初めての一人旅。少し眠って目をあけると、列車は止まっていて、ぼくの前の空いていた席に、白いドレスの女が座っていた。

ホートン・ミア館に向かう馬車にゆられながらぼくは泣きたい気持ちになっていた。

ロンドンを離れ、ハーカー博士とノーフォークまで旅することになったトム。

少年トム・マーロウが暮らすロンドンでは、奇妙なうわさが飛びかっていた。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

折口信夫、乱歩も絶賛した「かむなぎうた」、ほの暗く、ほの明るい幻想怪奇「東天紅」、民俗的ミステリ風味「吉備津の釜」、得意の台湾物「消えた家」、呪いの家「ひこばえ」、泉鏡花賞「泥汽車」、ハイカラ右京番外篇「明治吸血鬼」…澁澤龍彦も種村季弘も賛美した異端のダン

大都会ロンドンの一画に、エドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテル。

モリーは14歳、天性の語り手だ。

島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。

エリザベス・リッチモンドは内気でおとなしい23歳、友もなく親もなく、博物館での退屈な仕事を日々こなしながら、偏屈で口うるさい叔母と暮らしていた。

地球の人類は鋼鉄都市と呼ばれるドームのなかで、人口過密に悩まされながら生きていた。

数学の教授だったアレックは六十、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変する。

1815年、パリに向かう英国人青年が救った見目麗しい伯爵夫人。

19世紀後半、ロンドンの外れの巨大なごみ捨て場。