ブラッド・メリディアン

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

ブラッド・メリディアンの評価:

4.67/5点 レビュー 24件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.67pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21〜25 2/2ページ
No.5
(4pt)

その後の作品へと続く要素

物語は19世紀半ばのアメリカ西部。1人の少年がインディアンの討伐隊に加わることで過酷な運命に巻き込まれていきます。
血と暴力、人間の暗部を描き出す残虐性が詩的なまでに美しい風景描写と共に描かれています。
決して読みやすい物語ではないですが、ストーリーの苛烈さに惹かれて一気に読んでしまいました。

日本では「血と暴力の国」「ザ・ロード」の後に翻訳されていますが、本国での刊行は1985年ということで、〈国境三部作〉よりも前の作品となります。
そういう視点で見ると、この作品は作者のその後の作品の要素を垣間見ることができます。
〈国境三部作〉で描かれる少年の(暴力や血を流しながらの)成長や馬とのモチーフ、「血と暴力の国」での乾いた砂漠の風景や銃の乾いた暴力性、
「ザ・ロード」の蛮族の残虐さや火のイメージ。全ての作品に通ずる悪の存在と人間の運命。
刊行順が逆だったら作者の集大成とでも言いたくなる内容です。
見方を変えると現代を描いた「血と暴力の国」を境に、近未来の「ザ・ロード」を過去へ反転させた世界とも思えます。

最後にこの作品の鍵となるホールデン判事の存在感はやはり圧倒的です。世界の悪や不条理を体現させる存在として主人公の運命を左右します。
(読んでいない人のために書けませんが)ラストシーンは本当に鳥肌ものです。

作者はこの作品の前にも何冊かの作品を刊行しています。
作者の起源を知る上でも、日本での翻訳が待たれます。
ブラッド・メリディアン Amazon書評・レビュー: ブラッド・メリディアンより
4152090936
No.4
(4pt)

いつのまにか血を求めている自分に気付く

ザ・ロードより読みづらく時間を置いたら長く未読の棚に置かれる事必至。
なので一気に読み読後のいまはちょっとした麻痺状態になっている。
まだ、帰って来れない。無情感?

ザ・ロードの近未来に対し本作は開拓時代の混沌とした無政府状態の西部アメリカ、メキシコが舞台。
西部劇でおなじみの事がもっと汚く臭くリアルに描かれている。
解説をよむと修正主義西部劇というらしい。
西部の自然描写は想像しづらいがグーグルアースで見ながら補っていった。
自然描写あと必ず凄惨な血の描写がある。
しかし凄惨と思うのは最初だけで読み進める内にあまりにも自然に思えてくる。
いつのまにか血をどんどん期待してしまう。
生きる事も死ぬ事もあまり大差ない、未来も過去も大差なく、永遠に人間は戦い血を求める。
それがこの本を読むと全然、非情に思えないから不思議である。
ブラッド・メリディアン Amazon書評・レビュー: ブラッド・メリディアンより
4152090936
No.3
(5pt)

凄まじい暴力描写。でもどこか心の奥底でうごめくものを感じる

『ザ・ロード』や『血と暴力の国』の著者の待望の翻訳。噂は聞いていたけど、血塗られた、凄まじい暴力描写の連続に衝撃を受けた。これほどまでの暴力描写の小説は読んだことがない。

19世紀半ばのアメリカとメキシコを舞台に、インディアン狩りの討伐隊に加わった少年の旅路を描く。
あとがきでも触れられているが、この小説は、残虐なインディアン狩りというアメリカの歴史を単純に告発しているだけでなく、暴力や戦争に惹きつけられてしまう人間という存在自体への痛烈な告発になっている。

読後感も悪いが、何か心の奥底を揺さぶるような小説。単純な正義や平和といった言葉の対極にあるのではない暴力や悪がが確かにこの世には存在している。

しかし、すごい作家だ。
ブラッド・メリディアン Amazon書評・レビュー: ブラッド・メリディアンより
4152090936
No.2
(5pt)

他のマッカーシーの作品を読んでから読む人へ

今のところ翻訳されているマッカーシーの作品は他に5つあるけど、
1.すべての美しい馬、2.越境、3.平原の町、4.ザ・ロード、5.血と暴力の国
この作品はちょっと他の作品と毛色が違うところがあります
(評者は1、2、5を読んでます)

それは、

・文章が詩的
「越境」もそうでしたが、「越境」よりさらに詩的です
一つ一つのセンテンスが詩として独立してるような感じです
「血と暴力の国」など会話と独白が多いので通俗小説並みに読みやすかったですが、この本は話を追いづらいので読みづらく感じる人もいるでしょう

・残酷描写が他の作品よりきつい
マッカーシーの作品で何をいまさら、と思われるかもしれませんが、他の作品より強烈だと思います
インディアン戦争の時代が舞台ですから、描かれているのは個人の暴力を超えた虐殺です

・あと、これは言葉で表現しづらいんですが、この小説は作者の意欲作といった感じです
他のマッカーシーの作品と同じく世界の不条理さがテーマだと思うんですが、この作品には世界の不条理を体現したキャラクター「判事」がいます
他の作品では不条理は特定の形をとっていません 読者は世界の不条理に憤りや戸惑いを感じつつも、それをぶつける相手すらないわけです
(「血と暴力の国」のChigurhは判事に近い感じですが、判事ほど怪物じみていません Chigurhは不条理の構成要素の一部ですが、判事は不条理の神に仕える神官といった感じです 両者は似ていますが違います 映画「ノーカントリー」はChigurhの不条理の体現者としての性格を意図的に小説より強調したと思います)
もちろん現実には不条理を体現する人間などいません この陰惨な小説に対して変な表現ですが、憤りや戸惑いをぶつける相手の形があるだけ、この小説は「越境」や「血と暴力の国」より希望があるような気がします そこに作者のポジティブな意志を感じます

いずれにせよ一読の価値は十分すぎるほどある小説です
縁あってこのページにたどりついた方、ぜひどうぞ
ブラッド・メリディアン Amazon書評・レビュー: ブラッド・メリディアンより
4152090936
No.1
(5pt)

マッカーシーの最高傑作、堂々登場!

本作は奇蹟のような一作品である。
マッカーシーはこれまで国境三部作で我々を驚嘆させ、『血と暴力の国』(扶桑社ミステリー)では嘆息せしめるほどの緻密な世界を構築してきた。そしてマッカーシーの最新作『ザ・ロード』では、父子小説としても捨て難く、かつSF的観点から見ても優れているうえに圧倒的な荒廃した世界の描写を我々に見せてくれた。
ジャンル小説と純文学が最高点でぴったりと重なった傑作こそが『ザ・ロード』であった。我々に強い衝撃を与えてくれたし、マッカーシー作品のなかでも到達点と言えるだろう。『血と暴力の国』だって、圧倒的な読後感の余韻を与えてくれた。ほかでは体験し得ない読書体験だった。
さりとて、マッカーシーのそれは最高傑作ではなかった。本作こそ、最高傑作として恥じることのない作品である。
またしてもマッカーシーにしてやられた。マッカーシーには新しく翻訳される作品ごとに驚かされる。どれもハイ・クオリティであるからだ。まったく下がることなどないし、何度読んでも新しい発見がある。文学としても優れているし、これを読めば、日本の文学など安っぽいものであると痛感するはずである。
マッカーシーこそ、文学史上に名を刻むに相応しい作家である。
また、新作が邦訳されることを祈ろうぜ、ベイビー!
おやすみなさい、シュリーヴポート!
ブラッド・メリディアン Amazon書評・レビュー: ブラッド・メリディアンより
4152090936