(短編集)

綺譚集

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

綺譚集の評価:

4.00/5点 レビュー 15件。 D ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21〜25 2/2ページ
No.5
(4pt)

職人たろう、という姿勢に敬服

最近の作家の中では、「文を書く」ということにきちんととりくんで
いる稀有な書き手の一人。
収録された作品の中には当たり外れもありますが、この作者を知るに
は他の本よりもお薦めの一冊。
「玄い森の底から」の一節に、「いい目をしてらっしゃる。ただ、
手がそれについていってませんな」という、書家の言葉がありますが、
作者自身にとっての自戒の言葉のような気がします。
「この程度の作品では、自分が今まで圧倒された偉大な作品に全く
太刀打ちできない」という思いを抱きつつ、作品を書いている作家
ではないでしょうか。もっと化けてほしい、という期待をこめて
☆4つ。
綺譚集 Amazon書評・レビュー: 綺譚集より
4087747034
No.4
(5pt)

美しき異形のモノ

津原泰水がこれまで様々な媒体に掲載した短編15作が収録されている。驚くべきはその多様性。様々な切り口で描き出される文章は、七色の怪しげな輝きをもって読み手を幻惑し、異境の地へと誘い込む。そして全編に渡って立ち上る濃密な情感。それは時に呪詛の念であり、思慕の情であり、怜悧な殺意であり、エロスの衝動であり、生への執着であり、絶望的な諦念でもある。それらが美麗な文体を通し咲き乱れる。咽返るような密度で充満する。
あな恐ろしや津原泰水この人は一度死んだことがあるに違いない
この世に無いモノが想う走馬灯の記憶『暗い森の底から』
死んだはずのモノがスルリと蘇る『アクアポリス』
常人には想像もつかぬ観点から語られる物語の多くは、怖気をふるうような不気味でグロテスクな想像を喚起させながら、同時に芸術的とさえ言いたくなるような繊細な美意識を伴って迫りくる。氏の艶やかな筆致により場に満ち満ちる情感。其にほだされた時、現実と非現実の境はその意味を失い、掴みきれぬもどかしささえどこか心地よい、「幻想」という名の異世界へと引きずりこまれる。現実を侵食する現実に非ざる空気。恐ろしくも美しい情念の糸に絡め取られる253頁。素晴らしいです。
綺譚集 Amazon書評・レビュー: 綺譚集より
4087747034
No.3
(5pt)

短編のコツ

 というものをきちんと押さえていて、レベルとしても高いものが揃っている。ホラーと一概に分類することができない、幻想的な文学感が読者の思考をぐらぐらと揺さぶる。
 最後の隣のマキノさんはいわゆる企画ものをの短編だが、それは気にしなくていい。よくわからない人は、とりあえずあれはギャグだと思っていただいてけっこう。
 とりあえず、稀有な筆致で、わざと崩しているだろう現実的解釈が難しい文もなかなかに素敵。おすすめ。
綺譚集 Amazon書評・レビュー: 綺譚集より
4087747034
No.2
(4pt)

奇妙な夢を観る

ここ二三日おかしな夢を観るのは、きっとこの本を読んだからに違いない。生に対する漠然とした安定感を揺さぶる作品、ひたすら妖しい作品、意味不明な作品、いろいろあるが、きっと変な夢をみせられている気分になるだろう。リアルさとあり得なさ、そしてどこか本能や無意識に繋がっているような感覚はは、まさに夢のそれ。そういう短編集。装丁のイメージがぴったりだ。
綺譚集 Amazon書評・レビュー: 綺譚集より
4087747034
No.1
(4pt)

妖しき美酒を酌むかの如き幻想綺譚集

 エロスとタナトス、愛と死。そうしたモチーフが、ゆらゆらと立ち上ってくるかの如き幻想綺譚集。「異形コレクション」といったホラー・アンソロジーや、「小説新潮」「小説すばる」等の文芸誌に収められた著者の作品が15編、収められている。 正直、私には理解不能な短編もあったけれど、作者が紡ぎ出す美の世界にいつしか絡め取られてしまっているような、独特の吸引力を感じた。 なかでも、「ドービニィの庭で」が私の一押し。ゴッホ最晩年の作品「ドービニィの庭」の絵に魅せられ、その風景を再現しようとする人たちの話。ゴッホの絵の色彩に浸食されていくような、眼前に絵がぐんぐん大きくなって迫ってくるような感覚に囚われた。 ゴッホの絵をモチーフにした作品では、デイヴィッド・マレルの「オレンジは苦悩、ブルーは狂気」(宮部みゆき編『贈る物語 Terror』光文社所収)が忘れがたいが、国内にもこんな逸品があったんとは。ネットで検索したゴッホのその絵をスクリーン上で眺めながら読み耽った時間は、至福のひとときだった。 初版限定ということで、著者検印が本の奥付に入っているのも嬉しい。 Laurel as Ophelia by Kim Stringfellow, 1989 とある装丁写真も、とても魅力的。 本書にこめた作者の思いが伝わってくる。
綺譚集 Amazon書評・レビュー: 綺譚集より
4087747034