謎の部屋
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初版刊行(参考)
種別
短編集
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あらすじ
評判
謎の部屋の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 - ランク
謎の部屋の総合評価:
8.50/10点 レビュー 4件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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「しかし、家を捜している新婚夫婦の祈りをつかさどる天使は、きっと、烈風の吹く三月の午後、機嫌がよかったにちがいない。マッジはすぐと、満足そうにほほえみながらひきかえしてきた。」
「電灯の明るい輝きのなかで、四本の蝋燭が、勇を鼓して、無駄に燃えていた。デール医師は前屈みになり、次々と、それを吹き消した。消すと、それぞれの蝋燭から、細い、ゆっくりとした、螺旋状の煙の線がたちのぼった。」
「ビルとわたしは三週間後、太陽と影、雨と虹の四月のある日、グラマーシーに移った。月も、もはや半ば以上を過ぎていたが、毎日はまだ寒かった。」
「(台所でパイ作りの婆さんに質問したシーン)婆さんが腕を組むと、粉の小さな俄雨が床に降った。」
マージャリー・アランの文体は、いくぶんか硬質で、簡潔かつ知的な文体であって、一時代前のイギリス人の教養を感じさせるが、決して陳腐ではない。個々のシーンの描写が重くなく、意識の隅に少しだけ余韻を残す。「太陽と影、雨と虹の四月」というフレーズなど、イギリスの四月の変わりやすい天候を表現するため、時間の推移を凝縮して詩的に表現しており、簡単に書けそうで、意外にむずかしい表現であると思う。巻末対談で、宮部みゆき氏と北村薫氏は、過去を回顧して、悲劇が一つ終わって癒されるという本作の雰囲気がロバート・ゴダードに似ていると指摘しているが、確かに、両者の雰囲気は似てなくもない。私は、ミステリー作品でその文体に魅了されたという体験は、別の意味で、レイモンド・チャンドラーぐらいしかないが、おそらく、ミステリーが文体に凝ることが少ないのは、通常ならば、フェアな謎解きを阻害するせいであろう。わが国において、マージャリー・アランの作品は、この「エリナーの肖像」以外は翻訳されていないようであるが、こんなレアな作品を紹介された北村薫氏に拍手を送りたい。