浮世の画家

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評判

浮世の画家の評価:

3.98/5点 レビュー 56件。 D ランク

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平均点3.98pt

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全116件 101〜116 6/6ページ
No.16
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.15
(5pt)

期待を大きく上回るセカンド

端的にゆうと、

戦時中にもてはやされた国家主義の画家が、

戦後の自由主義的な風潮のなかで四苦八苦するという話。

娘の縁談を成功させるために涙ぐましい努力をする主人公の道行きが哀切である。

一種の地獄編、地獄めぐりでもある。

立場や仕事をなくした人が過去を否定されてもしっかり生きてゆくことのメタファーとして機能するだろう作品。

「ものごとは見かけほど単純じゃない、とても複雑なんだ」

というセリフが繰り返されて胸をつく。

イシグロさんはいつもヒカゲの人間を描いてるのかもな〜。

次作「日の名残り」との共通点が多く、 主人公が自分の仕事・過去に疑問を持っている、むしろそれが間違いであったことを知っていること、 政治的な議論、民主主義の是非、が出てくること、 愛する人とのすれ違い、 などは共通している。

イシグロさんのテーマは体制派と反体制の葛藤なのかも。

体制の内部でロラル的に堕落してしまう人間の悲しい姿が描かれる。

それでも自分をなんとか正当化して生きていくしかないのだ、あれは避けられないことだったんだという悲愴な決意、むしろ前向きな生き方が胸にせまる。

「わたしを離さないで」でも先生たちの姿勢が様々で、体制のなかでも色んな葛藤があることが描かれている。

人間が生きる上で出てくる多様な罪ややるせないシステムがあるんだけど、

それでもちゃんと生きてゆく、

愛のために、

というところが読者の共感を呼ぶのだろう。

というか登場人物はあまり死のことは考えないみたいだ。

ってか上手く書けない
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.14
(5pt)

期待を大きく上回るセカンド

端的にゆうと、

戦時中にもてはやされた国家主義の画家が、

戦後の自由主義的な風潮のなかで四苦八苦するという話。

娘の縁談を成功させるために涙ぐましい努力をする主人公の道行きが哀切である。

一種の地獄編、地獄めぐりでもある。

立場や仕事をなくした人が過去を否定されてもしっかり生きてゆくことのメタファーとして機能するだろう作品。

「ものごとは見かけほど単純じゃない、とても複雑なんだ」

というセリフが繰り返されて胸をつく。

イシグロさんはいつもヒカゲの人間を描いてるのかもな〜。

次作「日の名残り」との共通点が多く、 主人公が自分の仕事・過去に疑問を持っている、むしろそれが間違いであったことを知っていること、 政治的な議論、民主主義の是非、が出てくること、 愛する人とのすれ違い、 などは共通している。

イシグロさんのテーマは体制派と反体制の葛藤なのかも。

体制の内部でロラル的に堕落してしまう人間の悲しい姿が描かれる。

それでも自分をなんとか正当化して生きていくしかないのだ、あれは避けられないことだったんだという悲愴な決意、むしろ前向きな生き方が胸にせまる。

「わたしを離さないで」でも先生たちの姿勢が様々で、体制のなかでも色んな葛藤があることが描かれている。

人間が生きる上で出てくる多様な罪ややるせないシステムがあるんだけど、

それでもちゃんと生きてゆく、

愛のために、

というところが読者の共感を呼ぶのだろう。

というか登場人物はあまり死のことは考えないみたいだ。

ってか上手く書けない
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.13
(5pt)

期待を大きく上回るセカンド

端的にゆうと、

戦時中にもてはやされた国家主義の画家が、

戦後の自由主義的な風潮のなかで四苦八苦するという話。

娘の縁談を成功させるために涙ぐましい努力をする主人公の道行きが哀切である。

一種の地獄編、地獄めぐりでもある。

立場や仕事をなくした人が過去を否定されてもしっかり生きてゆくことのメタファーとして機能するだろう作品。

「ものごとは見かけほど単純じゃない、とても複雑なんだ」

というセリフが繰り返されて胸をつく。

イシグロさんはいつもヒカゲの人間を描いてるのかもな〜。

次作「日の名残り」との共通点が多く、 主人公が自分の仕事・過去に疑問を持っている、むしろそれが間違いであったことを知っていること、 政治的な議論、民主主義の是非、が出てくること、 愛する人とのすれ違い、 などは共通している。

イシグロさんのテーマは体制派と反体制の葛藤なのかも。

体制の内部でロラル的に堕落してしまう人間の悲しい姿が描かれる。

それでも自分をなんとか正当化して生きていくしかないのだ、あれは避けられないことだったんだという悲愴な決意、むしろ前向きな生き方が胸にせまる。

「わたしを離さないで」でも先生たちの姿勢が様々で、体制のなかでも色んな葛藤があることが描かれている。

人間が生きる上で出てくる多様な罪ややるせないシステムがあるんだけど、

それでもちゃんと生きてゆく、

愛のために、

というところが読者の共感を呼ぶのだろう。

というか登場人物はあまり死のことは考えないみたいだ。

ってか上手く書けない
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.12
(4pt)

主人公は性格が悪いのか?

私はこの作品を原文で読み、主人公に共感した。
多少頼りなげで流されやすい性格ではあるが、悪い性格の人物ではない。
一方、この作品を和訳で読んだ母は、主人公を「傲慢で自分勝手な人」と感じたらしい。
おかげで、主人公に共感できないままで、ストーリーも楽しめなかったそうだ。

原文と和訳でそんなに人物像が変わってしまうというのは、カズオ・イシグロの繊細な文章はプロの翻訳家にもなかなか再現できるものではないということなのかもしれない。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.11
(4pt)

主人公は性格が悪いのか?

私はこの作品を原文で読み、主人公に共感した。
多少頼りなげで流されやすい性格ではあるが、悪い性格の人物ではない。
一方、この作品を和訳で読んだ母は、主人公を「傲慢で自分勝手な人」と感じたらしい。
おかげで、主人公に共感できないままで、ストーリーも楽しめなかったそうだ。

原文と和訳でそんなに人物像が変わってしまうというのは、カズオ・イシグロの繊細な文章はプロの翻訳家にもなかなか再現できるものではないということなのかもしれない。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.10
(4pt)

主人公は性格が悪いのか?

私はこの作品を原文で読み、主人公に共感した。
多少頼りなげで流されやすい性格ではあるが、悪い性格の人物ではない。
一方、この作品を和訳で読んだ母は、主人公を「傲慢で自分勝手な人」と感じたらしい。
おかげで、主人公に共感できないままで、ストーリーも楽しめなかったそうだ。

原文と和訳でそんなに人物像が変わってしまうというのは、カズオ・イシグロの繊細な文章はプロの翻訳家にもなかなか再現できるものではないということなのかもしれない。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.9
(4pt)

カズオ・イシグロ入門編

カズオ・イシグロがどういう作家かを手っ取り早く知りたい人には、
本書と『日の名残り』をお勧めする。

イシグロが得意とするのは一人称による語りである。
一見、近代日本文学得意の私小説の感を受けるのだが、
作者はそこに一つの仕掛けをする。
この語り手、実は相当な曲者なのである。

視点人物が固定されているということは、
読者もまた、物語をその人物を通してしか
眺められないということを意味する。
彼が語る出来事は事実そのものではない。
彼が解釈した、言ってみれば歪められた事実なのである。

イシグロは主人公に私たちを同化させておいて、突然突き放す。
その時受ける衝撃は、現実崩壊の感覚とでも呼べばいいだろうか。
読者が憑依していた主人公の肉体から突如追い出され、
空中を浮遊する霊となって、彼の姿を目にするような感覚、
一瞬前まで現実と思って生きていた世界が、
実は夢であったと知らされるような衝撃を想像してほしい。
それを読者に感受させる、イシグロの手腕は見事というほかない。

カズオ・イシグロ。この端整な文章を紡ぐ作家は
実は、恐ろしい怪物なのである。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.8
(4pt)

カズオ・イシグロ入門編

カズオ・イシグロがどういう作家かを手っ取り早く知りたい人には、
本書と『日の名残り』をお勧めする。

イシグロが得意とするのは一人称による語りである。
一見、近代日本文学得意の私小説の感を受けるのだが、
作者はそこに一つの仕掛けをする。
この語り手、実は相当な曲者なのである。

視点人物が固定されているということは、
読者もまた、物語をその人物を通してしか
眺められないということを意味する。
彼が語る出来事は事実そのものではない。
彼が解釈した、言ってみれば歪められた事実なのである。

イシグロは主人公に私たちを同化させておいて、突然突き放す。
その時受ける衝撃は、現実崩壊の感覚とでも呼べばいいだろうか。
読者が憑依していた主人公の肉体から突如追い出され、
空中を浮遊する霊となって、彼の姿を目にするような感覚、
一瞬前まで現実と思って生きていた世界が、
実は夢であったと知らされるような衝撃を想像してほしい。
それを読者に感受させる、イシグロの手腕は見事というほかない。

カズオ・イシグロ。この端整な文章を紡ぐ作家は
実は、恐ろしい怪物なのである。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.7
(4pt)

カズオ・イシグロ入門編

カズオ・イシグロがどういう作家かを手っ取り早く知りたい人には、
本書と『日の名残り』をお勧めする。

イシグロが得意とするのは一人称による語りである。
一見、近代日本文学得意の私小説の感を受けるのだが、
作者はそこに一つの仕掛けをする。
この語り手、実は相当な曲者なのである。

視点人物が固定されているということは、
読者もまた、物語をその人物を通してしか
眺められないということを意味する。
彼が語る出来事は事実そのものではない。
彼が解釈した、言ってみれば歪められた事実なのである。

イシグロは主人公に私たちを同化させておいて、突然突き放す。
その時受ける衝撃は、現実崩壊の感覚とでも呼べばいいだろうか。
読者が憑依していた主人公の肉体から突如追い出され、
空中を浮遊する霊となって、彼の姿を目にするような感覚、
一瞬前まで現実と思って生きていた世界が、
実は夢であったと知らされるような衝撃を想像してほしい。
それを読者に感受させる、イシグロの手腕は見事というほかない。

カズオ・イシグロ。この端整な文章を紡ぐ作家は
実は、恐ろしい怪物なのである。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.6
(5pt)

名作です

ほんっとうまい。「陽の名残り」でもそうだったが、信用ならざる語り手なんですよね、これも。時代を回顧する形式なんですが、この作品でも主人公がとにかく自分を弁護しまくるんです。自分を正当化しまくって、でも語り口がうまいもんですからああそうなのか、と思っちゃうんですが、そこでもう一度主人公を疑ってほしい。

 事実も何も本当は違うかもしれなくて、たんなる思いこみかもしれない。字面をそのまま取ればいい話だなあとじーんと来るんですが、そうじゃなくて、妄想電波小説みたいに読んだほうがおもしろいんです。自分の語りとまわりの人間の行動の齟齬があちこちに見られて、それが美しい語りのなかにあるどこか不気味な雰囲気となって、読み手を不安にさせる。

 本当にすごい作家だ。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.5
(5pt)

名作です

ほんっとうまい。「陽の名残り」でもそうだったが、信用ならざる語り手なんですよね、これも。時代を回顧する形式なんですが、この作品でも主人公がとにかく自分を弁護しまくるんです。自分を正当化しまくって、でも語り口がうまいもんですからああそうなのか、と思っちゃうんですが、そこでもう一度主人公を疑ってほしい。

 事実も何も本当は違うかもしれなくて、たんなる思いこみかもしれない。字面をそのまま取ればいい話だなあとじーんと来るんですが、そうじゃなくて、妄想電波小説みたいに読んだほうがおもしろいんです。自分の語りとまわりの人間の行動の齟齬があちこちに見られて、それが美しい語りのなかにあるどこか不気味な雰囲気となって、読み手を不安にさせる。

 本当にすごい作家だ。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.4
(5pt)

名作です

ほんっとうまい。「陽の名残り」でもそうだったが、信用ならざる語り手なんですよね、これも。時代を回顧する形式なんですが、この作品でも主人公がとにかく自分を弁護しまくるんです。自分を正当化しまくって、でも語り口がうまいもんですからああそうなのか、と思っちゃうんですが、そこでもう一度主人公を疑ってほしい。

 事実も何も本当は違うかもしれなくて、たんなる思いこみかもしれない。字面をそのまま取ればいい話だなあとじーんと来るんですが、そうじゃなくて、妄想電波小説みたいに読んだほうがおもしろいんです。自分の語りとまわりの人間の行動の齟齬があちこちに見られて、それが美しい語りのなかにあるどこか不気味な雰囲気となって、読み手を不安にさせる。

 本当にすごい作家だ。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.3
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.2
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.1
(4pt)

イシグロの長編第二作

日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第二作である。

イシグロ本人も認めているが、本作と

『遠い山なみの光』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。

長編第一作「遠い山なみの光」に比べると

同じく日本を舞台にしたというエキゾチックさはさておき

登場人物の内面という意味では更に深化/進化した作品である。

本作は前作と同じく回想を語るという形式で物語が進んでいくが、

大きく違うのは、その語りが記憶の不確かさによって

曖昧になっているのではなく、敢えて改竄された疑いを

読者が常に抱いておかなければいけないという点である。

一方的な回想によって記録/歴史が造られてしまう怖さと

そこまでしなければ生きることがかなわぬ人の哀しさと

一筋縄には読み解けぬ知的刺激に満ちた「文学」である。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398