奇偶

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評判

奇偶の評価:

3.48/5点 レビュー 27件。 C ランク

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平均点3.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 21〜34 2/2ページ
No.14
(3pt)

読んでてもどかしいというか…

次々と破天荒な展開が起きるとき、読者は普通「これをどう、まっとうに収拾つけるのだろうか?」と期待して読むものなんですが、そういう時に、作者は十中八九、まともに終えるつもりは全然ないんですよね(笑)。まあ「虚無への供物」なんかが凄いのは、それを更に裏切ってちゃんと決着をつけているところだったりしますが。
主人公の周囲で次々とありえない偶然が起きる、と言われても、そんなの小説の中なんだから不思議でもなんでもないし、存在論、量子論、宇宙論等の薀蓄が次々と展開されてゆくところは一見迫力がありそうですが、本来はマジメな議論であり理論であるはずのものを作者の都合のいいようにもてあそんでいるようで、あまり好感が持てません。眉唾な論理を振り回すのは作者の得意な方法論ではあるのですが、それはユーモアの範囲で適用されるから笑って済まされるのであって、この小説に関してはそういう風には読めないというか、突っ込み不在というか、なので、いいのかなあと思ってしまいます。
そして、どうせトンデモで終わるんだろうと思って読んでいると、その通りだし。ミステリ的な論法が次第に崩れて逸脱してゆくところは、読み応えはありましたが、破綻することを予想してしまっている読者としては、もっと論理面以外でのキャラクターの感情面での奥行きなど、欲しかった気がします。
以前から様々な作品で散見されていた作者の諸々の哲学ネタの集大成として、"いつか書かねばならなかった"作品だったのだろう、そういう意味での執念は感じました。しかし、SFや純文学としてではなく、殺人とその解決、という筋書きを持つミステリという形にしなければならなかったところに、苦いものを感じますね。私は評論家としての氏を尊敬しているし、ミステリ作家としても大好きなんですが、さてこの感想をどうしようか、というところです。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.13
(3pt)

「偶然」という概念に対する徹底した学門的宗教的解釈の探究

ありえないような偶然による事故死が連発。そして現場に残されたゾロ目のさいころ。やがて浮かび上がる謎の教団「奇偶」。
この作品は一応ミステリーとして分類できるかもしれないが、頁の多くを占めているのは「偶然」という概念に対する徹底した学門的または宗教的解釈の探究である。
読者の好みが分かれるのは物語と理論展開のバランスが一般的な小説とは明らかに異なることだ。押井守作品とその意味で共通点がある。私は理論は理論で学門的に認知されたソースから学びたいし、ミステリーはミステリーで物語に感情移入したい。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.12
(5pt)

《偶然》を定義する

 《偶然》を定義する、この直感的には簡単そうな命題がかくも存在の原理まで広がるものだとは思ってもいず、自分の人間としての存在意義が揺さぶられる感慨が残りました。 本作の主題としては『宇宙消失』グレッグ・イーガン(著)などからくる既視感が大きいのですが、グレッグ・イーガン氏が試みたような人間宇宙論への開き直りではなく、地に足を付けたままで更に洞察を深められています。その理由の多くが、現代の量子力学との共通な視点までもが散見される『易経』についての洞察に寄せられると思います。 そういう意味では、本著でも記述があるとおり「作品の背景と前景とがまったく転倒」しているというように、推理小説としてのスタイルをとりながらも《偶然》に対する形而上的な議論が主題として浮上しています。 では推理小説として低レベルであるという訳ではなく、《偶然》が形而上的に議論されることで、密室トリックの蓋然性が一点に集約されていく様は圧巻といって良いでしょう。 少なくとも、これまでに読んだことの無いミステリーが味わえる名著であることは疑いのないことだと思います。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.11
(4pt)

虚無への達成

なんとデビュー作『生ける屍の死』(実はその前に『13人目の探偵士』というゲームブックがある)以来の長編作品という事で、従来の山口作品を知る人間にとっては目を疑うほどの分量となってしまった(?)大作。
「キッド・ピストルズ」シリーズのファンにはお馴染みの、例のシューレディンガー(シュレーディンガー)の猫を使った量子力学、もとい並行世界の説明は、従来のシリーズだと要するに「パラレル英国」の概要を説明するマクラとして使われているにとどまり、肝心な小説の内容は、なかなか独特ではあるものの、基本的には本格パズラーとして成立していると思うわけです。
で、『奇偶』ですが、これが量子力学的世界観そのものを全面にフューチャーした、おそらく初めての作品だと、私の頼りない記憶によれば思います。
多くの頁を埋めているのは、物理学、確率論などの膨大な薀蓄。ストーリー展開よりもそのアカデミックなレトリック自体がメインという趣でもあります。
然しそれが、じっくりと読み込めば決して退屈ではなく、寧ろ京極夏彦作品にも共通するような(と私は思う)奇妙な脳のトランス感を引き起こしてくれます、多分。
若し(多分そうだと思いますが)構想した時点で結末まで一気にインスピレーションが結実していたのだとすれば、まるで中井英夫『虚無への供物』みたいだ、と思いました。
で。
解決は――
さあ、どういう感想を貴方は抱くでしょうか。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.10
(4pt)

虚無への達成

なんとデビュー作『生ける屍の死』(実はその前に『13人目の探偵士』というゲームブックがある)以来の長編作品という事で、従来の山口作品を知る人間にとっては目を疑うほどの分量となってしまった(?)大作。「キッド・ピストルズ」シリーズのファンにはお馴染みの、例のシューレディンガー(シュレーディンガー)の猫を使った量子力学、もとい並行世界の説明は、従来のシリーズだと要するに「パラレル英国」の概要を説明するマクラとして使われているにとどまり、肝心な小説の内容は、なかなか独特ではあるものの、基本的には本格パズラーとして成立していると思うわけです。で、『奇偶』ですが、これが量子力学的世界観そのものを全面にフューチャーした、おそらく初めての作品だと、私の頼りない記憶によれば思います。多くの頁を埋めているのは、物理学、確率論などの膨大な薀蓄。ストーリー展開よりもそのアカデミックなレトリック自体がメインという趣でもあります。然しそれが、じっくりと読み込めば決して退屈ではなく、寧ろ京極夏彦作品にも共通するような(と私は思う)奇妙な脳のトランス感を引き起こしてくれます、多分。若し(多分そうだと思いますが)構想した時点で結末まで一気にインスピレーションが結実していたのだとすれば、まるで中井英夫『虚無への供物』みたいだ、と思いました。で。解決は――さあ、どういう感想を貴方は抱くでしょうか。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.9
(4pt)

色々な意味で執念の結果

本作は推理小説といえるかどうか…。ミステリ的にいえば○○が犯人のメタミステリといえるのでしょうが、それよりも思弁的SFか、『黒死館殺人事件』のような衒学的探偵小説とでもいうべき作品です。サイコロの出目に6ばかり続く現象、量子論の不確定性原理、宇宙論などが次々出てくるので、文系読者にはツライかもしれません。理系ネタ好きの私には全然抵抗・障害はありませんでしたが。SFでいえばグレッグ・イーガン『宇宙消失』や、ミステリでは『不確定性原理殺人事件』『姑獲鳥の夏』が何の抵抗もなく読める人、あるいは湯川薫や倉阪鬼一郎が好きな人は本作を最も楽しめるタイプの人だと思います(森博嗣とはちょっと違うかも)。逆に本格好きには欲求不満が残りそうですね。どちらにせよ、ミステリファンは一読して損はない作品だと思います。大作ですし。ただ、宇宙論・物理科学ファンとしては、最後の半密室殺人の真相には納得いきませんでしたが…。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.8
(2pt)

退屈

あの大傑作「生ける屍の死」に続いての長編ということで期待して読んだが、がっかり。偶然という事象の薀蓄が延々とつづられていて、それはそれで興味ぶかかったが、この終わり方は無いでしょう。著者ならではの、従来の推理小説に対するアンチテーゼの思いはさすがだと思うけど、それだけで600ページは相当辛い。この作品を面白かったと評価する人を尊敬します。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.7
(2pt)

退屈

あの大傑作「生ける屍の死」に続いての長編ということで期待して読んだが、がっかり。偶然という事象の薀蓄が延々とつづられていて、それはそれで興味ぶかかったが、この終わり方は無いでしょう。著者ならではの、従来の推理小説に対するアンチテーゼの思いはさすがだと思うけど、それだけで600ページは相当辛い。この作品を面白かったと評価する人を尊敬します。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.6
(4pt)

なぜ?

自分の身に降りかかった不測の事態の因果関係を検証しようとすると、必ず理屈では解明できないものにぶち当たる。そこで「なぜ?」とか「どうして」とか考えるのは、ナンセンスなのだろうか?
 作者はこの本でこの因果関係を深く追求した。読むとその苦悩の様子が伝わってくるような気がする。運命論者的に、「偶然」の名の下に処理してしまうのが一番安易な方法だ。しかし作者としては、それでは納得できなかったのだろう。
 これは、推理小説ではないと思う。かといってピッタリと収まるようなジャンル分けはできないと思う。この本を読んだ後、他の本の中に、「偶然」という言葉出てくるたびにこの本のことを思い出す。
奇偶 (講談社ノベルス) Amazon書評・レビュー: 奇偶 (講談社ノベルス)より
4061824481
No.5
(4pt)

なぜ?

 自分の身に降りかかった不測の事態の因果関係を検証しようとすると、必ず理屈では解明できないものにぶち当たる。そこで「なぜ?」とか「どうして」とか考えるのは、ナンセンスなのだろうか? 作者はこの本でこの因果関係を深く追求した。読むとその苦悩の様子が伝わってくるような気がする。運命論者的に、「偶然」の名の下に処理してしまうのが一番安易な方法だ。しかし作者としては、それでは納得できなかったのだろう。 これは、推理小説ではないと思う。かといってピッタリと収まるようなジャンル分けはできないと思う。この本を読んだ後、他の本の中に、「偶然」という言葉出てくるたびにこの本のことを思い出す。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.4
(4pt)

かなり良い

 著者の長編はかなり久しぶりの登場だったので(生ける屍の死以来)、かなり期待しつつも、生ける屍の死が大傑作だったこともあって、かなりその出来栄えに心配してもいました。 でも、杞憂。 冒頭、ストーリーの骨格がナカナカ見えてこなくてのめりこめない点と、やや衒学趣味の披露の仕方がベッタリしてしまっている点を除けば、それ以外に何の文句もない傑作。破天荒な結末まで含めて、すべてが山口雅也の仕事らしいヌケヌケとした野放図ぶりで最高。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.3
(4pt)

五大ミステリー?

ドグラマグラ、黒死館殺人事件、虚無への供物、匣の中の失楽。四大(アンチ)ミステリーと呼ばれている作品がありますが、この奇偶も、それらの作品に、優るとも劣らぬ作品だと思います。というより、ミステリーらしくないミステリーである点など、四大ミステリーの作品と、似た印象があるので、この作品を含めて、五大ミステリーと言われる日も、遠くないかもしれません。その意味で、コアなミステリーファンなら、この作品は、一読の価値があると思います。また、量子力学や、人間原理など、色々な蘊蓄がちりばめられているので、ウンベルト・エーコ辺りの、衒学趣味的な作品の好きな方にも、オススメできそうです。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.2
(4pt)

読む人を選ぶけど...

偶然をめぐる物語は、ミステリにとどまらず、物理学、心理学、易など様々な断片を少しずつ見せながら進んで行きます。かなり重厚感あるハードカバーですが、「次は何が来るんだろ、まだこんなにあるなぁ、楽しませてくれそう」とぺージをめくるのが楽しいです。そして終盤間際までたどり着けたなら、そこから畳み掛けるようなテンポ、迫力、圧倒感に凄いの一言です。ある程度読む人を選ぶ気もしますが、お勧め。著者ご本人に起きた不幸が元になっているようですが、それを乗り越え良く書いてくださいましたという作品でした。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824
No.1
(3pt)

難しいのです。

「生ける屍の死」以来、作者のファンです。でも、すいません。易経やらユングやら南方熊楠やら量子力学やら・・・難しくてよくわかりません。原発も類人猿も福助も・・・福助といえば續・日本殺人事件にも出てきましたが・・・あれはフクスケだったっけ・・・やっぱりキッド・ピストルズとかトウキョー・サムの方がいいな・・・と思う今日この頃です。でも一気に読んでしまうのは作者の魅力なんですかね。
奇偶 Amazon書評・レビュー: 奇偶より
4062115824