蟻の菜園 -アントガーデン-
評判
蟻の菜園 -アントガーデン-の評価:
3.74/5点 レビュー 54件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1〜9 1/1ページ
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蟻の菜園 -アントガーデン-の評価:
3.74/5点 レビュー 54件。 B ランク
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(以下ネタバレあり)
さてこちらの主人公は、わずかなコネから引き寄せたやたら顔の広い人に発した「信念の一言」がその人に刺さったという設定で、色々と便宜を図っていただけるわけですが、それだけではなく「足で稼ぐ」という地道な活動が描かれているので、まぁそんなこともあるかなとは(一応)思えました。
どちらかというとメインはそっちになってしまっているのですが、この小説でもっと丁寧に描くべきだったのは、主犯(妹)が普通の人生を取り戻す過程と、人並み以上の環境を手に入れてなお犯罪に至ってしまう経緯ではないかと思わずにはいられませんでした。
彼女はほぼ姉としかコミニケーションがないネグレクトに当たる虐待を受けていますが、その彼女が「人の顔色を伺うのが常である」機微に長けた美人であったとはいえ、多重人格であるという複雑な性質も抱えながら、のちに経営者として成功する夫と若くして結婚するに至るほどの社交性をどのように獲得したのか。なぜなら彼女は物心つく一番の情緒の成長時期に、母が不在で、親子間の親密なコミニケーションを経験していないわけです。かと思えば、安寧かと思われる生活の裏で、姉との再会で精神不安定となり、連日パチンコに通ってお金を使い込み、それをカバーするための借金が膨らんで行くわけですが、なぜ夫はこの妻の人格の変化とも思われる行為に気がつかないのか?果てに、複数人と付き合い・結婚をチラつかせて金を引き出す、という詐欺的行為に至るわけですが、さてこのようにある程度時間と知能と作戦が必要と思われる行為を働くほどの社会性は(しつこいですが)いつ・どのように身についたのか?私は非常に興味があります。
そこにこそ、このストーリーを成り立たせる肝があると思うのですが、そこは教師の言うことを聞く美人で、体を与えることに抵抗がない、というぐらいしか伝わってこなかったので、この話は果たして成り立つのか?と感じずにはいられませんでした。
それにしても、結婚詐欺を働く中で行為が必要となり、好意を抱かない人との行為によりフラッシュバックが起きてギャンブル依存になったならまだわかるのですが、あれだけ慕っていた姉と会えるようになったことで精神不安定になると言うのは、私には計り知れない何かがあるのでしょうね。姉がいない時代に性的虐待を受けたことの方がより大きなトラウマのように描かれているので、そこにも違和感があり、高い必然性を感じません。そもそも、この犯人が多重人格である必要性があまり感じられず、むしろ結婚生活を送る上で、さらに結婚詐欺を働くにあたっては、相手に不信感を持たれ不利に働くとしか思われない保護者人格(ガーディアン?ですか?)の存在は不自然に感じました。なので、わたし=姉と読者にミスリードさせて「あっすごい」と思わせたかったのかな、最初からそれが目的だったのかな、というとってつけた感を感じてしまいました。
でもやっぱり思うのは、犯罪の源流は児童虐待、が平成の推理小説のスタンダードなんですね。嫌な時代です。