(短編集)

謎の部屋



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初公開日(参考)2001年12月
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謎の部屋: 謎のギャラリー (ちくま文庫)

2012年07月10日 謎の部屋: 謎のギャラリー (ちくま文庫)

読者を驚かせ、喜ばせるのが大好きな、読み巧者の北村薫さん。人生に満ち満ちている不可解な謎、ユーモラスな謎が一堂に会したミステリアスな世界にご案内いたします。配列の妙味にもご注目下さい。全17編。付録に北村薫・宮部みゆき対談。 (「BOOK」データベースより)




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No.4:
(4pt)

知的な文体で読ませるミステリー

本書『謎の部屋:謎のギャラリー』は、内外ミステリーのアンソロジーで、2002年刊の新潮文庫版が絶版となった後、ちくま文庫から再刊されたものである。本アンソロジーは、ミステリーを文学の領域まで広げようという編集方針が採用され、宇野千代、阿部昭、里見惇、西條八十、小沼丹といった他のミステリー・アンソロジーではあまり見かけない文学者の作品を収録している。特に、ジェラルド・カーシュ作「豚の島の女王」は、残酷で、奇妙な味の作品であり、本書の新潮文庫版に続いて、彼の短篇集『壜の中の手記』が晶文社から単行本で刊行されたこともあって、当時、人気に火がついたようである。しかし、ここで触れたい収録作品は、「豚の島の女王」ではなく、マージャリー・アランの「エリナーの肖像」である。本作は推理小説としても優れているが、文体がまるで文学作品のように美しい。以下は、私の印象に残ったシーンの一部である。

「しかし、家を捜している新婚夫婦の祈りをつかさどる天使は、きっと、烈風の吹く三月の午後、機嫌がよかったにちがいない。マッジはすぐと、満足そうにほほえみながらひきかえしてきた。」
「電灯の明るい輝きのなかで、四本の蝋燭が、勇を鼓して、無駄に燃えていた。デール医師は前屈みになり、次々と、それを吹き消した。消すと、それぞれの蝋燭から、細い、ゆっくりとした、螺旋状の煙の線がたちのぼった。」
「ビルとわたしは三週間後、太陽と影、雨と虹の四月のある日、グラマーシーに移った。月も、もはや半ば以上を過ぎていたが、毎日はまだ寒かった。」
「(台所でパイ作りの婆さんに質問したシーン)婆さんが腕を組むと、粉の小さな俄雨が床に降った。」

マージャリー・アランの文体は、いくぶんか硬質で、簡潔かつ知的な文体であって、一時代前のイギリス人の教養を感じさせるが、決して陳腐ではない。個々のシーンの描写が重くなく、意識の隅に少しだけ余韻を残す。「太陽と影、雨と虹の四月」というフレーズなど、イギリスの四月の変わりやすい天候を表現するため、時間の推移を凝縮して詩的に表現しており、簡単に書けそうで、意外にむずかしい表現であると思う。巻末対談で、宮部みゆき氏と北村薫氏は、過去を回顧して、悲劇が一つ終わって癒されるという本作の雰囲気がロバート・ゴダードに似ていると指摘しているが、確かに、両者の雰囲気は似てなくもない。私は、ミステリー作品でその文体に魅了されたという体験は、別の意味で、レイモンド・チャンドラーぐらいしかないが、おそらく、ミステリーが文体に凝ることが少ないのは、通常ならば、フェアな謎解きを阻害するせいであろう。わが国において、マージャリー・アランの作品は、この「エリナーの肖像」以外は翻訳されていないようであるが、こんなレアな作品を紹介された北村薫氏に拍手を送りたい。
謎の部屋: 謎のギャラリー (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:謎の部屋: 謎のギャラリー (ちくま文庫)より
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No.3:
(5pt)

珠玉作品揃いのアンソロジー

北村薫編の「ミステリー」のアンソロジーです。
前半は、恐怖小説的なものを含めた「ミステリー」の珠玉作品が揃っています。
編者も言っている様に、ちょっと重めの小説群で、一気に読むのはちょっと辛いので、一編づつ噛みしめて読んでゆくべきかも知れません。
後半は、所謂一般的な「ミステリー」で「謎解き」中心の作品群ですので、こちらは楽しんで一気に読んでもいいのではと思います。

それにしても、こんな素晴らしい作品を今まで知らなかったのかと思うような作品ばかりです。

ついでですが、巻末に付されている北村薫・宮部みゆきの対談が又良いです。
それぞれの作品を紹介しているのですが、楽しく明解にそれぞれの作品を論評しています。
更に、それぞれの作品の収められている本の紹介なんかも語られており、もっと読みたくなります。

是非、一読をお勧めします。
1,000円近い本ですが、決して損はないと思います。
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No.2:
(3pt)

奇妙な謎の味わいは

1998-99年にマガジンハウスから出た『謎のギャラリー』(全4冊)に、新たに25篇を加え、再編集したもの。「謎の部屋」には16人の作家による19篇の作品が収められているが、うち10篇が新しいもの。

 謎とはいうものの、ミステリやトリックを主眼としたものではなく、なんとなく謎めいた物語/奇妙な話とでもいうもの。いわゆる「奇妙な味」が好きな人にはたまらないだろう。

 ただ、「こわい部屋」や「愛の部屋」にはそぐわない、中途半端な作品を押し込んだような印象も。質自体も玉石混淆。

 小沼丹の2篇が面白かった。

 新訳ではなく、色々なアンソロジーや雑誌、全集などに出たものを集めている。どこかで読んだ作品も多い。
謎のギャラリー―謎の部屋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:謎のギャラリー―謎の部屋 (新潮文庫)より
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No.1:
(5pt)

だから文庫が好き

以前、ハードカバーで出ていた4冊のアンソロジーを再編集したシリーズのうち、「謎」を含んだ短編小説を集めたアンソロジーの一巻です。ハードカバーには入っていなかった短編が10作品含まれています。すでにハードカバーを読んでいるのに、新しい「おまけ」が欲しくて文庫版を買いました。文庫はこういう「おまけ」があるから好きです。「おまけ」の中ではジェラルド・カーシュ「豚の島の女王」とジョヴァンニ・パピーニ「返済されなかった一日」が殊に気に入りました。ふり仮名が多くふってあるのも「おまけ」で、とても読みやすいです。謎を含んでいると言ってもミステリーものばかりではありませんが、ミステリーのうち「奇妙な味」に分類される短編が好きな人に絶対おすすめのラインナップです。
謎のギャラリー―謎の部屋 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:謎のギャラリー―謎の部屋 (新潮文庫)より
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