(短編集)

田舎の刑事の趣味とお仕事

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田舎の刑事の趣味とお仕事の評価:

3.95/5点 レビュー 19件。 C ランク

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平均点3.95pt

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全26件 21〜26 2/2ページ
No.6
(4pt)

ヴィジュアル描写を極力カット、ハードボイルドなユーモア?

田舎の巡査部長である黒川鈴木、部下の白石、赤木、そして黒川の妻。
わさび盗難事件、ブラックバスの釣り人たちの競い合い、コンビニたてこもり犯の事件など、事件や解決方法自体は地道にきちんとなされていますが、読後に強く残っているのは、恐妻を通りこして、妻という怪物におののいている主人公の姿です。
しかし、かんたんにギブアップしている脱力系の主人公とはちがい、内心は反論したり、男の気概を見せるようなつぶやきをもらすなど、けっこう硬骨漢のおじさんではあるようです。
 ほのぼのユーモアというより、妻のクールなせりふからして、少々ブラックなニュアンスに傾いています。辛口のユーモアです。

 ひとつミステリとして気になったことがあります。それは(犯人ふくめ)人物の外見描写がほとんどないことです。主人公の初登場からして役職が書いてあるだけ、年齢もなければ、風貌も体型も出てきません。それは部下たちの場合も同じで、年齢順がわかるだけです。黒川の妻にいたっては、「黒川の妻」あるいは「妻」としかなく、古風で丁寧な言葉遣いのみが叙され、わざと狙っているのでしょうが、かえって怖さをかもしだします。(美人かどうかどころか、年齢やヘアスタイル、服装、雰囲気もいっさい書かれていないのは、かわいそうな気さえします)
 また笑いどころは、主人公の行動や動作などのヴィジュアルにあるのではなく、セリフに集中しています。

 容貌や服装を視覚的に説明するのが当たり前の現代小説の中で、このストイックさには注目です。容姿だけでなく、表情や感情をあらわすしぐさなどもひととおりしか書かれていないので、頭の中でぴっと映像化できませんし、いまひとつ黒川鈴木刑事とお知り合いになれた気がしません。
「おれに近寄るな」的なハードボイルドな牽制なのかな、という気もします。古きよき時代のラジオドラマを目指しているのかもしれません。
 
 そしてこのスタイルのために、どの人物がどうなのかが見えず、謎解きに接近しにくい面もありました。

 説明的に描写しすぎると安手になるのはわかりますが、わざと視覚描写を排しているこのハードボイルドなスタイル、何とも気になります。次作も追いかけてみようと思います。

田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア)より
448801741X
No.5
(4pt)

ヴィジュアル描写を極力カット、ハードボイルドなユーモア?

田舎の巡査部長である黒川鈴木、部下の白石、赤木、そして黒川の妻。
わさび盗難事件、ブラックバスの釣り人たちの競い合い、コンビニたてこもり犯の事件など、事件や解決方法自体は地道にきちんとなされていますが、読後に強く残っているのは、恐妻を通りこして、妻という怪物におののいている主人公の姿です。
しかし、かんたんにギブアップしている脱力系の主人公とはちがい、内心は反論したり、男の気概を見せるようなつぶやきをもらすなど、けっこう硬骨漢のおじさんではあるようです。
 ほのぼのユーモアというより、妻のクールなせりふからして、少々ブラックなニュアンスに傾いています。辛口のユーモアです。

 ひとつミステリとして気になったことがあります。それは(犯人ふくめ)人物の外見描写がほとんどないことです。主人公の初登場からして役職が書いてあるだけ、年齢もなければ、風貌も体型も出てきません。それは部下たちの場合も同じで、年齢順がわかるだけです。黒川の妻にいたっては、「黒川の妻」あるいは「妻」としかなく、古風で丁寧な言葉遣いのみが叙され、わざと狙っているのでしょうが、かえって怖さをかもしだします。(美人かどうかどころか、年齢やヘアスタイル、服装、雰囲気もいっさい書かれていないのは、かわいそうな気さえします)
 また笑いどころは、主人公の行動や動作などのヴィジュアルにあるのではなく、セリフに集中しています。

 容貌や服装を視覚的に説明するのが当たり前の現代小説の中で、このストイックさには注目です。容姿だけでなく、表情や感情をあらわすしぐさなどもひととおりしか書かれていないので、頭の中でぴっと映像化できませんし、いまひとつ黒川鈴木刑事とお知り合いになれた気がしません。
「おれに近寄るな」的なハードボイルドな牽制なのかな、という気もします。古きよき時代のラジオドラマを目指しているのかもしれません。
 
 そしてこのスタイルのために、どの人物がどうなのかが見えず、謎解きに接近しにくい面もありました。

 説明的に描写しすぎると安手になるのはわかりますが、わざと視覚描写を排しているこのハードボイルドなスタイル、何とも気になります。次作も追いかけてみようと思います。

田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)より
4488499015
No.4
(5pt)

続編が楽しみな登場人物像

推理小説、でも殺人事件はなく、ボケとツッコミの、というよりは、ボケ担当だらけの警察の活躍の話です。わさび盗難事件、電球事件(本当は立て篭もり事件だけれど電球の印象が強い)、ブラックバス事件(本当は発砲事件だけれどブラックバスの印象が強い)、腹話術人形事件(本当は宝石ルビーを巡る事件だけれど人形の印象が強い)。1話目は黒川は検挙率の良い切れ者刑事のクールな印象、その黒川の妻は不平不満を言わない古風な女性といった印象だけれど、2話目から段々とその印象が崩れてきます。最後にはその印象は全くなくなります。それというのも、黒川の妻の存在が大きくなってきたから。コンビニ立て篭もり事件だけれど電球事件と言いたくなったり、発砲事件だけれどブラックバス事件と言いたくなるのは、これは黒川の妻の濃いキャラクターによるもの。笑わせてくれます。それでも、黒川はきちんと事件解決していきます。泣きながら・・・。作者もあとがきに書いていましたが、書き重ねていくうちに主人公黒川のキャラクターも少しずつ変わってきたようです。どんどん面白くなっています。こうなってくると続編が楽しみになってきます。第3回ミステリーズ!新人賞受賞作、納得です。
田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア)より
448801741X
No.3
(5pt)

続編が楽しみな登場人物像

推理小説、でも殺人事件はなく、ボケとツッコミの、というよりは、ボケ担当だらけの警察の活躍の話です。わさび盗難事件、電球事件(本当は立て篭もり事件だけれど電球の印象が強い)、ブラックバス事件(本当は発砲事件だけれどブラックバスの印象が強い)、腹話術人形事件(本当は宝石ルビーを巡る事件だけれど人形の印象が強い)。1話目は黒川は検挙率の良い切れ者刑事のクールな印象、その黒川の妻は不平不満を言わない古風な女性といった印象だけれど、2話目から段々とその印象が崩れてきます。最後にはその印象は全くなくなります。それというのも、黒川の妻の存在が大きくなってきたから。コンビニ立て篭もり事件だけれど電球事件と言いたくなったり、発砲事件だけれどブラックバス事件と言いたくなるのは、これは黒川の妻の濃いキャラクターによるもの。笑わせてくれます。それでも、黒川はきちんと事件解決していきます。泣きながら・・・。作者もあとがきに書いていましたが、書き重ねていくうちに主人公黒川のキャラクターも少しずつ変わってきたようです。どんどん面白くなっています。こうなってくると続編が楽しみになってきます。第3回ミステリーズ!新人賞受賞作、納得です。
田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)より
4488499015
No.2
(5pt)

続編が楽しみな登場人物像

推理小説、でも殺人事件はなく、
ボケとツッコミの、というよりは、
ボケ担当だらけの警察の活躍の話です。
わさび盗難事件、
電球事件
(本当は立て篭もり事件だけれど電球の印象が強い)、
ブラックバス事件
(本当は発砲事件だけれどブラックバスの印象が強い)、
腹話術人形事件
(本当は宝石ルビーを巡る事件だけれど人形の印象が強い)。
1話目は黒川は検挙率の良い切れ者刑事のクールな印象、
その黒川の妻は不平不満を言わない古風な女性といった印象だけれど、
2話目から段々とその印象が崩れてきます。
最後にはその印象は全くなくなります。
それというのも、
黒川の妻の存在が大きくなってきたから。
コンビニ立て篭もり事件だけれど電球事件と言いたくなったり、
発砲事件だけれどブラックバス事件と言いたくなるのは、
これは黒川の妻の濃いキャラクターによるもの。
笑わせてくれます。
それでも、黒川はきちんと事件解決していきます。
泣きながら・・・。
作者もあとがきに書いていましたが、
書き重ねていくうちに主人公黒川のキャラクターも
少しずつ変わってきたようです。
どんどん面白くなっています。
こうなってくると
続編が楽しみになってきます。
第3回ミステリーズ!新人賞受賞作、納得です。
田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア)より
448801741X
No.1
(5pt)

続編が楽しみな登場人物像

推理小説、でも殺人事件はなく、
ボケとツッコミの、というよりは、
ボケ担当だらけの警察の活躍の話です。
わさび盗難事件、
電球事件
(本当は立て篭もり事件だけれど電球の印象が強い)、
ブラックバス事件
(本当は発砲事件だけれどブラックバスの印象が強い)、
腹話術人形事件
(本当は宝石ルビーを巡る事件だけれど人形の印象が強い)。
1話目は黒川は検挙率の良い切れ者刑事のクールな印象、
その黒川の妻は不平不満を言わない古風な女性といった印象だけれど、
2話目から段々とその印象が崩れてきます。
最後にはその印象は全くなくなります。
それというのも、
黒川の妻の存在が大きくなってきたから。
コンビニ立て篭もり事件だけれど電球事件と言いたくなったり、
発砲事件だけれどブラックバス事件と言いたくなるのは、
これは黒川の妻の濃いキャラクターによるもの。
笑わせてくれます。
それでも、黒川はきちんと事件解決していきます。
泣きながら・・・。
作者もあとがきに書いていましたが、
書き重ねていくうちに主人公黒川のキャラクターも
少しずつ変わってきたようです。
どんどん面白くなっています。
こうなってくると
続編が楽しみになってきます。
第3回ミステリーズ!新人賞受賞作、納得です。
田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)より
4488499015