時空争奪 小林泰三SF傑作選
評判
時空争奪 小林泰三SF傑作選の評価:
3.25/5点 レビュー 4件。 - ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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時空争奪 小林泰三SF傑作選の評価:
3.25/5点 レビュー 4件。 - ランク
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このことを強く思わせる短編集。褒め言葉ではなく、この短編集の全てがどうに
も、着想点はそこそこだろうが、説明が煩雑で繰り返しも多く、さらりと余韻を
残して読むことができない。
「さあこれは面白い脳トレ」とか「思考実験を重ねると、こういう楽しさがある」
だの、少しばかり「暑苦しい短編小説」になってしまっている。つまり「一ひねり」
ならいいが、何度もひねられルと、うんざりしてしまう。
小林泰三は定評のある小説家なのだろう(角川文庫からだけで5冊以上上梓され
ている)が、著者のにんまり顔が浮かぶような小説は少々辟易。
何とか斜め読みせずに読了できたのは2編のみ。
「予め決定されている明日」は、軽い恐怖ものとも思え、主人公2人がどうやっ
て干渉し合うのかが興味深い。頭で創り出された仮想世界と現実世界の間が徐々
に融解していくというストーリー展開は見事。最後の10行ほどは緊張感すら漂う。
一方の主人公が次第に「狂気(差別的表現ですみません)」におちいっている現実を
急に突きつけられ、ぎょっとした。
「C市」はストーリー展開がいい。スピード感のある作品。最初のおぞましい環
境にあるC市の成り立ちから、最後の破滅的未来まで一直線。
ただ、「近親婚によって遺伝的に異常となった」村民が登場する。「近親婚による
一定地域の異常さ」はかなり被差別部落への偏見とも繋がるので感心できない。
巻末で確認すると、「C市」は2002年が初出。この設定がそのまま受け入れられ
ていたのだろうか。
「時空争奪」、「完全・犯罪」、「クラリッサ殺し」。この3編はくどすぎる。
この手の思考実験的な小説ほど、最後の「オチ」が短い方がいいだろうに、だらだ
らと説明もどきの台詞が入り、興を削ぐ。
「空からの風が止む時」 。昔読んだ「インテグラル・ツリー」と同じような発想か
と思うが、類似のアイデアの小説は読んだことはない。アイデアはなかなかだが、
描く世界のリアリティが最後に薄くなってしまった。残念。
短編集として収載されているどの作品も上梓される水準にある。
ただ、SFとしてもう少し飛び跳ねたようなアイデアの作品も欲しい。
おすすめするが、あえての購入は勧めない。