忘れられた巨人

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忘れられた巨人の評価:

3.88/5点 レビュー 139件。 A ランク

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平均点3.88pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全178件 141〜160 8/9ページ
No.38
(4pt)

一人で生きよ、と言うか。

忘却がもたらしたあいまいな平安を、真実が打ちのめす。かすかな不満で結ばれた協定は、過去が暴き出されるとともに粉々に粉砕される。
それでも歴史を背負って、私たちは苦しみ続けなくてはならないのか。世界的に民族主義が高まり、宗教も先鋭化している。そうして私たちは自らお互いを遠ざけながら時代を進まなくてはならないのか。孤独と不安に立ちすくむ結末だった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.37
(4pt)

一人で生きよ、と言うか。

忘却がもたらしたあいまいな平安を、真実が打ちのめす。かすかな不満で結ばれた協定は、過去が暴き出されるとともに粉々に粉砕される。
それでも歴史を背負って、私たちは苦しみ続けなくてはならないのか。世界的に民族主義が高まり、宗教も先鋭化している。そうして私たちは自らお互いを遠ざけながら時代を進まなくてはならないのか。孤独と不安に立ちすくむ結末だった。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.36
(5pt)

忘れられた巨人とは? カズオ・イシグロの世界は深い

先日、BSでカズオ・イシグロの出版記念講演会を観た。
カズオ・イシグロは好きな作家だから、遅い時間だったが、
頑張って起きて観た。本当に良かった!

丁寧に考えながら彼が話すのを聴いて、今、この作品を読むと、語り口そのものが、
文章となっていたのだと感じさせられて読んだ。

記憶が薄れていく世界で、老夫婦の旅が始まる。
彼らの過去は語られず、不確かに、でも居ると思っている息子を
訪ねて村を出ていく。年老いた二人は集落で孤立していた。
だから、息子の村の場所さえ確かではないのに訪ねようと決心する。

そういう心を決める事も、記憶が薄れゆく、もやっとした世界では、
中々決められなかったのだが、ようやく旅立つことになる。

彼らの旅に、アーサー王の騎士ガウェインが登場し、ウェスティンという、
サクソン人の騎士と出会うと、旅の様子が、目的も変わってくる。

出会いの都度、彼らの旅は困難になり、息子の村は遠ざかるかのよう。
息をつくと息子は思い出されるが、目の前の難題に向き合わなくて
はならないし、それを解決することも、もはや無理だとさえ思わされる。

途中で行き会った老婆たちの話が妙に記憶に刻まれる。
「島へは一人しか渡れない。夫婦の愛を確かめられる。
本当に二人が愛し合っているかを、渡し守が試すのだと言う。」

記憶を消していた竜を退治すると、サクソン人とブリトン人の
戦いが呼び起される。アーサー王が守ろうとしていたものは、
何だったのか。

老夫婦がたどり着いた渡し場では、渡し守が待っている。
小舟は小さく弱った妻を先に一人で乗せるしかない。
霧がはれてくると、記憶はよみがえり、訪ねようとしていた息子は思い出の中にいる。
夫は岸辺に立って妻の乗る船を見送る。すぐに行くからと声をかけて。

人の記憶とは何か?
人は忘れることで生きているのかもしれない。

何もかもが鮮明に記憶されていたら、苦しくていたたまれないかも。

この作品はアーサー王伝説やイギリスの歴史を、
こういった物語に組み込んで、人間とは?や年を取っていく事への
怖れや悲しみをつづっている。

カズオ・イシグロは巧みな書き手だと思う。
本人も言っている様に、前作とは全く違った設定でありながら、
彼の作品に共通の、人間が生きる事への温かいまなざしがある。
それは、厳しい人間観察の上で書かれているのだろう。
久しぶりに物語の世界に没頭した。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.35
(5pt)

忘れられた巨人とは? カズオ・イシグロの世界は深い

先日、BSでカズオ・イシグロの出版記念講演会を観た。
カズオ・イシグロは好きな作家だから、遅い時間だったが、
頑張って起きて観た。本当に良かった!

丁寧に考えながら彼が話すのを聴いて、今、この作品を読むと、語り口そのものが、
文章となっていたのだと感じさせられて読んだ。

記憶が薄れていく世界で、老夫婦の旅が始まる。
彼らの過去は語られず、不確かに、でも居ると思っている息子を
訪ねて村を出ていく。年老いた二人は集落で孤立していた。
だから、息子の村の場所さえ確かではないのに訪ねようと決心する。

そういう心を決める事も、記憶が薄れゆく、もやっとした世界では、
中々決められなかったのだが、ようやく旅立つことになる。

彼らの旅に、アーサー王の騎士ガウェインが登場し、ウェスティンという、
サクソン人の騎士と出会うと、旅の様子が、目的も変わってくる。

出会いの都度、彼らの旅は困難になり、息子の村は遠ざかるかのよう。
息をつくと息子は思い出されるが、目の前の難題に向き合わなくて
はならないし、それを解決することも、もはや無理だとさえ思わされる。

途中で行き会った老婆たちの話が妙に記憶に刻まれる。
「島へは一人しか渡れない。夫婦の愛を確かめられる。
本当に二人が愛し合っているかを、渡し守が試すのだと言う。」

記憶を消していた竜を退治すると、サクソン人とブリトン人の
戦いが呼び起される。アーサー王が守ろうとしていたものは、
何だったのか。

老夫婦がたどり着いた渡し場では、渡し守が待っている。
小舟は小さく弱った妻を先に一人で乗せるしかない。
霧がはれてくると、記憶はよみがえり、訪ねようとしていた息子は思い出の中にいる。
夫は岸辺に立って妻の乗る船を見送る。すぐに行くからと声をかけて。

人の記憶とは何か?
人は忘れることで生きているのかもしれない。

何もかもが鮮明に記憶されていたら、苦しくていたたまれないかも。

この作品はアーサー王伝説やイギリスの歴史を、
こういった物語に組み込んで、人間とは?や年を取っていく事への
怖れや悲しみをつづっている。

カズオ・イシグロは巧みな書き手だと思う。
本人も言っている様に、前作とは全く違った設定でありながら、
彼の作品に共通の、人間が生きる事への温かいまなざしがある。
それは、厳しい人間観察の上で書かれているのだろう。
久しぶりに物語の世界に没頭した。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.34
(5pt)

構成が見事で、ただただ感心しました

イシグロ作品はどの作品を読んでも作りがあまりに見事で、日本文学じゃないのが何だかとても悔しくなります。

この作品は、日本では仏教が伝来した頃の、アーサー王時代の英国を舞台にした物語です。

舞台は古代ですが、個人の中でぶつかり合う二つのアイデンティティ、「自分は何人か?」に基づく民族の記憶と「自分が愛しているのは誰か?」という個人の記憶の相克という近代的なテーマを扱っています。
(家族か国家かという選択をせまるところは、思いっきり現代のインテリジェンス小説と同じ構造なのですが、それをファンタジーでやっているところがすごい……)

竜の吐息によって生じた霧で、人々の記憶にも靄がかかってしまう、という道具立てをすんなり受け入れさせてしまう設定も、全く見事だと思います。

ボンヤリした記憶をハッキリさせるために進む人々と、それを阻止しようとする人々……
やがてその対立が長年連れ添った夫婦の間にも訪れて……

読み終わって、何日間も胸の裡に重い物を残していく物語でした。

読みやすいのに、かなり重い、不思議な目方をした作品です。

とても悔しいことですが、あちらの方ではまだまだ文学がビチビチ生きているのだな……という気配を感じさせました。

かなりお勧めできる佳作です。

他の作品も読むと、この作者の攻めの姿勢にもっとびっくりすること請け合いです。
思い切り攻めて、どこまでも上品な作品ばかりです。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.33
(5pt)

構成が見事で、ただただ感心しました

イシグロ作品はどの作品を読んでも作りがあまりに見事で、日本文学じゃないのが何だかとても悔しくなります。

この作品は、日本では仏教が伝来した頃の、アーサー王時代の英国を舞台にした物語です。

舞台は古代ですが、個人の中でぶつかり合う二つのアイデンティティ、「自分は何人か?」に基づく民族の記憶と「自分が愛しているのは誰か?」という個人の記憶の相克という近代的なテーマを扱っています。
(家族か国家かという選択をせまるところは、思いっきり現代のインテリジェンス小説と同じ構造なのですが、それをファンタジーでやっているところがすごい……)

竜の吐息によって生じた霧で、人々の記憶にも靄がかかってしまう、という道具立てをすんなり受け入れさせてしまう設定も、全く見事だと思います。

ボンヤリした記憶をハッキリさせるために進む人々と、それを阻止しようとする人々……
やがてその対立が長年連れ添った夫婦の間にも訪れて……

読み終わって、何日間も胸の裡に重い物を残していく物語でした。

読みやすいのに、かなり重い、不思議な目方をした作品です。

とても悔しいことですが、あちらの方ではまだまだ文学がビチビチ生きているのだな……という気配を感じさせました。

かなりお勧めできる佳作です。

他の作品も読むと、この作者の攻めの姿勢にもっとびっくりすること請け合いです。
思い切り攻めて、どこまでも上品な作品ばかりです。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.32
(4pt)

BELIEVE IN LOVE ?

国家の歴史と、個人の歴史。作者はインタビューで我々の国もそろそろ”忘れられた巨人”に向き合うことができるとおっしゃっているが、はたしてどうだろうか。
思い出したくない記憶に向き合うことが成熟の証だと。

愛や結婚については、作者のメッセージに共感しつつ読む。フィクションではない愛の存在について強く信じられる本。
前作よりも今作のほうが愛の存在がより前面にでている印象で、作者の愛についての自負も感じた。
私もそういった人生を歩みたい。そしていつかあそこへ
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.31
(4pt)

BELIEVE IN LOVE ?

国家の歴史と、個人の歴史。作者はインタビューで我々の国もそろそろ”忘れられた巨人”に向き合うことができるとおっしゃっているが、はたしてどうだろうか。
思い出したくない記憶に向き合うことが成熟の証だと。

愛や結婚については、作者のメッセージに共感しつつ読む。フィクションではない愛の存在について強く信じられる本。
前作よりも今作のほうが愛の存在がより前面にでている印象で、作者の愛についての自負も感じた。
私もそういった人生を歩みたい。そしていつかあそこへ
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.30
(5pt)

忘れられる権利

人間はいつか死ぬ。不安を乗り越えるために、楽しいことは良く覚え、辛い悲しいことは霧に包んで記憶する。雌竜の息で、隠したい、忘れたいと思うことは、個人にも、国家や民族といった集団でも常に持ち合わせている。センサ、ネットワーク、人工知能、の発達により、忘れられる権利を全て失う日が近づいている。雌竜が死んだ後の世界を我々は生きて行けるのだろうか。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.29
(5pt)

忘れられる権利

人間はいつか死ぬ。不安を乗り越えるために、楽しいことは良く覚え、辛い悲しいことは霧に包んで記憶する。雌竜の息で、隠したい、忘れたいと思うことは、個人にも、国家や民族といった集団でも常に持ち合わせている。センサ、ネットワーク、人工知能、の発達により、忘れられる権利を全て失う日が近づいている。雌竜が死んだ後の世界を我々は生きて行けるのだろうか。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.28
(5pt)

静かな静かな、深い深い物語。作品中に重要な意味を持つ記憶と「霧」。いい作品に出会えた。

私にとって、初イシグロ作品。
感動した。
よい作品に出会えたなあと感慨深い読後感。
老夫婦が、息子を訪ねる旅に出かけるところから始まる。
導入部から、イングランド、ブリテン島の霧と、老夫婦の感ずる記憶のあいまいさが絡んでいて、静かさと、文面に漂う重さ、深さの虜になった。
アーサー王の伝説の取り扱い方がいいなあと思った。
ファンタジーといえばファンタジーなのであろうが、ファンタジーと一言でくくるべきではない何かもっと深いものを感じる。
終盤、特にラスト、ただの良いお話にしてしまわず、余韻があっていいと思った。

カズオ・イシグロ作品は初めてだったがとても気に入った。
他の作品もぜひ読まなければと思う。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.27
(5pt)

静かな静かな、深い深い物語。作品中に重要な意味を持つ記憶と「霧」。いい作品に出会えた。

私にとって、初イシグロ作品。
感動した。
よい作品に出会えたなあと感慨深い読後感。
老夫婦が、息子を訪ねる旅に出かけるところから始まる。
導入部から、イングランド、ブリテン島の霧と、老夫婦の感ずる記憶のあいまいさが絡んでいて、静かさと、文面に漂う重さ、深さの虜になった。
アーサー王の伝説の取り扱い方がいいなあと思った。
ファンタジーといえばファンタジーなのであろうが、ファンタジーと一言でくくるべきではない何かもっと深いものを感じる。
終盤、特にラスト、ただの良いお話にしてしまわず、余韻があっていいと思った。

カズオ・イシグロ作品は初めてだったがとても気に入った。
他の作品もぜひ読まなければと思う。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.26
(4pt)

難しい?

何時ものななめ読みでは理解できませんでした。もう一度読んでみましょう。そして原文を読んでみます。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.25
(4pt)

難しい?

何時ものななめ読みでは理解できませんでした。もう一度読んでみましょう。そして原文を読んでみます。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.24
(5pt)

広い世界の記憶改変にテーマが深化している!

巨匠、イシグロ・カズオ10年ぶり7作目の長編。
しかし還暦で7作目とは、つくづく世界各国原語で読まれる
英語圏作家の発刊ペースはうらやましい。

4作目から毎回激しくその作風と物語舞台を変えてきている
イシグロだが、本書も読み始めれば、処女作から引き摺る
テーマが特に変化していないことにすぐ気付く。
この点はテーマが常に変化し続ける村上春樹とは大きく違う。

本作でもイシグロは、記憶と夢、改変される現実に焦点を
当ててはいる。しかし今まで個人や家族といった、
狭い世界の記憶から物語が紡がれていたのに対し、
本書では民族や地方といった広い世界の記憶改変に
テーマが深化している点は目新しい。その舞台が
アーサー王時代である必要については賛否両論分れるだろうが。

アーサー王伝説につき、知らなくても本書通読に支障はないが、
ラスト、老夫婦が渡ろうとする島がどんな島なのか、
伝説を知っていれば理解が深まることは間違いない。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.23
(5pt)

広い世界の記憶改変にテーマが深化している!

巨匠、イシグロ・カズオ10年ぶり7作目の長編。
しかし還暦で7作目とは、つくづく世界各国原語で読まれる
英語圏作家の発刊ペースはうらやましい。

4作目から毎回激しくその作風と物語舞台を変えてきている
イシグロだが、本書も読み始めれば、処女作から引き摺る
テーマが特に変化していないことにすぐ気付く。
この点はテーマが常に変化し続ける村上春樹とは大きく違う。

本作でもイシグロは、記憶と夢、改変される現実に焦点を
当ててはいる。しかし今まで個人や家族といった、
狭い世界の記憶から物語が紡がれていたのに対し、
本書では民族や地方といった広い世界の記憶改変に
テーマが深化している点は目新しい。その舞台が
アーサー王時代である必要については賛否両論分れるだろうが。

アーサー王伝説につき、知らなくても本書通読に支障はないが、
ラスト、老夫婦が渡ろうとする島がどんな島なのか、
伝説を知っていれば理解が深まることは間違いない。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.22
(4pt)

アーサー大王の伝説の世界を旅する老夫婦の物語

アーサー大王の伝説の世界を旅する老夫婦の物語
 2005年にイギリスのブッカー賞を獲得した有名な「私を離さないで」を執筆したカズオ・イシグロの最新作だ。
著者は幼い頃、長崎からイギリスに渡り英国籍でイギリス文壇で活躍している。チョット「私を離さないで」を振
り返って見よう。臓器移植のドナーとして集められた青少年を管理する特別な施設、その管理と運営、ドナー
達の教育と派遣等、このオゾマシイ仮想の世界におけるドナー達の心理描写がたんたんと語られて行く。思わ
ず最後まで読まされてしまった。  
 今回はイギリス中世のアーサー大王の伝説の世界に生きる、庶民の老夫婦が息子を訪ねる旅物語だ。日本
人にはあまり馴染みの無い世界なので、前もってウィキペディアで「アーサー王」を検索して目を通しておくこと
をお勧めする。特にブリトン人とサクソン人の確執の関係とか。例えが適切かどうか解らないが「南総里見八犬
伝」を舞台にした物語のようなものかもしれない。なにしろトラブルに巻き込まれた老夫婦を取り巻くのは、ヒー
ロー戦士、甲冑に身を包んだアーサー王の命を受けた老騎士、鬼とか竜とか修道院とか全くファンタジーの世
界だ。丁度パソコンゲームの「ドラゴン・クエスト」を連想してしまう。紆余曲折延々と旅は続くが、結局老夫婦の
愛の物語である。最後まで目を通したが、この特殊な環境での比喩を日本人が理解するには少し難かしいと
感じた。
 もし「私を離さないで」を読んでいない方は、イシグロ作品を理解するのにはこちらの方がお奨めだ。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.21
(4pt)

アーサー大王の伝説の世界を旅する老夫婦の物語

アーサー大王の伝説の世界を旅する老夫婦の物語
 2005年にイギリスのブッカー賞を獲得した有名な「私を離さないで」を執筆したカズオ・イシグロの最新作だ。
著者は幼い頃、長崎からイギリスに渡り英国籍でイギリス文壇で活躍している。チョット「私を離さないで」を振
り返って見よう。臓器移植のドナーとして集められた青少年を管理する特別な施設、その管理と運営、ドナー
達の教育と派遣等、このオゾマシイ仮想の世界におけるドナー達の心理描写がたんたんと語られて行く。思わ
ず最後まで読まされてしまった。  
 今回はイギリス中世のアーサー大王の伝説の世界に生きる、庶民の老夫婦が息子を訪ねる旅物語だ。日本
人にはあまり馴染みの無い世界なので、前もってウィキペディアで「アーサー王」を検索して目を通しておくこと
をお勧めする。特にブリトン人とサクソン人の確執の関係とか。例えが適切かどうか解らないが「南総里見八犬
伝」を舞台にした物語のようなものかもしれない。なにしろトラブルに巻き込まれた老夫婦を取り巻くのは、ヒー
ロー戦士、甲冑に身を包んだアーサー王の命を受けた老騎士、鬼とか竜とか修道院とか全くファンタジーの世
界だ。丁度パソコンゲームの「ドラゴン・クエスト」を連想してしまう。紆余曲折延々と旅は続くが、結局老夫婦の
愛の物語である。最後まで目を通したが、この特殊な環境での比喩を日本人が理解するには少し難かしいと
感じた。
 もし「私を離さないで」を読んでいない方は、イシグロ作品を理解するのにはこちらの方がお奨めだ。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.20
(4pt)

カズオイシグロ好きにはたまらない本。でも初心者は・・?

カズオイシグロのフィクションを描く力にいつも感嘆させられる。日本人の小説も昔はこのような緻密な構成力と描写力、複雑な人間像を描くことができたような気がするが、今は、短時間で書き上げたような感性的な作品が多い。
その中でこういった小説を読むと、世界の広さを再確認させられる。
アーサー王時代のイギリス内の民族紛争を背景に、ファンタジー要素を、ファンタジー的ではなく、リアルに描く彼の力は見事だ。誰が善人で、誰が悪人か、などの単純な描き方をしていない事が、さらなるリアルな人間像を生んでいる。
ただ、かなり緻密に読んでいかないと、伏線を見逃し、展開についていけないかもしれない。ラストまで読んで、再度読み返したくなる本。
さすが、10年の歳月をかけただけの本だと思う。

ただ、カズオイシグロを初めて読む人は「私を離さないで」など、もう少しとっつきやすい本で彼のスタイルに慣れてからでないと、この本の良さを分かるのは難しいかもしれない。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.19
(4pt)

カズオイシグロ好きにはたまらない本。でも初心者は・・?

カズオイシグロのフィクションを描く力にいつも感嘆させられる。日本人の小説も昔はこのような緻密な構成力と描写力、複雑な人間像を描くことができたような気がするが、今は、短時間で書き上げたような感性的な作品が多い。
その中でこういった小説を読むと、世界の広さを再確認させられる。
アーサー王時代のイギリス内の民族紛争を背景に、ファンタジー要素を、ファンタジー的ではなく、リアルに描く彼の力は見事だ。誰が善人で、誰が悪人か、などの単純な描き方をしていない事が、さらなるリアルな人間像を生んでいる。
ただ、かなり緻密に読んでいかないと、伏線を見逃し、展開についていけないかもしれない。ラストまで読んで、再度読み返したくなる本。
さすが、10年の歳月をかけただけの本だと思う。

ただ、カズオイシグロを初めて読む人は「私を離さないで」など、もう少しとっつきやすい本で彼のスタイルに慣れてからでないと、この本の良さを分かるのは難しいかもしれない。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369