帝国の亡霊、そして殺人
評判
帝国の亡霊、そして殺人の評価:
4.33/5点 レビュー 3件。 - ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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帝国の亡霊、そして殺人の評価:
4.33/5点 レビュー 3件。 - ランク
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「帝国の亡霊、そして殺人 "Midnight at Malabar House"」(ヴァシーム・カーン 早川書房)を読み終えました。英国がインドを統治しようとしていた頃の物語「ボンベイのシャーロック」(2022/6月 ネヴ・マーチ)を或いはその後の時代を描いた「ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち」(2020/5月 スジャータ・マッシー)を思い出しながら読むことになりました。
舞台はボンベイ(ムンバイ)。時は1950年初頭。分離独立の亡霊たちが蔓延る時代。主役はインド初の年若い女性警部ペルシス。強い正義感を持ちながら警察官になったものの当時の(そして今も)根強く残る偏見に晒されながらの捜査を続ける彼女の姿が清々しい。
事件は"Malabar House"で開催されている恒例の年越しパーティで起こります。主催者、英国人のジェームズ卿が書斎で腰から下には何も身につけていないまま死体となって発見されます。また、彼のズボンは消えており、犯行に使われた凶器も見つかりません。書斎の暖炉には大量の紙が燃やされた跡があり、隠し金庫はからのまま残されていました。パーティの招待客は48人。加えて、当時20人近くの屋敷の使用人、楽団員が働いていました。有刺鉄線に囲まれた高い塀、警備員も常駐しています。殺人者がこっそり出ていくことはまずできません。
果たして、ジェームズ卿を殺害した犯人は誰なのか?その動機は?パズラーですからこれ以上の説明は省きたいと思いますが、前半は警察小説というより警部ペルシスによる「私立探偵小説」のように進行していきます。ワトソン役は、犯罪学者のブラックフィンチ。物語の骨格はアガサ・クリスティを読むようでした。
少しだけ物語をフラッシュすると(笑)、曲がり刃のナイフを持った殺人者、真夜中の秘めごと、友人とのいさかい、姿を消した宝石商、ヘリオット(ジェームズ卿)の最近の財政破綻、そして「分離独立」時の犯罪調査委員会とミステリらしい煌びやかなファクターが丁寧に置かれています。
「ヒンドゥー教徒が多数を占める西ベンガルと、イスラム教徒が多数を占める東パキスタンの分断によって、宗派間の大規模な武力衝突が起きた」(p.173)。歴史上横たわる事実がこのパズラーに膨らみを持たせ、その多くの人間たちの憎悪と宗教的な対立が未だに延々と継承され「帝国の亡霊」という邦題へと行き着くことになります。そのやりきれなさ。
戻りましょう。特筆すべきは、決して後ずさりしないペルシスの清冽なキャラクターとその熱意にあります。彼女の内部に輝く"Wisdom"に乾杯しましょう。これからもこのシリーズの翻訳が継続されますように、祈ってやみません。