マイルズの旅路
評判
マイルズの旅路の評価:
4.30/5点 レビュー 10件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1〜2 1/1ページ
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
マイルズの旅路の評価:
4.30/5点 レビュー 10件。 B ランク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
本書の後にも、イワンとコーデリアをそれぞれ主役に据えた長篇が二冊と、エカテリンが主役の中篇がひとつあるように、舞台を同じくする作品は今後も執筆されて、アラールと似た立場で彼が登場する可能性はあるが、おそらくマイルズが主役を張ることは、おそらく著者は考えてないだろう。
と言い切れるほどに、締めくくりは完璧な一文で終わっているし、むしろ蛇足的な「五人の視点からのその後」がさらに追加されている。その締めくくりもこれまたステキだ。
今回の物語は、終始キボウダイニという惑星が舞台となって、シラギク社とニュー・エジプト社という二つの人体冷凍保存会社がそれぞれ関与する別々の事件の顛末が語られる。
シラギク社の陰謀はバラヤー/コマールにとって由々しき問題だし、ニュー・エジプト社の大規模な隠蔽の方は、今後のキボウダイニ社会を揺るがす一大事件ではあるが、マイルズの人生やバラヤー社会にそれほど影響するものではないので、やや小粒感が否めない。
その意味において、本書の題名はいつものように今ひとつそぐわない。【注1】
ただし、急いでフォローしておくが、マイルズの役職である「聴聞卿」の訳は絶品だと思う。
原語は auditor で、辞書をひくと会計検査員、監査役、聴講生、聞く人wとか出てくる。いずれも雰囲気が軽すぎ。
本シリーズは、幾つかの惑星系がワームホールで繋がった宇宙を舞台にしていて、そんな宇宙でマイルズの故郷バラヤーは、人類の入植後にワームホールを使えず孤立した時期が数百年ほどあり、その間軍人貴族による封建社会が構築された。
再接続後に急激に文明化が進んだ反面、皇帝を頂点とする軍人貴族による保守的な封建制は強固に存続されていて、周りからは半野蛮な侵略国家と思われがち。
このような設定が、結構明治時代の日本とダブってしまうのはわたしだけではないだろう。
そんなことを前にも書いた気がするが、著者はロシア貴族を念頭に置いていたらしい。
本作にもバラヤー・ロシア語(p.59)なんて記述がある。
とは言われても、コマール人に関する描写を読んでも、やはり日本を感じてしまうのだがw
そんなことを著者も周りから聞いたことがあるかどうか、本書の舞台は最初から最後まで、そこかしこに日本感漂うキボウダイニである。
翻訳者が著者にレクしたとのことで、現地人の名前にタナカ、サトウ、スズキが制覇されるのを筆頭に、ユウイチ、セイイチロウ、テンノウジなんて人物も登場する。
ついでに言えば、ジンが蜘蛛に名付けるレディ・ムラサキは紫式部のあちら訳だw
ただし、キボウダイニの人口構成に日系は多いのは間違いなかろうが、正式名はニューホープと言うらしく、創始者たちは多民族だったとのこと。【注2】
本書のラスボス枠のニュー・エジプト社の経営陣が、最後まで顔を出さないのは、演出として興味深く感じた。(が、小粒感の要因にもなってるかと……)
個人ではなく、経営陣が悪者ってところはいかにも日本的なようにも思えるが、社長の名前はシロウ・キム(P.345)。ヤベェ~。
いやここでコメントするのは差別扱いされそうなのでやめておくw
このあたり、著者に寓意があるとみるのは買いかぶり過ぎだろう。
名前以外の“日本的な”設定には、外国人が思うおかしな日本あるあるもそこそこあって、シラギク社の敷地に入るのに「巨大な鳥居の下をくぐっ」(P.157)たり、ジンが「初歩の漢字学習の辛さ」(P.176)を感じたという描写がわざわざ……。
後者をおかしく思わない人もいそうだが、漢字の学習に関しては、外国人の大人が考える日本語の難しさを。そのままジンの心情として出してしまった。
マイルズやロイックならともかく、ジンの心情としての描写とするのには違和感を感じてしまう。
漢字は特に頑張って学習するものではないし、少なくとも読みに関しては、本さえ読んでいればいつの間にか身につくものだ。
おかしいというものではないが、「クローゼットと棺の中間のような時間貸しの寝部屋」(P.312)とは、日本のカプセルホテルが著者の念頭にあったのだろう。
とまぁ、掉尾作のわりに小粒なのは、マイルズがすっかり落ち着いてしまったことにもあるのだが、一方でロイックやジンの視点を借りて、彼に持てる者のナチュラルな無神経さのようなものが顔を出したりしているとあるのが興味深い。
捜査官として、ロイックが有能なことがわかったのも嬉しいw
【注1】原題は、ちょいと調べても出てこなかったので、著者の造語かもしれないが、訳してみると、『極低温やけど』となろうか。題名にするには少々キビシイ。思考停止だが、『クライオバーン』とするのが無難でよかったかな。
【注2】ニューホープと名付けられた惑星は二つあって、区別のためのあって、キボウダイニと呼ばれるとか。