浮世の画家

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浮世の画家の評価:

3.98/5点 レビュー 56件。 D ランク

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平均点3.98pt

Amazonレビュー一覧

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未読の方はご注意ください

全42件 41〜42 3/3ページ
No.2
(3pt)

語り手を信頼して良いか、という読みの可能性

~様々な面で評価、批評することが出来る作品ですが、今回は時系列の配列に特に注意を払って、ストーリーテラーを信頼できるか、ということを考えました.
主人公である私の過去への遡行と現在の事件と、割と最近(数日前だったり、数年前だったり)といった事件が錯綜して語られます.そして、それぞれの区分がきわめて不明瞭(そういうテクニックで描いて~~います)なので、読み手は『いつの話なのか』ということに注意を払って読む必要があるかもしれません.
自分について起こったこと、あるいは考えたことであっても自分が最もよい解釈者であるとは言えません.例えば都合の良いように解釈したり、悪いことを忘れようと努めたりするからです.
たとえば本作の主人公は名のある画家でありながら戦争犯罪者~~的に祖国の戦争意識を高める作品を描いたと過去を持っています.そして、冷静にそれと対峙するという姿勢を言明しながらそれから逃避しようとしているので、私たち読者には額面通りにかれの言説を受容することはあらかじめ拒まれています.
また、もう一つ例を挙げれば、主人公は功名心や名誉、名声と言ったものに自分は興味を持たないと再三繰り返してい~~ますが、その話題を繰り返し登場させ、自らの傷跡を慰撫するような姿勢も見せています.
読者は主人公の老齢についても意識を払う必要性があります.既に老年に入った彼の語りがどこまで信用できるのか、そのことを念頭において読んでみると、物語を語るということのグロテスクさが全景に現れます.後半に決定打が打たれますが、そこは読んだ時のお楽しみ~~にしてください.記憶とは、いったい何でしょう.人間は語ることにおいて大変エゴセントリックであるといえるかもしれません。~
浮世の画家 Amazon書評・レビュー: 浮世の画家より
4120016471
No.1
(3pt)

語り手を信頼して良いか、という読みの可能性

~様々な面で評価、批評することが出来る作品ですが、今回は時系列の配列に特に注意を払って、ストーリーテラーを信頼できるか、ということを考えました.
主人公である私の過去への遡行と現在の事件と、割と最近(数日前だったり、数年前だったり)といった事件が錯綜して語られます.そして、それぞれの区分がきわめて不明瞭(そういうテクニックで描いて~~います)なので、読み手は『いつの話なのか』ということに注意を払って読む必要があるかもしれません.
自分について起こったこと、あるいは考えたことであっても自分が最もよい解釈者であるとは言えません.例えば都合の良いように解釈したり、悪いことを忘れようと努めたりするからです.
たとえば本作の主人公は名のある画家でありながら戦争犯罪者~~的に祖国の戦争意識を高める作品を描いたと過去を持っています.そして、冷静にそれと対峙するという姿勢を言明しながらそれから逃避しようとしているので、私たち読者には額面通りにかれの言説を受容することはあらかじめ拒まれています.
また、もう一つ例を挙げれば、主人公は功名心や名誉、名声と言ったものに自分は興味を持たないと再三繰り返してい~~ますが、その話題を繰り返し登場させ、自らの傷跡を慰撫するような姿勢も見せています.
読者は主人公の老齢についても意識を払う必要性があります.既に老年に入った彼の語りがどこまで信用できるのか、そのことを念頭において読んでみると、物語を語るということのグロテスクさが全景に現れます.後半に決定打が打たれますが、そこは読んだ時のお楽しみ~~にしてください.記憶とは、いったい何でしょう.人間は語ることにおいて大変エゴセントリックであるといえるかもしれません。~
浮世の画家 (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: 浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)より
4151200398