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ミステリークラブ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ミステリークラブ (カドカワ・エンタテインメント)

ミステリークラブの評価: 1.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点1.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

忘れたままで良い作品

霞流一作品としては比較的初期、1998年の刊行だが、その後文庫化もされず、忘れ去られている作品である。
古書として安かったので買ったのだが、全体の3分の2くらいまでは、読み続けるのが苦痛になるほど、つまらなかった。
連続殺人事件の関係者は、いずれも昭和レトログッズ蒐集のマニアという設定なのだが、作者本人はヲタク文化には造詣がないらしく、付け焼刃の知識で登場人物を造形しているので、読んでいて白ける。
たとえば、そのマニアの1人は、こんな間違った事を平気で言う。
「『涙は心の汗さ』・・・ドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』ですよ」
もちろん、正しくは
「『涙は心の汗だ』・・・ドラマ『われら青春!』ですよ」
である。また別のマニアは、仮面ライダーシリーズに登場するカニをモチーフにした改造人間を列挙する際に、何と次のように言う。
「最初はカニバブラーでしょ、それから、ええっと、ザリガーナ、カニ獣人(以下略)」
おいおい。シオマネキングもガニコウモルも飛ばして、カニレーザーとザリガーナを間違えるのか?
マニアが?
その後の、都市伝説に関する考察や連続殺人鬼に関する考察も、すべて参考文献から丸写しにしたようなレベルの低さ。
今なら、参考文献など一冊も読まなくても、Wikipediaを見れば書けるような内容である。
都市伝説の伝播の一例として「口裂け女」が取り上げられているのだが、一方で1970年日本万国博のマニアなどを登場させているのだから、「口裂け女」では、時代が合わない。
本当に都市伝説を考察している人物の口から語らせる言葉なら、「口裂け女」よりも「カシマさん」の方がより古く、たとえば1972年に刊行された村松定孝著『わたしは幽霊を見た』にも、すでに「おばけ『カシマ』」として紹介されていることくらいは、作者が調べて書く必要があっただろう。
このように、登場する「マニア」たちの語る内容が、素人目にもレベルが低いため、これらの人物たちはマニアでも何でもなく、実はマニアのふりをしているだけだった、発言はすべて伏線だった、という展開を信じて、我慢して読み続けたが・・・。
そうは、ならなかった。
登場人物の奇矯な言動の中に伏線が埋もれていて、それを探偵が解き明かすタイプの小説だったのである。
謎解き部分はそれなりに面白いのだが、その推理を成立させるための、マニアの造形や都市伝説の考察が全くなっていないため、正直、「つまんないディティールを省けば、半分の分量で書けるよなぁ」と思わざるをえない。
トリックを活かすためには全面的な改訂が必要だからこそ、文庫版も出ていないんだろうなぁ、と思わせる出来だ。
よほどバカミスに興味のある方でない限り、この作品のことは忘れていて構わないだろう。
ミステリークラブ (カドカワ・エンタテインメント)Amazon書評・レビュー:ミステリークラブ (カドカワ・エンタテインメント)より
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