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梁山泊 さんのレビュー一覧

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レビュー数48

全48件 41~48 3/3ページ
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No.8: 19人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
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首無の如き祟るものの感想

完璧。

まず「全ての謎が、実はたった一つのある事実に気付きさえすれば、綺麗に解けてしまう」という構成が秀逸です。
探偵役が、その「事実」を明かす前に、ご親切にも全ての謎が羅列されます。
その数なんと37個。
「見落とすなよ」と言わんばかりの作者の自信。
読者を挑発しているようにすら感じたのですが、兎に角、怒涛の勢いで解明されていく様子は爽快です。

その「事実」を隠蔽するため、冒頭からある人物のある性癖の記述で強烈にミスリードさせておいて、更に怪奇描写を絡めて読み手の視点を逸らせたりと、その技巧も素晴らしい。

また、全ての謎が解明されても、1つの結論に帰結する訳ではなく、犯人を特定するには至りません。
トリックが解明されたら必然的に犯人も明らかになるといった「並の」作品とは違うのです。
この作品は、ラストが物凄い事になっているのですが、これにより、読み手に熟考する暇も与えない、しかし納得のいく、どんでん返しの繰り返しを可能にしています。


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首無の如き祟るもの (講談社文庫)
三津田信三首無の如き祟るもの についてのレビュー
No.7: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

霧越邸殺人事件の感想

「館シリーズ」に属さない「館もの」です。
「館シリーズ」にお約束の叙述トリックや、大掛かりな物理トリックも登場せず、一貫して論理的な推理を展開します。
綾辻氏らしい幻想的な一面も持ち合わせており、その辺りは好き嫌いがありそうですが、兎に角プロットが秀逸で、読了後非常に満足できた作品です。
本家「館シリーズ」が霞むくらいの名作。 お薦めします。


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霧越邸殺人事件<完全改訂版>(上) (角川文庫)
綾辻行人霧越邸殺人事件 についてのレビュー
No.6: 19人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

大誘拐の感想

被害者であるお婆ちゃんが誘拐犯に全面協力する。
・身代金100億円。
・被害者と家族との対面をTV生中継。
・身代金受け取りを世界生中継。
兎に角、奇想天外でスケールがでかい。

誘拐犯3人組の間抜けっぷりも憎めないのですが、何と言ってもお婆ちゃんのキャラクターが最高。
日本ミステリー史上に燦然と光り輝くキャラクターではないでしょうか。
器が大きく、80歳を超える年齢でありながら、西之園萌絵並みに計算が早い(笑

誘拐という題材を、ここまでユーモアたっぷりに描いているのも凄いが、ただユーモラスなだけではない。
作者は、そのスーパー婆ちゃんを通じて、家族愛であったり、社会問題に対する意見提起を行なっている。
読み手も、お婆ちゃんがそう言うなら間違いない という気にさせられるのではないだろうか。
絶大なるお婆ちゃん効果である。
そして、この作品の一番素晴らしいところは、主要登場人物の誰も悪人にならず、皆が成長するという点である。
これを傑作と呼ばずして何が傑作か!! 絶対にお薦めです。

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
天藤真大誘拐 についてのレビュー
No.5: 16人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

13階段の感想

法制度に問題提起する社会派ミステリー。
「死刑制度」という重いテーマを「加害者」「被害者」「執行者」の立場、視点から描いてます。
この作品を読まないと一生知りえなかったような事柄も多く、自分にとってもいい勉強をさせてもらったと思っています。
現在の法制度のいたらぬ点、死刑制度の在り方について考えさせられます。

死刑制度は果たして是か否か。
この作品の一つのテーマにもなっているとは思いますが、作者は一方に肩入れした立場を取る事なく、絶妙なバランスで描いています。
個人的に、更生の余地のない犯罪者を死刑に処する事は、至極当然だとは思っています。
この作品を読んだ後もその考えに変わりはありません。 ですが、そんな単純なものではないのだと思い知らされました。
刑務官が死刑執行をするシーンが、臨場感たっぷりに描かれていました。
これまで刑務官の事など考えた事もなかったし、彼らの苦悩が痛いほど伝わってきて、読んでいていたたまれない気分になりました。
強烈に印象に残りました。
残された人間(家族)の苦悩も、読んでいて辛かった。
人間一人を殺してしまうとはどういう事なのか、心の奥底まで響きました。
ラストは、ハッピーエンドとはいきませんでしたが、みんなが少しずつでも救われた、成長できた、新しい一歩を踏み出せたという感じがして凄く良かった。
お薦めします。

13階段 (講談社文庫)
高野和明13階段 についてのレビュー
No.4: 8人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

カラスの親指―by rule of CROW's thumbの感想

中年詐欺師二人、女スリと何もしないその姉、そしてマジシャンを廃業した姉の彼氏。
前半は、そんな面々の共同生活が描かれます。
各々辛い過去を抱えていますが、暗さはなく、人間性もあり、詐欺を生業とする彼らの活躍に感情移入出来てしまいます。
ただ最後の「作戦」決行の時点で、既に全体の3分の2程度過ぎており、キャラクタ紹介にしては長すぎる、「これではまるで家族ものではないか」とすら思ったのですが、読み終えた時点で色々思い返してみると、何気なく交わされていたちょっとした会話にも、何か登場人物それぞれの人間味や暖かさが感じられます。
非常に効果的な描写になっている事に気づきました。
「カラスの親指」というタイトルからは、ノワールな印象を受けますが、全く違う。
そのタイトルに込められた思いに胸が熱くなります。
最後の最後に「どんでん返し」があります。
読者だけでなく主人公すら騙されてしまうのですが、嫌な思いなど微塵も感じません、清々しい気分です。
これまで読了した作品の中で、後読感は群をを抜いて最高です。
こんなハッピーエンド見た事ありません。
お勧めです。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
道尾秀介カラスの親指 by rule of CROW's thumb についてのレビュー
No.3: 7人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

占星術殺人事件の感想

いわゆる「新本格」と呼ばれる流れの草分け島田荘司氏のデビュー作にして、氏をもってしても「超えられない壁」と評する名作中の名作。
という事で手に取りました。 島田氏の作品で最初に読んだのがこの作品でした。
多くの方が言われていますが、私も、冒頭に配されている手記が何とも読みづらく途中挫折しそうになりました。
「名作」という前知識がなければ、その段階で投げ出していたかも知れません。

「奇跡の1行」で鮮烈なデビューを飾った綾辻氏に対し、その師である島田氏のデビュー作は、猟奇的でありながら緻密に計算された犯行トリックが秀逸な事は勿論のこと、御手洗、石岡のコンビもまさにホームズ、ワトソン、しかも本家に劣らないキャラ設定がされており魅力的、そしてそのワトソンが読者を大混乱させて、作品に奥行きを与えている。
いきなりの完成度の高い作品かと思います。
デビュー作の冒頭に、あんなリーダビリティの低い手記をもってこれるというのも凄いです。
別格。


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占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)
島田荘司占星術殺人事件 についてのレビュー
No.2: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

白夜行の感想

他のレビュアーの方も言われている通り、主人公である二人の視点からは全く描かれていません。
第3者から見た印象で語られているので彼らの実際の心情は正確には誰にもわかりません。
また物語のラスト近くに、この一連の事件を長年にわたり追い続けてきた老刑事の激白があり、
自分なりに解釈したこの事件の真相を語る場面がありますが、これに関しても物証はない訳で推測の域を出ません。
ここに来て全く見当違いな解釈であるはずありませんが、100%正解している保証はありません。
亮二が歪んだ人格の持ち主である事は多数の読者共有の認識かと思いますが、雪穂に関しては人それぞれでしょう。
「善?」「悪?」あるいは「巨悪?」
従ってラストのあのシーンにしても、みなさん異なった解釈、考えを持たれているのではないかと思います。
かなりの長編の物語ですが、複数回読むべき作品、そして他人と語り合いたい作品だと思いました。
怪作。

ちなみに私はドラマは見ていません。

白夜行 (集英社文庫)
東野圭吾白夜行 についてのレビュー
No.1: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

十角館の殺人の感想

月並みなレビューで申し訳ないのですが、
「あの一行にはホント驚かされました」です。

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十角館の殺人 (講談社文庫)
綾辻行人十角館の殺人 についてのレビュー


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