神より借りた砂漠
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
神より借りた砂漠の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
森村氏は、これまで小説中に社会悪、政治悪、企業悪などをよく書いてきました。だが、それは物語を面白くするための趣向だと言っていました。しかし、1981年の「死の器」では、一歩前へ進んで、現実を基に近い形で告発する姿勢をすることにした、と後書きで述べています。「死の器」は、政治家と企業が癒着して防衛戦闘機納入に関して賄賂を受け取る実態を告発した話です。その作品と並行して執筆していた、関東軍の731秘密部隊の告発をテーマにした「悪魔の飽食」は、たちまちベストセラーとなり、内容が世間を驚かせ、多くの読者の関心を集めました。否定的な意見もあったのは事実だけど、森村氏は、その姿勢を変える事はしなかった。その次なる作品が本作です。舞台は、関東京浜地区の川崎市です。これまでの作品では、K県K市と書いたところでしたが、本作では、現存する具体的な地名を表記しています。強い社会問題への告発の姿勢が伺えます。本書で書かれているのは、日本を代表する製鉄メーカーの工場が引き起こす公害問題と工場内で起こる人身事故隠蔽の実態です。臨海埋立地の大規模製鉄工場近辺の住人が、原因不明の奇病に悩まされていた。吐き気、頭痛、頭重、眩暈、胸痛、息苦しさなどと、それに起因する体調の不良です。病院で検査しても、原因が分からなかった。この原因を地域の町医者が解明するのです。これは、製鉄所から発生する超低周波が原因で、人間の耳には聞こえないのだが、体が感じ取って、異変を起こしていたのです。会社側は、その調査を妨害し、実態を認めない態度をとった。さらに悪質なのは、工場内の人身事故の隠蔽である。無事故でクリーンなイメージを保ちたい工場側は、事故が起こっても、工場内診療所で過少に診断させ、従業員には因果を含めた。従業員も、強く反発すれば会社に居づらくなってしまうので従わざるを得なかった。さらに、死亡事故などは、本人(死人)に口無しなのを良いことに、従業員のミスにしてしまう。こういった会社側の体質に鋭くメスを入れている。本作で活躍するのは、地元医院の院長で医師の風見と事務長の中里なのです。中里は、役人の世界が嫌になり、自由業の世界へ飛び立った者です。(「官僚は落日を見て」に登場)こう言った問題には、警察権力を使うより、地元の篤志家によって事実が暴かれていった方が話は自然でしょう。始めは、会社従業員のミスによる死亡事故だったものが、製鉄機械の欠陥であった事が暴かれてしまうのです。だが驚いたのは、森村氏は、なんとそれを、殺人事件だったというラストにしてしまったのです。森村氏の推理小説作家としての本能がそうさせたと思います。 (付)本書は1892年5月に講談社から初出版されました。1985年には、同社で文庫化されています。その後、1995年徳間文庫、1999年日文文庫、2001年ケイブンシャ文庫から再出版されて、2008年には、中公文庫がkindle化しました。長く読み続けられている作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昭和57年頃に発表された社会派推理小説です。 ストーリーもしっかりしているし、 良い作品だと思います。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 2件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|