孤狼の血
評判
孤狼の血の評価:
4.10/5点 レビュー 229件。 S ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全284件 261〜280 14/15ページ
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孤狼の血の評価:
4.10/5点 レビュー 229件。 S ランク
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本書を知ったのは、映画の製作発表会見のニュースでした。『』〈2013〉で映画賞を総なめにし、『』〈2016〉など今日本で最も注目される白石和彌監督の待望の最新作が来年公開予定(主演:役所広司、松坂桃李)の本作だ。
白石監督といえば、上記の実録犯罪モノを手掛けて脚光を浴びた新進気鋭の映画監督で近年、同様のジャンルでいえば、『』『』『』『』といった韓国(コリアン)ノワール(もしくはアウトロー作品)が、毎年のように傑作が生み出され、その画面にみなぎる力強さに圧倒され、日本でもこの手の分野(ジャンル)で傑作を撮る人が現れないだろうかと思っていた時に白石監督の作品を見て、日本にも期待ができる監督がいる事を知って楽しみにしていた。
日本ではコンプライアンスの問題でなかなか映画でも昔のように犯罪モノやアウトローものが作りづらくなったご時勢にこのジャンルに積極的に取り組み、名を挙げた白石監督が今年の韓国のアウトローの傑作として名高い映画『』のキム・ソンス監督との対談し、近年の韓国ノワールに対抗できるのは白石監督しかいないと思っていた時に本作の映画を撮っている事を知り、興味を持ちました。
今回の作品はなんと広島を舞台にしたヤクザの抗争モノでしかも平成の『』という触れ込みで否が応でも期待が高まり、本書を手にした次第です。
まず、本作を執筆した作者が女性である事にビックリΣ(゚Д゚)し、しかも『』に影響を受けて書かれたというから驚きだ(余談だが、『』に登場するナースの皆川さんのような人だ)。
組織暴力犯罪が横行する暴対法成立以前(昭和63年)の広島・呉原市(注:呉市がモデル)を舞台に暴力団系列の金融会社社員失踪事件をきっかけに捜査する警察と暴力団組織間の激しい抗争を描いていた物語である。
呉原東署に赴任した新人刑事・日岡秀一(25歳、演:松坂桃李)。配属された捜査二課の先輩で古株のベテラン刑事・大上章吾(44歳、演:役所広司)とコンビを組み、先の事件の捜査に当たる事となった日岡だったが…。
まず、大上の経歴が県警本部で凄腕のマル暴として有名な人物で暴力団絡みの事件を多数解決し、警察庁長官賞をはじめとする警察表彰を何度も受け、百回にも及ぶ受賞暦は、広島県警では現役のトップだがその反面、訓戒処分も現役ワーストの刑事で何かと暴力団との癒着があると黒い噂の絶えない刑事だ。
このあたりが、『』〈1975、監督:深作欣二〉で主演の菅原文太が演じた久能徳松を連想させたり、個人的には上記の経歴を聞いて、映画『』〈1973〉で主演の渡哲也が演じた鳴神涼を思わせた(今度の映画では、役所広司さんが演じるそうだが、『』〈1996〉に近いキャラになるだろう。余談だが、今回の系列の映画でいえば同じく渡哲也主演『』〈1976、監督:深作欣二〉も必見!)。
大上自体、黒い噂の絶えないアウトロー刑事であっても自身の中で刑事としての正しい価値観(モラル)を持ち合わせており、上記の両面を兼ね備えたような刑事像で決して『』に登場する小日向文世扮する片岡のような悪徳刑事ではない事がわかります。
大上の直属の上司であり、暴力団関連の捜査にあたる捜査二課課長・斎宮(いつき)正成、昔から由緒のある老舗の博徒である尾谷組で服役中の組長の留守を預かり、大上が懇意にしている若頭・一之瀬守孝(30半ば、演:江口洋介)、県下最大の暴力団・仁正会に属し、傘下の加古村組を使って尾谷組と敵対する五十子(いらこ)会会長・五十子正平(演:石橋蓮司)、同じく仁正会の幹事長で大上とは学生時代からの旧知の仲で義兄弟同然の間柄である瀧井組組長・瀧井銀次、大上の行きつけの店で何やら過去に関係のある含みを持つ「小料理や 志乃」の女将・晶子(45)、…… など(注:真木よう子さんの役がクラブ「リコ」のママ・高木里佳子となっているが映画のオリジナルキャラで本作の「小料理や 志乃」の女将・晶子の役割でないかと思われる)。
物語に登場する仁正会は『』に登場する北大路欣也(松村保役)が率いる天政会(実在のモデルは共政会)がモデルであり、作中でも「吐いた唾ァ飲まんといけんよう」〈329頁〉など『仁義なき』オマージュもありニヤリ( ̄ー ̄)とさせられる。
文体自体は、ハードボイルドの雄である大沢在昌氏の方が読みやすい(読ませ上手)ように思います。それと大上の存在理由が『』とかぶっている印象を受けました。
ただ物語自体は、読んでいて引き込まれるし、毎回各章の冒頭に日誌と行動記録が書かれているのは読者に向けてわかりやすく展開を伝えるのが目的かと思っていたが、実はコレがラストに大きな意味を持っていたり、ラストの意外性も韓国(コリアン)ノワールを見ているようで面白かった。
本作の映像化には大いに期待したいと思います。著者の他の作品も機会があればぜひ読んでみたいと思います。