(短編集)

戻り川心中

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

戻り川心中の評価:

4.57/5点 レビュー 60件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.57pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全170件 141〜160 8/9ページ
No.30
(5pt)

心に染み入る作品だ

短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。

この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。

例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。

さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。
戻り川心中 Amazon書評・レビュー: 戻り川心中より
4061307061
No.29
(5pt)

心に染み入る作品だ

短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。

この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。

例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。

さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。
戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション)より
4894564106
No.28
(5pt)

心に染み入る作品だ

短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。

この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。

例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。

さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。
戻り川心中 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (講談社文庫)より
4061830635
No.27
(5pt)

心に染み入る作品だ

短編集で「藤の香」「桔梗の宿」「桐の柩」「白蓮の寺」「戻り川心中」の5編が収録されている。最初の「藤の香」で、なかなかやるなと思い、腰を据えて読んだが、やはり何といっても白眉は最後の「戻り川心中」だろう。

この作品は直木賞の候補になったが、残念ながら受賞までには至らなかった。ただ、その年の日本推理作家協会賞短編賞は受賞した。その後、「恋文」で直木賞を受賞したが、文章の上手さは当時から定評があった。

例えばこういう文章に私は弱いのである。――人の命が、あの一房の花を葬るための儀式ならば、そして人と人とが後ろ姿で言葉を交わし合って通りすぎていくものならば、代書屋やお縫が無言の背で、黄泉路の闇に運ぼうとしたその真相を、やはり私も後ろ姿で見送ってやりたいと、そう思うのでございます(「藤の香」より) 。

さて、「戻り川心中」の凄いところは、天才歌人を主人公にしているのだが、その「歌」もなかなかのものなのだ。勿論、素人の私に歌の良し悪しは判るべくもないが、その切なさが、しっとりとした情感と共に、心に染み入ってくるのである。
戻り川心中 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (光文社文庫)より
4334740006
No.26
(5pt)

花をモチーフにした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編

大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で
男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ
にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。

とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な
世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な
ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。

そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか
の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。

※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。
戻り川心中 Amazon書評・レビュー: 戻り川心中より
4061307061
No.25
(5pt)

花をモチーフにした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編

大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で
男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ
にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。

とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な
世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な
ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。

そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか
の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。

※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。
戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション)より
4894564106
No.24
(5pt)

花をモチーフにした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編

大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で
男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ
にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。
とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な
世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な
ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。
そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか
の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。
※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。
戻り川心中 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (講談社文庫)より
4061830635
No.23
(5pt)

花をモチーフにした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編

大正末から昭和初期を時代背景に、追憶を基調にした一人称で
男女や親子の愛憎の物語を情感豊かに描き出す、花をモチーフ
にした連作ミステリ〈花葬〉シリーズの五編が収録された短編集。
とはいえ、流麗な文章によって紡ぎ出される情緒纏綿な
世界観は、表層に過ぎず、その裏には、極めて人工的な
ホワイダニット――犯人の常識離れした動機があります。
そして、本書の五編で描かれている犯罪は、被害者以外の誰かに何らか
の錯覚をもたらすための演出の手段である――という点で共通しています。
※本書に収録されている各短編の内容については「コメント」をご参照ください。
戻り川心中 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (光文社文庫)より
4334740006
No.22
(5pt)

まさに珠玉の短編集

短編集ですが、全くはずれがありません。
まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。
大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。

連城三紀彦の入門者にもオススメします。
詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、
ネタバレになるので書きませんが、
このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、
気に入った方はそちらもぜひ。

何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。
戻り川心中 Amazon書評・レビュー: 戻り川心中より
4061307061
No.21
(5pt)

まさに珠玉の短編集

短編集ですが、全くはずれがありません。
まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。
大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。

連城三紀彦の入門者にもオススメします。
詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、
ネタバレになるので書きませんが、
このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、
気に入った方はそちらもぜひ。

何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。
戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション)より
4894564106
No.20
(5pt)

まさに珠玉の短編集

短編集ですが、全くはずれがありません。
まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。
大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。
連城三紀彦の入門者にもオススメします。
詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、
ネタバレになるので書きませんが、
このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、
気に入った方はそちらもぜひ。
何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。
戻り川心中 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (講談社文庫)より
4061830635
No.19
(5pt)

まさに珠玉の短編集

短編集ですが、全くはずれがありません。
まさに珠玉の言葉にふさわしい短編集です。
大正時代の空気をこれだけ再現してみせる力量には感服です。
連城三紀彦の入門者にもオススメします。
詳しい個々の内容については前の方が記載していますし、
ネタバレになるので書きませんが、
このシリーズは「夕萩心中」という本に引き継がれますので、
気に入った方はそちらもぜひ。
何度繰り返し読んでも飽きのこない、すばらしい本です。
戻り川心中 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (光文社文庫)より
4334740006
No.18
(5pt)

情緒纏綿

花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。

加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。

文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
戻り川心中 Amazon書評・レビュー: 戻り川心中より
4061307061
No.17
(5pt)

情緒纏綿

花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。

加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。

文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション)より
4894564106
No.16
(5pt)

情緒纏綿

花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。
加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。
文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
戻り川心中 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (講談社文庫)より
4061830635
No.15
(5pt)

情緒纏綿

花がモチーフの短編ミステリー集。
いずれも、大正末期から昭和初期が舞台だが、あまりに雰囲気が良く出ていて、
思わず作者の年齢を確認してしまった(今年還暦を迎えたばかり)。
よく考えたら、およそあり得ないプロットなのだが、
筆力で(それも自然に)読ませてしまう。
それと、いずれも動機が最大のポイントなのだが、ちゃんと
手がかりや伏線が置かれているのが「本格」的。
加えて練達な筆致に、一読、巻を措く能わず、で一気に読了。
それにしても、この人の文章は美しい。
詩的で情緒纏綿たる描写とはこのこと。
文学の香り高い本格物として稀有な作品、と思う。
戻り川心中 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (光文社文庫)より
4334740006
No.14
(5pt)

「作者」と「作品」の間には…

◆「戻り川心中」

 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

 彼が求めていたのは何だったのか?

 我々は「作者」と「作品」の間に密接な
 関連性を見出さないではいられません。

 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。

 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。

戻り川心中 Amazon書評・レビュー: 戻り川心中より
4061307061
No.13
(5pt)

「作者」と「作品」の間には…

◆「戻り川心中」

 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

 彼が求めていたのは何だったのか?

 我々は「作者」と「作品」の間に密接な
 関連性を見出さないではいられません。

 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。

 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。

戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (ハルキ文庫―連城三紀彦傑作推理コレクション)より
4894564106
No.12
(5pt)

「花」に託された人の想い

◆「桔梗の宿」
 死体が握っていた一輪の白桔梗。
 
 二つの殺人事件を繋ぐこの花は
 〈ダイイング・メッセージ〉なのか、
 あるいは何かの〈見立て〉なのか?
 結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な
 策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。
 人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく
 望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。
◆「桐の柩」
 男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして
 「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。
 やくざの世界という舞台設定と骨絡みの
 トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。
◆「白蓮の寺」
 幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。
 果たして母は、父を殺したのか?
 
 自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ
 現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。
◆「戻り川心中」
 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。
 彼が求めていたのは何だったのか?
 我々は「作者」と「作品」の間に密接な
 関連性を見出さないではいられません。
 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。
 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。
戻り川心中 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (講談社文庫)より
4061830635
No.11
(5pt)

「花」という美しい錯覚に殉じる生

◆「桔梗の宿」
 死体が握っていた一輪の白桔梗。
 
 二つの殺人事件を繋ぐこの花は
 〈ダイイング・メッセージ〉なのか、
 あるいは何かの〈見立て〉なのか?
 結末で浮かび上がるのは、犯人の巧緻な
 策略ではなく、哀しくも切実な動機だった…。
 人の行動が自分の想いとは裏腹に作用し、まったく
 望まない構図に収斂させられてしまうという悲劇。
◆「桐の柩」
 男と女の何重にも捩れた情念の交錯、そして
 「柩」と「死体」の関係における逆説的な着想―。
 やくざの世界という舞台設定と骨絡みの
 トリックの鮮烈さに眩暈すら覚えます。
◆「白蓮の寺」
 幼少の記憶に焼き付けられた凄絶な母の姿。
 果たして母は、父を殺したのか?
 
 自らの「記憶」に翻弄された主人公が最後に直面するのは、寄って立つ
 現実が崩れ去るが如き「真実」と愚かしくも美しい人の情念です。
◆「戻り川心中」
 二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、
 その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。
 彼が求めていたのは何だったのか?
 我々は「作者」と「作品」の間に密接な
 関連性を見出さないではいられません。
 そんな思い込みこそが本作の犯行の不可欠な要素となっているのです。
 犯人が狂おしい妄念を燃やして描き出した幻の花。
 彼は自らの命を賭すことで、決して色褪せない永遠の花を手にしたのです。
戻り川心中 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 戻り川心中 (光文社文庫)より
4334740006