聖灰の暗号
評判
聖灰の暗号の評価:
4.23/5点 レビュー 39件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全81件 61〜80 4/5ページ
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聖灰の暗号の評価:
4.23/5点 レビュー 39件。 A ランク
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カタリ派の殉教の場面は衝撃的である。歴史小説を書く作家の大切な仕事の1つは、失われた時を再現することかもしれない。特にカタリ派の処刑を目撃しながらも、教会に大きな疑問を持った人々の証言は、決して私たちには届かないはずのものなので、それを作家の想像力から再現してもらうことは、貴重な経験であろう。また、冒頭の詩は作者の創作によるものだが、良く出来ていると思う。
ミステリーとしてはいくつかの疑問がある。カソリックの異端裁判や、異端者の処刑の詳細な記録が今現れたならば、確かに大きなイメージダウンになるかもしれない。しかし、そのために何人もの人を殺すような行為をするかどうか。異端審問そのものは良く知られた歴史的事実であるし、相当な記録が残っているからである。しかも、どのような記録であるかは殺人者にはわかっていないはずなのである。『ダビンチコード』の場合はキリストが結婚して子孫を残していたことを隠そうとする教会という設定である。これはキリスト教にとって大変な事実であるし、独身を原則とするカソリックの聖職者にとっては、プロテスタントよりも大きな打撃であろうから。
例えば現在知られている新約聖書の資料よりも古いものが発見されて、それがカタリ派の教えに極めて近いというようなことがあれば別だが。
また、細かい部分だが、学会での発表や質問の場面が、あまりに学問的でない。揚げ足をとるようになってしまうが、一遍とフランシスコの比較の部分などはかなり初歩的な議論である。また、ヨーロッパでの学会の最中に、発表内容とは直接関係のない部分で現代のカソリック批判をすることもあり得ないと思う。日本と比べたら宗教が生活に密着しているヨーロッパでの宗教批判はダブーだと思う。学者がこのようなことをするとは考えにくい。
大きなテーマから見るとこのような細部はどうでも良いという人もいるだろうが、優れた作品になるためには、このような部分も精密に描くべきだと思う。とても好感の持てる作品であるからこそ少し残念である。
また、この作品では宗教が大きなテーマとなっているので、キリスト教か、あるいはもっと広く宗教に関心を持っている人の方が興味の持てる作品だろう。