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死神の追跡者



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【この小説が収録されている参考書籍】
死神の追跡者 (トム・マーロウの奇妙な事件簿)

死神の追跡者の評価: 4.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

単純な善悪で測れない難事件の謎を追う少年トム!YA怪奇短編の名手の新たな意欲作。

理論社刊行の「怖い話」シリーズ3冊で多くのファンを獲得したYA怪奇短編の名手プリーストリーの期待の長編初紹介作です。著者の「怖い話」シリーズは一応は長編ですが、たくさんの短編を間に挿んだ連作形式になっていましたので、本書を見つけて著者は普通の長編も書いていたのだなと意外に思いました。また、ゆっくりと話を進めるタイプだと思っていたのが、本書を読むと展開が早い非常に動的な物語なのと派手なアクション・シーンが多いのに驚きまして、著者の今までにない意外な一面と新たな魅力を感じました。
18世紀イギリスの大都会ロンドンで不気味な殺人事件が起きる。矢で射抜かれた死体に残された奇妙な「死神の矢」のカードは何を意味するのか?しかも被害者は昔アメリカで兵士として戦った時に殺されていたという。フリート街の印刷工房で父を手伝って働く15歳の冒険好きな少年トム・マーロウは、父ミスター・マーロウの客の一人で親しい間柄の聡明なハーカー博士と共に事件の謎を調べ始める。
本書の読み所には、18世紀当時のイギリスの現代には見られない珍しい風俗が生き生きと描かれている所、すりを商売にする小悪党だけど不思議と憎めない少年ウィルと主人公トムとの友情の物語、少年トムが悪党どもから命を狙われて必死で逃げ回るスリル満点の追跡劇、等々があります。ミステリーとしては、一見不可能犯罪に見える犯行トリック自体はたいした事がありませんが、物語の構成に善悪の問題を内包した大胆な企みが仕掛けられているのがとても素晴らしいです。児童に向けて書かれた読み物なのに単純な善悪の構図の物語にしないで、何が善で何が悪なのか?と言う事を深く考えさせ、法に従う事だけが正しいのか?という非常に難しい非道徳的な部分にまで踏み込んでいる所には思わず感心させられました。そして著者は悲しいけれども致し方ない結末だと思わせておいて、最後に大どんでん返しの奇跡を用意しており、読者をあっと驚かせ幸せな気持ちにしてくれます。著者は既訳の3冊でも見せてくれた様に、今回もラストを締め括る大技はまさに天晴れ!その物で見事な名人芸と言うしかない最高の切れ味だと思います。
このシリーズは3部作だとの事で、残酷さや厳しさもありますが優しい人情味に溢れた魅力も感じさせる「トム・マーロウ少年の奇妙な事件簿」の続巻の紹介を楽しみに待ちたいと思います。
死神の追跡者 (トム・マーロウの奇妙な事件簿)Amazon書評・レビュー:死神の追跡者 (トム・マーロウの奇妙な事件簿)より
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