忘れられた巨人

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忘れられた巨人の評価:

3.88/5点 レビュー 139件。 A ランク

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平均点3.88pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全178件 21〜40 2/9ページ
No.158
(5pt)

記憶の魔術師

血塗られた歴史、恨みと復讐の連鎖は、忘却によってしか断ち切ることはできないのか?
簡単には答えの出せない、難しい問いかけです。
しかし、イシグロは、結局は、魔法はいつかは解けるように、記憶や歴史の良い部分だけを引き継ぐことはできないことを描いているように思います。過去を引き受けた上で、それを乗り越えること、少なくとも乗り越えようとお互いに努力するしかない、と。作中の老夫婦が、何があっても現在のお互いの愛に変わりはないことを誓い合ったように。
また、長く敵の中で育ったがゆえに、非情になり切れない戦士や、世話になった老夫婦は、種族の恨みと復讐の対象外と考えるサクソン人の少年の姿に、イシグロの示唆と希望を見て取ることができるような気がします。

アーサー王だの鬼だの妖精だのと、これまで読んだイシグロ作品には見られなかったファンタジーっぽい道具立てや寓話的な雰囲気(もしかして村上春樹の影響?)は異色なのかもしれませんが、徐々に記憶の霧が晴れて真実が明らかになっていく様は、スリリングでもあり、登場人物たちの魅力的な造形と相俟って、エンターテインメントとしても一級品だと思います。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.157
(5pt)

記憶の魔術師

血塗られた歴史、恨みと復讐の連鎖は、忘却によってしか断ち切ることはできないのか?
簡単には答えの出せない、難しい問いかけです。
しかし、イシグロは、結局は、魔法はいつかは解けるように、記憶や歴史の良い部分だけを引き継ぐことはできないことを描いているように思います。過去を引き受けた上で、それを乗り越えること、少なくとも乗り越えようとお互いに努力するしかない、と。作中の老夫婦が、何があっても現在のお互いの愛に変わりはないことを誓い合ったように。
また、長く敵の中で育ったがゆえに、非情になり切れない戦士や、世話になった老夫婦は、種族の恨みと復讐の対象外と考えるサクソン人の少年の姿に、イシグロの示唆と希望を見て取ることができるような気がします。

アーサー王だの鬼だの妖精だのと、これまで読んだイシグロ作品には見られなかったファンタジーっぽい道具立てや寓話的な雰囲気(もしかして村上春樹の影響?)は異色なのかもしれませんが、徐々に記憶の霧が晴れて真実が明らかになっていく様は、スリリングでもあり、登場人物たちの魅力的な造形と相俟って、エンターテインメントとしても一級品だと思います。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.156
(5pt)

エレジー

文学によるエレジーのように感じる。時間が石臼のように記憶を粉々に砕いてゆくさまを描いた小説は少なくない。イシグロが取り上げたのは、個の記憶が忘れられてゆくならば、その総体である「社会の記憶」はどうなるのかということだと思う。イシグロは、平和の盟約や戦争の記憶を取り上げて、社会の記憶さえも茫漠とした何者かの中で薄れる様子を描いている。しっかりと映像や文字情報が残る現代社会でも、歴史歪曲などの非難をし合う国々がある。イシグロは身近な者をレンズにして普遍的に起こり得る人間の持つ力の哀しさを描いている。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.155
(5pt)

エレジー

文学によるエレジーのように感じる。時間が石臼のように記憶を粉々に砕いてゆくさまを描いた小説は少なくない。イシグロが取り上げたのは、個の記憶が忘れられてゆくならば、その総体である「社会の記憶」はどうなるのかということだと思う。イシグロは、平和の盟約や戦争の記憶を取り上げて、社会の記憶さえも茫漠とした何者かの中で薄れる様子を描いている。しっかりと映像や文字情報が残る現代社会でも、歴史歪曲などの非難をし合う国々がある。イシグロは身近な者をレンズにして普遍的に起こり得る人間の持つ力の哀しさを描いている。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.154
(5pt)

抽象度の高いフィクションから現在を逆照射するリアリティのある面白さ

面白かったです。

しょっぱなの人々の記憶を消してしまう霧、からいきなり引き込まれます。
舞台は遥か昔のイギリスの森、城、海、島といったものですが、そこから現在進行形の世界の諸問題を炙り出すように書ききれる才能がすごいですね。
一言でいってこれだけの抽象度の高いフィクションなのに、リアリティを感じれる作品は少ないかもしれないと思いました。
お奨めです!
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.153
(4pt)

何か若い頃の切ない気持ち

読んでからかなり日が経つけど、たびたび、忘却に関して思い出す。
なんかもやっとした忘却。
それは若い頃の忘れかけた感傷的な気持ち。(私はもういい歳)
最後の別れがとくに切なかった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.152
(5pt)

抽象度の高いフィクションから現在を逆照射するリアリティのある面白さ

面白かったです。

しょっぱなの人々の記憶を消してしまう霧、からいきなり引き込まれます。
舞台は遥か昔のイギリスの森、城、海、島といったものですが、そこから現在進行形の世界の諸問題を炙り出すように書ききれる才能がすごいですね。
一言でいってこれだけの抽象度の高いフィクションなのに、リアリティを感じれる作品は少ないかもしれないと思いました。
お奨めです!
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.151
(4pt)

何か若い頃の切ない気持ち

読んでからかなり日が経つけど、たびたび、忘却に関して思い出す。
なんかもやっとした忘却。
それは若い頃の忘れかけた感傷的な気持ち。(私はもういい歳)
最後の別れがとくに切なかった。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.150
(5pt)

船頭のメタファー、なにより息子に会いたい母親の愛。

船頭が象徴するのは、離別である。日本人的には三途の川を渡るということである。つまり、死別。最初に出てきた船頭が示したのがこれじゃないかと思っていた。そうして最後に出てきた船頭のシーンで確信した。アクセルはそれ(死別)を悟って歩き出していた。クエリグはマインドコントロールのメタファーですね。戦士が少年に引き継いだ憎悪の連鎖は、きっと永遠に消えないということなのですね。自分の世界ではここまでの激情は感じないですが、それはやられた側でないとわからないことか。妻の不貞にも耐えた、アクセルの最後がかわいそうでした。しかし、お姫様は息子が待つ死の世界へと旅立つのでした。一刻も早く息子に会いたいのです。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.149
(5pt)

船頭のメタファー、なにより息子に会いたい母親の愛。

船頭が象徴するのは、離別である。日本人的には三途の川を渡るということである。つまり、死別。最初に出てきた船頭が示したのがこれじゃないかと思っていた。そうして最後に出てきた船頭のシーンで確信した。アクセルはそれ(死別)を悟って歩き出していた。クエリグはマインドコントロールのメタファーですね。戦士が少年に引き継いだ憎悪の連鎖は、きっと永遠に消えないということなのですね。自分の世界ではここまでの激情は感じないですが、それはやられた側でないとわからないことか。妻の不貞にも耐えた、アクセルの最後がかわいそうでした。しかし、お姫様は息子が待つ死の世界へと旅立つのでした。一刻も早く息子に会いたいのです。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.148
(5pt)

よかった

オーディオブックで聞きました。
自分では読みきれないほどの本も
聞くことができてよかったです。朗読者は一人なのに
人物の声を見事に使い分けていて感心しました。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.147
(5pt)

よかった

オーディオブックで聞きました。
自分では読みきれないほどの本も
聞くことができてよかったです。朗読者は一人なのに
人物の声を見事に使い分けていて感心しました。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.146
(4pt)

霧が晴れぬまま余韻を残して終わった作品

読後に余韻の残る秀作だと感じるが、その解釈は難しい。所々矛盾した場面もあるし、象徴的で、どうとでも捉えることのできる表現もある。霧に包まれたような作品である。クライマックスの終盤は、どのような結末を迎えるのか、最期の最期まで分からず、結局、読者の想像に委ねる終わり方であった。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.145
(4pt)

霧が晴れぬまま余韻を残して終わった作品

読後に余韻の残る秀作だと感じるが、その解釈は難しい。所々矛盾した場面もあるし、象徴的で、どうとでも捉えることのできる表現もある。霧に包まれたような作品である。クライマックスの終盤は、どのような結末を迎えるのか、最期の最期まで分からず、結局、読者の想像に委ねる終わり方であった。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.144
(5pt)

There is the berried giant beyond in our imaginations , not in the book.

英語版を先に読んでから、図書館で日本語版を読んで、やはり原書とは物語のニュアンスが僅かに違いますね。ただ、作者のインタビューも見ましたが、結局過去の世界的悲劇を投影している、そして、見える巨人(列強国アメリカなど)とそれを生み出した根源(忘れられた巨人)は終わらない憎悪を本書で描いていると思います。つまり、各々のキャラクターを深く考えず、KAZUO ISHIGUROの投影したい全体像を意識して読めば、霧は晴れていくと思います。良作でした!
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.143
(5pt)

There is the berried giant beyond in our imaginations , not in the book.

英語版を先に読んでから、図書館で日本語版を読んで、やはり原書とは物語のニュアンスが僅かに違いますね。ただ、作者のインタビューも見ましたが、結局過去の世界的悲劇を投影している、そして、見える巨人(列強国アメリカなど)とそれを生み出した根源(忘れられた巨人)は終わらない憎悪を本書で描いていると思います。つまり、各々のキャラクターを深く考えず、KAZUO ISHIGUROの投影したい全体像を意識して読めば、霧は晴れていくと思います。良作でした!
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.142
(5pt)

記憶、忘却の意味

カズオ・イシグロの本にはそれぞれ大きなテーマが設定されている。今回は、記憶と忘却。
亡くなった人の思い出や、悲しい事件や戦争など。その記憶をいつまでも心にとどめることが、
反省や救いにつながるが、一方で、忘れることによって平和や調和がもたらされ、前に進めることもある。
この作品のモチーフは旧ユーゴスラビア紛争のようだが、読み進めるうちに、ナチスドイツによるホロコースト、日中関係、日韓関係、原爆、そして身の回りで起きた些細な事柄、恨む気持ち、許す気持ちなど、記憶にまつわるさまざまなテーマに思いを巡らせた。ファンタジックな物語に引き込みながら、深く重いテーマを読者に考えさせる技法はやはり秀逸だと感じた。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.141
(5pt)

記憶、忘却の意味

カズオ・イシグロの本にはそれぞれ大きなテーマが設定されている。今回は、記憶と忘却。
亡くなった人の思い出や、悲しい事件や戦争など。その記憶をいつまでも心にとどめることが、
反省や救いにつながるが、一方で、忘れることによって平和や調和がもたらされ、前に進めることもある。
この作品のモチーフは旧ユーゴスラビア紛争のようだが、読み進めるうちに、ナチスドイツによるホロコースト、日中関係、日韓関係、原爆、そして身の回りで起きた些細な事柄、恨む気持ち、許す気持ちなど、記憶にまつわるさまざまなテーマに思いを巡らせた。ファンタジックな物語に引き込みながら、深く重いテーマを読者に考えさせる技法はやはり秀逸だと感じた。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369
No.140
(5pt)

『忘れられた巨人』で、カズオ・イシグロは何を訴えたかったのか

寡作で知られ、一作ごとに新たな作風に果敢に挑戦することを自分に課しているカズオ・イシグロという作家は、文学界の修行僧を思わせる。『忘れられた巨人』(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、ハヤカワepi文庫)では、ファンタジー的要素を存分に取り込んでいる。

5~6世紀に、ブリテン島(グレイト・ブリテン島)に住むケルト系のブリトン人を率いて、侵略してきたゲルマン系のサクソン人を撃退したとされる伝説上の人物・アーサー王の死後間もなくという時代に舞台が設定されている。

ブリトン人のアクセルとベアトリスという老夫婦は、記憶がもう一つ定かではないのだが、自分たちの下を去った息子に会うため、長年暮らした村を後にする。ブリトン人が後ろ盾としている雌竜・クエリグを殺すことを自分たちの王から命じられているサクソン人の勇敢な若い戦士・ウェスタン、悪鬼に噛まれた者はいずれ悪鬼になるという迷信から、ブリトン人たちに迫害され、ウェスタンに助け出されたサクソン人の少年・エドウィン、雌竜を守ることを自らの使命と考えている、アーサー王の甥の老騎士・ガウェイン卿、サクソン人と戦うため修道院に集う大勢のブリトン人修道僧たち、不思議な船頭、悪鬼、薄気味わるい妖精、人々の記憶を奪う息を吐き続ける雌竜などとの――その旅の途上における、さまざまな出会いが描かれていく。

繰り返される民族間の対立・抗争を終わらせるにはどうすればいいのか、自分の過去を知ることが幸せなのか、知らないままのほうが幸せなのか、相手の不倫も寛容に許すのが愛なのか――民族間の対立、記憶、愛について、君は真剣に考えたことがあるのかと、イシグロは問い掛けているのだろう。
忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)より
4151200916
No.139
(5pt)

『忘れられた巨人』で、カズオ・イシグロは何を訴えたかったのか

寡作で知られ、一作ごとに新たな作風に果敢に挑戦することを自分に課しているカズオ・イシグロという作家は、文学界の修行僧を思わせる。『忘れられた巨人』(カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、ハヤカワepi文庫)では、ファンタジー的要素を存分に取り込んでいる。

5~6世紀に、ブリテン島(グレイト・ブリテン島)に住むケルト系のブリトン人を率いて、侵略してきたゲルマン系のサクソン人を撃退したとされる伝説上の人物・アーサー王の死後間もなくという時代に舞台が設定されている。

ブリトン人のアクセルとベアトリスという老夫婦は、記憶がもう一つ定かではないのだが、自分たちの下を去った息子に会うため、長年暮らした村を後にする。ブリトン人が後ろ盾としている雌竜・クエリグを殺すことを自分たちの王から命じられているサクソン人の勇敢な若い戦士・ウェスタン、悪鬼に噛まれた者はいずれ悪鬼になるという迷信から、ブリトン人たちに迫害され、ウェスタンに助け出されたサクソン人の少年・エドウィン、雌竜を守ることを自らの使命と考えている、アーサー王の甥の老騎士・ガウェイン卿、サクソン人と戦うため修道院に集う大勢のブリトン人修道僧たち、不思議な船頭、悪鬼、薄気味わるい妖精、人々の記憶を奪う息を吐き続ける雌竜などとの――その旅の途上における、さまざまな出会いが描かれていく。

繰り返される民族間の対立・抗争を終わらせるにはどうすればいいのか、自分の過去を知ることが幸せなのか、知らないままのほうが幸せなのか、相手の不倫も寛容に許すのが愛なのか――民族間の対立、記憶、愛について、君は真剣に考えたことがあるのかと、イシグロは問い掛けているのだろう。
忘れられた巨人 Amazon書評・レビュー: 忘れられた巨人より
4152095369