浮世の画家

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評判

浮世の画家の評価:

3.98/5点 レビュー 56件。 D ランク

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平均点3.98pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全116件 81〜100 5/6ページ
No.36
(5pt)

静かに、じっくり読んでください

この様な作家、本は少ないのでは無いか。
例えば、東野圭吾等で代表されるとした日本で売れる小説は、てんこ盛りで、短期間で恋愛から殺人までありで、電車読書等には良い。
この本は、何も起こらないことが特徴かと思う。

若い人よりも、仕事をリタイヤした、あるいはそれに近い世代の人がじっくり読むと良い。

なお、この本が日本で悪しき課題図書になったら、感想を書くのは難しい。何よりも、サラリーマン化した若い先生には、この本は理解出来無い。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.35
(5pt)

静かに、じっくり読んでください

この様な作家、本は少ないのでは無いか。
例えば、東野圭吾等で代表されるとした日本で売れる小説は、てんこ盛りで、短期間で恋愛から殺人までありで、電車読書等には良い。
この本は、何も起こらないことが特徴かと思う。

若い人よりも、仕事をリタイヤした、あるいはそれに近い世代の人がじっくり読むと良い。

なお、この本が日本で悪しき課題図書になったら、感想を書くのは難しい。何よりも、サラリーマン化した若い先生には、この本は理解出来無い。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.34
(5pt)

静かに、じっくり読んでください

この様な作家、本は少ないのでは無いか。
例えば、東野圭吾等で代表されるとした日本で売れる小説は、てんこ盛りで、短期間で恋愛から殺人までありで、電車読書等には良い。
この本は、何も起こらないことが特徴かと思う。

若い人よりも、仕事をリタイヤした、あるいはそれに近い世代の人がじっくり読むと良い。

なお、この本が日本で悪しき課題図書になったら、感想を書くのは難しい。何よりも、サラリーマン化した若い先生には、この本は理解出来無い。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.33
(4pt)

日の名残りとセットで

登場人物に回想させる物語は、著者のお決まりな感じ。だんだんぼんやりとではあるものの物語が見えてくる。カズオ・イシグロの自分を正当化しそれを他人にも押し付ける人間に対する批判やそれでも、独善的な自尊心の存在についてのある種の肯定のようなものも感じられる。『日の名残り』でもあったが、この『浮世の画家』では、年老いた人間の挫折感とともに、それを肯定的に捉えようとする人の心理を上手く描いたものなのでは。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.32
(4pt)

日の名残りとセットで

登場人物に回想させる物語は、著者のお決まりな感じ。だんだんぼんやりとではあるものの物語が見えてくる。カズオ・イシグロの自分を正当化しそれを他人にも押し付ける人間に対する批判やそれでも、独善的な自尊心の存在についてのある種の肯定のようなものも感じられる。『日の名残り』でもあったが、この『浮世の画家』では、年老いた人間の挫折感とともに、それを肯定的に捉えようとする人の心理を上手く描いたものなのでは。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.31
(4pt)

日の名残りとセットで

登場人物に回想させる物語は、著者のお決まりな感じ。だんだんぼんやりとではあるものの物語が見えてくる。カズオ・イシグロの自分を正当化しそれを他人にも押し付ける人間に対する批判やそれでも、独善的な自尊心の存在についてのある種の肯定のようなものも感じられる。『日の名残り』でもあったが、この『浮世の画家』では、年老いた人間の挫折感とともに、それを肯定的に捉えようとする人の心理を上手く描いたものなのでは。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.30
(5pt)

身につまされる老画家の「良心」と虚栄心

本書は、イシグロの第一作『遠い山なみの光』と、彼の代表作であり英国ブッカー賞を受賞した第三作『日の名残り』のあいだの作品。主人公である「私」の独白という点はこれら三作品に共通しているけれど、一人称の語り手の “ふたしかさ” を読み手に喚起するという要素は本書からのもの。

本書の語り手は、第二次大戦中に国威高揚のための絵を描いていた老画家。敗戦後自分の過去の行いをつぶさに独白する彼の独白によって物語は進む。

『日の名残り』でも同じなのですが、主人公は絶えず過去の自分の行動を正当化するので、読者は主人公の語る “事実” につねに疑いを持たざるをえません。なおかつ物語全体を通して主人公の回想という形式がとられています。したがって読者は語り手である「私」を、信用できない “ふたしかな” 人物として、都合の悪い記憶を忘却あるいは改ざんする人物として読み取ります。
そのように書くと主人公が嫌なやつにしか思えないかもしれません。けれど言い訳がましい「私」と良心の呵責に悩む「私」を織り交ぜて主人公の葛藤が描かれているため、読者は思わず主人公に共感してしまいます。そこにイシグロのうまさがあります。
どちらの作品も大戦を経て価値観が崩壊した後の世界を描いたものだけど、やはり個人的には、英国の執事を描いた『日の名残り』よりも日本を舞台にした本書のほうが感情移入する部分が多い。

本書は、終盤に主人公が過去の過ちを認めることで良心の勝利に終わるかのように思わせます。けれど最後の最後に一転し、その「良心」が実は虚栄心に拠って立つものではないかと暗示して終わります。主人公に自らを仮託して読んだ身としてはなんとも残酷な結末でした。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.29
(5pt)

身につまされる老画家の「良心」と虚栄心

本書は、イシグロの第一作『遠い山なみの光』と、彼の代表作であり英国ブッカー賞を受賞した第三作『日の名残り』のあいだの作品。主人公である「私」の独白という点はこれら三作品に共通しているけれど、一人称の語り手の “ふたしかさ” を読み手に喚起するという要素は本書からのもの。

本書の語り手は、第二次大戦中に国威高揚のための絵を描いていた老画家。敗戦後自分の過去の行いをつぶさに独白する彼の独白によって物語は進む。

『日の名残り』でも同じなのですが、主人公は絶えず過去の自分の行動を正当化するので、読者は主人公の語る “事実” につねに疑いを持たざるをえません。なおかつ物語全体を通して主人公の回想という形式がとられています。したがって読者は語り手である「私」を、信用できない “ふたしかな” 人物として、都合の悪い記憶を忘却あるいは改ざんする人物として読み取ります。
そのように書くと主人公が嫌なやつにしか思えないかもしれません。けれど言い訳がましい「私」と良心の呵責に悩む「私」を織り交ぜて主人公の葛藤が描かれているため、読者は思わず主人公に共感してしまいます。そこにイシグロのうまさがあります。
どちらの作品も大戦を経て価値観が崩壊した後の世界を描いたものだけど、やはり個人的には、英国の執事を描いた『日の名残り』よりも日本を舞台にした本書のほうが感情移入する部分が多い。

本書は、終盤に主人公が過去の過ちを認めることで良心の勝利に終わるかのように思わせます。けれど最後の最後に一転し、その「良心」が実は虚栄心に拠って立つものではないかと暗示して終わります。主人公に自らを仮託して読んだ身としてはなんとも残酷な結末でした。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.28
(5pt)

身につまされる老画家の「良心」と虚栄心

本書は、イシグロの第一作『遠い山なみの光』と、彼の代表作であり英国ブッカー賞を受賞した第三作『日の名残り』のあいだの作品。主人公である「私」の独白という点はこれら三作品に共通しているけれど、一人称の語り手の “ふたしかさ” を読み手に喚起するという要素は本書からのもの。

本書の語り手は、第二次大戦中に国威高揚のための絵を描いていた老画家。敗戦後自分の過去の行いをつぶさに独白する彼の独白によって物語は進む。

『日の名残り』でも同じなのですが、主人公は絶えず過去の自分の行動を正当化するので、読者は主人公の語る “事実” につねに疑いを持たざるをえません。なおかつ物語全体を通して主人公の回想という形式がとられています。したがって読者は語り手である「私」を、信用できない “ふたしかな” 人物として、都合の悪い記憶を忘却あるいは改ざんする人物として読み取ります。
そのように書くと主人公が嫌なやつにしか思えないかもしれません。けれど言い訳がましい「私」と良心の呵責に悩む「私」を織り交ぜて主人公の葛藤が描かれているため、読者は思わず主人公に共感してしまいます。そこにイシグロのうまさがあります。
どちらの作品も大戦を経て価値観が崩壊した後の世界を描いたものだけど、やはり個人的には、英国の執事を描いた『日の名残り』よりも日本を舞台にした本書のほうが感情移入する部分が多い。

本書は、終盤に主人公が過去の過ちを認めることで良心の勝利に終わるかのように思わせます。けれど最後の最後に一転し、その「良心」が実は虚栄心に拠って立つものではないかと暗示して終わります。主人公に自らを仮託して読んだ身としてはなんとも残酷な結末でした。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.27
(4pt)

『日の名残』とも重なる主題が、第二次世界大戦後の日本を舞台に展開されている。

人生の終わり近くに至って、自分の生き方(の少なくとも一部)が間違っていた(ようだ)と気づかされた老人が過去を振り返るという構造は『日の名残』と重なる(執筆されたのは本作が先だが)。
 主人公Ono(訳では「小野」)の述懐はしばしば脇道に逸れ行きつ戻りつするし(作為的なものだろう)、しかもその回想に偏りや偽りがあることは容易に想像できるから「行間を読む」作業が必要になる。そういう点で謎解きに似たスリルがある。
 ただ、舞台が第二次世界大戦後の日本ということもあって、つい「文化人の戦争責任」といった言葉が脳裏をかすめて『日の名残』のように物語を純粋に味わうことができなかった。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.26
(4pt)

『日の名残』とも重なる主題が、第二次世界大戦後の日本を舞台に展開されている。

人生の終わり近くに至って、自分の生き方(の少なくとも一部)が間違っていた(ようだ)と気づかされた老人が過去を振り返るという構造は『日の名残』と重なる(執筆されたのは本作が先だが)。
 主人公Ono(訳では「小野」)の述懐はしばしば脇道に逸れ行きつ戻りつするし(作為的なものだろう)、しかもその回想に偏りや偽りがあることは容易に想像できるから「行間を読む」作業が必要になる。そういう点で謎解きに似たスリルがある。
 ただ、舞台が第二次世界大戦後の日本ということもあって、つい「文化人の戦争責任」といった言葉が脳裏をかすめて『日の名残』のように物語を純粋に味わうことができなかった。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.25
(4pt)

『日の名残』とも重なる主題が、第二次世界大戦後の日本を舞台に展開されている。

人生の終わり近くに至って、自分の生き方(の少なくとも一部)が間違っていた(ようだ)と気づかされた老人が過去を振り返るという構造は『日の名残』と重なる(執筆されたのは本作が先だが)。
 主人公Ono(訳では「小野」)の述懐はしばしば脇道に逸れ行きつ戻りつするし(作為的なものだろう)、しかもその回想に偏りや偽りがあることは容易に想像できるから「行間を読む」作業が必要になる。そういう点で謎解きに似たスリルがある。
 ただ、舞台が第二次世界大戦後の日本ということもあって、つい「文化人の戦争責任」といった言葉が脳裏をかすめて『日の名残』のように物語を純粋に味わうことができなかった。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.24
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.23
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.22
(5pt)

戦争責任への沈思

戦争責任の複雑な難問を追求した傑作。不思議な静謐さと相俟って深く心に沁み入ってくる。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.21
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.20
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.19
(4pt)

戦時中の精神風土が日本人にもたらした苦悩

主人公の小野は戦前に活躍し、第一線を退いた画家である。
はじめは小野が成人君子のように思えるが、一人称での話が進むにつれ俗っぽさが感じられるようになる。
末娘の縁談が破断になったのは自分の過去のせいではないかと考えるが、その過去は明らかにされずに話は進んでいく。
また小野の言動により、同僚が窮地に陥った事件についても、薄々承知しているらしいのだが、その事件も後半まで明らかにされない。
自分にとって不利なことは明らかにしない語り口が、小野の人間性に、決定的ではないにしろ、不誠実なものを感じさせるのである。
小野は、日本が戦争に突き進む中、戦意を高揚させる絵を描いて、政府や軍部の支持を得、画家としての名声を勝ちとっいた。
そうした絵を書き始めたことで、恩師や同僚が離れていき、彼らは落ちぶれていった。
おのは、戦争を引き起こしたという反省から、戦後に自ら命を絶った政治家や軍人と同じ罪があるとは考えていない。
己の生き様を否定したくないという心境で暮らしている。
戦前から戦時中にかけてのいびつな精神風土のなかで、己の進むべき芸術家の道つまり「浮世の画家」としての生き方を捨てたことに、いくばくかの違和感を抱きながら今を生きているのだった。
それは、確固たる意志をもって戦争に対峙したごく一部の人々以外の大方の日本人が、多かれ少なかれ抱いた違和感なのだろう。
この違和感こそが著者が描こうとしたものである。
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398
No.18
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (中公文庫)より
412201896X
No.17
(5pt)

2011年の6月に

なにもかも変わってしまった,そしてなにも変わらなかったと記憶される時の変わり目があるということを私たちはこの3月に経験しました。この小説は戦争が終わり,その虚脱が薄らいだ頃の老画家と家族の物語です。現在の置かれている状況と似通ったところが多い時代を扱っていて,その心の動きが対岸のものと感じられず,大変切実でした。
名声を得ていた画家の引退後の暮らしがモノローグで綴られます。彼はどのようにしてその立つ場所へ導かれたのか,なにを大切にしたかったのかが明かされてゆく構成はイシグロの自家薬籠中のもの,ぐいぐいと緊迫感の中で引っ張られました。

読後,以下は蛇足なのですが,現在「×××村」の住民と非難されている人たちも, 「先生、ぼくの良心は、ぼくがいつまでも〈浮世の研究者〉でいることを許さないのです」との決意の中に村に向かったのかもしれないなぁと思わざるを得ませんでした。本当に蛇足でごめんなさい。
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471