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パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー
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パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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『パリ警視庁迷宮捜査班』の第2作。前作は第1作ということもあり、それぞれ一癖も二癖もある「特別班」メンバーの人となりを描く必要があり、それゆえに前半は多少冗長なところがあったが、それが省かれた第2作はいきなりトップスピードで「ぶっ飛ばす」印象。そんな内容に「魅惑の南仏殺人ツアー」という、どちらかと言えば通常はセンスを疑われるような副題が似合う。あちこちの記述に、これも平凡すぎる言い方になるが「フランス独特のエスプリ」が効いていて、読んでいて実に楽しい。特にメンバーたちの、本筋とは関係ない日常が短いながらも挿入され、それが物語にさらなる膨らみを与えている。真相は予定調和だが、そこに至るまで読み始めたら止まらない。しかも今回は警察ネズミまで登場する! | ||||
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1作目に比べてドタバタ感、各刑事達の団結力というかアットホーム感は増幅しており、とても楽しく読めます。 ただミステリーとしてはまるで読みどころがなく、副タイトルの「魅惑の南仏殺人ツアー」は内容に全く合っていない愚題。ページ数の割に刑事達の人数が多過ぎるのもやや混乱を招く可能性はあり。 ユーモア、喜劇、軽めのミステリーが好きな方は是非どうぞ。 | ||||
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昨年の第一作『パリ警視庁迷宮捜査班』には度肝を抜かれた。個性豊かな困りもの警察官たちがひとところに集められ、世間の眼から隠されるというパリ警視庁の目論見と、それに反して活躍し団結してしまうへんてこなメンバーたちという構図が、ある種典型的でありながら、やはり嬉しいシリーズの登場作であった。 本作は期待のシリーズ第二作。本書では前作登場のメンバー9人に加え、2人のメンバーが順次加わってゆく。さらに前作登場の犬に加えネズミ君も登場して、しっかりコミカル面を演出してくれる。そして難事件への、バリエーション豊かなアプローチと、何よりもクリスマス・ミステリーとしても明るく暖かく楽しめてしまう。 フレンチ・ミステリーとしてぼくが最近注目しているベルナール・ミニエの作品『死者の雨』でも、サッカー・ワールドカップで盛り上がる作品背景が目立ったが、本書ではパリサンジェルマン対チェルシーという仏英サッカー対決に押し寄せたチェルシー側フーリガンを相手に我らが迷宮捜査班が大混戦を惹き起こす。圧巻(?)でものすごくオフビートな読みどころでもあるように思う。 もう一つはクリスマスイブの一日、警察捜査を休んでそれぞれのキャラクターたちが過ごす時間を、愛情いっぱいに描いてゆく作家のペンの行方にも注目したい。暴力的な連続殺人事件と、暗い過去の惨劇を捜査する警察官たちに与えられる中休みのページは、読者の心も温めてくれるはず。 おまけに<死神>と呼ばれる刑事トレズの思わぬ大活躍シーンもオフビートで作品に奥行きとインパクトを与えてくれる。女性作家ならではのハートウォーミングなユーモアに満ちたシーンが、本題に関係なく挿入されるのも本シリーズの魅力の一端である。 本筋のミステリーについては、主人公である警察官たちの内面や家族の歴史にまで食い込む、軽くはない物語である。作品世界に様々な香辛料も加えつつ、甘くて美味しくてピリリと辛い味付けにしている作者の腕前を味わって頂きたく思う。 本書では一部、邦題の元ともなった先としてリヨンでの一幕がある。リヨンは数年前に旅した新旧市街を併せ持つ美しい都市で、本書ではその様子が生き生きと描かれていて、個人的にはとても懐かしく思った。 最後に、本書解説の書評家・大矢博子さんのこと。彼女は翻訳ミステリー対象シンジケート重要メンバーなので、今年になってコロナ禍のためリモート化している読書会で、居住地を問わず全国レベルで北の端っこの読書子のぼくでも画面上ご一緒できるようになった方である。読書会、本書解説、両面で、専門家ならではの貴重な読書情報を提供して頂けるうえに、硬軟併せ持つ書評内容はとても素敵である。本書を手に取って選択を迷われる方は、まず解説に目を通して頂くことをお勧めしておきます。 | ||||
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警察組織になじむわけもない脛に傷を持つ個性豊か、といか破天荒なメンバー(本文中では「みにくいアヒルの子たち」といわれています)が織りなす群像劇。事務所にビリヤード台を設置したり、なぜか世界アイロン選手権に出場するための練習をずっとしてたり、というやりたい放題の警察官たちが大活躍します。この手の「落ちこぼれ突然覚醒系」はもちろん日本、アメリカ、イギリスものはよくありますが、フランスものは初めてでした。 「ハヤカワポケットミステリー」の「ミステリー」部分には予想どおりあまり重きが置かれておらず、「恋愛」「家族」「ドタバタ」「(ちょっとした)アクション」「社会悪」「風刺」「ギャグ」などがちりばめてあります。 残念ながら憧れの南仏プロヴァンスは真冬のため「太陽さんさん、風光明媚、美食、美男美女」ではありませんが、パリの路地裏まで網羅した描写はお見事でした。 | ||||
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上記は1年半ほど前に出た第1巻のあらすじ紹介文の見出しです。当時読んだ時は「スリルと笑い満載」という認識があまりなく警察小説として普通に面白かったのですが、そういえばこの第2巻ではコメディタッチの描写が多くなった気がします。それで本書の値打ちが減じるわけではなく、1巻目を読んだ方なら大所帯の捜査チーム一人ひとりの個人的な事情をこの第2巻でさらに深く知ることが出来て、シリーズ物を読む楽しさが増すでしょう。最近では「ワニ町」シリーズに匹敵する面白い本だと思います。次巻はこのぶっとんだ登場人物たちが何をやってくれるんでしょうか、楽しみです。 | ||||
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前作「パリ警視庁迷宮捜査班」を読んだのが、2019/5月。次の翻訳を待ち望んでいましたが、2020/5月に「集結 P分署捜査班」(マウリツィオ・デ・ジョバンニ)(イタリア版87分署!)を読んだ時点では、その翻訳が途切れたのかと思っていました。 「パリ警視庁迷宮捜査班-魅惑の南仏殺人ツアー」(ソフィー・エナフ、早川書房)を読みました。 パリ司法警察局長・ビュロンから<特別班>リーダー・カペスタンが殺人事件の現場に呼び出されます。何故、<特別班>が呼び出されることになったのか?それは、事件の被害者・リュフュスが、元警視正でありながらカペスタンの別れた夫の父親だったことにありました。しかしながら、組織の厄介者、はみ出し者たちが、よんどころなく集められた<特別班>ですから、本来の捜査部署からは、つまはじきされ、邪魔者扱いされることになります。よって、<特別班>のメンバーたちは、独自のルートから手がかりを求めて捜査を開始します。現場に残された殺人予告のような標識。同時期に起きた南仏プロヴァンスの事件。そして、もうひとつの殺人事件が起こります。<Who-Done-It>と<Why-Done-It>が物語を牽引しますが、特筆すべきはメイン・プロットよりも、はみ出し警部たちの愛すべきキャラクタリゼーション、均等に描かれているかのように見えるそれらのエピソード、いくつかのスラップスティックがあって、今回は2名?のニュー・タイプの警部が加わり、チャーミングな仲間も胸元から顔を出しますよ(笑) 前回の「パリ警視庁迷宮捜査班」をレビューした時、エド・マクベインを引き合いに出しましたが、少し私の見立ては違っていたようです。本シリーズは、すべての愛すべきメンバーが時々でタッグを組みながら、<特別班>全体として行動していきます。その楽しさを明かしてしまうことは、パズラーの仕掛けを紐解くことと同じことになりますので、あまり書かずに済ませたいと思います(笑)。ポルシェ、魅惑のクリスマス・イブ、押し寄せるフーリガン、立ち上るアイロン・スチーム、そして特別な団欒(笑)。読後、これらが欠かせない映画のTrailerのようにフラッシュします。 但し、今回はミステリ的興趣については特筆すべきことはありません。何故かユーモアの裏側にある「悲しみ」も浅く(勿論、浅くとも構わないのですが)、パズラーとしてはアベレージだと感じました。「魅惑の南仏殺人ツアー」というサブタイトルもまた、そぐわない。 とは言え、さり気なく登場するオルセー美術館、「蛇使いの女」(アンリ・ルソー)に触発されて思うことは、アルコール依存症者、ギャンブル依存症者、スピード狂、作家業が本業の片手間警部、元交渉人、サイバー・オタク、ゲイ、「死神」、ダルタニアン、そしてロッククライミング警部たちを操る「蛇使いの女」カペスタンの融通の効いた、愛すべきリーダーぶりにあります。次作も楽しみにしたいと思います。 | ||||
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