(短編集)

レジャーランド殺人事件



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    初公開日(参考)2001年08月
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    レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)

    2001年08月31日 レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)

    レジャーランドのアトラクション内で自動車セールスマンが刺殺された。犯人を突き止めた刑事が知る驚愕の真相。表題作を始め、巧妙に仕組まれたワナが圧巻の「“自殺”殺人事件」、ホテル業界の熾烈な争いを浮き彫りにした「初夜の陰画」など、人間の醜い欲望を緻密に描く、初期傑作推理短編集の文庫化第2弾。 (「BOOK」データベースより)




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    No.2:
    (5pt)

    表題作を含む7編の短編集

    本書は、1971年11月に講談社から初出版(新書サイズ)されたもので、2001年9月に講談社文庫から再出版されたものです。
    「レジャーランド殺人事件」
    那須高原八百メートル地点にある、那須レジャーセンターは、大手私鉄資本が建設した、東日本最大の総合レジャーセンターである。そのレジャーセンターで圧倒的な人気を博しているのが“ファンタマラ=ファンタスティック・パノラマ”だった。全長700メートルの水路に導かれ、二人乗りの小舟(ゴンドラ)で巡る洞窟体験が幻想的な世界を創り出し、特に若いカップルにうけた。秋のシルバーウィーク期間であったため、家族連れやアベックで大混雑していた。小栗ヨシノが、そのゴンドラを見た時、終電を乗り過ごした酔っ払いが乗っているのかと思った。だが、よく見ると、ゴンドラの下が真っ赤に染まっている。殺傷力のある凶器で殺されたのは、一目瞭然だった。ファンタマラは、屋内型の施設で、外部から入って犯行を行うのは不可能だ。ゴンドラの乗り降りは、小栗ヨシノが、流れてくるゴンドラを待っては、次の客を順序良く乗せていくので、途中で割り込んだりは出来ない。駆け付けた警察によって、残された乗客が調べられたが、犯人と疑われる人物は、存在しなかった。そこで、世にも奇妙なファンタマラ全体が密室となった、殺人事件の捜査本部が設置されるのだ。この話は、密室殺人のトリック崩しもの。現在とは、かなり状況も違っているので、トリックの良し悪しは考えても意味が無い。素直に楽しみたい。
    「初夜の陰画」
    東都ホテルは、業界トップで日本最古の伝統と最大の規模を持つ老舗ホテルである。ところが、昭和30年後半になると、巨大ホテルが、相次いで建設されるようになった。その一つ、ホテル大東京は、地上34階、客室数2000室、総工費270億円をかけた超巨大ホテルで、東都ホテルを抜いて業界一位となった。東都ホテルの高橋は、新妻、規子と新婚旅行へ出発するところであった。規子が、エレベーター・ガールを勤めていたことで、交際が始まり結婚した。田村接客課長は、高橋に、仕事は二の次で良いから、ゆっくりしてきなさい、と、優しい言葉をかけてくれた。高橋の仕事とは、客を装って同業ホテルに泊まり、サービス内容や相手方の商品などを徹底的に調べ上げる事だ。“市価調”と言われる同業者調査を行う部署なのだ。田村課長は、ホテル大東京の新婚用豪華室(ハネムーンスィート)を予約してくれた。更に、旅行会社のクーポンと市価調と書かれた封筒に入れられた調査費まで差し出した。ホテル大東京へ着いて、豪華な部屋に案内された高橋と規子は、その豪華さに圧倒された。規子は、新婚旅行気分で来ているのだから、喜びを隠さない。だが、高橋は、課長から仕事のことは忘れろ、と言われても、全く仕事をしないわけにはいかない。その仕事というのは、わざとトラブルを起こして、従業員達が、どういう対応をとるか調査することなのである。その中には、とんでもないリクエストがあった。二人は、初夜の感激など全く味わうことも出来なかった。その偽トラブルに対応するホテルマンの行動が秀逸。
    「殺人環状線」
    三谷葉子は、小杉伸二をどうしても殺さなければならないと思った。葉子が恋した相手は、会社先の重役の息子だ。一流大学を出たエリートで、均整の取れた逞しい体の持ち主である。彫の深いマスクは、豊かな知性を感じさせた。求婚されて、婚約が整った。小杉はG県S市の暴力団、宮本組のチンピラである。葉子は、会社の仲間と一緒に高原へ行った時、広々とした草原を歩きながら、あまりの美しさに驚嘆しながら調子に乗り道から外れてしまった。つつじ群落の中に踏み入り、何時の間にか仲間たちとはぐれてしまった。歩けば歩くほど道幅は狭くなり、山深くなってゆく。そこへ単車で通りかかったのが、小杉伸二だった。小杉は、町まで案内すると言う。葉子は、助かったと思った。しかし、小杉は、どんどん山深い所へ連れて行き、必死に抵抗する葉子を蹂躙してしまうのだ。更に、小杉は、葉子の静謐な肉体を決して放さなかった。脅かしながら一方的に交際を強要したのだ。汚辱された体だったが、葉子は、重役御曹司との結婚を控えて、せめて数か月でも清い体でいたかった。いつもの通り、小杉から葉子にリクエストがきた。葉子は、S市にある小杉のアパートに行く。人目につかない様に十分注意して。詳しくは控えますが。葉子は、青酸カリを使って小杉を毒殺することに成功するのです。最寄り駅から、帰るところを見られるのを警戒して、二つ先の駅まで歩くことにした。暗い夜道を、冷たい雨に濡れながら。もうすぐ駅の近くまで来た時、突然、後ろから強烈な衝撃を受けた。自動車部品会社のセールスマン松沢定夫が運転する車で、葉子の姿に気が付くのが遅れ、ブレーキが間に合わなかった。松沢は、警察を呼んで、葉子を病院に連れて行くと言う。だが、葉子は、たった今、殺人をしたばかりだ。警官なんか来たら困ってしまう。それなら、自宅の最寄り駅まで送ってくれと頼む。松沢は、訝しがるが、交通事故、それも人身事故を問わないと言う葉子の要望を快く受け入れた。だが、松沢は、葉子の落ち着きの無さに尋常では無いものを感じ始める。その時、走行中のカーラジオで“S市天神町に住む小杉伸二さんが自室で死んでいる”と言うニュースが流れた。それを聞いて、松沢は、葉子が尋常でいられない理由が分かった。そして松沢は、小杉と同じ脅迫者に豹変してしまうのだ。ところが、葉子は、すでに殺人犯であり、そんな脅迫などに怯えたりはしなかった。
    「暗号殺人事件」
    井沢信平は、その男が車内に入って来た時、岸和田課長かと思った。岸和田は、井沢の大嫌いな上司だ。サラリーマンの厭らしさを一身に集めた男で、旺盛な出世欲と汲々たる保身欲で、上司にペコペコする代わり、部下には厳しい。瓜二つの男だが、岸和田にあるはずの唇の脇のホクロが無かった。その男が井沢の一つ隣に座った。それでも岸和田がいるようで気分が悪い。次の駅で、目つきの鋭い男が生後半年くらいの乳児を抱いた女と乗り込んで来た。男は、東京I地区に勢力を張る“竹葉組”の若者頭、須藤敏夫でスーツの胸には、金バッチが付いている。須藤は、ずば抜けた度胸と腕っ節が強く、カッとなると何をするか分からない激情型の性格なので、組の幹部も一目おいていた。女は、妻の圭子で幼児は、一人息子だった。圭子と息子は、井沢と岸和田似の男の間に座った。入れ替わりに岸和田に似た男が座を立った。列車から降りる為か、網棚のバックを取った。その時、バックの肩紐に引っかかって、隣の荷物が落下した。それが、運悪く圭子が抱っこしている幼児を直撃してしまったのだ。幼児の柔らかい頭蓋骨は、ひとたまりもなく割れてしまう。父親は、ヤクザの本性を剥き出しにして、あの野郎、叩き殺してやる!と追いかけるが、その瞬間、ドアーは閉まり、列車は、走り出した。落ちて来た荷物は、井沢の物だった。結婚披露宴の引き出物で、かなり重さのある装飾皿だった。会社のロッカーに入れたままになっていたものを、たまたま、家に持ち帰るつもりだった。その荷物を拾おうとした時、怒りのやり場の無い須藤は、その荷物に激しい憎悪の目を向けた。そして、そんな物を網棚の上に置いたのが責任だと、血走った目で井沢を睨んだ。井沢は、荷物を置いただけで責任は無いと言い訳するが、元々、激情型性格の須藤の興奮を鎮める事は出来ない。荷物を落とした犯人が見つからない限り、井沢に全て責任を取れと恫喝する。息子は、手当の甲斐も無く死んだ。それから須藤は、毎日、井沢の会社に面会に来る様になった。毎日来る須藤が、社内で問題になった。目の鋭い、頬に傷痕のある暴力団員が、毎日来るのだから、会社は、イメージを損なう。受付の女の子も怯えている。上司の岸和田も、それを咎めた。暴力団員と毎日関わり合いになっているのは問題だ。すぐに来るのを止めさせなさい。出来なければ、左遷か最悪、馘首も覚悟しておけと、どっちが暴力団員か分からないような恫喝をした。その時、井沢は閃いた。荷物を落とした男と岸和田が瓜二つだという事を。こんな偶然を利用しないのは勿体ないと。
    「“自殺”殺人事件」
    兜町の二流の部類に入る、証券会社に勤める中川栄子は、意地の悪い女だと言われていた。デパートの特売所で、血眼になって特価品を漁っている母親を見つけては、子供を誘い出して、別の売り場に置き去りにし、母親が半狂乱する姿を見るのが、面白くて仕方がなかった。栄子は、同じ会社に勤める藤木武男と交際していた。すでにオールドミスと言われる栄子だったが、藤木が顧客から預かったお金で思惑(会社に預けないで、自分の判断で株式を売買すること)を張ったところ、大損を出してしまった時に、経理担当の栄子が穴埋めの資金を貸したのが切っ掛けとなり、男と女の関係になったのだ。藤木は、安サラリーで、借金を返せない。そこで、考えたのが栄子を懐柔して、借金をうやむやにしてしまおうという事だ。その事により、二人の交際が始まったのである。だが、悲劇は、藤木が日本橋の貿易会社に勤める水原則子との出会いから始まる。則子の父親は、区立の中学校の教頭で資産家では無いが、間違いのない相手だ。両家にも異存は無く、半年ほど後に婚約が成立した。藤木は、これで困った事になってしまった。栄子の存在である。そこで、栄子は絶対殺さなければならないという巨大な思想が頭の中に膨らんできた。そして、完璧な殺害方法を考え出し、栄子のアパートに行くのだ。ところが、扉を開けるとロックもしていない。不審な気持ちで中に入ると、栄子は目を開いていたが、冷たくなった体で横たわっていた。死んでいたのだ。勿論、藤木は、何もしていない。ところが、捜査官が部屋の隅々まで調べると、藤木が殺害に関与していた証拠が次々と発見されるのだ。藤木は、そう言われても全く覚えが無い。詳しくは控えます。栄子は、藤木の裏切りを知り、藤木が自分(栄子)を殺したという証拠を数々残して自殺したのです。
    「供血殺人事件」
    佐橋忠太と大井正造が、殺し合いの喧嘩をして死んでいるのが発見された。佐橋は、“佐橋供進協会”の会長で、大井は、そこのタレントだった。社会事業団体の様な名前であるが、事業内容は、人間の生き血の斡旋である。勿論、現在では廃止されている。昭和二十六年に、手術などの時に、必要な血液を確保する目的の商業血液銀行が発足した。当時の主な供血方法は、売血(血液を金銭で買い取る)である。通常は、供血してくれる人を待って血液を入手するのだ。だが、佐橋は、独特の営業政策を行っていた。それは、自分の自宅の隣にプレハブの寮を建てて、そこに供血者(佐橋は、タレントと呼ぶ)を住まわせるのだ。そのプレハブは清泉寮と呼ばれ、6人のタレントが住んでいた。仕事は、何もしなくてよい。その代わり、血液が必要になった時、供血に応じればよいのだ。その上、金銭の授与もある。普通の人なら考えられない事だが、彼らは、金銭を得ることは勿論だが、供血する際に注射を打たれ、血を抜かれていく瞬間に快感を覚えるといった、マゾヒスティックな一面も持っていた。血を取る者と、血を与える(売る)者の両者が争った跡は、まさに血の海と言う形容がぴったりの凄惨な状況だった。その後の警察の捜査によって、二人の醜い憎悪が露見されていく。
    「垂直の陥穽」
    昭和二十X年の二月、A大山岳部の滝村と同級の江夏は、一緒に北アルプスS岳に登った。S岳は、北アルプス北端に位置する三千メートル近い高峰で、東面は急斜面の絶壁を懸けているのに対し、西側は、緩やかなスロープが豊富な高山植物を敷き詰めて広がっている。多彩で変化に富んだ山容は、夏には比較的登りやすく、全国から登山者が集まる。ところが、冬期になると日本海低気圧の影響を受け悪天候が続き、プロの登山家のみに許される世界になる。彼らは、ベテランだった訳あでは無い。夏に一度S岳へ来て、今度は、冬に来ようと、山の夏と冬の落差の凄まじさを知らず、無知の者特有の大胆さで、いとも気軽にやって来たのである。好天に恵まれ、頂上の目の前にある避難小屋へ辿り着き、二人は泊まった。避難小屋には、もう一人の男がいた。古瀬欣一は、一分の隙もない重装備で、かなりのベテランである。そもそも、この時期に単独でS岳に向かうのは、山に精通した登山者ばかりである。翌朝も快晴に明けた。しかし、古瀬は、経験によって学んだ“観天望気”から悪天の兆しを敏感に感じ取っていた。古瀬は、軽装の滝村と江夏に下山する様に忠告する。この天気も午前中だけだ、低気圧が近付いている。だが、二人は言う事を聞かず、山頂を目指して出発した。装備の軽い二人は、古瀬の前方を歩いていることで安心感と優位感を持った。古瀬は、一時間ほど遅れて山頂に着いた。それも二人にとって、間違った自信になってしまった。この頃から、気温は急降下し、天候は、古瀬の言ったように急激に悪化した。体が空中に浮いてしまいそうな強風に抗いながら、猛烈な雪煙の渦に巻き込まれた。古瀬にも、彼ら二人の様子を見るゆとりも無かった。古瀬が経験した、いかなる悪天より凶悪な様相で、山全体が咆哮していた。だが、まだ古瀬は、自分自身に対しては、危険を感じていなかった。食料も十分ある。露営(ビバーク)の要領も得ていた。古瀬は、今までの経験から、一番安全そうな地点を見つけ、雪洞を掘って、ヤドカリの様に、その中へ身を竦めた。暫くすると、外で動物の動く様な気配に気が付く。滝村と江夏だった。二人は、雪洞の中に入ろうとする。古瀬一人でも窮屈な雪洞に三人は入れない。滝村と江夏は、雪洞の掘り方も知らないし、その道具さえ持っていない。そして、そこで見つけた、古瀬が雪洞を掘った時のスコップとピッケルを使い、古瀬の顔面頭部を殴打して殺害してしまうのだ。古瀬の死体を外に出し、二人は、古瀬の雪洞を奪ってしまったのだ。翌日、天候が回復し雪洞から出た二人は、古瀬の凍った死体を崖の下に落した。誰にも近寄れない場所での殺人事件だ、見ている者もいない。古瀬の遺体が発見されたが、遭難事故として処理された。それから二十数年後、滝村と江夏の息子は、偶然にもA大に入学して同じ山岳部に入った。そして、北アルプスS岳一ノ越沢鬼面岩中央岩壁に挑戦して、悲惨な遭難事故を起こす。中央岩壁上部より八十メートル下で、宙吊りになっている二人のショッキングな姿が発見されるのである。これは、同じくA大山岳部主将、古瀬の息子が、長い年月をかけて仕組んだ復讐だったのである。滝村と江夏は、息子たちの姿を遠く離れた所から、望遠鏡(プリズム)で見ていることしか出来なかった。古瀬の息子によって、同じ大学、同じ山岳部へと招き入れるため巧妙に作られた陥穽(落とし穴、罠)だった。
    レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)より
    4062732580
    No.1:
    (4pt)

    ショートショート殺人短編集

    森村氏の初期短編集。森村氏の初期に顕著の密室やアリバイ崩しを主眼にした本格推理短編というよりは皮肉な結末が効いたブラック風味のショートショート殺人短編集といったほうが良いだろう。ファンなら読んで損のない短編集となっている。
    レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:レジャーランド殺人事件 (講談社文庫)より
    4062732580



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