風が強く吹いている
評判
風が強く吹いているの評価:
4.58/5点 レビュー 460件。 S ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全462件 221〜240 12/24ページ
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風が強く吹いているの評価:
4.58/5点 レビュー 460件。 S ランク
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フィクションなのだから、リアリティなんてなくてもいい。
フィクションなのだから、魔法の学校でドラゴンと戦ったって、
テレビから貞子が出てきたって良いと思う。
巨人の星だってリアリティがあるわけじゃない。
だが巨人の星の場合、ぶっとんではいるが、みんな一生懸命にぶっとんでいる。
星飛雄馬は死ぬ気で練習して消える魔球を習得し、
花形満は死ぬ気で巨大な鉄球を打つ練習を行い、大リーグボールを打ち崩す。
ぶっ飛んでいるけど野球にかける情熱や一生懸命さが伝わってくる。
しかし、この風が強く吹いているからは情熱や一生懸命さが全く伝わらない。
一生懸命さが伝わらない理由は以下の4つ。
・ハイジが素人集団の中でお山の大将をやりたかっただけにしか読めない
・ハイジ、走以外の8人が駅伝を目指すまでの心の動きが一切描かれていない
・大学公認陸上部なのに他の学生を一切集めない
・箱根駅伝がすごい大会だというのが一切伝わらない
まずハイジの姿勢が気に食わない。
自分の趣味に他人を巻き込むな。
ハイジは走らないなら寮を出て行け、と脅して寮生に無理やり陸上をやらせる。
お前はジャイアンか?
やる気の無いやつに無理やり駅伝をやらせる意味がどこにあるのか?
そもそも大学の陸上部に所属してるなら短距離部員を説得して箱根の予選に出たほうがいくらかましである。
また毎年入ってくる新入生を勧誘して陸上部員にする手だってあったはずである。
さらに予選会は12名出場できて、そのうち上位10名のタイムの合計で競うのなら、
もし本気なら残り2人メンバーを集めるはずである。
本当にこいつがやる気あるのかわからない。
結局このメンバーでなければならない理由が一つもないため、
ハイジが素人集団の中でお山の大将やりたかっただけにしか読み取れない。
次にハイジと走以外の8人の意識。
こいつらはハイジに言われるままに、生活の全てを陸上漬けにしてしまう。
動機は就職に有利とか、女にモテるとか、そんな理由で辛い練習に耐えられるのか?
そもそもなんですんなり走ることを快諾してるんだ?
走ったことのない人間が、本気で数ヵ月後の箱根を目指そうと思うようになるまでの、
心の動きがまったく書かれていない。
作者が取材した大東文化大陸上部には、こんな思考停止部員がたくさんいたのだろうか?
次に視点を他の一般寛政大学生に向けてみる。
青竹荘のメンバーは大学公認の陸上部である。
なのにメンバーは青竹荘の住人のみ。他のメンバーは全く募らない。
公式団体なのにあまりに排他的である。
もしかしたら陸上の長距離をやりたい学生が他にもいるかもしれない。
もっと速くてやる気もある学生もいるかもしれない。
だけどそういったメンバーに道は開かれていない。
大学公認の部活動なのに、である。
それはおかしくないだろうか?
箱根に出られるのは各大学1チームだけである。
もし他にも蔵原走のような、才能はあるけど陸上の名門大に進学しなかった学生がいたとしたら、
青竹陸上部を見てどう思うだろうか?
あいつら内輪だけで盛り上がりやがって!!
って思うだろう。
サークルなら内輪で盛り上がって勝手にやればいい。
だけど大学公認の部活でそんなことをやるのは許されない。
文中に、全ての学生に箱根への道は開かれている、という旨が書かれているが、こんなの嘘っぱちである。
そしてもっとも許せないのが、箱根駅伝を軽視してること。
素人が半年間で箱根駅伝に出場してシード権も獲得。
陸上競技を舐めてんのか?
この本を書くために大東文化大学陸上部を6年にわたって取材したらしいが、
取材した結果、こんなのを書けてしまうのか?
レギュラーになるのがどれほど大変か、また箱根に出場するのがどれほど大変か、
作者は見てきたんじゃないのか?
頑張れと声をかけるもの躊躇われるほど、とか作者は言っているが、
そんな気持ちで書いたのがこれか?
箱根は素人がいやいやながら半年走って出場できるほどの甘いものなのか?
これで王道?本格派?
笑わせるな!
作者はYahooのインタビューで
「私はスポ根というものが好きではありません。
とはいっても、運動系の部活動をしたことがないので、傍から見ていて、
“何か変だな”と思っていたんです。
スポ根のやり方をいくら押しつけても、たぶん選手はそこ止まりというか、
せっかくの芽をつぶしてしまうと思ったんですよね。
大学生や社会人になっても競技をしているひとは、“自分で考える力のあるひと”だと、取材をとおして感じました。」
(以上引用)と言っている。
寮生を脅して、やりたくもない駅伝を無理やりやらせたのは誰だ?
ハイジにやれと言われてハイそうですか、とやりはじめた8人のメンバーは“自分で考える力のある人”か?
私には8人が思考停止人間にしか思えない。
ハイジは予選会突破後に現れた入部希望者を全て断っている。
こいつは独裁者のジャイアンだから放っておくとして、
他のメンバーはそのことについて何も言わなかったのか?
本気で上位を目指すなら、絶対もっとメンバー必要だろう。
なんで他のやつは、ハイジに入部希望者を断るな!とか言えないんだ?
おそらく作者には、箱根に出る選手は一般の学生とは異なるアスリートである、ということが判らなかったのだろう。
作者の取材力を疑わざるを得ない。
最後に万引きのエピソードについて。
走は物語の最初に万引きを犯すが、その償いを一切おこなっていない。
そんな走が万引き犯を捕まえるエピソードが出てくるが、
これはいったい何のために挿入されたのだろう?
もしこれが最初の万引きに対する罪滅ぼしなのだとしたら、作者の倫理観すらも疑わざるを得なくなる。
以上により本書は体育会系部活動への多大なる勘違いが随所にちりばめられた、箱根駅伝の侮辱小説である。
同じ陸上をテーマとした[一瞬の風になれ]とは余りにも出来が違う。
まったくの駄作である。