生死を分ける転車台
- 十津川警部シリーズ (466)
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2010年9月に刊行された西村京太郎氏の充実の474冊目の作品です。野暮を承知で書きますが、「生死を分ける転車台」というタイトルは何となく勢いで名づけられた様な気配が濃厚なのですが、まあ読者の興味を惹くという意味では大成功ですし西村氏ですから「これでいいのだ!」と思いますね。「ジオラマの殺意」なんていう題も私なりに考えましたが、やはり少しインパクトに欠けるかも知れませんね。 3年連続の優勝を狙うジオラマ・コンテストの常連にして名人の小島英輔が大会の直前に多摩川で刺殺され、現場付近で今大会の出品作「転車台のある風景」が燃やされていた。十津川警部は転車台のモデルがある天竜二俣駅で調査する内に、三ヶ月前に小島が好きだった女性の変死事件に辿り着くのだったが・・・・。 本書には突っ込み所満載のかなり無茶で不自然な展開が多々あるのですが、でもよくぞこんなに「ジオラマ」尽しのストーリーを考え出したものだなと逆に驚かされ結果的に楽しく読めましたね。西村氏は鉄道模型の熱烈な愛好家でジオラマが世間的に広まってもっと趣味を共有する人が増えればいいなと望んで本書を書かれたのかも知れないですね。そもそも小島が天竜二俣駅の転車台をジオラマのモデルに選んで調査に訪れた同じ日に昔愛していた女性がそんなに都合良く出掛けて来るのだろうか?十津川警部が犯人に仕掛ける随分とトリッキーな罠の数々は果たして現実に警視庁が実行に踏み切るだろうか?等々がありますが、でも本書はフィクションですから全てが許されるのですし、西村氏がリアルさに少しもこだわらずに自由奔放に発想を広げてノリに乗って書いている意気込みが伝わって来て、最後にはそういった固い事はどうでもいいやという気持ちになりましたね。しかし、まあ終章での全国に向けての偽りの公表は絶対に有り得ないでしょうし、コンテストの賞金500万円をポケット・マネーからポンと出す十津川警部の気前の良過ぎる太っ腹さにはびっくりしましたが、まあ小説の世界だから「こんなのも偶にはいいか」と大らかに受け止めようと思いますね。 | ||||
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犯人はなぜ殺人を犯すだけではなく、ジオラマを運び出して燃やしたのだろうか…!? 小島が出品する予定だったジオラマは、“天竜浜名湖鉄道”の“天竜二俣駅”にある現役の転車台をモデルにしていたという。十津川は手がかりを求めて、天竜二俣駅を訪ねた。 すると、小島が2月14日に天竜二俣駅を取材に訪れ、小島が高校時代に片思いしていた白井美咲が同じ2月14日に天竜二俣駅近くで心臓発作を起こして亡くなっていたことがわかる。 上昇志向の強い美咲は代々県会議員を務める家の御曹司と結婚して東京で生活していたが、1年前に離婚。そのまま都内でひとり暮らししていたものの、アルバイト先で嫌なことがあったという理由で、半年前、故郷の浜松に戻ってきていたという。母・敬子の話では死亡当日は手作りのチョコレートを持って出かけたはずだというが、遺留品からはチョコレートだけが消えていた…。 そんな中、十津川たちは、小島の最新作の設計図がマンション内に隠すように保管されているのを発見。よく見てみると、設計図にはジオラマとしては異様な光景が書き込まれていた。なんと、小島は、転車台に近い駅舎の裏に、倒れている女性のフィギュアを配置するつもりだったらしいのだ…! この女性のフィギュアは、美咲の遺体を表しているのではないか…!? 美咲の死体は移動されていた。 このことから、十津川は美咲の死が心臓発作ではなく人為的なものであり、それに気付いた小島が犯人への挑戦状としてジオラマを作成したを見抜く。 犯人はジオラマで罪を告発されることを恐れて燃やしたのだ。 小島は美咲に恋心を抱いており、彼女の離婚を知ると美咲のバイト先のコンビニにほど近い場所に引越してまでしていた。美咲の為に美咲殺害犯を捜そうとするに違いない。 しかし逆に、犯人に殺されたのだ。 十津川はジオラマランド社の小笠原の協力を得て、設計図をオークションにかけることにする。 設計図の重要性を知る犯人を罠に嵌めようと考えたのだ。 その頃、美咲の元バイト先のコンビニ店員から、美咲を追っていた浜松ナンバーの四駆車を目撃したとの情報を入手した十津川。 その車の持ち主が小島の友人・中西であると突き止める。 中西は婿養子、美咲と不倫した挙句の殺害ではないかと推理するが……。 一方、小島に好意を寄せる望月江里子と美咲が言い争っていたとの証言も浮上する。 どうも、江里子は小島を愛しており美咲を敵視していたらしい。 翌日、沢木篤が死体で発見される。 沢木はオークションの参加希望者で小島の設計図を執拗に欲しがっていた。 調べたところ、沢木は何者かの依頼で設計図を手に入れようとしていたことが分かる。 どうも、設計図の件で小島殺害犯を知り脅迫して高額を要求し返り討ちにあったようだ。 沢木の告別式に小島の友人、中西が現れるが中西は小島殺害犯と関係あるかもしれないと思って足を運んだと語る。アリバイも成立する。 沢木の関係者から、浅野圭一という人物が捜査線上に浮上。 圭一は浅野模型の経営者の息子。 そこに居た人物はあの美咲のバイト先に居たコンビニ店員だったからだ。 美咲がバイトを辞めた「嫌なこと」が浅野に関連しているらしい。 浅野が美咲に言い寄っていたことを突き止める。 浅野の過去を調べた十津川は、浅野もジオラマ制作の道を志していたことを知る。 心惹かれた美咲には拒絶され、その美咲にジオラマ界の巨匠とされる小島がを恋している……この状態に怒りを覚えた浅野が美咲と小島を殺害したのではないか? 十津川の推理が冴えわたる。 TVドラマは原作に忠実に作られているようです。 天才的職人技の人間、将来を期待された人間、恋をする様々な人間、頓挫し挫折した人間、上昇志向の強い人間、登場人物の成功、挫折と動機(欲望と憎悪)関係もある程度納得できるものでしたので、上手く成立していると思います。恒例の時刻表のアリバイトリックなどありませんが天竜浜名湖鉄道、転車台、鉄道ジオラマ模型など、ずいぶん渋いとこつきますね。鉄道マニアの世界はいろいろですね・・・・ | ||||
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転車台を題材にした鉄道のジオラマ(diorama)=情景模型にまつわる事件。 殺された人の競技会に出す作品が燃やされていることに注目した十津川警部が,犯人像を絞り込んで行く。 仕掛けた罠が空振りに終わっても,しぶとく諦めない。 最後の方で競技会の主催者たちの人間像が曖昧になっていくところがやや残念。 | ||||
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