讃歌

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讃歌の評価:

3.86/5点 レビュー 21件。 B ランク

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平均点3.86pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 21〜31 2/2ページ
No.11
(4pt)

自分の中の信じるものと、自分の目に映る虚構と現実の曖昧さ

 音楽音痴の私には、この本に書かれている「魂を揺すぶられる感動」なんてものには、出会ったことはないが、その人の気持ちの持ちようで、また故意に作ることも可能であること、そんな苦い思いを改めて感じた。
 自分の魂の共鳴を信じてヴィオラ演奏家園子の音楽を讃え、やらせとたたかれながらも庇い通す小野。園子の技術の未熟さに気付き、冷たい視線を投げる音楽家達。疲れきった園子の選んだ道に、驚き同情しながらも、そのか弱く繊細な印象からは想像もつかない思惑に裏切りを覚えたのは、小野ばかりではあるまい。音楽という至極美しいものに絡む、ぞれぞれの暗い感情と打算に、何とも重い印象が残った。園子の音楽に感動を覚えた人々も、園子の音楽を理解して貰おうと奔走した小野達等の含め、結果的に誰も救われなかったという思いが残る。
 重い結末に比して、感動と栄光・スキャンダルに非情な業界や世間の人々の対応など、次の展開が気になって新聞連載で読んでいる最中は、次の日が待ちどうしかった。あっけなくみえる最後に連載当時はがっかりした気がするが、時間がたってみるとむしろ華麗なステージをかたどった物語の緞帳の下り際に相応しいと思える。小野の虚無感と虚脱感が、しばらく後味が悪く残った。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891
No.10
(5pt)

虚像と実像

著者の作品は、虚像と実像の乖離と、その中で、まことの「成功」とは何かを描いているように思われる。「成功」とは、「成就」と言うべきか、「満たされるもの」と言うべきか、「自己実現」と言うべきか、そうしたものが、主題になっているように、私は読む。その側面からは、まさに、山崎豊子の後継的存在に、すでになり得ているのではないか、そんな期待をしている。
この作品は、ビオラ奏者自身にとって、最も優れた演奏、最も実現ある演奏とは何かを、まことに輻輳した要素の中で、問いかけている。定評のある演奏会で入賞することなのか、ランクの下がる演奏会での入賞は意味がないのか。プロに認められる技術がなければだめなのか、プロが認めない技術では意味がないのか。プロに認められる演奏ではなければならないのか、大衆の心をうつ演奏は価値がないのか。
この作品を一気に読み込み、倉本聡の名作であり、ドラマ化もされた「玩具の神様」を想起しました。
讃歌 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 讃歌 (朝日文庫)より
4022645342
No.9
(5pt)

虚像と実像

著者の作品は、虚像と実像の乖離と、その中で、まことの「成功」とは何かを描いているように思われる。「成功」とは、「成就」と言うべきか、「満たされるもの」と言うべきか、「自己実現」と言うべきか、そうしたものが、主題になっているように、私は読む。その側面からは、まさに、山崎豊子の後継的存在に、すでになり得ているのではないか、そんな期待をしている。
この作品は、ビオラ奏者自身にとって、最も優れた演奏、最も実現ある演奏とは何かを、まことに輻輳した要素の中で、問いかけている。定評のある演奏会で入賞することなのか、ランクの下がる演奏会での入賞は意味がないのか。プロに認められる技術がなければだめなのか、プロが認めない技術では意味がないのか。プロに認められる演奏ではなければならないのか、大衆の心をうつ演奏は価値がないのか。
この作品を一気に読み込み、倉本聡の名作であり、ドラマ化もされた「玩具の神様」を想起しました。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891
No.8
(5pt)

著者の新境地の成熟

著者は同じく音楽を題材にした作品「マエストロ」を初めとして、最近は殺人が行われない推理小説を発表しており、新しい境地に挑戦しようとしている。ただし、結末は悲劇的だ。また、本書では犯人を推理するのではなく、ヴィオラ奏者園子の奏でる音楽は本物なのか?または虚像なのか?という事を推理しながら読み進む事になる。こういう推理の形態はマエストロより本書の方がさらに成熟した骨格を呈している様に感じる。
著者はこれまでゴサインタンやカノンなど、多くの凄みのある作品を発表してきた。しかし、常に新しい境地の作品を開拓する事がクリエーターの宿命なのかも知れない。それは著者の造詣の深い音楽の世界では顕著だ。現代音楽は新しい方向性を求め続けている。もしそういう宿命があるのだとすれば、著者は宿命に対して謙虚だ。
この様な前庭はさておき、本書の内容は楽しい。最終ページまで読み進むと、もう終わりなのか?もう少し長くこの本に浸りたいという名残惜しささへ感じる。本書は音楽を題材にしているものの、音楽好きか否かにかかわらず存分に楽しめる。
讃歌 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 讃歌 (朝日文庫)より
4022645342
No.7
(5pt)

著者の新境地の成熟

著者は同じく音楽を題材にした作品「マエストロ」を初めとして、最近は殺人が行われない推理小説を発表しており、新しい境地に挑戦しようとしている。ただし、結末は悲劇的だ。また、本書では犯人を推理するのではなく、ヴィオラ奏者園子の奏でる音楽は本物なのか?または虚像なのか?という事を推理しながら読み進む事になる。こういう推理の形態はマエストロより本書の方がさらに成熟した骨格を呈している様に感じる。
著者はこれまでゴサインタンやカノンなど、多くの凄みのある作品を発表してきた。しかし、常に新しい境地の作品を開拓する事がクリエーターの宿命なのかも知れない。それは著者の造詣の深い音楽の世界では顕著だ。現代音楽は新しい方向性を求め続けている。もしそういう宿命があるのだとすれば、著者は宿命に対して謙虚だ。
この様な前庭はさておき、本書の内容は楽しい。最終ページまで読み進むと、もう終わりなのか?もう少し長くこの本に浸りたいという名残惜しささへ感じる。本書は音楽を題材にしているものの、音楽好きか否かにかかわらず存分に楽しめる。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891
No.6
(4pt)

誰への讃歌か

この物語の主軸をなすヴィオリスト、柳原園子。天才少女ヴァイオリニストと呼ばれ、アメリカに留学。そこでの出来事が原因で自殺未遂。以後二十数年間治療に明け暮れる。四十を過ぎた現在ようやく復帰し教会を中心として小さなリサイタルを開いている。彼女のヴィオラは決してプロ級ではない。しかし、人の心を掴んで話さない何かの力を持っている。彼女の演奏を聴いたテレビ番組制作会社の小野は、心を動かされ、彼女の番組を作ることにした。こうして始まるこの小説は、影を持った園子と、それを追う小野とのやりとり、二人を取り巻くマスコミを中心とする人物相関。結果、訪れる悲劇による幕引き。読み終わって、イエロージャーナリズムの恐ろしさを思った。これに絡めとられたら、そこから逃げ出すことがどれほど大変かを教えられた。いくら否定しようが、マスコミに煽動された大衆は、聞く耳を持たない。一人の人間の人生が破壊されるまで。この物語は、被害者、柳原園子への大いなる讃歌であると感じた。
讃歌 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 讃歌 (朝日文庫)より
4022645342
No.5
(4pt)

誰への讃歌か

この物語の主軸をなすヴィオリスト、柳原園子。天才少女ヴァイオリニストと呼ばれ、アメリカに留学。そこでの出来事が原因で自殺未遂。以後二十数年間治療に明け暮れる。四十を過ぎた現在ようやく復帰し教会を中心として小さなリサイタルを開いている。彼女のヴィオラは決してプロ級ではない。しかし、人の心を掴んで話さない何かの力を持っている。彼女の演奏を聴いたテレビ番組制作会社の小野は、心を動かされ、彼女の番組を作ることにした。こうして始まるこの小説は、影を持った園子と、それを追う小野とのやりとり、二人を取り巻くマスコミを中心とする人物相関。結果、訪れる悲劇による幕引き。読み終わって、イエロージャーナリズムの恐ろしさを思った。これに絡めとられたら、そこから逃げ出すことがどれほど大変かを教えられた。いくら否定しようが、マスコミに煽動された大衆は、聞く耳を持たない。一人の人間の人生が破壊されるまで。この物語は、被害者、柳原園子への大いなる讃歌であると感じた。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891
No.4
(4pt)

フジコ・ヘミングのNHKドキュメンタリーをモデルにした話ですね

フジコ・ヘミングのNHKドキュメンタリー放送後、クラッシックに疎い人々がコンサートに押しかけるといった、日本人のうかれっぷり(馬鹿騒ぎ)をシビアに描いています。
あの狂騒を「うへぇ」と思っていた人は「そうそう」と同意する部分が多いでしょう。良くぞ言ってくれた感あります。
讃歌 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 讃歌 (朝日文庫)より
4022645342
No.3
(4pt)

フジコ・ヘミングのNHKドキュメンタリーをモデルにした話ですね

フジコ・ヘミングのNHKドキュメンタリー放送後、クラッシックに疎い人々がコンサートに押しかけるといった、日本人のうかれっぷり(馬鹿騒ぎ)をシビアに描いています。
あの狂騒を「うへぇ」と思っていた人は「そうそう」と同意する部分が多いでしょう。良くぞ言ってくれた感あります。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891
No.2
(4pt)

人の多面性

主人公、園子、小野、熊谷3人を場面によって色々な面から見せる興味深さ。ストーリーの展開、テーマの面白さ、文のうまさで、一気に読み進む。この作家の新作は必ず読みますが、毎回期待を裏切らず楽しめます。
讃歌 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 讃歌 (朝日文庫)より
4022645342
No.1
(4pt)

人の多面性

主人公、園子、小野、熊谷3人を場面によって色々な面から見せる興味深さ。ストーリーの展開、テーマの面白さ、文のうまさで、一気に読み進む。この作家の新作は必ず読みますが、毎回期待を裏切らず楽しめます。
讃歌 Amazon書評・レビュー: 讃歌より
4022500891