街の灯

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

街の灯の評価:

4.03/5点 レビュー 36件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全55件 41〜55 3/3ページ
No.15
(3pt)

超お嬢様探偵の相棒は女性運転手

ミステリーマスターズと銘打たれたこの叢書シリーズ。第5弾は北村薫さんの登場である。北村さんといえば女子大生と噺家の異色コンビが活躍する『空飛ぶ馬』でデビューし、所謂『日常の謎』を取り扱うジャンルの先駆者とも言える作家であり、本作品もその『日常の謎』の系列に属する短編集と捉えて良いだろう。ただ、探偵役は超がつくようなお嬢様であり、その設定に説得力を持たせるべく、あるいは作者が描き出そうとする人間性を一層明確にする(デフォルメしているとも言えるかもしれない)べく、時代設定は昭和初期となっており、ある意味現代から見れば『異世界』である。そこには超がつくお嬢様達が生息し、また、それにともなう異世界の常識がまかり通る。この舞台設定が作品の雰囲気を決定していると言えるだろう。また、探偵役の少女をはじめとして登場人物達が、北村流の生き生きとしたタッチで描かれているところはさすがである。ただ、特筆すべきはある意味ワトソン役に徹しながら、探偵を謎へと誘う女性運転手ベッキーさんの存在である。この謎に彩られた女性と少女探偵の物語が、今後どのように描かれていくのか注目したい連作短編集である。
街の灯 (本格ミステリ・マスターズ) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (本格ミステリ・マスターズ)より
4163215700
No.14
(4pt)

レトロな香り

ミステリーと考えるともどかしい部分が多い。しかし昭和初期の上流階級の世界を垣間見ていると、何故か心地よく感じて読み進めてしまう。
ベッキーさんの素性は明らかにならないままだが、明らかにする必要もないのかもしれない。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.13
(4pt)

時代設定がたくみ

 時代設定が巧みで、主人公やベッキーさんの活躍に引き込まれてしまいました。
 昭和の初め、という時代設定が巧みだとおもいます。
 戦争に突き進む直前のある意味での良き時代を設定したのは正解だと
おもいます。
 ただ話の中身が、推理小説としては少し物足りなくおもいました。
 今後の展開に期待というところなのでしょうか。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.12
(4pt)

悪意のない物語

昭和の初期,まだ時代が戦争に向かって傾きかける前,みんながゆったりと構えて時代なのだろう。女性がまだまだ社会に進出していなかった中,ベッキーさんは素敵だ。ご主人を守れる技も身に付けている。これは映像化してくれるとおもしろい。ベッキーさん役はもちろんベッキーといきたいところだけれども,男装の麗人ならば黒木メイサさんあたりだろうか?
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.11
(4pt)

古き良き昭和の人々

昭和初期のお嬢様、花村英子が運転手のベッキーさんの力を借りつつ、さまざまな事件、
謎を解いていく連作中編集。
二人で、となると典型的にはホームズとワトソンとなるが、本シリーズの場合、
ちょっと捻ってあって、どちらがホームズでどちらがワトソンかは読んでのお楽しみ
というところ。
本格的な謎解きは勿論、これにベッキーさんの出自の謎が絡んでいく。
また、昭和初期の時代、風俗の描写が興味深く、ベッキーさんとの出会いや事件を通じて、
英子が段々と成長していくさま(本シリーズも「『円紫さんと私』シリーズ」同様、
ビルドゥングスロマンの性格を有している)も共感を持って読める。
北村薫は「『円紫さんと私』シリーズ」に象徴される「日常の謎」派の代表的作家であり、
余韻の深い文体と柔らかな語り口が特徴の叙情派、文学派ミステリーの旗手という印象だが、
一見、叙情と感傷に満ちているかに見えて、時に描く悪意や人間の哀しい性には、
はっとさせるものがあり、本作でも表題作「街の灯」にそれが見て取れる。
また、英子の一人称で語られる文体は、青春小説らしく、理屈っぽく青臭く感じられる
こともあるが、時代設定が昭和初期であることで、却ってその頃の雰囲気を表すのに
しっくりきてるような気がする。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.10
(4pt)

時代考証の質が高い!

本作は氏の「推理」小説としては、円紫シリーズなどと比べ
ややその輝きが少ないことを認めざるは得ないだろう。
しかし、会話がやや現代風に改められてはいるものの
これだけの時代考証を行い、それを作品の中に
反映させたエネルギーは高く評価すべきだろう。
十五年戦争の直前、最も華開いた昭和の消費文化。
数々の作品に採り上げられた記号といえども
イメージだけではなく、生活感を持って描写し得た作品は
それほど多くはない。その直後に設定を置いた本作は
その中でも高い質を持ったものに相違ない。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.9
(4pt)

昭和7年にあった上流社会の空気と考え方

「玻璃の天」を読んで、その前作があることを知って、この本を読みました。順序が逆になった事によって、スケールの小ささが気になりましたが、それも「玻璃の天」の素晴らしさを導く序章としての作品であると考えれば、十分に役目も果たしており、楽しめる良い作品だと思います。
「玻璃の天」では、正体が解ってしまうベッキーさんが、まだ正体不明の謎の女性として描かれており、花村英子とのコンビも「玻璃の天」ほどの一体感はまだみられないようにみえます。
でも、昭和7年にあった上流社会の空気や、そこに暮らしていた人々の考え方は、非常に良く伝わってきます。この点に関しては、ミステリーとしての完成度の高い「玻璃の天」よりは、優れているかも知れません。
この「わたしのベッキー」がシリーズ化し、後何作か書かれるのかもしれませんが、非常に楽しみなシリーズになりました。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.8
(3pt)

名家

 2003年に出た単行本の文庫化。
 昭和7年という時代設定である。上流階級のお嬢さまたちが次々と登場する。さらには男装の麗人まで。
 こういう世界が苦手な私には、あまり楽しめない小説だった。北村薫の新シリーズということで期待して読んだのだが。まあ、こういう世界が好きな人にはたまらないのだろう。それはそれで需要もあるだろうし。
 ミステリとしての出来はそこそこ。トリックの切れというよりは、遊びの部分が生きていて面白かった。北村薫も熟練して余裕の持てる作家になったものだなあと思う。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.7
(4pt)

雰囲気がいい

 身分さのある女学校生活、銀座の町並み、お菓子、江戸川乱歩、帝国ホテルなど、ミステリーのあいまに漂う昭和初期の雰囲気に酔いました。あの時代のあの生活ならではのミステリーですね。恵まれているけど不自由な生活や、お嬢様のちょっと悲しいプライド意識などがせつないかったです。
 ベッキーさんがオスカルさまのようでした…。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.6
(4pt)

待望の新シリーズ。

待望の新シリーズですね。
昭和初期の時代設定といい、優しげな作風といい、やっぱり好きですね。
ミステリといっても、残虐な殺人が起こるわけでもないし、複雑なトリックが絡んでるわけでもありません(といっても、トリックが単純だという事ではありません)。
でも、面白いんですよね。
ミステリという非日常的分野を、日常の生活の中に組み込むって言うんでしょうか。そのへんが、面白いところだと思います。
勘違いなされてる方がいらっしゃいますが、これはシリーズものなので、「引き」があるのは当たり前です。
それを解かった上で、読むのが良いんじゃないかな、と思います。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.5
(3pt)

少し食いたりないものの

主人公花村英子は父親が財閥系企業の社長という事で、上流階級のお嬢様です。神宮にある女子学習院に通っています。
その花村家に新しい運転手がやってきます。別宮(べつく)みち子。そんな二人が市井の事件や身近に起こった不可思議な出来事の謎を解いていく、という作品です。
ベッキ―さんにはいろんな能力がありそうですが、推理という点では英子が担っています。彼女はそんな英子を見守るような感じで存在しています。交流の中で英子は色んな事を知るという成長物語という面もあります。作品の印象としては円紫師匠と私シリーズに近い形のものでしょうか。
ただし、作品はちょっと食い足りません。私シリーズは生活風景描写に独特の雰囲気があったのですが、本作はその部分が、ちょっと弱い感じがします。それを補っているのがべっキーさんの隠れた何かが明らかになったりする場面なのですが、私シリーズでは、この手の謎というかトピックは、「さらり」と呈示して、生活風景のシーンに波風を与えるか、逆に徹底して事件の中に溶かし込むことで、インパクトを出しています。
本作はそれの描写自体が読みどころになっていて、ちょっと単純なつくりになっているきらいがあります。
とにかく雰囲気を出す為の感覚が私シリーズが絶妙だった為に、こう思ってしまうんでしょうが。
ただ、北村さん、こういうの好きなんだなあーと思った件があり、それなりに楽しめました。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.4
(3pt)

星二つは辛くないと思います。

 時は大正覚めやらぬ昭和初期。
まだ爵位制度が残っている時代のお話。
上流階級のお嬢様が三つの事件をさくさくと解き明かしていきます。
 第一話でこの花村家に新しく加わるキャラクターがいます。
宝塚の役者のような男装の麗人ですが、この麗人の正体が、実は全編を通しての一番の謎。
「えぇーい、云っちゃえ!」で、この謎は遂に謎のまま終わります。
続編を作りたいのでしょうよ。
こういう書き方はイヤですね。読むんじゃなかったと思いました。
読書とは趣味の世界ですから、そこに営利的なモノが臭ってくると興ざめしてしまう。
女子高生が苦もなく本職も解けない事件を解決するのも不自然。
そういうのは赤川次郎にでも書かせておけばいい。
 一番読めたのは、三つ目の事件の「街の灯」です。
ここでは主人公の友達の「お嬢様の中のお嬢様」道子様が自分の結婚観を語ります。ここは面白い。
それに問題の男装の麗人が「主人公の人生の師」とはっきり位置づけられるのも最後になってから。
前の二つの事件は、三つ目に至るまでの長ぁ〜いプロローグだと思えばいいのかも。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.3
(5pt)

北村の小説は相変わらず素晴らしい。

 北村の小説が好きだ。
 著者の肌理細やかな感性がダイレクトに伝わる文章。透徹した論理で解かれていく謎。そして、聡明さと無垢さが矛盾なく同居したヒロインの人物造詣…。
 本書にも先に挙げた北村小説の美点が遺憾なく発揮されている。
 この本に納められている3つの短編、どれも良いけれど、やはり出色の出来は表題作『街の灯』だろう。戦前の、美しい軽井沢での上流階級の子息の華やかな社交が描かれているが、読み終えると女の…いや人間の情念の恐ろしさにゾクリとする。
 この小説はお薦めです。是非読んでみてください!
 
 
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.2
(4pt)

ベッキーさんが気になって

舞台は昭和8年(1932年)の東京。
士族出身の某財閥のご令嬢 花村英子、女子学習院中等科在学中。 そして花村家のお抱え運転手 別宮みつ子が主人公だ。
別宮はベックと発音する。 名字も珍しいがこの当時女性が運転手をすること自体も珍しい。
彼女の素性については雇い主である父は知っているが、読者と英子お嬢さまには知らされていない。
きりりとした容姿、頭脳明晰、文武のどちらにも長けた謎の女性である。
このふたりが身近に(?)起きる殺人事件や、ちょっとしたなぞ解きに挑戦する。
推理小説と戦前の少女小説が合体したような、独特の雰囲気がおもしろい。
昭和8年と言えば、5.15事件(軍部将校による犬養首相暗殺)があった年で、日本が満州国を建国、
上海事変があり、白木屋デパートで火事があり、チャップリンが来日している。
世間はこんな情勢であっても、花村英子の日々の暮らしにはまだ翳りはないのである。
わたしの父は彼女と同じくらいに生まれている。 そのせいか物語の中の東京の風景は懐かしく
両親や祖父母から聞いた話しと うまい具合に混ざりあって実在感があった。
本格推理物ではないが、おっとりと楽しめる作品である。 この本には3編収録されているが、
別冊文藝春秋の連載小説のようだから、そちらを読めば先取りすることができるだろう。
なんといってもベッキーさん(別宮みつ子の渾名)の素性が気になって、そこがはっきりするまでは
読み続けるしかないではありませんか。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045
No.1
(4pt)

今後が楽しみな新シリーズ

「円紫さんと私」、「覆面作家」シリーズに続く、北村ミステリー第三シリーズの一作目。昭和七年を舞台にした、上流家庭のお嬢様花村英子と女性運転手「ベッキーさん」の物語。三篇が収められている。
はじめは、「円紫さんと私」の女性版、昭和初期版か・・・と正直、新味に欠ける気がしたが、ページを繰るうちに一気に読んだ。
北村氏の小説は、ふんわりやさしい雰囲気を漂わせたものが多いが、それに安心してひたっていると、思わぬ厳しさや人間のダークサイドをぶつけられてはっとする。才気はあるが天真爛漫で何不自由なく暮らすお嬢様の英子。彼女が「ベッキーさん」という指南役を得て、どのように成長していくか、時代のうねりや(北村氏は時代の空気を描くのが本当にうまい)、年齢を重ねるごとに生じてくるであろう葛藤をどう乗り越えるのか、今度が楽しみなシリーズの誕生である。そして、謎に包まれた「ベッキーさん」とはいかなる人物なのか・・・・・
ところで、北村氏絶賛の『慟哭』がヒットした貫井徳郎氏が解説を執筆している。解説のお手本とも呼びたい内容で、特に北村作品ビギナーにはとてもわかりやすいだろう。その貫井氏の指摘するとおり、北村作品に登場する女の子は確信犯的に無垢である。その無垢さと距離をおきたくなった時期もあったが(だから単行本でなく今ごろ文庫で読んでいるのだ)、こうして新シリーズに接してみると、敢えてそのような女の子を書き続ける氏に敬意を表したくなる。博覧強記ぶりを発揮するアンソロジーなどのお仕事も精力的にこなされているが、やはり小説中心でお願いしたい!と思った。
街の灯 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 街の灯 (文春文庫)より
4167586045