中野のお父さんの快刀乱麻
評判
中野のお父さんの快刀乱麻の評価:
4.43/5点 レビュー 7件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1〜6 1/1ページ
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中野のお父さんの快刀乱麻の評価:
4.43/5点 レビュー 7件。 B ランク
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「中野のお父さん」シリーズも3作目に入りました。毎回、お父さんの博覧強記ぶりには感心してしまいます。そこに北村薫さんの姿が投影されているようで、読みながらにやにやしてストーリー展開の妙を楽しんでいました。高校の国語の先生をしていたというのも共通していますので。
『円紫さん』シリーズのように、落語への造詣の深さはずっと以前の作品から理解しているのですが、「菊池寛の将棋小説」のように将棋の知識や関心のあり方にも驚いています。幅広い守備範囲を見せられて、作者の知識の奥深さが伝わってきました。
小ネタのようですが、「太宰治と松本清張」が同じ明治42年の生まれ(15p)ということを教えてもらいました。実に意外です。活躍した年代が異なりますし、太宰が心中をしてから松本清張ブームが起こったことも併せて、小説家が脚光を浴びた時期の違いが浮き彫りになるエピソードでした。
なおかつ大岡昇平も同じ明治42年の生まれと書かれています。近代文学史を飾る小説家の生まれの偶然の邂逅と言えるでしょう。
後に北村さんも早稲田大学の教授をされていますが、このような背景を教えてもらえる授業があれば聞いてみたい気がします。
映画への造詣の深さも半端ではありません。ここまでしっかりと鑑賞できる眼があるからこそ、見事なストーリーを紡ぐわけなのかもしれません。
167pのワセダミステリクラブの機関誌『PHOENIX60』も北村薫さんの大学時代の思い出が投影されていました。1年先輩にあたる瀬戸川猛資さんを登場させています。「19、20の人間が、これを書いている」とあるように、学生でこれだけ質の高い評論を書いていた人がいるだけで驚きです。50歳でお亡くなりになっていましたが、その瀬戸川さんのエピソードも上手く作品の中に織り込まれていました。
どの作品も驚きの連続でした。深い知識と筆力が合わさると素敵な作品になるという見本のような短編集でした。