無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記
評判
無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記の評価:
4.90/5点 レビュー 116件。 A ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全115件 81〜100 5/6ページ
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4.90/5点 レビュー 116件。 A ランク
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帰宅して一気に読了した。涙なくして読めない一冊でした。妻にも読めと推奨したが……。
(ともあれ、山本さんの本は、小説ではなくノンフィクションでこんな内容)→お別れの言葉は、言っても言っても言い足りない――。急逝した作家の闘病記。
これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。
2021年4月に膵臓癌でステージは4bで治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしかできず、余命を若干延ばせる程度との診断が出る。セカンドオピニオンもほぼ同様だったという。
日記は2021年5月24日から始まり、10月4日で終わっている。そして10月13日に逝去……享年58。
抗がん剤は一度だけ試してみて酷いものがあってので使用しないことにしたという。それでも、その影響で脱毛…。緩和ケアや介護や……。
不幸中の幸いというか、夫が早期退職していて、「専業主夫」みたいな状況で、さまざまな面倒を見てくれるということもあり(手書きの彼女の日記をパソコンで打ったりも…)、それもあって、最後の作品としてこのエッセイ本を出すことができたといえよう。
時々、快調な時もあって、セカンドオピニオンでも余命わずかと言われたはずなのに、それがなにかの間違いではないかと夫婦で感じたりした日々もあったという。だが、それは妄想だと自覚もする。
映画「エイリアン」で、エイリアンの攻撃をかわしてやれやれという時に、急に人間の腹を破ってエイリアンの赤ん坊が出てくるシーンを回想して、「あれが私のお腹にもいるのだ。そして刻一刻と育っている」と。
「痛みも吐き気も今は強い薬で抑えられているが、時々隙を縫ってちりちりっと背中が痛んだりすると私はひとりで映画のことを思い出して青くなっている」
その映画はみたことがあるし、そのシーンも記憶に残っている。
ステロイドを飲んで、一時快調になったりもするが……。腹水をとったり…。
我が母も、気がついた時は大腸がんの4ステージで、分かってから数カ月で死んだけど、晩年、胸水だかなんだか取ったりしていた。足がぱんぱんに膨れていて苦しそうにしていた。
「夜、夫が崎陽軒のシウマイ弁当を一つ買ってきたのでふたりで分けて食べた。シウマイ弁当を丸ごと一個食べられたのは遠い昔……」
渡部昇一氏が亡くなる寸前、大好物の「赤福」を見ても、食べようとしなかったと、息子さんのエッセイかなにかで読んだ記憶があるが、それと同じかな……。
かつて自分の担当だったけど、若死した女性編集者のことを回想したり、軽井沢まで来てくれた担当編集者や母・兄などとの最後の対面やら……。余命数カ月の間に、さまざまな人生の整理を終えていく日々……。
「明日は我が身」?と思いつつ読了したしだい。還暦前の死去は早すぎるよね、いまどき。
ガンではなく、心筋梗塞みたいな急病で還暦前後に急死する人もいる。交通事故死などもある。同じ還暦前後の死なら、ガンのほうが、人生の整理整頓する時間があっていい…(というのもヘンだが)。
それでも還暦前後まで生きていたら、まだ幸せなのかな。世の中には20代、30代でガンで死ぬ人もゴマンといる(ようだ)。中には達観して、抗がん剤なんか治療を一切拒否して、なるようになるで、最後には緩和ケアでいいとか豪語する若人もいるようだが……。そんな子供がいたら、親は泣くよね……。
山本さんのご主人も元編集者。徳岡孝夫さん(『妻の肖像』文春文庫)や川本三郎さん(『いまも、君を想う』新潮文庫)ではないけど、妻を亡くして…の手記を書かれるといいのかもしれない。山本ファンも多いだろうから。
この本の9月3日には…。医者がやってきて、残りの時間がわずかになっていて、会いたい人に会っておくといい云々といわれる。医者が帰ったあと……。
ご主人が、「ごめん。本当に悪いんだけど、ちょっとだけ飲みに行きたい。一人になって落ち着いてくる」と近くの酒場に出かけていくシーンが書かれている。
夫が出て行ったあと。
「ふたりで暮らしていた無人島だが、あと数週間で夫は本島へ帰り、私は無人島の残る時がもうすぐ来るらしい」
当時はコロナ…。長野県軽井沢はまん防地域ではなく、酒場も開いていたが、「30分だけ一人で飲んで落ち着き、私に手羽先焼きとおにぎりを買ってきてくれた。何という賢人」と。
この夫婦愛にはもらい泣きした。