フェルメールの仮面
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フェルメールの仮面の総合評価:
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時代も国も異なる二人。 共にフェルメールに魅せられます。 二人が書いた絵の行方はどうなるのか。 フェルメールの絵のように光と影が交錯します。 | ||||
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東京芸術大学油画専攻卒で、愛知県立芸術大学美術学部油画専攻教授の小林英樹氏による絵画ミステリーでした。珍しい経歴の作家ですが、流石に絵画については詳しく、タッチによる描写の違いなどは唸らされる視点でした。 文章も巧みです。『ゴッホの遺言』で日本推理作家協会賞受賞されているのですから、当然でしょう。 ミステリーですから、ストーリー展開には必要以上には言及しないつもりです。 女性の人物描写や会話、ラストの処理、ミステリーとしての味わいも含めて、いささか「うーん」と思う箇所もありましたが、美術の知識と経験の確かさが本書の水準の高さを示していました。 19世紀前半のフランスの描写も見事で、その場に居合わせているかのような臨場感に包まれました。有名な「アルプスを越えるナポレオン」を描いたジャック・ルイ・ダヴィッドを登場させ、その後の展開に関わってきます。 高価なラピスラズリの精製に関して「天藍石、方解石、鉄などを含んだ原石の粉砕から始まり、蝋や松脂、亜麻仁油などと練ったものに混ぜ込む。そして化学薬品などを使った複雑な工程を経て、最後に美しく純度の高い群青を取りだす」という登場人物のセリフにその顔料の知識が込められていました。 1805年の描写で、ルーブルに出向き、ラファエロの「椅子の聖母」を模写の描写に、最初は首をかしげました。 フィレンツェのピッティ美術館に戻る前は、ナポレオンが略奪し、その後イタリアに返還されたという「椅子の聖母」の来歴を思いだし、納得しました。絵画の変遷に詳しい知識を持つ、芸の細かい描写です。後にその点もストーリーに少し言及してあり(253p)、絵画ファンにはたまらない奥深さが詰まっていました。 「デルフトの眺望」「真珠の耳飾りの少女」の下地と地塗りの描写も同様です。「建物の壁面にピカピカ光るものは、群青色した鉱石ラピスラズリのなかに含まれるパイライトという金色をした鉄の鉱石の結晶の粉末じゃないかと思う。」というくだりは流石でした。 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵の「フルートを持つ女」「赤い帽子の女」も登場します。ここでのタッチの違いもまた作者の面目躍如といったところでしょうか。特に、272p以降は画家である作者でないと書けない話でしょうし、絵画を見る視点の確かさが伝わってきました。なお、謝辞にも書かれていますが、フェルメールの真贋については、小林頼子氏の見解を踏襲されての展開でした。 | ||||
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構成力と専門の知識を生かした具体的表現で読ませます。また、風景や室内の描写は、光や陰影をたくみに用いていて新鮮に感じました。 しかし、著者は、最後のところで”巨大な闇の領域”との対決で押しつぶされそうになる個の処理に窮したように思いました。それであのような結末にせざるを得なかったのでしょう。一方で、アンリの生涯は胸を打ち、物語として成功していると思います。 | ||||
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ところどころに感じられる風景の描写は懐かしく、実際に本の中を歩いたような錯覚さえします。芸術を専門に活躍されてきた先生だからこそ、生まれてくる言葉にはささやかで、時に強烈な色や光を感じます。その色と光に導かれていつの間にか物語にのめり込む自分がいました。ささやかな色と光の粒の中に謎がかくされています。ぜひみなさまに読んでいただきたい作品です。 | ||||
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ドヌーヴと言います。8月末に上野でマウリッツハイス美術館展を観てきました。お目当てのフェルメール「真珠の耳飾りの少女」を遠くから拝んできました。 小林さんの著作は人の勧めで読み始めましたが、あっという間にゴッホ関連の5冊ほどを読んでしまいました。ゴッホでは造形と絵の具のマチエール、2つの楽しみ方などなど、初めて絵画の鑑賞法を教えてもらい、目からウロコが何枚もころげ落ちました。絵画特にゴッホに対する真摯で愛情あふれる考察には感銘を覚えます。 次の本をと探しているところに今回の新作に出会ったというわけです。真作、模写、贋作入り乱れる話の展開の裏に、大きな口をあけている国際絵画マーケットの深い闇がうごめいている。作者が長年告発してきたゴッホの贋作問題の根の深さと、一筋縄ではいかない魑魅魍魎さを改めて突き付けられる思い。そのこと自体がまさに「サスペンス」「ミステリー」と作者は言いたいのではないでしょうか。 作品としてもとても素晴らしく、一気に読みたいという気持ちにブレーキをかけて、名画を語る個所ではWebで原画をアップして、「解説本」として楽しみました。 (うまく言えませんが)本題・テーマのミステリーさを、話の展開が邪魔しない(サスペンス過剰でない)感じに好感を持ちました。次なる展開も?と期待もしてしまいます。 | ||||
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