海辺のカフカ

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海辺のカフカの評価:

3.76/5点 レビュー 521件。 D ランク

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平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

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全379件 221〜240 12/19ページ
No.159
(5pt)

海辺のカフカ。面白いです。

「あの頃は何も考えなくてよかった、と彼は思った。ただそのまんま生きていればよかったんだ。生きている限り、俺はなにものかだった。自然にそうなっていたんだ。でもいつのまにかそうではなくなってしまった。生きることによって、俺はなにものでもなくなってしまった。そいつは変な話だよな。人っていうのは生きるために生まれてくるんじゃないか。そうだろう?それなのに、生きれば生きるほど俺は中身を失っていって、ただの空っぽな人間になっていったみたいだ。」
個性的で、読み始めたら止まらず、読後にいろいろなものを残す作品を名作と呼んでいいとすると、この小説はその条件を満たしている。
テーマは普遍的で、ヒントやモチーフはいろいろなところから借用されている。ギリシャ神話だったり、シェークスピアだったり、それ以外の西洋文学作品であったり、日本の古典であったり、著者自身の過去の作品であったり。
田村カフカ少年がその一部になる図書館という舞台は、様々な思い出や知識の基本を支える記憶が存在する場所として象徴的。一方、もう一方の重要人物のナカタさんにはそれがほとんど無く読むこともできない存在として対比される。現実と異次元の混在。効果的に配置された小道具。よく考えられた個性の登場人物たち。性や暴力といった人間の基本的な欲求もその存在と不可分なものとして絡み合う。音楽。そして、多少のユーモアと皮肉。メタファー。変わっているのに必ずしも意外ではない展開。
たぶん、世界で一番タフな15歳になる旅は、多くの読者に対しても一筋縄ではいかないタフな時間を与えてくれる。変わった小説だが、なかなか面白かった。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.158
(5pt)

不思議な世界への扉が開きます

15歳の少年の家出。そこから物語の扉が開く。実はかなり不思議な話だ。最初は、現実的な話のように思える。それがすこしづつ、そうとは思われないエピソードが絡んで境界があいまいになってゆく。
主人公の少年。カラスと呼ばれる少年。ナカタさん。関係を示唆する2つの世界。中野区、山梨県、高松。細部の描写にこだわった平易な文体。神社、銀色の物体、猫、図書館、血、シューベルト、高知の森、ロードスター。
多くの謎と暗示。予感。効果的な小道具の配置。よく練られた写実的な表現力。静と動。細やかな心理描写。ありそうなこと、そうでないこと。いろいろなシーンが交差する。しかし、けして混沌とはしていない。そして、物語は少しづつ深みを増しながら展開する。
さくらさん、大島さん、佐伯さん、星野さん、ジョニー・ウォーカー。西洋の古典や近代文学からの引用。父が遺した予言。生霊。そして、海辺のカフカ。
読んでいて抵抗感や違和感は生じる。それも計算のうちかもしれない。とりあえず、この世界に身をゆだねてページをめくってゆけば、それなりに楽しめて、そしていつの間にかハマっている。個性的な作品だ。
厚さはあるようだが、活字は大きく、行間も広め。これを読むのに見た目ほどの時間はかからない。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.157
(4pt)

貴方の創造力は可か不可?

いちおう小説という形態ではあるが、読み手の創造力によって物語にもなれば単に某大な文字を見たに過ぎないともいえる厄介な作品である。前半はカフカとナカタさんの物語が交互に意図的に配置され、どこで接点が生まれるのか読者の興味を高まらせてゆくが、後半(下巻)は読者の創造と想像力によってどうにでも解釈してよい作品である。この作品を読んだ読者は現時点で「村上春樹」が意図している地点まで到達しようと思わなくてもよいのだと思う。カフカは読者其々の真相心理の闇の中に潜んでいるかもしれないし、そんなものは潜んでいない人もいるかもしれないからだ。それにしてもこの小説には行間を読み説く箇所が全くない。まるで映画を見ているかのように上巻から下巻まで読み進んでしまう。それだけ描写が詳細なのか内容が不可解なのか?「本を胸にあてて登場人物の心理を考え込む箇所がないんですけど春樹さん!」と思わず言いたくなってしまう。
しかしこの小説には意図的にか単なる諧謔か魅力的に作られた面白いキャラクターが多い。中日ドラゴンズフアンの「星野」青年。猫とは話せるが人間(おそらくスポーツ・ライター等の類であろう)とは話さない(話せないか)中田さん。大阪では行方不明になったままなのになぜか四国に現れたカーネル・サンダース等々。
とりあえずこの小説は一度肩の力を抜いてさっと読み終えて、いつか読者の心に響くものができた時にゆっくりと腰を据えて読めば良いの類の物ではないかと思う。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.156
(4pt)

15歳の少年はどこへいく

 15歳の少年、田村カフカ君はどこへいくのでしょうか?
 下巻では佐伯さん(42章で死んでしまうのは、意味があるのでしょうか)
 ナカタさんとキーマンが相次いで死んでしまいます。
 普通の人の理解を超える世界へと話は展開していきますが、これも15歳の
少年、思春期の少年の世界だからこその展開なのでしょう。
 思春期だった自分に戻ってみると、不可解な世界が少しわかるとおもいます。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.155
(4pt)

むずかしいかもしれないですね

 村上ワールドがわからないとむずかしいかもしれないですね
 田村少年の内面の世界とそれを取り巻く父や佐伯さん大島さん
 一方のキーマンであるナカタさんとホシノさん
 深く考えずに読み飛ばす感覚のほうが、15歳の主人公の理解に
つながるとおもいます。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.154
(4pt)

色んな謎に対しての読解力に限界を感じた

上で色んな謎がばら撒かれ、下で回収するということを期待していると全く肩透かしを食らう。
私自身の読み方だと「そこは解決するのにあそこは放り投げたまま??」という不思議さが残る本。
それぞれの読者の想像力と読解力が試される一冊。
象徴的なものがたくさんでてくるので、それぞれの人生経験によって読み方が変わってくると思う。
物語そのものは不思議な世界に包まれ面白いので楽しめるが私自身はまだまだ未熟なのか?の多い内容でした。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.153
(4pt)

良くも悪くも独り歩き

要は、村上春樹さんの創る作品が好きかどうかなんですよね。クセがあるのは事実です。村上春樹さんはもともとそういう方ですし、一般的な小説と比べたら、なんだこれと思う様な表現もかなーりあります。一見逃げのようにも見える、はっきりとしたもののないストーリーや人物、なんとも言えない読後感。人物描写にしたって、普通の小説には考えられないような表現のオンパレードですよ。なんかもう、気持ち悪いぐらいの変態的な描写もあります。
と、まあ「村上ワールド」とも言われるように、良くも悪くも独特なので、とにかく一回読んでみた方がいいでしょう。レビューを見るぐらいなら、図書館に足を運ぶとか、買ってみるとか、すべきです。こういう超前進的な、いわゆるアーティスト思考の作品は、内容がどうのこうの言っても、及ばないんですよ。あまりにも突飛しすぎているから、結局は自分の目で判断するしか無いんです。それで自分の中でウケたら良し。ウケなかったら処分するなり何なりと、ってところです。
どちらにせよ現代小説を語る上では、やっぱり外せない存在ですし、読書が趣味というお方は、一度は触れてみては如何でしょう?そんなに高い買い物でもありませんしね。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.152
(5pt)

あらゆる要素の詰まった傑作

SF 青春 家族 思春期 バイオレンス 全ての要素を盛り込んで物語が一気に流れていく。
素晴らしいのめり方をさせてくれる傑作です。
それぞれの人間に語らせる言葉のひとつひとつが自己への対話を促すような気さえする。
本の分厚さをものともしない、読み終わりたくない面白さです。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.151
(5pt)

少年の父殺しの話

この作品はとても構成をしっかりと考えて書かれている。
本質的には一人の少年が父親を殺して(あるいは乗り越えて)心理的に成長する話を
カフカ少年とナカタさんの2つのストーリーを平行して語ることにより、再構成する
表現方法をとっている。
カフカでは、少年の内面を丁寧に描き心の成長を描いている。一人称で語られるのはそのためで
、内面の複雑さを強調できるようにするためかもしれない。また、ナカタさんでは実際の事実を
無機質にたんたんと描写している。暴力や外的なかかわりなどを。ナカタさんに心がないと作中で
表現がなされたのも、物語の外的な部分を担っていたからだ。
つまり、ひとつの事件を分解して再構成している小説ということだ。より、事象を丁寧に描写するため
ではないかと思った。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.150
(5pt)

少年と老人のミステリアスな冒険

家出したナイーブな少年と
奇妙な事故に巻き込まれて不思議な力を身につけた老人の
両面から語られるストーリー.
読んでいると全体に視野が狭く世界感に広がり感じられないが
両者とも社会的には弱者であり
そういう目線を意識しているのかもしれない.
計算づくだとすれば高度な表現力である.
前半は少年の内面の描写と老人の半生の説明に多くを費やし
なかなかストーリーが進まないが
ある事件からストーリーは急展開し
2人の運命が接近し始める.
下巻に待ち受ける結末に期待が高まる.
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.149
(5pt)

ナカタさんとホシノくん

村上春樹『海辺のカフカ』上下巻、新潮文庫
久々に読み返してみました。2002年に刊行されて、すぐに購入して読んだように記憶しているから、ぼくが20歳か21歳の時です。ずいぶんと前のことのようにも感じるし、つい最近のことでもあるようにも感じます。
記憶というのはやはり不確かなもので、まるで新しい物語を読むかのように楽しむことができました。なんとも燃費の良い話です。もちろん大枠としては「読んだことのある物語」なのですが。
次に読み返すのは、きっとぼくが30代の半ばくらいにさしかかったころだろうか。楽しみだな。
はじめに読んだ時にも(たしか)感じたことだと思うのですが、ナカタさんとホシノ青年というふたりのキャラクターは、もちろんぼくにとってはということですが、村上作品における傑出した登場人物であるように思います。佐伯さんや大島さんのような深み(かげ)は感じられませんが、それを補って余りある魅力がふたりにはあるように思います。何と言えば適切かわかりませんが、広がりみたいなものが。
なにはともあれ、次は『少年カフカ』を読もう。実を言えば、今回『海辺のカフカ』を読み返したのも、この『少年カフカ』(村上さんと読者とのやり取りを記録したマガジン)を読むためのものだったのです。ああ楽しみだ。みなさんどのように『海辺のカフカ』を読んだのだろう?
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.148
(5pt)

死と記憶と存在,あるいは夢との戯れ

 この小説は大人の童話です。あまり理詰めで読むと裏切られます。ありそうでもなんでもない【―実際には,このような時空の捩れは存在すると私自身は信じていますが―】,荒唐無稽なファンタジーです。しかし,死を悼む気持ちを持っている人ならば,結論部分は納得できるでしょう。ただし,結論部分は死者から生きる者に向けた素晴らしいメッセージです。
 ところで,私は比較的熱心な村上春樹の小説の読者ですが,この物語の手法は,けっこう手が込んでいます。村上春樹にしては珍しく,精緻に筋を組み立ててから書いています。その点が新鮮でしたね。酷評もわからなくはないのですが,読む価値は大いにあります。他の小説以上に頁を繰りたいという気持ちが湧いてきます。というわけで,星は五つ星です。
(ここからは作者への注文。長野県で起きた集団睡眠事件前後の硬質な文章―たとえば,担任教師の手紙や軍関係の報告書の文章―がもたらす緊張感という手法を作品の要所要所に利用して欲しかった。後半はスピード感と詩的な隠喩に満ち満ちていて,それはそれで悪くはないのだが,もう少し,息の長い散文の魅力を表出して欲しかった。人物像の形容が中途半端な気分にさせられたのが,佐伯さんと星野くん。これは,想像力の貧困とこちらが指摘されそうだが,映像的なイメージが湧かない。もう少し書き込んで欲しいところ。徳島,高松の街の描写も余計な情報だから省いたのだろうが,星野くんの目を通じて,もう少し欲しい。リアリティー描写と夢幻世界の描写は必ずしも二律背反ではないのではないか・・。春樹君,生意気な事を申し上げてすまない。)
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.147
(4pt)

良質の問題集(だだし解答無し)

 自分自身を見つけられず、影を引きずったように生きている人たちの物語を
通じて、人間として生きていることの意味を問いかけている本でした。
 答えは提示されていません。答えが無いためスッキリしない感じもします。
登場人物が悩みや苦しみ、迷いを背負った人たちなので、暗い感じもします。
 それでも、人間として生きていることの意味を、たまには自問してみる価値
があると思われる方にはお勧めです。
 生の意味だけでなく、日常の生活、勉強や仕事に明け暮れる毎日の中で、あ
まり考える機会が少ない友情、血縁、愛情などの基本的な問題も考えさせてく
れます。
 佐伯さん、星野青年などの登場人物はそれぞれ異なる答えを持っており、カ
フカ少年がたどり着く境地も他の登場人物とは異なっています。どれが正解か
明示的な示唆さえありません。解答の付いていない問題集を買ったような物で
すので、イライラする人もいると思います。
 ミステリー小説のように謎が解決することもありません。空から魚が降って
くるような怪現象が起きても原因について合理的な説明や解明が無いままだっ
たりします。他にも理不尽な現象が現実世界に起こりますが、その原因に対す
る合理的な説明はありません。
 解答や説明がが無いと落ち着かない人にはこの本は無理かもしれません。お
まけに、登場人物が影を引きずっているので、トーンも暗いです。
 それでも、良質の問いかけをしてくれる良い本です。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.146
(4pt)

21世紀に読む村上文学はここからでもいいかもしれない。

 いわゆる「アンチ村上春樹」と自称する人達がいます。私はそうではなく、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を頂点とした氏の青臭くも緻密な80年代の作品群を愛好して来ました。ですが一方、こんなのはマトモな文学じゃないとする意見にも内心少しだけ同調も出来たのです。いわば、“自閉症のハードボイルドごっこ”とも言えなくもない世界観はお世辞にも外向きではないですし(逆に言えば「何か」を共有できればとても親密になります)、作品強度を上げるための“非常に緻密な描写/文学や音楽に関する豊富な知識の引用/謎掛けと焦らしによる巧みなストーリー・テリング”は、賞賛に値すると同時に、冗長というか読者を“なんだか解らないけど解ったつもり”にさせるような危険も孕んでいます。そして、意味がありそうで無いようなもどかしさ... 自覚的に読書している人達はここで“ちょっと待った”をしたくなるかもしれません。
 さて、21世紀になって発表された本作。ここでは、今までとは少し異なる変化があります。さんざん謎掛けをしておいて、結局ろくに明かさず放り出すという手口はいつもと同じですが(笑:好意的に解釈すれば、読者に委ねるとなりますが)、その読後感は以前よりも解放感があります。閉塞感や諦観は少し後退して力強さが加わったか、と。生々しさを備え始めた性描写や振り切った残酷描写は、以前のイメージに対する挑戦とも受け取れます。それから、登場人物達の「顔」が見えるようになって来た事。ユーモラスな「ナカタさん」と星野青年のコンビは新鮮でした。その一方、主人公はまだ“のっぺらぼう”の印象が強い。しかも、家出をして目立たぬよう気をつけている少年の選んだ偽名が「カフカ」と言うのも... なんでもメタファーで切り抜けるのは少し苦しいような気もします。
 そして、本作では自我/孤独/死(及び死後の世界)と言った従来からのテーマに加えて、一種相反するとも言える(疑似も含めた)家族=愛というものが大きく取り上げられています。そこでも、男女愛とオーヴァーラップする母子愛という表出がユニークです(この場合、前者は互いに一方通行になっていたというのが私の解釈です。もちろん、そうでないかもしれません(笑))。一方、皆さんはあまり触れていませんが、父性を媒介にしたもう一つの流れも興味深いです。この辺りの意図が明確なので、単なる謎解き(遊び)に終わらない手応えがあるのかな、と思います。
 総じて作者の苦闘が垣間見える作品と思いました。ある部分は見事に成功していて新しい境地も開拓し、ある部分は不完全なまま放置されているようです。ですが、この作家がそういった自分自身を見せ始めた事に私は期待―そして、希望を感じました。なので、アンチの人にもオススメかもしれません。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.145
(5pt)

個人的には傑作

評価が分かれるのも無理はないかな、と思う部分もありましたし、
明確な「答え」が提示されていないのにもやもやしたりもしましたが、
間違いなく傑作だと思いました。
ものすごく簡単に言ってしまえば、これはある少年の成長の物語。
だけど、とても切ない物語。それを魅力的に書き上げてくれています。
性的表現は露骨ですし、最終的によくわからないまま終わってしまった
ふしもありますが、そんなことはどうでもいいのです。
ただ切なく、それでも美しい話でした。
星野青年は第3の主人公です。
彼の考え方は私の考えにとても近いので、非常に身近に感じました。
彼が喫茶店で考えるシーンがとても好きです。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.144
(5pt)

語り得ないものを語るために

私は、このような長編小説を読むのは、久しぶりでした。
リアリティーのないストーリー。ファンタジーとも、SFとも言えないような世界。だけど、そのストーリーには、リアリティがある。
読み進むにつれ、リアリティーのないストーリーに、真のリアリティーを感じました。普段のコミュニケーションでは、通じることのできないような、複雑な深層心理を小説に表現していて納得させるからだと思いました。ふたつの大きなテーマを感じました。『暴力の意味』、そして『記憶と喪失』です。
それから「メタファー」という言葉がキーワードになっているのか?と、思うほど、よく、使われています。私は、これを読者に対するキーワードのように考えました。この小説は、私の心、そして読者の心のメタファーなんだと。
語り得ないものを語るために小説はあると言うのなら、村上春樹さんの小説は、まさしくそれだろうと、思いました。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.143
(4pt)

教養への暴力

非常に興味深い作品でした。小説は本来前提とする知識を懇切丁寧に提示しないものですが、この作品には詳細すぎる引用がつき、しかも著者の解釈まで述べています。こうして、必要とされる教養を提示し、主題部分に入ります。教養の導入では絶対に誤読を許さない姿勢があるのに対し、主題部分は筋こそ丁寧に解説してありますが、メタファーが一義的には思えず、感覚的に分かっても、言語で説明するのは困難です。教養主義者と共に小中生にも開かれたテキストですが、知識に頼らずどこまで読めるかが測られます。教養人と呼ばれる虚飾を暴力的に否定している大作です。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.142
(5pt)

聖人と使徒の物語と迷える若者の物語の合流点

 舞台が完全に四国に限定される下巻になっても、相変わらず少年の物語と老人の物語は、淡々と並行して交互に語られます。「ハイドン」などの共通項が、トランプゲームの神経衰弱のように配置され、ついに「入り口の石」を巡って、二つの話は合流します。しかし二人は結局出会うことはありません。
 そして読者は、著者から叩きつけられた挑戦状を意識するでしょう。ナカタ老人は一体何を象徴し、星野青年は一体何を代表しているのか。大島さんはなぜ登場しているのか。カフカ少年が高知の原野で見たものは…
 読者は数々の問いに対して、自分なりの答えを用意しなければならないでしょう。そうでなければ、この小説を読んだ意味はありません。中でも、ナカタ老人が象徴するものについての考察は必須課題かもしれません。
 二人の人間の「死」を経て、オイデップス王の場合とは異なり、最後に少年の「生」への前向きな決意で話は終わります。もう一つギリシャ神話と大きく違うのは、「姉」が介在することです。それとの関係性も含め、これからの少年の人生にあれこれ考えを巡らせることにしましょう。それは最後まで読み切った読者へのご褒美でもあります。
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553
No.141
(5pt)

東京都中野区野方から始まる物語

 こういった作品に「謎解き」を期待するのは不謹慎なことかもしれません。当然、明確な答えなどは著者は用意していないでしょう。しかしそんな抑制も効かなくなるほど、細かな情景描写や心理描写がもどかしく感じられ、先へ読み進みたくなる作品です。
 物語は、唯一「東京都中野区野方」を共通点とする、少年と老人の話が全く無関係に並行して語られ、上巻の最後でようやく関連を持ち始めます。
 この2人のまわりに、さまざまな人物が行き来します。その中には、かなり浮世離れした人物が何人かいます。いわくありげな人たちの前史も明らかにされ、一幅の絵と、一編の曲に収斂していきます。
 老人と少年がどういう形で出会うのか。あるいは出会わないのか。出会うとしたら、それはやはり瀬戸内海の向こうなのか。少年は母と姉にも会うのか。そして、父の予言どおりの展開になるのか。なぜ、老人は猫との会話能力を失ってしまったのか。少年と老人のどちらが罪を犯したのか。・・・などなど。
 そして最大の謎は、戦時中に小学生たちを襲った「事故」でしょうか。・・・下巻に進まないわけにはいきませんね。
 もちろんストーリー展開を離れたところで、じっくりと心理描写などを味わうこともできます。多感な15歳の家出少年の揺れる心と大胆な行動。実社会とほとんど無関係に生きている老人の純粋無垢な心と、実社会のただ中にいる人たちとの珍妙なやりとり。そして、ときに前触れもなく起こる超常現象の数々。
 そして大島さんをはじめ、脇を固める人物たちの短くも印象的なせりふも、読者をうならせずにはおきません。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)より
4101001545
No.140
(5pt)

海辺のカフカ下巻

すべてがつながっていく後半。多分一日で読んでしまうくらい、おもしろい
海辺のカフカ (下) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)より
4101001553