷房で、広いリビングを備え、地域の人は“菱井御殿”と呼んでいる。課長代理の早野智彦の一家は、大阪支社から東京本社へ転勤となり、専用住宅に空きが無く“星渓寮”へ入れられた。そこから悲劇が生じた。課長以上でなければ入居できないのに、早川が入って来たから先住居者は、面白くない。社宅の厭らしさは、夫の会社での地位が、家族間にもろに反映するところにある。課長夫人は、部長の奥さんに頭が上がらない。ヒラの子は、課長の子の家来となる。それらの関係は、社宅にいる時だけでなく、近くのスーパーや病院でたまたま会った時でも変わらない。子供たちが、学校や幼稚園に行っても上下関係は、継続される。子供の遊びというものは、本来サド的なものがある。苛める対象があると最高に面白い。早野の長男、辰夫が通う幼稚園に、課長の息子、則男がいた。社宅(会社)での上下関係が起こした幼い幼稚園児の悲劇の物語。
    「虚構の家族」
    桐原産婦人科医院を有名にしたのは、院長の美貌の妻、桐原敏枝の家庭評論家としての名声である。桐原医院をマスコミに乗せて、広く浸透させた。夫婦の間には、八重という一人娘がいる。これが優秀な子で、小学校の頃から常に首席を通している。彼らの夫婦仲の良いことと、八重という優秀な子がいる家庭は、誰からも羨ましがられる理想の家庭像だった。これが、桐原敏枝を人気家庭評論家として変身させた。敏枝の上流婦人としてのエレガントな美貌は、テレビ映りも申し分なく、短期間のうちに売れっ子評論家の地位を築いた。テレビや雑誌の取材が入ると、これ以上ないといった風情で寄り添い、家庭の団欒を語るのだ。八重も十分心得ていて、一流評論家の母の名声にふさわしい良い子を演じた。しかし、敏枝がマスコミに多用されるのと、家庭内に少しずつ軋みが入り始めた。テレビや雑誌の仕事が増えるに反比例し、八重との接触時間が少なくなった。初めの頃こそ、八重の寝顔を確認したものの、疲労に圧倒されて寝室へ直行してしまうようになった。夫から、夜のリクエストがあっても、疲れているからと拒否した。家庭評論家としての名声が、高まれば高まるほど家庭内の軋みは、大きな溝になった。そして、遂に敏枝は。夫に寝室を別にしようと申し出るのだ。この事変が決定的だった。初めこそ、純粋な気持ちで、育児や家庭を語り人気を得たが、マスコミの寵児となり、地位も名声も最高位まで登り詰めたが、結局、その頂上から転落してしまう。高い位置だっただけに、落ちるのも早い。人生いや人として最低のどん底まで落ちてしまう。夫と娘を殺害した評論家として。
    「静かなる発狂」
    私立の名門F大学経済学部は、卒業生が実業界で活躍している事で有名である。矢吹邦彦と柏木武男は、地方出身で家は貧しい。本来なら財界人の子弟が集まるF大学など、とうてい入学できる身分ではなかったが、ずば抜けた成績を惜しんで、高校の先生が両親を説得してくれたのだ。学費は、奨学資金とアルバイトで賄った。二人は、F大学経済学部では、常に上位の席次を確保していた。ただ少し違うのは。柏木は天才型で、矢吹は努力型であるということだ。彼らの求職に対して、就職斡旋部は、菱井銀行を推薦してくれた。菱井銀行は、日本で預金量一位二位を争う大銀行で、菱井マンと言うだけで世間の見る目が違う。就職斡旋部も、無事パスするよと、太鼓判を押してくれた。都心の一流ホテルの会場を借り切って、入社試験が行われた。秀才揃い300人が集まったが、合格するのは12名と言われていた。柏木は、試験を受けて自信があった。良く出来た。しかし、矢吹は少し不安を感じた。結果は郵便で、パスした者だけに通知が行くことになっている。数日たって、矢吹に通知が来た。ところが、柏木には来ない。柏木は、試験の後、参考書を調べて、ほぼ満点に近いことを確かめている。堪りかねて人事課に面会を求めると「合計226点だ。満点で500点だから問題外だ」と言われてしまった。柏木が、アパートで自殺しているのを発見したのは、電話の取次ぎに来た、アパートの管理人だった。その電話の主は、菱井銀行の人事課からで、柏木が落ちたのは、コンピューターのミスによるものだと言うのである。間に合わなかった。一方、矢吹の、菱井マンになれた得意さは計り知れない。さらに、配属されたのが、オンライン・リアルタイムシステムを中央統御する、本社内の計算センターだったから、なお更だ。同期の仲間からも羨ましがられた。しかし、勝ち誇った矢吹を待っていたのは、菱井銀行名物、新入社員特訓である。大学でノンビリ過ごした連中を、筋金入りの菱井マンに人間改造するのが狙いである。計算センターの室長は、納見と言う。彼は、仕事の厳しさには定評がある。仕事のミスやルーズな勤務ぶりには容赦しない。納見は、入社試験のコンピューターの統括責任者でもあった。その納見が、エリート選抜社員のほか、一般入社した社員を集め、何の遮蔽物も無いところで伊吹に行った言葉は、コンピューターのミスにより落ちた柏木の代わりに、コンピューターのミスで合格したのが伊吹だと言うのだ。社内の伊吹を見る目が一変してしまう。それと比例するかの様に、伊吹の納見に対する憎悪が増し始める。書けないが、伊吹は、コンピューターのミスを装い、納見に復讐するのだ。
    「垂直の陥穽」
    昭和二十X年の二月、A大山岳部の滝村と同級の江夏は、一緒に北アルプスS岳に登った。S岳は、北アルプス北端に位置する三千メートル近い高峰で、東面は急斜面の絶壁を懸けているのに対し、西側は、緩やかなスロープが豊富な高山植物を敷き詰めて広がっている。多彩で変化に富んだ山容は、夏には比較的登りやすく、全国から登山者が集まる。ところが、冬期になると日本海低気圧の影響を受け悪天候が続き、プロの登山家のみに許される世界になる。彼らは、ベテランだった訳では無い。夏に一度S岳へ来て、今度は、冬に来ようと、山の夏と冬の落差の凄まじさを知らず、無知の者特有の大胆さで、いとも気軽にやって来たのである。好天に恵まれ、頂上の目の前にある避難小屋へ辿り着き、二人は泊まった。避難小屋には、もう一人の男がいた。古瀬欣一は、一分の隙もない重装備で、かなりのベテランである。そもそも、この時期に単独でS岳に向かうのは、山に精通した登山者ばかりである。翌朝も快晴に明けた。しかし、古瀬は、経験によって学んだ“観天望気”から悪天の兆しを敏感に感じ取っていた。古瀬は、軽装の滝村と江夏に下山する様に忠告する。この天気も午前中だけだ、低気圧が近付いている。だが、二人は言う事を聞かず、山頂を目指して出発した。装備の軽い二人は、古瀬の前方を歩いていることで安心感と優位感を持った。古瀬は、一時間ほど遅れて山頂に着いた。それも二人にとって、間違った自信になってしまった。この頃から、気温は急降下し、天候は、古瀬の言ったように急激に悪化した。体が空中に浮いてしまいそうな強風に抗いながら、猛烈な雪煙の渦に巻き込まれた。古瀬にも、彼ら二人の様子を見るゆとりも無かった。古瀬が経験した、いかなる悪天より凶悪な様相で、山全体が咆哮していた。だが、まだ古瀬は、自分自身に対しては、危険を感じていなかった。食料も十分ある。露営(ビバーク)の要領も得ていた。古瀬は、今までの経験から、一番安全そうな地点を見つけ、雪洞を掘って、ヤドカリの様に、その中へ身を竦めた。暫くすると、外で動物の動く様な気配に気が付く。滝村と江夏だった。二人は、雪洞の中に入ろうとする。古瀬一人でも窮屈な雪洞に三人は入れない。滝村と江夏は、雪洞の掘り方も知らないし、その道具さえ持っていない。そして、そこで見つけた、古瀬が雪洞を掘った時のスコップとピッケルを使い、古瀬の顔面頭部を殴打して殺害してしまうのだ。古瀬の死体を外に出し、二人は、古瀬の雪洞を奪ってしまった。翌日、天候が回復し雪洞から出た二人は、古瀬の凍った死体を崖の下に落した。誰にも近寄れない場所での殺人事件だ、見ている者もいない。古瀬の遺体が発見されたが、遭難事故として処理された。それから二十数年後、滝村と江夏の息子は、偶然にもA大に入学して同じ山岳部に入った。そして、北アルプスS岳一ノ越沢鬼面岩中央岩壁に挑戦して、悲惨な遭難事故を起こす。中央岩壁上部より八十メートル下で、宙吊りになっている二人のショッキングな姿が発見されるのである。これは、同じくA大山岳部主将、古瀬の息子が、長い年月をかけて仕組んだ復讐だったのである。滝村と江夏は、息子たちの姿を遠く離れた所から、望遠鏡(プリズム)で見ていることしか出来なかった。古瀬の息子によって、同じ大学、同じ山岳部へと招き入れ、復讐するてめ巧妙に作られた陥穽(落とし穴、罠)だった。
    「北ア山荘失踪事件」
    北アルプスの主稜ともいう、立山連峰と後立山連峰と槍穂高連峰が交差するところにM岳があった。そこに、長野県O町に住む、山案内人、有川正作が山小屋を開設した。この事によってM岳への入山が容易になった。登山客が多数訪れるようになり、観光地化した。M岳山荘を手伝う正作の娘、幸子は、都会的で繊細なムードを持ち、山の陽に焼けていたが、衣服に隠された肌は、白く肌理が細かく濃厚な色気を感じさせた。山を目的にやって来た登山者は、速やかに彼女のファンになった。そんなファンの中に医大生の竹下和彦がいた。M岳山荘で急病人が出た時、竹下が適切な処置をする姿を見て、幸子が好意を覚えると、二人にプラトニックな恋愛感情が芽生えた。M岳への登行には三日の日程が必要だ。竹下は、休みがあるとM岳へ向かった。学生の身であるから、そんなに頻繁に訪れることは、不可能である。年に数回しか叶わない二人の逢瀬であった。若い男女の儚い心の描写が巧妙に書かれています。だけど、森村氏は、恋愛小説作家ではないので、ここから事件が起こります。三日間の休みでM岳へ来た竹下が、予定の日数を終えて、下山したまま行方不明になってしまうのです。そこには、耐えることの出来ない苦しい幸子の気持ちが書かれています。
    殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)Amazon書評・レビュー:殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)より
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    No.2:
    (5pt)

    充実の初期傑作短編集

    森村氏の昭和40年代後半に書かれた短編を集めた作品。
    全体の半分以上はサラリーマンの醜い社内闘争に絡んだブラックオチの殺人もの、後半の2編は山岳を舞台にした人間ドラマがメインとなっている。
    密室やアリバイなどの本格推理系短編ではないが、当時の社会事情をうまく絡めたサスペンス溢れる展開は定番ながら退屈させない。40年以上経った今読んでも、サラリーマン社会の醜さは変わらない。充実の初期短編集である。
    殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)Amazon書評・レビュー:殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)より
    4041365201
    No.1:
    (4pt)

    今そこにある殺意。

    初めて読んだ森村氏の本なんですが、なかなか面白かったです。
    発行されたのが結構前なので舞台もそれに合わせて多少古めかしい感じがするかもしれないんですが、最初から最後まで漂う緊張感が良いです。古い感じがするとはいえ、今、この時代にこのような事件が身近で起こるかもしれない、そんな点がまさに「戦慄」を覚えさせる、そんな一冊です。短編集なのでちょっとした合間に読めます。
    でも寝る前に「垂直の陥穽」は読まないほうがいいです!
    眠れなくなってしまうから…。
    殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)Amazon書評・レビュー:殺意の重奏 (角川文庫 緑 365-20)より
    4041365201



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