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黒猫遁走曲



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)

黒猫遁走曲の評価: 3.67/5点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

メロンタ・タウタ、メロンタ・タウタ

愛猫メロウがいなくなったことで慌てふためく定年退職したばかりの翠と、衝動的に妻を殺してしまった自尊心の強すぎる舞台俳優の昭平の、焦燥感に駆られまくるサスペンスです。
かたやなりふり構わず愛猫を探す翠、かたや自身の犯罪を隠そうと躍起になる昭平。両者の緊迫感に息がつまりそうになるのですが、その姿はどこか滑稽で、黒猫メロウを間に挟んで互いに猜疑心を募らせながらも微妙に見当違いを起こしていたりと、面白く読めました。
ですが、なにより、主人公の翠が愛猫メロウを想ってなりふり構わずに探す姿が可哀想で、ただただメロウと無事に再会できるのかが気になって、もどかしくてたまりません。
三人の人物の視点で話は進むのですが、出版社編集長である瑠璃の、父親と妹をめぐるエピソードがとても背徳的で、服部まゆみ作品の昏い夢心地な雰囲気が味わえます。こちらはこちらで別物として読みたかったなと、作者の早すぎた逝去が惜しまれます。

以下、少しのネタばれになります。

エンディングが少し盛りすぎと思えなくもないのですが、仕事一辺倒、家族は愛猫のメロウだけでいいと色々諦めてきた翠に定年を迎えてから新たな出会いがあり、メロウも無事戻ってきてよかったです。

『この闇と光』のようなゴシックミステリーを期待すると肩透かしをくらうかもしれませんが、『ハムレット狂詩曲』のような疾走感があり、こんな服部まゆみ作品もあるのか楽しめると思います。

「メロンタ・タウタ」は翠が新たな仕事とした翻訳で悩む言葉です。メロウを案じる彼女にとって魔の呪文のようにまとわりつき、無限ループし翻弄し、読者もこの語感のいい言葉は一体なんなのかと脳内リフレイン必至です。
黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)Amazon書評・レビュー:黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)より
4041785030
No.2:
(2pt)

残念です

「この闇と光」「罪深き緑の夏」と読んで、女性芸術家でもある作者の美しい世界に魅了され、本作を読みましたが、期待外れでした。 美しい情景が色彩を伴って目に浮かぶような前二作とは異なり、目を背けたくなるグロテスクな表現や、黒猫に愚かなほどに執着して探し回る初老の女性が描かれています。 敢えて美とかけ離れた情景で、猫の目の青、ラピスラズリの青を際立たせる狙いでしょうか。 主人公に魅力を感じられず、意外な展開も無く残念でした。
黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)Amazon書評・レビュー:黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)より
4041785030
No.1:
(4pt)

服部まゆみファンなら

主人公の翠は定年退職したが、愛する飼い猫メロウはいなくなって探しても出てこない、初翻訳作品になるはずの本はやたらとレトリックにはしっていて頭が痛い、という状況です。そこに殺人を犯した隣人、ミステリアスな美女瑠璃、翠がメロウを探して会った老人、など入り交じり、作者独特の叙情的な文体で翠のメロウ探索記が語られます。作者の他の作品のように恋愛要素や劇的な転換などはないですが、作者の持ち味にはまったかたなら細部を楽しんで読むことができると思います。ただ、翠がちょっと変わった性格なので、彼女に感情移入できるかは個人によると思いますが…
黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)Amazon書評・レビュー:黒猫遁走曲 (角川文庫―角川ミステリーコンペティション)より
4041785030

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