生存者ゼロ
評判
生存者ゼロの評価:
3.04/5点 レビュー 178件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全143件 141〜143 8/8ページ
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生存者ゼロの評価:
3.04/5点 レビュー 178件。 B ランク
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舞台の中心は北海道、事の始まりは北海道沖に浮かぶ石油掘削基地。同時多発的に発症したウィルス性と見られる劇症により無惨に肉塊と化した二十数名の作業員。“現場に一番近かった”という理由でその場へ派遣され、物語の渦中へと巻き込まれて次々と部下を失い、孤独と自責の念との戦いを続ける陸上自衛官三等陸佐の''田。南アフリカ奥地にて愛すべき家族を新種ウィルスにより亡くし、失意と周囲の策略により権威ある研究者としての地位からマッドサイエンティストまで一直線に没落する富樫博士。国益、人命よりも次の選挙、己のポストを守るため狂った様に責任の擦り付けを行う政府中枢幹部と内閣総理大臣の大河内。三者の思惑の遥か外枠で巻き起こる大量虐殺は瞬く間に北海道へ上陸しその脅威を全世界へ知らしめる事となる。
同時多発的な発症が一夜にして8万人の北海道民を、およそ生命の存在を微塵も感じさせない肉塊へと変えてしまう恐怖はグイグイと物語へ引き込む力を持っており、論理破綻なく読み進めた次なる展開は、納得と大満足の結末をもたらせてくれた。同時発症・・・それも新月の時に限って・・・深まる謎と迫り来る次なる大量死。読者を飽きさせない論理的な展開はとてもサラリーマンが片手間で造り上げられるような代物ではございません。上から目線ホントすんませんでした。
とはいえ、若干ばかりの突っ込みを入れたい点も僅かばかしある。例えば時代設定、これは近未来の話しではなく、過去の歴史小説でもない。まぎれも無く、明日起こるかも知れない恐怖だ。それなのにどうだろう、登場する主人公達の情報発信力の無さといったら半端ではない。今の時代、大勢の人間に警鐘をならす手段はテレビだけではない。政府の情報統制が国内の全メデイアを押さえられるはずも無い。自らが掴んだ危機的情報を総理大臣に握りつぶされるとは言っても、不特定多数に発信する手は腐る程ある。10年前の作品であれば何の不満もないのだが、スマホ、SNS、フェイスブックを使った人々の混乱と情報伝達の描写、これが全く無かったため、現代としてのリアリティが損なわれてしまった様に思われる。一方で政府の無責任ぶり、混乱ぶり、他国からの信用失墜などの描写はまさに東日本大震災、福島原発事故を連想させるほどのリアリティを表現していたからこそ、情報描写に対するリアリティも同様に手を抜いて欲しくは無かった。
そして、物語のピースを繋げる為にやや強引な設定で登場する女性、弓削(ゆげ)博士。本書で感じた唯一の強引さは彼女の設定のみと言っても過言ではないほど、この女“都合がよい”。物語を急展開させるための手段として登場するキャラクターはどうして女性、そしてヒステリックが多いのだろうか。活字からも金切り声が聞こえて来そうな人物の登場はなぜか「あぁ、出たか。」と若干しらけてしまった。この辺りの人物描写のお決まり感と強引な展開が“B級テイスト”に拍車を掛けてしまったように感じて勿体ない。
そう人物描写、本書の主人公は“神の意志”なる何者かの働きかけにより自らが意図しない感情を抱くことになる。同時に読み手側は、主人公と感情をシンクロさせる隙を与えてもらえず、視点は常に“映画のワンシーン”といった感覚だった。それは意図的と言うよりも、人物に対する表現力に乏しい事が理由なのかもしれない。各セクターの脇役なんて語彙は違えど皆“神経質で卑屈な人間”だらけになってしまっている。キャラクタライズに不十分な登場人物たちではあるが、廻''田、富樫、弓削、大河原など重要な人物は特に特殊な苗字がアンカーとなっており、誰が誰だか分からなくなる事を防いでいることがテクニックといった所なのだろうか。賛否分かれるだろうが、まぁ、客観的に事象を捉えてゆくストーリーの性質上、過度な感情移入は無くて正解だった様に思う。淡々とした中に、少しばかり読み手側の想像をサポートしてくれる“ささくれ”さえあれば十分。そんな楽しみ方もあってしかるべきだ。
少し批判が続いたが、それを鑑みたところで全く意に介さないほど面白いミステリー書籍であることに違いは無い。エンターテイメント性で言えば、そりゃジェノサイドには及ばない。しかし、読み手側が想像できうる登場人物の内面性、ストーリーの論理的整合性、大量虐殺へつながるリアリティからすれば十分にこちらが勝っている様に思える。本書が処女作品となる安生正さん・・・大丈夫か?今の仕事(建設会社勤務)続けられるのか?否、続けなくて良いので次回作を書いてくださいませm(_ _)m
携帯小説?的にお手軽でキャラクターの作り方だけが上手いふざけたミステリー作家が人気者になっている現状を嫌ってる人が読んでも十分に面白い。根拠は僕だ。