国境の南、太陽の西
評判
国境の南、太陽の西の評価:
4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全466件 101〜120 6/24ページ
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国境の南、太陽の西の評価:
4.22/5点 レビュー 233件。 B ランク
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しかし、村上春樹の小説の主人公をはじめとする登場人物達の悩みは、所詮、知的中流階級のブルジョワチックな文化に根差したもので、それゆえに、それをどんなに深く掘り下げたところで、現代における差別や貧困など、切羽詰まった状況に置かれた、社会の底辺に生きる社会的弱者の声なき声、社会の不条理や人間の心の深淵が描かれることはない。村上春樹は、地下鉄サリン事件や東日本大震災などを機に、社会の問題にコミットしようとした時期もあったが、その後は再び元の安寧なフィールドへと帰って行ってしまった。小説家として、腹を括って、社会の底辺であがき苦しむ弱者の声に耳を澄ますことができるか、その声の代弁者として全身全霊でその痛みを引き受ける覚悟がつくのか、つかないのか?ノーベル文学賞を授かるには、小説家としてのそういう圧倒的な真摯さからのみ発せられる迫力や熱が彼の作品にはありそうで、なさそうな、決定的な物足りなさが、最大のネックになっていると思う。今のところこの作家は、現代が人生や人間の意味を矮小化させる傾向にあったとしても、その矮小化された世界においてだって、そこで生きる人間はそれなりに悩んでいる、という矮小化された倫理観を反映させた小説の枠にとどまり、そうした世界における等身大の本好きの若者の需要に応えた小説でしかない。彼の作品には、人生の生老病死の苦しみもなければ、この世界の本質的な不条理や不平等への怒りもない。現代とて、世界には、本など何の助けにもならず、誰からも助けを得られない、差別や格差、貧困、暴力、内戦等の不条理に根差す孤独な戦いを強いられている社会的弱者はごまんといる。小説家としての類い稀な才能を注ぎ込むべき使命を見いだすことができず、その真の使命のために才能を生かし切れていない不必要な余力感が、この作家の非常にもどかしく、また、残念なところである。