比ぶ者なき
評判
比ぶ者なきの評価:
4.15/5点 レビュー 41件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1〜6 1/1ページ
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比ぶ者なきの評価:
4.15/5点 レビュー 41件。 A ランク
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上記の各種説などをそつ無く物語に落とし込んで展開している感じで、その点はよく出来ていると思います。ただ、他のレビューアーさんも既に書かれているように、会話の部分が非常に多く(最初の方は、地の文による説明や描写も割と多いのですが)、不比等と対話者との関係や不比等の口のうまさが分かり易くはあるのですが、テレビ・ドラマのシナリオや劇の台本を読んでいる感じで、単調にも思えました(ドラマや劇なら人の動きや表情などがあるので退屈しませんが。また、「本音と建前」ではないですが、話す言葉と内心の違いを対比させることもできないので)。また、個々の対話部分が次々に出てきて、いつ頃のどこでの会話なのかが分かりにくいところが多く(私は飛鳥・奈良時代の年表上の出来事を結構詳しく認識しているのですが、それでも)、物語にグイグイとは引き込まれませんでした(なので読むのに時間がかかりました)。
地の文による説明や叙述、自然や人物の描写、場面転換とか省略(メリハリ)や急展開(ダイナミズム)、あるいは各登場人物の心理や心の内の描写とか、余韻とかがなく、基本的にストーリーの主筋、つまり不比等が深慮遠謀によって権力の階段を着々と上っていく過程が、会話によって次々に繰り広げられていくだけなのは、読みにくくまた味気ないものだなあと思いました(この作品は、多くを各史実に沿って展開する必要があるので、難しいのかもしれませんが)。
ちなみに、個人的には、柿本人麻呂が、登場しなくなるまで不比等に友好的・協力的な点がかなり意外でした。1970年代に古代(飛鳥・奈良時代)の国家形成における藤原不比等の役割がクローズアップされるようになったのは、上記の上山春平と上田正昭の著作とともに、梅原猛の『神々の流竄』や『水底の歌』などの一連の著作によるものと思われ(『神々の流竄』の出雲神話の説など、今では(自らも)否定された説も多いですが、不比等や人磨に関する推測は依然有効なものもまだまだあると思います)、『水底の歌』では、不比等が人麻呂を刑死に追いやったと推測されているためです(この小説よりも前に創作された、同じ時代が描かれた小説やマンガでは、多かれ少なかれ梅原猛の影響が感じられるものが多いです。また参考文献に梅原猛の著書が一冊もないのも意外でした。ただ、大山誠一の『天孫降臨の夢』の巻末の参考文献にも梅原猛の著書は一冊もなく(上山春平の上記著作はあり)、これは、大山誠一が聖徳太子非実在説で、梅原猛の『隠された十字架』が法隆寺は聖徳太子の怨霊を鎮魂するためと主張していて、太子実在説ではあるので、大山誠一が梅原猛説を否定的にみているからかもしれません。)。
なお、不比等が主人公の作品には、長岡良子のマンガ『眉月の誓』、黒岩重吾の小説『天風の彩王』、黒須紀一郎の小説『覇王不比等』(三部作)などがあり、また不比等が脇役で登場する作品には、永井路子の『美貌の女帝』、小石房子の小説『天照らす、持統』(後に『鉄の女帝持統』に改題)、三田誠広の小説『炎の女帝 持統天皇』、梓沢要の小説『橘三千代』、黒岩重吾の小説『闇の左大臣 石上朝臣麻呂 』、澤田瞳子の小説『日輪の賦』、安部龍太郎の小説『平城京』、里中満智子のマンガ『天上の虹』などがあり、それぞれ読まれて、この小説と比較してみるのも面白いかもしれません(多数同じ人物が登場し、各出来事も同じものが多いのですが、作者によって解釈や描き方が結構異なります)。