蜻蛉の夏

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蜻蛉の夏の評価:

4.46/5点 レビュー 26件。 B ランク

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平均点4.46pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全26件 1〜20 1/2ページ
No.26
(5pt)

徹頭徹尾、最高のエンタメ

気を精神力で幻に変えて操る止観の道士
その凄絶な生き様
信長の時代を舞台に描いた長編です
冒頭の修行時代から引き込まれました
最後が想像つくだけに
そこに辿り着くまでのハラハラ感が堪らないです
続編が出るなら是非読みたい
かなり好みの作品でした
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.25
(5pt)

超人たちの荒唐無稽の物語

相変わらず垣根涼介はおもしろい。
多少荒唐無稽な物語だが、彼の世界観にどっぷり浸かって楽しもう。
さらにワクワクさせる時代小説を望みます。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.24
(5pt)

止観の道士たちが、世のために命がけで、力を合わせて守る。

時は薄闇、織田信長が放つ戦国時代。
そこには、普段は市井の中で擬態してひっそりと生きる、止観の道士たちがいた…
水観、炎観、月観。
まさそくそれは、田畑を害虫から守る蜻蛉の境地。
道士たちの生き様がここにある。
世の為を成すために…
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.23
(4pt)

ややダラダラとしている

幻術を使うファンタジー作品。
ベースとなる史実は変えずに則りながら、裏側での忍者の戦いを描く。
序盤はだらだらと展開の遅さを感じる。かなりの分厚さなので読み応えはある。
内容はおもしろいけどもう少しテンポがいいとより楽しめた。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.22
(5pt)

エンターテインメント小説

歴史の裏側で生きた「止観の道士」たちの激しくも儚い人生を描いた小説。
水・炎・月、それぞれ異なる力を持つ道士たちの葛藤や成長が丁寧に描かれ、
彼らの能力が織田家との戦いにどのように影響していくのか、ページをめくる手が止まりません。
現実と幻想の狭間で揺れる心情や、命を削る修行の描写が迫力たっぷりで、心をつかまれます。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.21
(5pt)

フィクションと史実の融合を楽しめる一冊です。

蜻蛉の夏 垣根涼介 のレビューとなります。

○良かった点
・ファンタジー要素(止観の力)を史実とうまく融合させており、歴史の流れにフィクションが自然に入り込んでくる構成が魅力的。
・炎観・水観・月観といった異なる能力を持つ道士たちの修行・葛藤・矛盾が丁寧に描かれており、人物像に深みがある。
・乱世の中に生きる“歴史の裏側の者たち”という設定が斬新で、エンタメとしての読み応えが強い。

●気になった点
・史実ベースの歴史小説を好む読者には、幻術的な要素が強く感じられ、好みが分かれる可能性がある。
・能力バトル的な展開が多いため、純然たる歴史ドラマを期待すると少し印象が違うと感じるかもしれない。

◎総評
史実に“止観”という幻術的な力を重ね合わせ、その中で生きる道士たちの葛藤や矛盾を描いた独特の歴史エンタメ作品でした。炎観・水観・月観などの能力設定は一見ファンタジー色が強いのですが、物語の中で違和感なく機能しており、戦国の動乱と重なったときの迫力も十分ありました。どこまでフィクションを許容できるかで評価は変わるとは思いますが、エンターテインメントとしてはとても勢いのある一冊だと感じました。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.20
(5pt)

皆仕尽(みなしづき)歴史転換期の陰の立役者たち

本作においては信長も光秀も脇役である。

仏教において心を静め物事を考えることを「静慮」という。
心の動きが静止するので「止」という。
この時に何を思い浮かべるかが「禅」でありこれらふたつを合わせて「止観」という。
「居士」とは出家をせずに家庭において修行を行う者のことである。
実在したかは定かではないが、信長や家康にも謁見したという「果心居士」は有名だ。

本書ではこれらをエンタメ化させ「止観」を修行で得られる幻術の技として扱っている。
止観により心に浮かぶ「想念」を放出し、相手の五感を狂わせ幻覚や幻影を見せる力だ。
心と一体化させて思い浮かべるものが火であれば火の幻を生み出し、水であれば水の幻を生み出す。
月であれば相手を眠りに落とすことができる。寝ている間に生気を吸い取られれば死に至る。
十の炎や水も千や万に見えれば、恐れおののき動くことができず逃げ場を失う。
強い法力を持った幻術師の高度な術は戦況を有利に動かすことも可能である。

蜻蛉は、他の昆虫とさして変わらぬ寿命だが幼虫のころから何度も脱皮を繰り返し成虫となるらしい。
成虫での寿命が極端に短いことから蜃気楼の陽炎とともに「儚いもの」のたとえとされる。
「止観の道士」たちが事を成すのは大人になってからではあるが、
師でもあるそれぞれの養い親たちに拾われ厳しい修行に耐え何を思い生きてきたかも丁寧に描写される。
水観の円四郎・炎観の平助・月観の桂月、偶然ではなく必然として出会った3人である。
「憂き世」の戦国時代、心身を鍛え成長という脱皮を繰り返してきた彼らの過去話が終盤の進行に深みを増す。

終盤の山場ともいえる、天正10年6月2日(旧暦)「本能寺の変」
旧暦6月の和名は水無月というが、語源のひとつに「皆仕尽(みなしづき)」がある。
田植えという大仕事を仕終えた月という意味だ。かけ言葉としてレビュータイトルにしてみたが
打倒織田信長を掲げ、幻術による行動阻害や撹乱等で合戦の裏側で密やかに活躍した
彼らの長きにわたる戦いをとくとご覧あれ。

全くの余談だが、平助の師でもある果心は冒頭に書いたあの果心のことだと思うが
本書では汁の強い俗物として扱われている。想像でしかないが
現世を辛く悲しい「憂き世」ではなく儚いからこそ楽しもうの「浮世」の精神で渡り歩き
情や時代に囚われない生き方をしたのかもしれない。
作中で唯一というくらい死の臭いがしない人だった。
物語は本能寺の変の後20日ばかりを過ぎたところで終わるが、
この人はだけは戦乱の世が終わりに向かう頃、天下人家康に謁見するまで生き延びたような気がする。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.19
(2pt)

エンタメ作品として途中から明らかに失速している

戦国時代を舞台にした時代小説と聞いて侍の剣劇をイメージしたのですが、
本作は「止観」と呼ばれる超能力のようなものを使う道士たちが主人公とのことで、
このようなタイプの時代小説はあまり読んだことがなく新鮮でした。

「止観」にもいろいろな流派があり、
「水観」の円四郎、「炎観」の平助、「月観」の桂月、
以上異なる「止観」の使い手の若い三人が主人公の立ち位置です。

まず物語の冒頭から、
主人公たちの過酷な生い立ち、「止観」を習得するための師匠との命がけの特訓、
それぞれの道士たちの生き様や信念、乱世に翻弄される人々の有様などが描かれており、
全体的にハードボイルドで重厚な筆致で物語世界にぐいぐい引き込んでくるので、
さすがは直木賞作家の筆運びだと思いました。

ただ、正直に言うと、この部分が一本調子のうえに長すぎる!
6頁から174頁までの第一章がそれに該当するのですが、
ず~~~っと同じ雰囲気、同じリズム、根底は似たり寄ったりの人生訓描写が続きます。
先ほどは冒頭から物語世界に引き込まれたと書きましたが、
50頁くらい読み進めてからは、
「もう作品の設定は理解したし、世界観も十分に伝わってきたから、
いい加減本筋のストーリーを始めてくれません……?」と逆に冷めていきました。

第二章に入ると道士たちがそれぞれ織田信長とつながりや因縁を持ち始め
ようやくストーリーが駆動していきます。
戦国時代は個人的に好きなのでここから興味が持ち直したのですが、
第一章のハードボイルドな雰囲気かつ奇想天外な道士の世界観から、
第二章以降はわりとオーソドックスな歴史小説かのごとく
信長の合戦史をなぞっていくような雰囲気が強くなっています。
そしてその両成分の結合があまりうまくいっていないような感じで、
構成に若干のぎこちなさを覚えました。

織田信長
松永久秀
明智光秀
明智秀満
秋山虎繁
おつやの方
本作には数多くの歴史上の人物が登場しますが、
上記の6人、特に織田信長は物語に深くかかわってきます。
多分にフィクション上の人物ですが、果心居士もキーパーソンです。

ただ気になったのは、
信長、久秀、光秀は、エンタメ系に登場する彼らの人物像の最大公約数的な
「いつもの彼ら」なんですよね。
正直に言って本作独自の切り口や深みはなく、あまり魅力的には描けていないと感じました。
これは道士たちの方を際立たせるためにあえてしているのかなとも思ったのですが、
信長の人物造形がありきたりな点は、作品全体の弱点にもなっています(後述)。

対する道士たちの方も、そこまで言うほど魅力的かというとちょっと心もとないです。
個人的には、「炎観」の平助だけは読んでいて楽しかったです。
3人の中で一番悲惨な境遇で、なし崩し的に信長の大量虐殺に手を貸してしまい
自らの所業に苦しみながら、それでいて抜けていて憎めない面もあって、
お茶目なギャグ描写もこなす彼は誰もが応援できる人物だと思います。

というよりも、第二章以降は物語の推進力を平助に頼りすぎているように感じます。
私がこの作品を楽しめたのは、彼が生き生きと活躍していた時だけでした。

結論を先取りすると、この作品は終盤にかけてかなり失速しています。

平助が織田軍に所属して働いている中盤は、
比叡山焼き討ちや一乗谷の戦いなど、彼の「炎観」を用いた迫力のあるシーンが満載ですし、
「水観」の円四郎や、一乗谷の戦いで(脈絡に乏しいながらも)登場した「風観」の使い手などとの対決もあります。
「止観」の使い手同士の派手な戦いや緊迫したやり取りでぐいぐい引き込んできますし、
互いの視点を絡ませることによって飽きない場面展開が続いたり
コメディめいたすれ違いの描写などもあってとても楽しめたのでページをめくる手が止まりませんでした。

己の所業に打ち震えながらも、居心地のいい明智家臣団の中で初めて自分の居場所を見つける
平助の描写もとてもよかったです。ほかの二人の道士と比べて内面の深堀りがうまくいってると思います。

結局、平助は信長の苛烈さについていけずに織田家から退出するのですが、
この時点で平助自身の物語がひと段落し、
それと同時に物語全体の推進力がガタ落ちになっていきます。
後半に行くほど描写の密度が薄くなり、駆け足で史実の表層をさっとなぞって、
肝心の道士たちはその片隅でちょこまかと動いているだけの感じです。

また、平助が織田家から罷り出た直後から
3人の道士が協力関係になってともに織田家に抵抗していくのですが、
そこに至る経緯や意気込みがなし崩し的であまり熱くなれませんでした。
3人の道士がほどよい緊張関係にあって「止観」バトルが繰り広げられていた
前半の方がよほど読みごたえがありました。

また、前述の通り本作の信長像がありきたりの上、
3人が協力関係になって以降は信長自身が登場することがほとんどなく、
巨大な敵としての存在感が後半に行くほど減っていくので、
それに伴って道士の共闘もあまり盛り上がりません。

実際、道士たちは信長軍に徐々に押され始めていくのですが、
これは蜻蛉である道士たちの敗北の美学を意識的に描いているというよりは、
エンジンが止まって推進力の無くなった飛行機が
ふらふらと迷走しているだけのような印象を私は受けました。

ただ、最後のシーンである本能寺の変と道士たちの絡ませ方は
割とうまくいっていたしそれなりの余韻も残るので、
個人的にはそこそこ満足できました。

参考文献一覧に歴史系の文献はあまりありませんが、
永禄の変に直接関与していたのは松永久秀ではなく嫡男の久通の方だったり、
織田家と長宗我部家の取次役としての光秀の立ち位置をおさえていたり、
筆者の方は戦国時代についての取材は普段からしているのだなと感じました。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.18
(5pt)

はじめて読む作家さんですが大きな余韻を残す時代劇エンタメ

水観の円四郎、炎観の平助、月観の桂月という主人公たちが幻術を武器に、信長へ牙を剥くそんな時代劇エンタメ。
初めて手に取った作家さんでしたが想像以上に熱量があり、読みごたえありました。
主人公が試練に耐えながら必死に鍛錬を積み、身につけた力を発揮する様は感情移入すると自然に肩入れしてしまう。
序盤の苛烈な修行描写、道士同士の思惑と交差、悪としての信長の圧倒的存在感、そして予想外の最後まで読み進めるたびに胸熱くなります。
大きなスケールのエンタメ時代劇として魅せ切る、大きな余韻を残す一冊でした。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.17
(4pt)

時代小説ではなく能力バトルでした

ヒートアイランドのイメージが強く、モダンな作家さんのイメージでしたので驚きました。
時代小説ですらなく、エンタメ色の強いファンタジー作品です。私好みのジャンルではないのですが、3日かけて充分楽しめました。構成にやや粗があること、妙に味の薄い章があることが不満でしたが、そもそもエンタメ作品なので楽しければなんでもよいかなと思います。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.16
(4pt)

読み切るのに体力がいる文量

総ページ数600P越え、本の厚み3cm越えは圧巻の文字量です。
かなり分厚くて重さがあるので、出先でのちょっとした隙間時間に読むのには向いていません。家でじっくりと、腰を据えて読む長編小説です。
盛り上がってくるまでがちょっと長いかなって点と、長編なのでどうしても途中ダレてくる部分がありますが、読み応えはありました。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.15
(5pt)

史実と幻術が交差する、重厚で読み応えのある戦国エンタメ

幻術を操る「止観の道士」たちが、戦国史の裏側で静かに動いていた…そんな設定を軸に描かれる物語で、史実とフィクションの混ざり方が非常に巧みでした。

信長や光秀はむしろ背景に回り、道士たちが修行や葛藤の中で力を磨いていく姿がしっかり描かれているため、歴史を読むというより人物の生き様を追う感覚に近い作品です。

幻術の表現はファンタジー色が強いものの、戦況や心理描写とうまく結びついており、虚構でありながらも世界観に入り込みやすい構築になっています。特に終盤、本能寺へ向かう展開は迫力があり長編を読んできた分の熱量が一気に回収される印象でした。

そして本作は600ページ超の大作でもあり序盤は展開がゆるやかで物語が動き出すまで多少時間がかかります。
そのため、タイパ重視の最近の若い読者には少し敷居の高さや読みづらさを感じる部分があるかもしれません。

それでも、土台にある物語そのものは十分魅力的で読み進めるほどキャラクターの背景や能力の意味が深まり、後半の盛り上がりまでしっかり楽しめるタイプの小説です。

じっくり読む時間さえ取れれば、若い読者にもおすすめできる作品でした。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.14
(4pt)

今作はファンタジー色が強い

今作はエンタメに振り切ったと著者自身が語っている通り、征夷大将軍や信長を題材にしていた歴史小説とは毛色が違う。
歴史上の人物は登場するが、オリジナルの主人公を軸に史実と混ぜ合わせた話が展開される。
非常にファンタジー色が強く描かれているものの、時代設定への落とし込みは上手くなされており十分楽しめるエンタメ作品であると感じる。
同作家の作風が好みなら良いが純粋な歴史小説を欲する者には向かない可能性がある。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.13
(4pt)

ファンタジー時代活劇

フィクションながら乱世の時代背景が巧みで読んでいると時代劇のような光景が脳裏に浮かんできます。止観を使った死闘は派手な立ち回りより心理描写が中心。水・炎・月といった王道のような設定は昨今のラノベ小説を彷彿とさせます。
馴染みのある設定と時代活劇の組み合わせが絶妙、こういったジャンルに疎い自分も読みやすく感じました。かなりのボリュームもあり、読み応えのある作品です。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.12
(3pt)

読むのに根気がいる厚さ

ここまでの長編小説を読むのは何年ぶりだろう…厚さに少したじろいだ。ちゃんと全て読めるだろうかと。また歴史小説というのも多分読むのは初めて。

著者の作品は昔に君たちに明日はないを読んだことがあり、この作品は確かリアルな職場での人間関係等が題材だった気がするので歴史小説、それもファンタジーな作品を書かれているのにちょっとびっくりしました。

まだ半分も読めていませんが冒頭はスラスラ読み進められたのですが段々とちょっと間延びしてきて根気がいりますね…何とか最後まで読破したいです。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.11
(5pt)

静かな余韻が長く残りました

全体を通して静かな語り口で、最初から最後まで大きな起伏は少なめです。
その分、登場人物の感情の変化に自然と目が向きました。
夏という季節の描き方が印象的で、暑さや空気の重さが伝わってきます。

説明しすぎない表現が多く、読者に委ねられる部分が多いと感じました。
一気読みというより、少しずつ読み進める方が合いそうです。
過去や記憶を辿る流れが静かに続き、読後に考える時間が残りました。
派手さはありませんが、その分落ち着いた読み心地です。
文章は読みやすく、無理なく進められました。

感情を強く揺さぶるというより、じわじわ残るタイプ。
人によって受け取り方が変わりそうだと思います。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.10
(5pt)

一気に読み切れる!余韻が重く残りました。

すこし歴史小説として構えていましたが、気づけば完全に世界観に引きずり込まれていました。
戦国の現実と、登場人物たちがとにかく苦しくて、必死です。
力を得るほど削れていく感覚や、迷いながらも前に進もうとする姿が生々しく伝わってきます。
派手な展開よりも、内面の揺れや覚悟がじわじわ効いてくる印象でした。
戦の場面も読み応えがありますし、静と動の切り替えが心地よく、読み終えたあと、すぐ次の本に手が伸びず、しばらく考え込んでしまいました。
重たいですが、その分しっかりとした読後感があります。
腰を据えて読む一冊として、かなり満足度は高かったです。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.9
(3pt)

信長の時代あたりを基にした幻術士の話です。

歴史には詳しくないから正しさはなんとも言えないのですが、
読んでいて、時代劇が得意だからこの時代にした、という感覚がしました。
術の設定は現代でも通じそうです。
基本的に古い言葉使いではあるものの、伝わりはします。

幻術の設定は良い感じで、
強い火や水をその身に浴び、苦しみを体に焼き付けることでようやく習得でき、
同じ苦しみを敵にぶつけて息の根を止めるというもので、
修行が厳しすぎて、習得までに命を落とすことも普通にあるし、
使うと気力を消費する、という感じ。
この術を軸にしたストーリーです。
言葉使いのためわかりにくいですけれど、主人公と仲間が15歳くらいと若いので、読者はそれくらいが対象なんでしょうか?
ライトとは真逆の、ハードでヘビーなものが好みだというなら、これも良いかもしれません。

序章の修行シーンが長すぎる感はありますね。
しかし主人公の立場と設定の解説、
そして仲間も…となると、ここは仕方のないところでしょうか?
中盤から後半は歴史を知らないと、付いていけないかも?
知っているなら楽しめると思います。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.8
(5pt)

『光秀の定理』に比肩する良作

垣根涼介『蜻蛉の夏』読了。

著者の作品は、ほぼ全部読んできた。
初期の『ヒートアイランド』や『ワイルド・ソウル』等の日系南米移民の二世三世達を描いた作品は傑作だし、リストラ請負業界を描いた『君たちに明日は無い』もユーモアとペーソスが溢れていて読ませてくれる。

その後、歴史小説に転向したが、『光秀の定理』は〇、『室町無頼』も〇、『信長の原理』は×、『涅槃』は△、『極楽征夷大将軍』は△、『武田の金、毛利の銀』は×と、なかなか評価が定まらない。

『信長・・・』が×なのは、「2対6対2」の「働きアリの法則」を原理化してしまっていて統計学的な問題に演繹的な原理を被せる誤りがベースになっていて白けてしまうからだ。
また、『武田・・・』についても、光秀が忍者となって敵の秘密を探るという荒唐無稽さが、どうしても物語に浸らせてくれないのである。

では、荒唐無稽だからダメなのかというと、そうではない。

本書は、信長の天下布武の時代を舞台に、水観、炎観、月観、風観という止観をあやつる密教の道士たちの活躍を描いている。
密教の止観は実在していて、AIによれば「仏教、特に天台宗における重要な瞑想法で、心を落ち着けて集中する「止(Shama(s)atha:サマタ)」と、その安定した心で物事の真理を観察する「観(Vipaśyanā:ヴィパッシャナー)」を統合した修行」とある。
垣根涼介は、この止観に着想を得ながら、修行によって人の心に洪水を起こしたり(水観)、火災を起こしたり(炎観)、人を眠らせたり(月観)、竜巻を起こしたり(風観)という呪術に近い能力として描いている。

これは荒唐無稽だが、夢枕獏のごとく最初から荒唐無稽なのは構わないのである。中途半端に荒唐無稽だとダメなのだ。徹底的にやってほしい。

というわけで、本書はかなり徹底的な荒唐無稽さで貫かれていて、好感が持てた。
読み進める途中では、はてこれは夢枕獏を読んでいるような感覚にさえ捉われた。

そして著者の、この時代についての該博な知識が披歴され、実はこのような史実の背後には止観の道士たちの動きがあったのだという細かな描写が連続してもいて、この時代の書物を多読してきた者としては、かなり楽しめたのである。
そして、最後の終わり方も、『光秀の定理』のような余韻を持たせているのが好ましい。

ただ欲を言えば、3部構成のうちの第1部がほぼすべて、止観の修業の描写に充てられているのが苦しい。
修行の年月は重要な伏線ではあるのだけれど、ただそれだけを読まされるのは、作者がきっと第二部と第三部でうんと遠いところまで連れて行ってくれるという信頼が無ければとてもできない。

まあ、そうだったとしても、本作は『光秀の定理』に比肩する野心作だと感じた。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312
No.7
(5pt)

日本人向けの時代劇

日本人が最も読みたい思う時代劇の中の一つです。
ファンタジーですが、行間が深く、読む人によって深さが変わる本でした。
時代劇に造詣が深いほど面白いと感じるはずです。
濃厚でたっぷりな時代劇を読みたいならこれはかなりおすすめできる本でした。
まちがいない。良書です。
蜻蛉の夏 Amazon書評・レビュー: 蜻蛉の夏より
4093801312