グレイヴディッガー
評判
グレイヴディッガーの評価:
3.86/5点 レビュー 104件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全176件 81〜100 5/9ページ
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グレイヴディッガーの評価:
3.86/5点 レビュー 104件。 A ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
最近は直木賞候補にもなった『ジェノサイド』がかなり話題になった。
受賞は逃したものの、一部の評価は半端ではない。
というわけで高野和明という名前が気になっていたところへ、
同じ高野さんの別の本であるこの小説の新聞広告を見た。
そして広告の仕方もあるのかないのか、うっかり『ジェノサイド』の次の作品と思い込み、
文庫だし手軽でいいと思ってこちらを先に読むことにした。
同じような印象を持った読者はほかにもあるかもしれないが、
そうではなくて、実は単行本で出版されたのは2002年とけっこう古い。
2001年の『13階段』の翌年である。
考えてみれば、『ジェノサイド』も文庫化してないのに、そのあとの作品が文庫であるはずがない。
で、出版時期が近いせいか、読後感は『13階段』を読んだときにかなり近いものがあった。
『13階段』は、死刑制度という社会問題にも真摯に取り組んだ力作だった。
おそらくこの作者がベースに持っているある種の倫理性のようなものは健在で、
ここでも司法の腐敗や、いやもっと根源的に法で裁ききれない悪をどうするか、
という大問題が扱われている。
一方で、読んで面白いという特徴もますます磨きがかかっているというべきか、
謎解きが追う追われるというモチーフと絡んで、スピード感のある展開になっている。
入り込んでしまうとそう簡単には本を置けない。
しかし犯罪の組み立ては、大変に緻密なものだが、
一方で複雑すぎて読者としてはついていきにくい面もあるのではないか。
『13階段』の時にも感じた短所のようなものである。
もっともその辺はあまり考えなくても、展開の面白さでどんどん読めるのだが。
物語は、腐敗した司法の悪と、
その腐敗に気付いて、何しろ相手が司法がらみだからと自らの手で悪を倒そうとする者と
(これがタイトルの「グレイヴディッガー」である)、
立場上「グレイヴディッガー」を追いながらも、
その動機を考えて心穏やかではない刑事たちとの三つ巴、という形をとる。
「グレイヴディッガー」というのは、中世以来の魔女狩りにからむ歴史的な存在という設定で、
おそらくは作者の創造なのだろうが、相当リアリティがある。
犯罪にこうして伝奇的な要素を付け加えたところが新機軸か。
中世だの魔女狩りだのというので、当然のように犯罪行為自体はかなりおそましい生々しいものなのだが、
それにもかかわらず全体の印象はむしろ痛快!といってもいいようなものだ。
それは一重に、直接には何ら関係はないのに、たまたま事件に巻き込まれて、
ほとんど主人公といってもいいことになってしまう「ワル」の男のおかげである。
この人物設定が何と言ってもこの小説の肝であり、『13階段』とは違ったユニークな味を作り出している。
この男の逃避行も絡んで、実は三つ巴ではなくて四つ巴の展開である。
ワルではあっても、心を入れ替えて人助けをしようとしている途中に事件に巻き込まれるわけで、
そもそも「ワルの善行」というのは魅力的な設定に違いない。
人物造形の魅力は相当なもので、逃げまくるこの男は、
重要な鍵を握っているだけではなく、事件そのものの展開に決定的にかかわってゆく。
犯罪の動機やら組み立てだけでなく、話の展開にも相当強引な感じがあるのだが
(結末にオカルト的な要素を入れるのは賛否が分かれそうだ)、
その力感、スピード感を味わう中で、それもいいか、という気になってしまう。
質の良いハリウッドのアクション映画を見ているような感じとでも言おうか。
実際物語自体もかなり映画的だ。
というわけで多少ごちゃごちゃしているが、十分楽しめる。
評判からするともっと質が高いだろうということで『ジェノサイド』にも期待。