名もなき毒

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

名もなき毒の評価:

3.82/5点 レビュー 191件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.82pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全217件 161〜180 9/11ページ
No.57
(4pt)

人間がもつ毒とは

青酸カリという人間を死に至らしめる直接的な毒以外にも、シックハウス症候群や土壌汚染による喘息など症状が出ないと表面化しない毒、人を中傷したり自分が不幸だから他の人も不幸になるべきだといった理不尽な考えをする人間による毒、これらの名もなき毒に関する話を、無差別毒物殺人事件と絡めて展開するミステリで読み応えがあった。
個人的には、社内編集部のアシスタントのアルバイトをしていた原田いずみの言動が印象に残った。常に何かに怒っていて攻撃的で他人の幸せが許せない。特に原田いずみの父親が娘の過去の話はする場面が印象深かった。この話も実際には何が事実なのか分からないが、原田いずみがとてもつらく悲しい生き方をしてきたということが十分に伝わってきた。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.56
(4pt)

主人公家族の魅力で。。

今までのパワー溢れる宮部みゆき作品とは趣を異にしていますが
私はとても好きになりました。
それは主人公杉村と妻菜穂子、娘桃子から感じる幸せ感が
なんともいえない宝物のように感じるからでしょうか・・
ささやかな日々の暮らしと心のやりとりをとても大事に幸せを
大事に大事に守って暮らしている彼らがとても好きになりました。
とはいっても、次回作があれば、そろそろ杉村氏は「私立探偵」として
身を立てざるを得なさそうな雰囲気ですね(笑)
今回出てきたライターの秋山氏のキャラもいいです。
次回作(があれば)で活躍してくれそうで期待です。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.55
(4pt)

誰もが持っている「毒」

杉村さんのキャラクターのせいもあるのか、
なんだか全体的にのんびりした印象で、キレがない。
ミステリーを読むならもっと緊迫感がある方が好みなので、そのへんには不満が残ります。
タイトルの「名もなき毒」。
この本当の意味は飲み物に混入された毒ではなく、誰もが心に持っている、人間の心の中にある「毒」・・・。
人を羨んだり、自分の置かれた環境を憎むネガティブな心。
私たちの生きる社会にはそうした毒が蔓延している。
私にだってあるのかもしれない毒。
おそらく、世の中からなくならないであろうこの毒とどう共存していくか。
そこが著者の言いたい一番のテーマなのでは?
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.54
(5pt)

みゆき節

冴えわたる筆力で最後まで心地良く本の世界に浸らせてくれました.この分だと杉村さんは,さらなる活躍を強いらせられそうですが,まあ,しょうがないですね.人には役割というものがあるのですから.本の中にもあるように,普通に生きるということは今の世の中,本当に難しい,生きぬくか,落ちるかの瀬戸際を,またこのシリーズでのみゆき節で語ってもらいたいです
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.53
(4pt)

続編があるのかな

本書に緊迫感、スピード感や奥行きの深さはあまり感じられなかった。しかし、ストーリーが主人公杉村の性格のごとく穏やかな展開で進むため、登場人物の思いや立場を慮んばかりながら読める作品である。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.52
(5pt)

なんとなく爽やかな読後感

途中まで、「誰か」の続編というか主人公が同じとは気づかずに読んでいたといういたって呑気な読者です。この路線は殺人事件ではありますが、なんとなくほのぼの感を背後に漂わせていこうという作者の意図からか、明るさを常に感じてしまうのが特徴ですね。喘息もちの可哀想な青年のシーンでも面倒見の良い社長を配することによって惨めさが軽減されております。ただ、ナイフを持って押し入るエキセントリックなお姉さんについては、どうも作者の意図とする人物像がイメージに浮かびません。突き詰めるとものすごくノーテンキ&単純かつ我が侭な馬鹿になってしまって、ちょっとはシリアスな側面を持った人物にした方が良かったのではと思いますがいかがでしょうか?他の人物に関しては少なからず共鳴する気持ちが湧きましたがこのお姉さんに関してはシンパシーは湧かなかったです。こういう人物は初めてのような気がします。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.51
(4pt)

『毒』をめぐって展開されるヒューマンドラマ

人間は誰もが大なり小なりの『毒』を持っている。
その『毒』を、自分の中だけで処理しようとする人もいれば、外の世界に吐き出そうとする人もいる。
どんなに『毒』を吐き出そうとしても、満足できる結果は決して望めない。
結果として付いてくるのは、人間としての生きているが故の更なる苦しみだけだ。
この本に登場する人は皆、何らかの『毒』を持って生きている。
生きているというのは、本当はものすごく辛いことなのかもしれない。
辛いからこそ、いまある楽しい瞬間や過去の楽しかった思い出がより鮮明なのかもしれない。
その楽しい瞬間をバネにして、人間は前を見て生きていくのだ。
決して振り返ったりはしない・・・この本には、このような教えもあったような気がします。
現在どこの図書館でも人気予約本ランキング5には入っています。
2006年8月5日の発刊からもう1年以上たったというのに・・・
こんなに人気があるということは、おそらく予想移以上に期待が大きいという事だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.50
(4pt)

理不尽

この本の中で特に印象に残ったのは、
主人公とその娘との会話である。
「明日桃子があかねちゃんにごめんなさいをしたら、
あかねちゃんもごめんなさいしてくれるかな? 
桃子だけがごめんなさいしたら、桃子だけが悪いって
あかねちゃんに思われちゃうのかなぁ?」
謝った方が良いという事は本能的にわかっている。
でも、自分だけが悪いわけではない。
なのに自分だけ謝っちゃったら、そう思われてしまうのでは? 
彼女が思い悩んでいるのは、
それが『理不尽』だと思うからだ。
子どもでも成人してからでも、人々が割り切れない思いをするのは
『理不尽』である事に変わりは無い。
「あんなに何一つ不自由なく幸せな人もいるのに、
どうして私は苦労ばかりするのか。」
「自分の思い通りにばかりなっている人もいるのに、
どうして私だけ。」
誰でもほんの少しは胸の片隅に持っている『理不尽』。
ある程度時間がたてば、
それぞれに自分をなだめる方法を身に付ける。
でも、誰でも、そういう気持ちを完全に消すことは出来ずに、
浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返している。
そして『理不尽』を全く自分の中で消化する事が出来ずに、
常に抱え持っている人もいる。この本にはそういう人が出てくる。
自分たちのまわりにも、気付かなくても
そういう人がいるかもしれない。
この本で言う『毒』とは『理不尽』の要素も多く含まれている。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.49
(4pt)

中の人生じゃだめなのか?

この作品の中の名もなき毒は「人間の中に潜む」毒と「土の中に埋もれる」毒の両方です。これは、宮部みゆきの(時代物も含め)作品にずーっと書かれているテーマです。タイトルや作家の若々しい印象・RPGの原作書いたりするそのイメージと違い宮部みゆきはデビューから今まで「社会派」「正義派」を貫いています。その正義というのも、下町の無骨なおやっさんが持つような正義感=「おてんとさまに顔向けできるか」=が一番のポイントということです。それから、そのおっさんたちが多く生息する東京下町、川向こう、というようなローカルなメンタリティも大事にしています。このままおじさんハードボイルドを貫いていくのでしょうか?そこは悪くないとおもうのですが、宮部みゆきの読者がそういう地味目なヒーローで我慢できるのかな?と心配になってきます。
心に残った文章
「今は違うんです。それだけのことができるなら、立派なんですよ。”普通”というのは、今のこの世の中では、”生きにくく他を生かしにくい”と同義語なんです。”何もない”という意味でもある。つまらなくて退屈で空虚だということです」
「どこかの誰かさんが”自己実現”なんていう厄介な言葉を考え出したばっかりにね」
市井の人々として生きることは前はふつーにできることだったけど、それでは空しいとなってしまった、今の世の中は、世知辛いものです。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.48
(5pt)

これは面白かった!ぜひ続編を!

好き嫌いが別れる作品だったかなと思います。
僕としては宮部さんの作品を多々読んできたのですんなりと3日ほどで読破しました。
やはり、本屋大賞にノミネートされただけの価値がある作品でしたと、読み終えてから分かりますよ。クライマックスシーンは鳥肌が立つほどの面白さ!上記に3日で読み終えたと書きましたが、最後の1日で半分以上を読んでたと思います。
ですが、最後の方と比較すると最初の方はちょっと・・・って感じです。半分を読み終えた人だけが分かる素晴らしさというか、そこで好き嫌いが別れたんじゃないかな、と。
話はずれましたが、この作品は“世間に潜む毒”をテーマとしてるらしいです。
最後のまとめがアレだったかな・・・?
クライマックスのシーンから終わるまでがすこしぐだぐだだったとも思います。
幸せな家庭を蝕んでいく“毒”。
とにかく!クライマックスは素晴らしかったです!宮部さん!ぜひ続編を!
最後に・・・ゴンちゃん最高!
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.47
(5pt)

たくさんの毒

宮部みゆきさんの作品はどれもつまらなかった気がします。
私はこの人が書いた作品はかなり読んだことがあります。
読む度に裏切られるような切ない思いになった気がします。
言ってる事は分かるけれど、でも納得がいきませんでした。
しかし、「名もなき毒」は最高に面白かったと思います。
作品にはたくさんの毒がいたるところに登場してきます。
それは、目に見える毒だったりそうでなかったり・・・。
主人公は温厚で冷静な正義感のあるよく居る人物です。
数々の問題に首を突っ込む世話焼きの主人公に惹かれます。
主人公の身近な人物もそれぞれに魅力的な部分があります。
さすがと言うべきストーリー展開で物語は加速します。
世の中の理不尽さ・空しさがよく表れている作品です。
かなり酷な評価もありますが、私はこれをおススメします。
本を読んで毒とは一体何なのかなど色々考えてほしいです。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.46
(5pt)

お見事!という感じの一冊でした。

久しぶりに宮部みゆきのハードカバーを手に取りました。
今回も、冒頭から「するっ」と物語のなかに溶け込むような書きぶり。
この屈託のない文体そのものが、宮部みゆきの何よりもすごいところだなーって思ってます。
部屋で寝っころがっていてもその世界に入っていけます。
物語は主人公、杉村さんの職場で起きたアルバイト女性の解雇問題と、ある殺人事件とが並列に進み、その主従が入れ替わるように進行していきます。
杉村さんは二つの事件の仲立ちを(本人の意思とは関係なく)果たすことになり、物語は絡まりながら深みにはまっていきます。
いつもながら、歩いているかのようなゆったりした速度で始まった物語は、最終部分で一気に加速。
そのアクセルの踏み方も心をぐいぐいと惹きつけますね。
本作は社会を扱っているので、読後には独特のメッセージが刷り込まれます。
「毒」とは他でもない、“普通”の私たちであり、それはどうしようもなく産まれうるものであること。
それに対する「怖さ」「おびえ」、また理屈をこえた「正義」と「怒り」がキーワードとなって物語の糸はつづられています。
「わかるんだけれども、悪いことは悪いろう!」という静かな怒りが、女子高生と経済界の大物から発せられているのがとても心に残りました。
また、脇役のキャラクター性。
理知的で暖かな青年秋山。
萩原運送の社長。
それぞれのサイドストーリーが浮かんでしまいそうなほど魅力的なサブキャラです。
お見事!という感じの一冊でした。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.45
(4pt)

あなたの隣にも?!本当に怖い人格

紙パックのウーロン茶に混入されていたのは、今度もまた青酸性の毒物だった。
逆玉サラリーマン・杉村が毒物混入無差別殺人事件に巻き込まれる。
本筋と平行して進行する、かつてクビにしたアルバイト・原田いずみのお話がとにかく怖い。その壊れぶりもさることながら、そのような人格になってしまった理由(過去のトラウマ等)が見あたらない、という。何か外的な要因があれば、同情することもできるし、その行動に納得することもできる。しかし、そうしたものがない中でこれだけの悪意が生まれるのだとしたら、それは人間の本性がこのようなものということを描いているのか。あまりにも性悪的な人間観だ。
このような問題は我々にも容易に起こりうることだけに背筋が寒くなった。
本書では、物理的な毒薬のほか、土壌汚染、シックハウス症候群などについてもかなり詳しく説明されており、興味深い。ただ、本書のテーマは人間の心に潜む「毒」こそが恐ろしい、ということだ。
本筋の犯人探しの方は、「さもありなん」というところで平凡といえば平凡。一方、もう一つのお話はトラウマになりそうほどの迫力。人間の本性について最後まで深く考えさせられる作品。明日から周りの人が恐ろしく見えるかも?!
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.44
(4pt)

解毒剤は?

数多く読んでいる宮部作品の中でも、上位にランキングしたい作品。予想していたより、よかった―、と、いうのが、数ページ読み進んだところで、「誰か」のシリーズだということに気がついて、ちょっと気分が萎えたから。
「誰か」は可もなく不可もなく? 中心登場人物の姉妹の何れも嫌いなタイプで共感もできなかったし、そもそも主役の杉村さんの、職業を含めた環境があまりにもオキラク過ぎて、イマイチ、評価ができなかった。でも、今回の作品を読んでみて、あれはウォーミングアップのようなものだったのか、と。やっぱり、宮部作品は面白いと痛感させられました。
とにかくタイトルが秀逸。作品全体に、テーマである「毒」がゆきわたっている。読みながら、自分の周囲に渦巻く毒について深く考えさせられた。今回の救いの一点もない悪役「いずみ」にしても、現代を生きる私たちには、自分の中に大なり小なり潜んでいる、彼女的な毒素を否定できないのではないかと思った。私たちにとって、生活を、生命を、人生を脅かす「毒」とは何なのか。作者は作品全般にわたって執拗に問いかけてくる。
紆余曲折があっても、最終的には、作品が力強く、読者に希望を持たせて終わっているのも好感が持てる。ま、やはり、基本的には、こんな生ぬるいお仕事をしているオキラク杉村さんのファンにはなれませんが。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.43
(4pt)

毒薬、毒草、毒花、毒キノコ、毒虫、毒蛇・・・そして毒人間

毒薬、毒草、毒花、毒キノコ、毒虫、毒蛇など、毒がつくものはいろいろあるが、
毒をもつ人間も世の中にはたくさんいるのだとあらためて感じた。この作品の中に
登場する原田いずみもまさにその一人だ。嘘をつき自分を正当化する。その嘘は
毒となり、相手を深く傷つける。家族も他人も、彼女に関わった人は全て彼女の
毒にやられてしまう。本当にこんな人間がいたならどうすればいいのか?いや、
実際にいてもおかしくはないのかも。ぞっとする。生きていくうえで私たちは、
さまざまな毒に触れていると思う。安全で、きれいなままでは生きていけないのだ。
ところで、全然気づかないうちに、自分自身が毒になっているということはないの
だろうか・・・?ちょっと不安になる(^^;
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.42
(5pt)

宮部作品らしいミステリー

宮部作品なので読んでみた。
続き物の2作目らしく、以前の話が良くわからなかったので読んでみたいと思った。
宮部作品らしい 読み終わった後にスッキリする話。
でも、作中は考えさせられる事たくさん。
ちょっと理由とか模倣犯とかも思い出す感じの作品。
なぜなら被害者の心理も追っているから。
ただ探偵が出てきて、事件の謎を追い、加害者(犯人)当てをして、万事解決!で終わらないのが宮部作品のすごい所だと思う。
いわゆる毒物だけでなく、人の心に潜む『毒』、社会に漂う『毒』、土地にも…
でもすごい大仰な事ではなくて、日常生活にも当たり前に潜んでいる毒。
自分だけで処理できなくなった時に、それが他者へ向かっていき、
「被害者」が生まれ、加害者に成り代わり…
そんな様が怖いと思った。
また作中の夫婦像が面白いと思ったし、雰囲気としてそんな風にもなりたいと思った。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.41
(4pt)

シリーズ次作に注目したいです

元々、宮部さんは一見小物なようで実はかえってそこがたちが悪い、
という悪を描くのが上手いよな、と思っていました。
たとえば「今夜は眠れない」で
誰からも愛されるよい子ちゃんの見本のようだった女の子の
ジコチューぶりが最後に暴露されたときは喝采ものでした。
私は「誰か」よりこちらが好きでした。「誰か」のときは
杉村一家がちょっとリアリティがないぐらい
メルヘンチックに描かれていたのと、依頼人の姉妹がさいごまで
どちらも好きになれなかったので、あまり感情移入できないのがちょっと、だったのですが、
今回、ついに杉村家も怪しくなってきたので逆に興味をそそられています。
途中購入した家の環境調査に
躊躇なく大金を使う菜穂子に違和感を感じる場面からはじまり、
結局その家を今度はなんの躊躇もなく手放すという菜穂子に
夫の杉村一郎が引っかかっている、という箇所が詳細に語られているので
これは今後(絶対続編がまたあると思いますが)
伏線になるのだろうな、と思いました。
それにしてもこの作品での「困ったちゃん」女性はこわかったです。
一応毒殺事件の話なのに毒殺犯人は
ぜんぜんどうでも良く、この女性のインパクトが強かった。
名もない毒ではありますが、この種の毒はたしかに
世の中に増えていってると思います。
ただ、宮部さんが上手いのは、杉村一郎の「逆玉」状況に対して
大なり小なり毒のある発言をせずにいられない人々も
また「毒」なのだ、ということもちゃんと表現していることですね。
「火車」「理由」みたいに一気に読ませる力はないのですが、通勤の時など細切れな時間につらつら読むには適している良品だと思います。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.40
(5pt)

すばらしいです

高村薫を思わせるストーリーながらまったく違った持ち味、
重いばかりでなくどこか前向きな気持ちにさせてくれる爽やかさ。
物理的な毒と社会的な毒の両面が独特のタッチで描かれ、
まさに迫真の出来でした。近年これほどすばらしいミステリに出会ったことはありません。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.39
(5pt)

「家」の「毒」についてちょっと考えた

 この人の本は、だいたい面白い。意外な結末だけでない。
 今回はタイトルにある「毒」というのが興味深い。「家」の土壌汚染なんて考えたことがなかったが、確かにこれは「毒」。意図せざるところに「毒」は蔓延して人を惑わす。。。恐い話だけれど、身近なところでも起こりうる一般性を持った話。
 内容は決して飽きるところがないので、一気に読める。そしては最後はそれなりにすっきりできる。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143
No.38
(5pt)

社会に蔓延する毒

 毒殺事件で始まる推理小説なんだけど,現代の世相をよくあらわしている作品だった。
 いろんな毒が出てくる。 化学物質の毒から心の中にひそむ毒まで。
 この小説の主旨は犯人さがしではなく,むしろ日本の 『社会に蔓延する毒みたいなもの』 を解剖して切り出し抽出しているところにある。
 ちょっと強引な展開もあったけど,周到に伏線を張り巡らせているあたり,さすが上手だと思った。
 『名もなき毒』 というのは現代人の心に潜む毒のことだ。
 妬み,とか,嫉みとか,そういうもの。
 不幸な人が幸福な人に対して抱く理由の無い怒りみたいなもの。
 あるいは,誰かをいじめたくなる気持ちとか。
 著者は物語の中で殺人犯のほかに,もう一人強烈な 『コマッタちゃん』 を登場させている。
 いずれも自分の不幸な境遇にやり場のない怒りを抱いており,そのエネルギーが奔出するかのように犯罪や嫌がらせをしてしまう。
 自分だけが不幸で,他人が幸福なのが許せない。まるで爆弾を抱えて自爆するかのように幸福な人間を落としいれ傷つけようとする。
 こういう心のはたらきを著者は,『毒』 と表現している。
 現代の社会全体に,こういう名のない 『毒』 が蔓延しているという。
 今の日本の社会は,どう贔屓目にみても病んでいるとしか思えない。
 その病んでいる原因とは,著者が述べんとする 『毒』 の所為に他ならない。
 現代日本の社会構造の病巣をメスで切り取るように描いた作品だと思った。
名もなき毒 Amazon書評・レビュー: 名もなき毒より
4344012143