永遠の仔

評判

永遠の仔の評価:

4.53/5点 レビュー 169件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.53pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全198件 41〜60 3/10ページ
No.158
(5pt)

人間の存在、そのものへの問いかけ。

もう、かなり前ですが、なぜか、この本の単行本の表紙に惹かれて本屋で手に取り、そのまま購入し、一気に読みました。もの凄い衝撃を受けました。この本とは、運命的な出会い、と言っていい。この本を読んだことで、自分自身の姿、存在を、明確に理解することが出来ました。別に親に虐待されたわけじゃないけれど(むしろ逆)、自分と親の関係をいろいろ考え、理解することが出来ました。私は、4歳のころに母親の体調がすぐれなかったため祖母と祖父の家で育った経験があります。そのために少しわがままになってしまい、親元で暮らすようになっても、親との関係が今一つよくないと幼いながらに意識していました。反発するのでなく、逆に、親に気に入られるために、善行を積む、努力を積むという生き方を、潜在意識の元で選択せざるを得なかった。また相当歳を重ねるまで、無償の愛を疑うという、いやな性格を自覚せざるを得なかった。そういう自分自身の姿、その理由が、この本を読むことで、客観的に、ようやく理解できました。

この本を読んだ同じ時期、シロクマの赤ちゃんを飼育係の方が自宅で育てたドキュメンタリーのテレビを見ました。シロクマはある程度大きくなると、飼育係の家から出て檻の中で一人で暮さねばなりません。シロクマは、それがとてもつらく悲しい。早朝に動物園で、飼育係とシロクマが束の間の散歩を一緒にする。そのときにシロクマは、とてもうれしそうに(自分の親と慕っている)飼育係の後をついて歩き回る。その姿を見て、これは、僕の姿だと思い、涙が出て止まらなかった。この時、私は、ある意味、解脱、できたのでしょう。
永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)より
4344405714
No.157
(5pt)

悲しい結末だった

親の虐待を受けながらも健気に生き抜いてきた子供たちにこんな悲しい結末が待っていたとは神も仏もないものか。。。。
永遠の仔〈下〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈下〉より
4877282866
No.156
(5pt)

1巻から5巻までを同時に買いました。

興味深い小説で、大作の深みを感じながら今最後の部分に到達しました。
自身が幼い時、虐待児であったこともあり、心や体にも直接響いて苦しいとも思いました。
作者が同様な経験がないにも関わらず書き上げられた作品だと添付の告知に
書かれていましたが・・どのようにこの気持ちと共感されたのか知りたいと感じました。
私には信じられない程に自分の心情と三人の思いが重なります。
小さな苦しさや悲しみが手に取るように解るのです。子どもの虐待という言葉が無かった時代に子どもとして当たり前の
生活をおくることができなかった悔しさ、私の気持ちを解ってもらうことは絶対に無理だったと思える両親(母は健在)
自分を大事にすることができない苦しみ。振り払っても消えてくれない親への思慕と憎しみの繰り返し。
私はもう初老になろうとしているのに・・それでも突然出てくる苦しさはきっと死ぬまで消えることはないと
諦め始める。うつ病に変化した体を薬で騙しながら「あんたの自由にしなさい」と音信が途絶えた母の言葉が頭を支配していきます。
永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫)より
4344405838
No.155
(2pt)

期待外れ

あくまでも1巻しか読んでない前提で書きます。
評判がいいので、購入したが期待外れ。これを
読んだ本ナンバー1にした人は他の小説やノンフィクション
を読んだことがないのかと思う。

あまりにも実態から離れた認知症老人の姿には失笑しかない。
子供のように露骨に甘える老人などいない。
ましてや股間を平気でさらして、甘えるなどない。
プライドがあり、それまでの生活歴のある人たちだから
甘え方も屈折している。こんなにストレートに甘えてこない
精神科に入院していた子供の話が中心のようだが、
何を持って入院したのかまだわからない。今後読んでいて、面白くなるだろうか?
永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)より
4344405714
No.154
(4pt)

児童虐待

児童虐待から生き抜く子供たちの物語。
実際にこんなつらい思いをしながら生きている人が
いっぱいいるんだろうなと思いながら読みました。
自分を律することの出来ない親に限って
子供を律しようとするのだなと感じました。

子供は親が支配できる所有物ではないと思えた一冊です。
永遠の仔〈上〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈上〉より
4877282858
No.153
(5pt)

重い内容だが、響いた

内容自体はとても重く、読んでいても感情が揺さぶられることが多かった。
なんとも、胸を締め付けられるものだったが、不思議と読後感としては、底から力が湧いてきた。
感情が揺さぶられた分、自分も人生と向き合わないとな、と思えたし、今の自分の辛い状況にも重なり、何とかしていかなければと勇気をもらった。心が締め付けられた分、大きな力が湧いてきた。
永遠の仔〈下〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈下〉より
4877282866
No.152
(5pt)

最後に待ち受けるもの、読者が受け止めるもの

文庫5冊の長い物語が終わった。

結末については、単純に考えるなら、この最終巻の展開だけでもいろんな選択肢があっただろうと思う。
最後まで、ある種の意外性も残されているが、
しかし実際に書かれたものを読むと、最終的な処理には、何か重い必然のようなものが感じられる。
それは最初から決まっていたもので、この作家のこの作品にはこれしかなかったのだろうと思われるものだ。

それをどう受け止めるかは、ひとりひとり読者の問題なのだろう。

巻末の「報告」や、長いあとがきを見ても、天童荒太がいかに倫理的な作家かというのはわかる。
参考資料の多さは、真面目な作家であるというだけでなく、
こうした重い問題と、人生の長い時間をかけて付き合って生きていける資質を示すものだろう。

そのスタンスは、なかなか一般の読者には辛いものでもある。
それでも、
自分には重すぎるそれをこの作家がやってくれるからこそ、
彼の作品を読むということもあるのだと思う。

辛く、重苦しいと同時に、頭と心の両方でスリリングで、味わい深い読書体験でもあった。
永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)より
4344405846
No.151
(5pt)

希望と絶望の暗示がぶつかり合い吹き荒れつつ最終巻へ

副題は希望を抱かせるもののようにも見えるが、実はアイロニカルなものである。
しかし、そうは言っても、救いの芽のような暗示は、ここに来て表に出てもいる思う。

この巻、いよいよ激しい展開が見られる中で、悲劇は起こる。
破局に向けた流れと感じられるのは間違いないと思う。
一方ではしかし、救いを思わせる描写、場面が、これまでになく出ているのも確かだ。

主人公三人は、深い傷を負ってはいる。しかし、いや、それゆえにこそ、
彼らは一方では、三人ともまっとうで倫理的でもあるように見える。
ふつうにいい人になりたくてもがいているように見えるのだ。
だからこそ彼らに救いが訪れて欲しいと願う読者は少なくないはずだが、
それは期待しがたいものなのだろうか。

たとえば、叔父夫婦を呼んで歓待しようとする梁平が珍しくもらす真実の言葉は感動的だ。
だが、その後には希望を一気に奪うような展開が待ち受ける。

こうして次の最終巻に向けて、物語は希望と絶望とのはちきれそうな暗示の嵐をはらんで、
予断を許さぬままに突き進む。
永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈4〉抱擁 (幻冬舎文庫)より
4344405838
No.150
(5pt)

いよいよ嵐へ

この巻では、並行して描かれる現在と過去とでそれぞれ大きな進展がある。
この、何か起こりそうでいて実際にははっきり示されない、
示されないような流れでいて、事件が描かれる、
という出し入れのさじ加減がなかなか巧みだ。

展開は私が予想したよりも重いものだった。
たまたま前の巻から間を開けて読んで、
この作家の文章のしっかりしていることや、行間から窺える倫理観のようなものが好ましく感じられて、
妙に安心してしまっていたせいもあるだろう。

相当な破局のような悲劇のようなものがあるのは、暗示にせよかなりはっきりしているから、
いよいよその段階に入りつつあるのだな、と、あらためて読む側として、
ある種の覚悟のようなものを覚えた巻だった。
永遠の仔〈3〉告白 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈3〉告白 (幻冬舎文庫)より
4344405730
No.149
(5pt)

必然としての物語

まず設定がいい。
かつてそれぞれに心の問題を抱え、同じ病院で絆を結んだ少年二人と少女一人が
20年近くを経て再会する。
過去に何かしら決定的なことがあったらしいとわかる。
現代においても、再会の後に大きな展開がある。
それを20年の時間を往復しながら交互に描く。

物語のアクションが徐々に大きくなる展開で
1巻目はこちらにもどの程度の物語なのかと警戒心があったし、話自体が緩やかだったのが
ここへ来て俄然動きが激しくなり、一気に読める。

それでいてしかし、ある意味では何も起こっていないのだ。
何かが起こっているらしいことは分かっているが、それが表面化していない、という意味である。
これがまたすごい。
水面下のものがいずれ一気に吹き出して爆発するのは間違いない。
じれったいというのではないが、すごく気になるし、今後が楽しみだ。

ストーリーを考えるのに、作家のアイデアはもちろん自由なはずで、
ロールプレイングゲームの選択肢のようにいろんな展開がありえるはずなのだが、
実際の読むことになるのは、これしかありえない、というものだ。
抗いがたい必然としての物語展開の迫力。
この一つの宿命が不可避であることを痛切に感じさせるリアルさ。

ストーリー展開もそうだが、何よりも描かれる人間がいかにも生きていて
鷲掴みにされたまま目を背けることができない。
永遠の仔〈2〉秘密 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈2〉秘密 (幻冬舎文庫)より
4344405722
No.148
(5pt)

本物の作家

長い小説だからこの文庫版では5冊になったが、シリーズものというわけではない。
だからレビューも一通り読み終えてからと思っていたが、ムズムズして書きたくなった。
そういうものがたぶん物語自体にあるのだ。

並ではない小説だというのを理解するまでさほど時間はかからない。

話は、重く、濃く、激しい。
だから好みは相当分かれるだろうという気がする。
夢中になって読み続ける読者もあれば、激しく拒絶反応を示す読者もありそうだ。

私自身まだ読んでいる途中だから、最終的な印象は結末までたどり着かないとわからないが、
まず間違いなく言えることが一つある。

この天童荒太という作家は、本物の作家だということだ。
たとえ結末の処理に納得できないとしても、それはおそらくスタンスの問題であって、
作家の能力に失望するとかそういうことはないと確信できる。

題が示すように「仔」、子供が大きなテーマである。
直接には、簡単に言ってしまえば、主に「虐待」の問題がある。
だがそこに重層的に、もっと広く家庭の問題、家族の軋轢や家庭の崩壊の問題が絡む。
重いわけだ。
この作家はどうやら一貫してこういうものを書いているらしい。
いわばミステリー版の『罪と罰』を問い続けている。

話はしかし、重くてもドロドロしてはいない。
重さを単純にドロドロという言い方をしてしまうことはあるだろうが、
厳密に言えばちょっと違うだろう、という気がする。
そこには何かしら、ドロドロになるまいとする作者の清潔さ、倫理性のようなものを感じる。
たぶんそれは、この作家に本質的なものだ。

一般に、現代の日本のミステリーに、
心の問題とか社会的な問題を真摯に扱おうとする流れがあると常々感じていて、
この作品、作家もその一端を成すのだろうが、
ちょっと半端なものではないと思う。
永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)より
4344405714
No.147
(4pt)

値段も商品も満足出来ました。

値段も商品も丁寧なサ-ビスにも十分、満足出来ました。

また、利用したいですね。
永遠の仔〈下〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈下〉より
4877282866
No.146
(4pt)

良かった!

値段も商品も良かったし
読んで深い感銘を受けました。
また良い本があれば利用したいと思います。
永遠の仔〈上〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈上〉より
4877282858
No.145
(4pt)

問題提起として読まれてほしい

単なるエンターテイメントや推理小説としてだけではなく、現実社会の問題へ目を向けるきっかけとして、詠まれてほしいと思います。
ここからたとえば、虐待・非行・発達障害 困難を抱える子どもへの理解と対応―土井ファミリーホームの実践の記録などの本があります。
ほかにも類書がたくさんあると思いますので、探してみてください。
また、愛着障害と修復的愛着療法―児童虐待への対応などもあります。
永遠の仔〈上〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈上〉より
4877282858
No.144
(4pt)

問題提起として読まれてほしい

単なるエンターテイメントや推理小説としてだけではなく、現実社会の問題へ目を向けるきっかけとして、詠まれてほしいと思います。
ここからたとえば、虐待・非行・発達障害 困難を抱える子どもへの理解と対応―土井ファミリーホームの実践の記録などの本があります。
ほかにも類書がたくさんあると思いますので、探してみてください。
また、愛着障害と修復的愛着療法―児童虐待への対応などもあります。
永遠の仔〈上〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈上〉より
4877282858
No.143
(5pt)

◆虐待から逃れるためには、親を殺すか己が死ぬか

最近は目が疲れやすくなって小さい字を追うのが面倒になりつつある。だからよっぽど惹きつけられる小説でなければ、長編を読了するのは本当にしんどい。
高村薫の『レディ・ジョーカー』は、上下巻2冊の長編だったが、一気呵成に読了した。それだけ著者の技巧が優れているということだろう。読者を飽きさせない見事な筆致。
今回は『永遠の仔』、天童荒太の書き下ろしだ。
天童荒太の代表作といえば『家族狩り』で、山本周五郎賞を受賞している。読後は何とも言えない重苦しさに喘いだような記憶がある。
それがどうだ、『永遠の仔』の方がさらに輪をかけた如く息苦しさに見舞われた。なんなんだ、この閉塞感は?!
限りなく結末の見えないラストに苛立つし、絶望的なまでの孤独感に襲われる。あらゆる意味でドラマチックで、読後は放心状態になってしまう。いや本当に。
まず念頭に置きたいのが、幼い子どもらに向けられる虐待がいかなるものか、その辺をきちんと整理しながら読み進めないと、単なる小説の中の絵空事で終わってしまう。
現実に性的虐待などで心身ともに病んでしまった子どもたちを収容する施設と、養護学校が存在することを踏まえた上で、主人公ら3人の壮絶な成長を追っていくのが望ましい。

話はこうだ。
舞台は愛媛県のとある田舎町。双海小児総合病院は、様々な理由で精神状態の落ち着かない子どもたちを受け入れていた。
優希もその一人で、ある事情から外界を遮断するスイッチを持つようになった。
そんな新入りの優希に興味を持ったのは、ジラフ(キリンの意)とモウル(モグラの意)と呼ばれる二人の少年たちだった。
ジラフは母親からタバコを体じゅうに押し付けられたせいで、丸い火傷の痕がキリンの模様のように付いていた。それは大切な性器や尻に至るまで、まるで悪ふざけのように火傷痕が残っていた。
モウルは、母親が知らない男を連れて帰る度に暗い押入れの中に閉じ込められ、男が帰るまでトイレにも行けず、自分の性器をちぎれるほど握りしめて堪えなくてはならない状況下にあった。そのせいで、灯りのない場所に極度の恐怖と不安を覚えるようになり、おまけに男性としての機能が全く働かない身体となってしまったのだ。
そして優希は、なんと、実の父親から性的虐待を受けていたのだった。

物語は、17年後の現在、優希が看護士、ジラフが刑事、モウルが弁護士となった今と、17年前の小児精神科の治療を受けていたころと、交互に進んでいく。
3人の辛く哀しい過去が現在まで尾を引き、様々な形で事件につながっていく。
どうしようもない過去から目を背けて生きて来たところ、3人が再会することで、否が応でも打ち消すことの出来ない記憶を辿らなくてはならない。
背負うものが余りにも重過ぎて、苦しさから逃れられない。
このどうしようもない絶望的な嘆きの前に、神も仏もなく、ただ傷口を舐め合う仔犬のようにうずくまるのだ。
ラストは、読者各々が感覚として捉えた輪郭をなぞるものだと思う。それは形がなく、曖昧で、無性に孤独を促す結末かもしれないが、寝る間も惜しむほどに引き摺りこまれる作品だった。
永遠の仔〈上〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈上〉より
4877282858
No.142
(5pt)

傷を負った子供たち・・・

一言一言が大変重く、天童作品の代表作であることに実感が持てました。
あとがきまで読み切って作者の作品に対する思い入れが理解できました。
僕自身ももっとはやくから読んでいたかった。
きっとこの作品を読んで生きることに救われる人がいると思う。
人生観を変える可能性のある作品だと思います。
ボリュームに負けて手が出にくい人もぜひ読み始めることをお勧めします。
きっとあっという間に世界観に浸かることと思います。
永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)より
4344405714
No.141
(4pt)

悲しいほど、絆が深い。

人の心の奥底に潜む闇と、悲痛な思い出の中に絡み合うように時を感じさせない強い絆が描かれている。その絆は互を思い合うだけのものではなく、自分を受け入れてもらったという事実であり、その時を生きていくために必要なものだったのだ。

 小学生の頃、病院で知り合った三人の想いが悲しいほど伝わってくる。大人になっても救われることは求めておらず、普通の人にとっての日常の中ですら笑顔を避け、ふさがらない傷口に触れられたような痛みを感じさせる。
 父親に乱暴された過去を持つ看護師・優希。物語を読みきった後、優希は登場人物のみんなに強烈に愛されていたのだという印象を持つ。最後の母親の遺書で確信を持った。そんなに愛されていたにもかかわらず幸せになれない皮肉さが辛い。
 絶対的な悪が、事件を起こし皆を不幸の連鎖に巻き込むという構図ではなく、心の闇をいつまでも消化できない切ない日々が育んだ悪魔だろうか。犯罪者と呼べる人を攻める気持ちにはならない。はけ口のない想いが吹き出したような事件の連続である。
 幼い時期において、過酷な虐待を受けた三人の影響は測りしれない。大人になるまで生きてこれたのは、幼いころの思い出のおかげであり、誰にも立ち入れない深い絆の意識のおかげだ。 最後まで辛いストーリーであったが、登場人物の痛みとともに引き込まれていった。
永遠の仔〈下〉 Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈下〉より
4877282866
No.140
(5pt)

切なく、哀しく、ただただ涙があふれ出る

この作品に出遭えたこと、大切にしたい。きっと一生の宝になる。

序盤〜中盤は主に雄作に対する激しい憎しみが占めていた。
優希と物理的に距離が近い場面は鼓動が激しくなった。息が苦しかった。
理想とする父親像から、最も遠いところにある人物がそこに居たから。彼の存在を激しく嫌悪した。

終盤は、哀しくてしょうがなかった。
この物語が早く終わって欲しい。主人公達に早く安堵の日々が訪れて欲しい。
祈るようにページを進めていった。

私は彼らのようなひどい虐待を受けてはこなかった。
それでも彼らに気持ちを乗せられたのは、彼らの生きようとする力、救い合い、認め合う力がとても素晴らしかったから。

最後は私の望むような結末ではなかったが、こんなにも胸を熱くさせてくれた、心から感謝したい。
永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)より
4344405846
No.139
(5pt)

傑作

暗い、悲しい、辛い。
 とにかく起こりうるいやなこと全ての連鎖に、沈み込んでいた4巻まで。
 
 物語は、意外な方向にめぐり、全ての因果は、ここに帰着する。
 奈緒子さんの愛情と、まり子さんの引き金とモウル。
 遺書とは何かを、もはや灰に帰した紙切れは、思い出の場所すら失って
いく三人には、届かない。
 罪の意識も、傷だらけの心も、それがすべて人間なのだと、学習する。
それが大人になることなんだと、知る、いや知らされる。その出発の場が
双海病院の院内学級であったこと。そして学習しきれずに、いや学習して
いる子供たち。

 最近聞いた言葉で、とても印象的な言葉。
「人は二度死ぬの。一度は肉体の死。もう一度はみんなの記憶の中の死。」
 この言葉がとてもシンクロして、一度に私に向かってくる。
 そんな最終巻です。

 この作品の長さが必要だったかと、審査委員の議論が交わされたようですが、
確かに微妙です。ただ、一つ一つが確かに必要なパーツであり、一つ一つが
叫んでいる。その叫びの高揚が見事でした。
 100点。傑作です。設定はあり得ないけれど。
永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 永遠の仔〈5〉言葉 (幻冬舎文庫)より
4344405846