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クラウドクラスターを愛する方法
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クラウドクラスターを愛する方法の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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家族を捨てて13歳下の男と結婚生活を営む母。三十のバースデーを迎えた娘 紗登子は、14年振りに再会してから複雑な思いを抱えたままだ。カレシとのゴタつきもあって、つい強い口調で母にあたってしまう。クラウドスター=積乱雲は、太ってモコモコな母の姿を表していて、このタイトルは秀逸。さて、紗登子は、クラウドスターを愛せるのか? 収録作「キャッチアンドリリース」は、離婚家庭の男女中学生の思いがつづられた作品。世間でよく見られる、ちょっとしたやるせない感のある物語。少年少女が、妙にメソメソしていない分、リアルを感じる。 | ||||
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表題作である書き下ろしの中編と、小説現代に発表された短編の「キャッチアンドリリース」のふたつが収められていますが、どちらも両親に振り回される子供の視点から描かれた作品です。 前者は、主人公の女性が、交際している同級生の青年から結婚を匂わされても、どうにも踏み出せない理由として、「いつか自分が売れっ子のイラストレーターになって、この部屋を出ていく将来だって、まだあるかもしれないじゃないか。」はその場しのぎだとしても、やはり幼な子2人を残して出奔した母のことがどうしても許せていないからという構図です。母は母でそこに至るまでの経緯と現在の生活があってという形で作品に奥行きであったり、読者の読みであったりを促したりしていますが、それ以上に主人公の、30歳、独身、仕事の掛け持ちか、誰かのサポートが必要というシチュエーションは意外にありがちで、同じような境遇の読者には主人公の「打算」も身につまされるのではないかと思いました。 後者については、釣り由来な意匠が物語に明確に姿を現す前に紙数が尽きたという印象を受けました。 ただ、個人的に子供と常に関わる仕事をしているので、反抗期であるのならまだしも、あまり健全でない家庭や環境から、子供が巣立とう、距離を置こうとしても、なかなか叶わないケースを目にすることが多いので、読んでいて遣る瀬ない思いに苛まれました。 | ||||
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家族・・。家族というものは、友人知人と違って自分自身に一生まとわりつくもの。切り離そうとしても絶対に切り離せない。くびきのようなものだ。私自身、正直言って家族が重たいと思うことが度々ある。だからこそ、主人公の女性に共感を覚える。過去の記憶を断ち切ろうとしても中々簡単にはいかない。重たいテーマを扱った著者の文章が心をとらえる。家族の問題を抱えている人には是非とも読んで欲しい一冊です。 | ||||
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今、自分的注目の作家ナンバーワンの窪美澄。 今作も基本は家族の何とも解きがたい関係を、うまく描いていた。 もうちょっと掘り下げてもよかった気もするが、これはこれでよかったのかも。 この著者の文章は何か自分の心当たりにサクっと入ってくるから不思議である。 また、今の自分が、もし片親だったら。もし、虐待を受けていたら。 もし、捨てられて両親を知らなかったら。自分というパーソナリティーはどうなっていたのだろうか。 家族から受けるダメージもメリットもすべて、大人の自分に跳ね返ってきてしまうのだろうか。 いろんなことを考えされられる。 | ||||
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この作者のほかの作品に比べると、設定がとても普通です。 ストーリーもこれといった山場があるわけでもありません。 ですから好き嫌いは分かれると思います。でも、私はこの作品にとても救われた気がします。 現代社会において、悩みもがいている人はきっとたくさんいることでしょう。 上手く社会に順応できなくて、周りから責められる日々。 でも誰よりも自分で自分を責めてしまったりして。 「なんで自分はみんなができることが出来ないんだろう。」 「なんで自分はこんな些細なことでつまづいてしまうんだろう。」 今のこの時代、 自信満々で隣の席に座っているあの人だって 本当はそんな思いを抱えているのかもしれないのに。 なんだか自分が社会から取り残されて零れ落ちてしまったような、 出口のない迷宮に迷い込んでしまったような錯覚に陥ってしまっている。 この作品はそんな読者に 「それでもいいんだよ。ほかの誰かがなんて言おうとあなたは間違ってなんかいないよ。」と そう優しく語りかけてくれるかのようでした。 窪美澄というひとは 弱者に やさしい。 「そのまんまのあなたでいいんだよ。」 そう語りかけてくれているようです。 表面上はなんでもないように振る舞い、その実、悩みもがいている私にとって 免罪符のような作品でした。 ・・・と、ここまで書いて・・・ 私もそうとうこの社会に毒されているのかな? だって悩むことは罪ではないはずなのに『免「罪」符』だなんて・・・。 もがいてもがいて 下ばかりみていた私が ふっと顔を上げたとき 優しく微笑みながらそっと手を差し伸べてくれたようなそんな作品でした。 | ||||
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『クラウドクラスターを愛する方法』と『キャッチアンドリリース』2篇が収められている。 著者のこれまでの小説と比べれば、地味で甘いと感じる人もいるだろう。 見過ごされがちな作品かもしれない。 2篇ともさらっと読めてしまうが、細かく陰影が織り込まれた精巧で美しい小説だ。 作家の白石一文が「窪さんの最高傑作」とツイートしていたが(2012年末)それはまったく過剰評価ではない。 窪美澄をとがった表現で不幸を描くことが売りの作家とくくってしまうのはあまりにもったいない。 ここ数年、血縁の家族になじめず男性中心の家族観や母性信仰を乗り越えて新しい家族像を模索するような書き手と作品が多く登場した。 信田さよ子『母が重くてたまらない』田房永子『母がしんどい』村田紗耶香『タダイマトビラ』金原ひとみ『マザーズ』などが代表例だろう。 窪美澄はそうした書き手の一翼で、デビュー以来男女や家族の問題をテーマとしている。 本書はそうしたテーマは変わらず、『ふがいない』『晴天の』と比べると柔らかく明るいタッチで綴られている。 窪美澄作品の大きな特徴の一つが貧困へのまなざしだ。 『ふがいない〜』の福田や『晴天の〜』の由人や野乃花、これまで書かれてきた家庭、労働環境で貧しさ悩むキャラクターを忘れられない読者は多いはずだ。 窪作品のそうしたリアリティーは家庭、仕事、金銭、食べ物、が密接に繋がっていて、しっかり書き込まれていることにある。 家庭がこじれたとき、生活力のない子どもや、経済力のない女にとって、それはそのまま金銭、食べ物、そして飢えに繋がることがはっきりと書かれる。 『クラウドクラスター〜』でも仕事をふってくれる編集者と付き合うことになるフリーのイラストレーターの主人公が交際をやめると同時に バイトの日数や居住地、食べているものを読んでいると彼女の財布の中が見えるようで実際いる人物に思えてきた。 家族や男女の関係に絡め取られ、自分で選択していない不幸を背負ってしまう人物が著者の作品には多い。 本書で一番おだやかなのは『クラウドクラスター〜』で主人公の母の姉妹が集まっている女だけの場面だ。 そこでの「やっぱり女だけがいいよね。あらこれおいしい」というセリフ、これが著者の本音ではないだろうか。 窪作品には父親が出てこない。 出てきても父親として機能していない。 『キャッチ』にも父親が出てくるが二人ともどうしようもない。 著者の作品を読む度に男親に対する怒りを感じる。 『キャッチアンドリリース』は両親がわかれた少年と少女を交互に描く短い作品で、 タイトルはまるで家族という共同体が血であるいは愛情で繋がっていても、 いずれは離れていくかりそめであることを示唆しているようで切ない。 少年と父が釣りに行く場面での 〈どんな方法だって魚はどうせ傷つくんでしょう〉 という言葉は、家族が一緒にいればどうしても傷ついて(つけて)しまうことを示唆する秀逸なセリフだ。 著者の書く子どもがどこか健気でかわいらしい。 わたしはそこに家族でいることを諦めていない著者の優しさと強さを感じる。 著者の怒りより、優しさを強く感じる作品だが、優しいときも窪美澄の小説は怖い。 | ||||
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前作、前前作より大幅ダウン ふが僕のように、もっと果敢に攻めてほしいと思う | ||||
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登場人物のこれまでの人生の視点から、「家族」「自分の居場所」 について描かれているストーリーです。 ふとした瞬間、誰でも思ってしまうのが、 「私はこんなに辛い過去がある」といった過去の荷物。 「この先、生活できるのか?幸せになれるのか?」といった将来の不安。 例えば、実親や義両親の介護、うまくいかない恋愛・結婚生活、 仕事がなくて毎日ギリギリの生活、失くなってしまった家族の絆。 そのような、「自分だけが不幸だ」とか、「周りばかりが幸せに見える」と 思っている人に読んでもらいたい本です。 重たい荷物を下ろすヒントが本書では描かれています。 雨や風もないと、青空は見えないものだから。 読み終えたときは、自分らしく生きればいいのだなとホッとしました。 前作「晴天の迷いクジラ」とは違ったテーマでもありますので、 この本はこの本の良さがあると思います。 ただあと少し、主人公のキャラクターを確立した方が面白くなったのではと感じています。 恐らく、前作までのキャラクターが強烈だったから比較してしまうのかもしれません(笑) 窪さんの本を読むと、いつも心がホッと温まります。 この温もりが欲しくて、また次作も期待しています。 | ||||
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