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戦艦武蔵
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戦艦武蔵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
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吉田満著『戦艦大和の最期』も綿密に巨艦の生涯を跡づけ、軍人の内面にまで立ち至っている。本書『戦艦武蔵』は客観的、即物的に人間の奇怪な営みとして表現している。内向の世代の小説家吉村昭は、あえて冷静に、記録文学的に試みた、賢明な手法であったと思われる。戦争記録にほとんど関心のなかった作家が、自ら調査を進めるうちに、この戦艦を追究することは戦争というものを象徴しているように思われ、執筆意欲をかき立てられたのである(雅) | ||||
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この作品は既に30年近く前に書かれたものであり、当時はまだ関係者が生きておられて、それらの証言を著者が丹念に集め完成されたものである。この本でノンフィクションという分野が確立したもので、当時は記録文学と呼ばれた。そして様々な文学的挫折を乗り越えた著者が到達した出発点でもある。この本を読む方はその著者の意図を汲んで欲しい。是非同時に「戦艦武蔵ノート」も読んで欲しい。著者はこの作品を発表後、一部の読者から自分の意図が間違えてとらえられていると言っている。今ちまたの本屋に平積みされている安直な作品とは、全く違うものだということを感じて欲しい。吉村昭氏は誠実で実直、そして頑固であるが、極めて冷静な目を持った方である。間違っても安易な読み誤りはしないで欲しい。 | ||||
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戦艦武蔵の完成までが描かれている本書の前半と、完成した後が描かれている後半は非常に対照的なのだが、それが日本及び日本人を象徴していると言ってもいいだろう。戦艦武蔵は日本を分析する上で最良のテキストになり得る。 前半は、機密保持のため、市民生活にかなりの犠牲を強いたり、労働者の人権を奪った部分があるにしろ、NHKのプロジェクトXを彷彿とさせるものがある。世界最大級の戦艦を作り上げた熱意や技術力自体は、賞賛に値するものだろう。 しかし、完成後の武蔵は敵に大した損害を与えることもなく、あっけなく撃沈されてしまうのである。 この戦艦武蔵がかつて確かに存在したと言うことを、ドキュメンタリー的な筆致で鮮やかに描き出した好著である。 | ||||
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ここには歴史上最大の戦艦が「どう造られたか」が詳細に書かれている。あれだけの戦艦を建造するには、克服すべき問題が気の遠くなるほどあった。だから当時の技術者は武蔵を「どう造るか」を延々と考え続けたのである。だけれどだれ一人として考えなかった問題がひとつある。あまりに単純な「なんのために造るのか」という問題である。このことがなにを結果的にもたらしたか。およそ実戦らしい実戦も行なわずに武蔵は撃沈される。あたかも自殺するかのように出撃したあげく。だから本書が書こうとしても絶対に書けなかった、思考の空白をむしろぼくは猛烈に読みたいのだ。 | ||||
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吉村昭という作家は抑制の効いた文体だ。 事実を積み上げ、事実に語らせる。その手法が生きた端的な名作だと思う。シュロ縄が市場から消えるところからスタートして、最期のレイテ沖海戦まで。淡々とした筆致が語るものは逆に雄弁だ。戦争文学なんどという範疇ではなく、日本人の生き方を活写して措くところのない一作といっていい。 | ||||
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特に著者の意見を入れず、ドキュメンタリータッチなのが良かった。プロジェクトX風味。読みやすい。 戦後、日本は世界の大国を圧倒する経済、技術大国になったけど、戦前からそれは続いていたのだとわかった。 欧米の大国がアジアを植民地化し、それを解放した日本は快挙だと思うが、日本だけが欧米に互していけたのはなぜだろうか。 どうも日本は善意で行動してるからだと思う。建前でも。自分のためではなくみんなのため。 それでみんなが良くなれば自分もよくなる。大変な叡智だ。 それにしても、航空機の優位性を真珠湾で示した日本が、一方では大戦艦を作ってしまった。 未来の予測は難しい。戦略上の失敗は戦術で覆せない。それが日本の弱点か。 | ||||
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吉村昭の戦艦武蔵は、膨大な資料と調査から、秘密のベールに閉ざされていた第二次世界大戦末期の巨艦「武蔵」の誕生と終焉を描く。特に史上最大級の巨艦を長崎の狭隘なドックから、秘密を保ちながら進水させるくだりは、手に汗握るシーンの連続である。 一方、執拗な秘密主義、徹底した市民生活の圧迫や特高による恐怖の拷問など、華々しい戦艦の開発に対する陰の部分も忘れられない。 巨額の費用と大きな犠牲を払いながら、不思議なことに、この戦艦は、作ることそのものが目的であったようだ。巨艦主義から航空機中心に時代が移っていることがわかりながら、巨大であるが故に誰もストップできない。ちょうど日本が泥沼の戦争に深入りし破滅へまっしぐらに進むのとまるで歩調を合わせているかのようだ。 折しも、日本は戦後始めて、重火器を抱えた軍隊を外国に送り出してしまった。この流れをなんとか止めたいと思っても無駄なのだろうか。 愚かな歴史から我々は学べるはずとこの本は教えていると思うのだが。 | ||||
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この本を読む前に、まさに「武蔵・大和」と好対照的な実践型高速戦艦の生涯を描いた「戦艦 比叡」を読んでいたこともあって、この頃の「大艦巨砲主義」がいかに虚しいものであるかを充分承知した上で本書を読み始めた。 呉では、1号艦である「大和」が先に竣工されていたが、「武蔵」を建造するにあたってまず問題になったのがいかに秘密裏に行うかということであった。そこであらゆる試行錯誤の結果、棕櫚のすだれを四方にはりめぐらすことになった・・・。 更に問題なのは、進水の時であった。船台をすべっていって最後には対岸に激突してしまうのではないか・・・。 あらゆる問題に技術者が必死で解決してゆくさまがドキュメンタリータッチで描かれている。 何千人という人達の苦労で完成された「武蔵」の最期はあまりにも悲し過ぎる・・・。 | ||||
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冒頭の挿話からぐぐっと読者を引き込む。丹念な下調べが推し量られる労作である。 「武蔵」が建造された三菱重工長崎造船所の資料館ですら、写真が数枚しか残されていないことからも分かるように、徹底的な保秘のもとに「武蔵」は建造された。関係者の労苦は推して知るべしであるが、一方で、国際的な緊張下とはいえ、日本の警察・公安機関による人権抑圧に息詰まるものを感じる。 時代は大艦巨砲主義から航空戦へと時代が移行していく最中であり、武蔵も悲劇的最後を遂げるわけだが、その最後の乗組員が武蔵沈没という最大機密が漏れることを恐れる当局により体よく隔離された事実までフォローした作者のこだわりも見事である。 | ||||
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ひろたんさんのレビューに「自分はSEをやっているが共感出来る箇所がかなりあった。」というのに納得。機密保持のため、製造にあたったほとんどの人が全体像知らされずに自分の持ち場のことだけを教えられて武蔵を作ったというのは、正しいかどうかは別として、ものつくりのひとつのあり方として、考えさせられる(考え込んでしまう?)話であった。 そして、苦労して作った武蔵が、はっきりいって、これといった戦果もなく、温存されつづけて、そして、多くの犠牲者とともに沈没した。これほど、むなしいことはない。筆者は、淡々とこれを書いていく。むなしさきわまれりだ。 結局、戦争とは、むなしいことということが痛感できる本である。 | ||||
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日本の運命を左右すると軍部の期待を受け極秘に計画された戦艦武蔵の建造から沈没までの物語。 この巨艦建造の背後には、関係者達の並々ならぬ苦労と努力があったことが読み取れる。船にあまり詳しくない人でもイメージさせるように、詳細にかつシンプルに建造過程が記述されている。また極秘プロジェクトのため人目を避けるように様々な努力をしているところも興味深い。 しかし巨額の建造費と時間、労力を費やしたこの船もわずか数時間の米軍の猛攻撃により沈没してまう。あの技術者たちの懸命の努力は無駄だったのか。軍人たちの猛訓練はなぜ活かされなかったのか。戦艦武蔵とは何だったのか等いろいろと考えさせられる本。 また戦争云々ではなく、物作りに興味がある人にはお薦めの一冊。自分はSEをやっているが共感出来る箇所がかなりあった。 | ||||
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