カラマ-ゾフの兄弟

評判

カラマ-ゾフの兄弟の評価:

4.26/5点 レビュー 686件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.26pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全561件 421〜440 22/29ページ
No.141
(5pt)

父親と兄弟の5角関係に始まり、宗教・哲学が彼らの運命を決定的にしていく

上巻の多くは、父フョードルと、三人の兄弟の性格を描写しつつ、かれらに関わる女性たちとの間の5角関係(?)に筆が割かれており、「この調子で全巻続くのか?」と思っていると、最後の章、「プロとコントラ」で内容がきわめて宗教的思想的になるのに驚いた。
 三男のアリョーシャは、純粋に育てられた修道者であり、死期の近い老師は、彼に現実を見せるために敢えて彼を外へ出す。
 そこでアリョーシャは、きわめて世俗的な彼の父親と長男ドミトリィ、そして現実から独自の思想を作り上げたクールでニヒルなイワンを助けるとともに、アリョーシャ自身、自分の家族とのつながりが苦悩の元に成長の基点となっていく。
 上巻のハイライトは、生意気な召使のスメルジャコフに始まり、まずカテリーナとグルーシェニカのやりとり。カテリーナの部屋の描写が見事で、言葉遣いは丁寧なものの、相手の腹を読みながらのばかしあいは大人にしかわからない。
 次におもしろいのは、アリョーシャの貧乏二等大尉訪問。ここでの独自のロシアの言葉使いを非常にうまく訳している。注釈も簡潔に理解を助けている。
 そして、一番印象深いのが、「プロとコントラ」でのイワンの話だ。キリストが、人間を、より高尚な天のパンにむけて、より精神的に生きるように説いたのに比べて、ほとんどの人間はどうあがいても高尚には生きられないのだと断定する。そして彼ら何億という人間たちに幸福を与えるためには、服従させ地上のパンを与えることにしかならないと説く。
 本作品が作られてから200年近くたつ今、この話は予言じみている。資本主義というのは、そもそも地上のパンの取り合いによりなりたつ社会であり、民主主義といいながら、グローバリズムにより巨大企業が与えている自由。
 この話をしたあとイワンはアリョーシャの元を去っていく。中巻はどうなるのだろうか。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.140
(5pt)

汲めども尽きぬ。

以前、古典が古典たり得るのは時代を経て様々な読み方や解釈を内包していくからだ、という文章を読んだことがあります。これは逆に言うと、多用な解釈を受け入れ切れない作品は古典にはなり得ない、ということです。この観点から見た場合、「カラマーゾフの兄弟」ほど古典に”向いている”作品はなかなかないでしょう。完璧な構築物として壮大な物語が紡ぎ出されている一方、書かれるはずだった「第二の小説」が著者の死によって書かれないままになっている。これほど読者の想像力(妄想力)をくすぐる作品も珍しいです。

シューベルトの「未完成」とかのレベルじゃないんですよね。ベートーヴェンの「第九」を聴いた後に「これは実は第一部で、残り半分の第二部の方がメインなんです」と言われたようなもの。ああ、なんてこと。

もはやどこまでがドストエフスキーの思惑通りなのかわからなくなるほど、様々な読み方をなされてきた作品ですが、未だに新しい読み方や妄想を受け入れ続けているのには脱帽です。特に911テロ以降、テロル文学としての「カラマーゾフの兄弟」が注目されたりもしてますし。どんだけ懐広いんですかね。ホント恐れ入ります。

こういう古典文学は、やっぱり読んでおくべきだと改めて思い知らされました。読まずに一生を送るなんて絶対人生損してる。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.139
(5pt)

私の感想

「ここに全てが描かれている…」

誰から聞いたんだっけな。

確か19歳の時だった。本屋でふと手に取ったのだけど、当時の僕はテンポの良さを求めており、どっぷり文学にはまる準備はできていなかったように思う。小説といえば現代ものばかりで、それよりもむしろ社会学や心理学、教育学、言語学、歴史学、音楽などの論文・研究書の方が僕の心のカタルシスを溶くのに最適だった。読み始めようとはしたものの、数ページで手放し、以来6年間、部屋の本棚に眠ることとなった。

しかし、今ようやく読み終えた。この書に全てが描かれているのは明白すぎるほど明白だ。ドストエフスキーの思想の集大成とよく言われるが、まさにその通りで非常に総体的な、つまり僕にとっては「リベラルアーツのまとめ」であろうと思う。見所は、大審問官、ゾシマ長老の説教、裁判弁論などなど多々挙げられるが、何よりもこの作品とチャイコフスキーの「交響曲第6番 悲愴」との奇妙な一致に昂揚せざるをえない。「カラマーゾフの兄弟」も「悲愴」も世界的名作で思想的頂点に立つ作品の一つだし、どちらも「あらゆる全て」が描かれていると言える。そして両方とも作者の死の直前に書き上げられたものであった。

畢竟するに、記号論的には「カラマーゾフの兄弟」は「悲愴」であり、また「悲愴」は「カラマーゾフの兄弟」と何ら違わない。・・・文章か音楽かの違いだけなのである。この読後感は他に比肩が無い。ぜひあらゆる人に読んでもらいたい一冊。





「何かしら正しい良いことをすれば、人生は実にすばらしいのです!…」(アリョーシャの言葉より)

カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.138
(5pt)

本棚の肥やしになっていたのを手にとって見たら、すごいドライブのかかった読書ができて、

新訳が話題になる前に、購入していたこの三冊。
ずっと本棚にあったのだが、海外出張を機会にとうとう手に取り読み進めはじめた。
読み始めたら、面白くてなかなかやめられない。
登場人物、おかれている状態が、複雑にからみあい、入り乱れ、本当に退屈しないし、人生の全てがここに濃縮されているかのような錯覚におちいった。
そして、あの長セリフ。異常に長いセリフなのに読み続けて追っかけてしまう。あきない。この不思議。
こちらの訳でも、まったく意味不明なところがあるわけでなく。読み進めにくい訳でもなく。
なんなら、新訳と読み比べてみたい位の気がしている。この先も楽しみ。こつこつ読み進めよう。
再読すると思うし、ぜひ勧めたいので、星5つ。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.137
(5pt)

自分の子供に読ませたい小説

「第十二編 誤審」においての
検事イッポリート・キリーロウイッチの論告
弁護士フェチュコーウィチの弁論
によりもたらされる強い感銘は、読者の心を小説の核心である「大審問官」へ回顧させる。
エピローグにおいて、子供達へ向けられたアリョーシャの演説、その強くて清らかな心。
自分の子供に読ませたい小説である。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.136
(5pt)

読破した!!

学生時代、カラマーゾフの兄弟も含め挫折したロシア文学は多数ある。最初は、書店でカラマーゾフの兄弟が評判の本として平積みされ、宣伝されているのを見て不思議に思いました。しかし、手にとったこの新訳の読みやすさに引かれて、すぐに購入しました。いくら読みやすいと言っても全巻読むのに時間はかかりました。しかし、巻末の解説が、それを助けてくれました。読みやすいから早く読むのではなく、読みやすいからこそ、じっくり時間をかけてこの大作を楽しむのもよいのではないでしょうか?
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.135
(5pt)

「神」と「悪魔」の狭間に・・・

(上巻のレビューから続く)
そしてこの小説の「恐ろしさ」についてである。「哲学」というものは、自分の内面から湧き出てくる感情(愛情とか憎悪などのあらゆる感情)の源泉について、重ねて自らの内面に「質問する」ことによって織り成されると思う。けれど、質問というのは恐ろしいものだ。予期せぬものが起き上がってくる。この小説では、多くの登場人物が、自律的か否かによらず、この「質問」を自らに突きつけねばならなくなる。恐ろしいものが徐々に起き上がり、それを認識してゆく過程が描かれる。

登場人物たちは、この「質問」と「考察」を自らのモノローグだけでなく、他者との会話を行うことでも深く掘り下げていくが、その際、しばしば「鳥肌のたつ」ように恐ろしい瞬間が読み手を襲う。ものすごく深い絶対触れてはいけない核心のようなものが、ふと垣間見える。・・そして「狂」の存在。この小説では、「狂」とその認識についても語られていると思うが、「狂」とは、自分の中の「一種類の根源的な感情」のみによって行動論理が縛られる状態にあることを指すのではないだろうか。つまり誰でも瞬間には狂たりえるのだ。

「狂」は何も無知によって引き起こされるとは限らない。場合によっては、深く自己の内面について思索し、探求した結果、その領域に至ることもある。そこで善なるものが聴こえるはずだというのはカント的だろうか。しかし、それは外面的には「狂」となるかもしれない。この小説は、そんな恐怖を実地検分する怖さがある。登場人物たちが自己を探求するとき(そのようなシーンはしばしばあるが)自分でも、それまで考えてもみなかったような、根源的な「嫌なもの」が、しっかりと自分の内奥に存在している確かな予感を感じ、そこで、途方にくれて立ち止まるのである。その瞬間の「怖さ」は比類ない。
(下巻のレビューへ続く)
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)より
4102010114
No.134
(5pt)

天の頂に迫る。

ドストエフスキーの最高傑作にして
世界最高の小説を以前、他社を手にし
挫折してしまい、今回新訳ということで
再挑戦しました。
本書の訳をされた亀山氏は本作の面白いところを
熟知されているに違いない。読者を決して飽きさせない。
巻末の読書ガイドも読み応えがあって
読み進める手助けになります。
万華鏡を除いているにも似た眩暈と興奮を覚え
終始圧倒され一気に読んでしまいました。

 内容は世界最高の名に恥じない。
こんな書物読んだことないです。
人類の英知と恥の全てが描かれている。
本作は未完なのが人類にとって
大きな損失ですが、聖書や死者の書にも
匹敵する偉大なる書だと思います。
神の意思が働いて、未完に終わらせたのかも知れません。
 翻訳者の亀山氏に本作の面白さを
伝えてくれたことにとても感謝します。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.133
(5pt)

刑事サスペンスの古典的名作

私があれこれ言う必要もない、古典的名作です。
法律を勉強されている方々にとっても、一大法廷絵巻であるこの4巻は、
刑事サスペンスの名作として、とても勉強になるかと思います。
目からウロコでした。
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)より
4334751326
No.132
(5pt)

精神をおかす副作用が強い薬

読んだことのない人は、「第五編 プロとコントラ  四:反逆 五:大審問官」だけでも読んでみることを奨める。
 特に 「五 大審問官」は本編のストーリーを知らなくても味わえる、驚愕と感銘の世界。
 精神をおかす副作用が強い薬なので、ゆっくりと読むことが必要。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.131
(5pt)

こんなに面白いなんて!

高校生のときこの作品に挑戦して、
数ページで挫折した、にがい記憶があります。
ものものしい言い回しと、くどい文章、個人名の複雑さに、
とてもついていけませんでした。
このシリーズで新訳が出たと知っても、
当初はなかなか手にする気が起きませんでしたが、
高校生の娘に「読みたいから」とせがまれて購入して、
読んでみたら面白くてとまらなくなりました。
三日で読みきりました。
徹夜が平気な若いころにであっていたら、
二日で読みきったことでしょう。
それにしても、こんなに面白いとわかっていたら!
もっと真剣に読んでみるのだった!!
20年以上も損してしまいました。
ドフトエフスキー、もっと読みたい!
もっとたくさん新訳で出して欲しい!
激しいドフトエフスキー熱にあてられたようです。



カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.130
(5pt)

読んでよかった。

毎日少しずつ読んでます。振り返り、またこれからを考え、自分はいったい何なのか、生まれてきて一人も愛さずに死ぬことはできないと言う気にさせてくれた、私の大事な本になりました。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.129
(4pt)

大審問官を現代日本で読み解くメモ【つづき】“一つの罪に対して、罰は二種類ある”

つまり地上の罰(社会的罰)と、天上の罰(内面への罰)だ。ゾシマは、神のみが“良心の呵責”を認識でき、科学では無理という。例えば光市母子殺害事件
後、犯人の手紙が、証拠として公開された。

「選ばれし人間は…私を裁けるものはこの世におらず」
これら供述は『罪と罰』『ドラえもん』の丸写しだが、夢は小説家らしい。
一方で精神医学では、良心が欠落した異常者“サイコパス”の存在を唱える。どちらが正しいのか、科学は、人の内面をも暴けるのか?

■大審問官は居直る『自由は、三次元の人間にとって荷が重すぎる』
民衆の「闘争・貧困」解決策は、取引しかないと。たしかに我々は、『バックトゥザフューチャー』の様に四次元的に行動できない。日本は今、スピリチュアルブームだが、占い師が、詐欺師かどうかも神秘だ。
自由を苦痛に感じる弱者は、現代日本にも確実に存在する。例えば刑務所を出所した老人が、わざと万引きをくり返し、囚人に戻りたがるというニュースを聞く。

■「不死がなければ善もない」《一巻182p》
コレは、魂の不滅がないなら因果応報が機能しない、ことか。
つまり現世で無実の青年力士が、(ビール瓶で撲殺される様ないわれなき現世の罰が)来世で報われないならば、善悪は無意味だ。
司法の補償も怪しいものだ。時津風部屋で07年6月26日に撲殺がおき、立件されたのは約3ヵ月後。それもそのはず警察は、診断書を書換え妥当な検視も怠った。「耳は裂けアザ・火傷だらけの死体」は「心不全」と診断された。我々が欲する「くもりなきメガネ」は、科学がもたらすのか?それとも、神が与えた自由には、善悪の審判は含まれないのか?

戦後日本は国民宗教を失った。法律を補完する社会規範を失った以上、地上の罰に頼らざるを得ない。それが現代日本の現状だ。ゾシマが誇る様な“教会”を持たない日本における死刑制度は…
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)より
4334751237
No.128
(5pt)

こいつは参った。

学生時代にカラ兄を読もうとして、挫折した人は何人いたであろうか。
恐らく読みきった人よりも多いのではないか。
私も高校時代に読もうとして新潮社の原訳の一巻で挫折した人間の一人であるが、
これは一気に読めた。
巷でカラ兄を読む上で最もネックになると言われている
この第一部であるが、私は三日で読んだ。
以前、一ヶ月以上かけても読みきることが出来なかったところと全く同じ部分を、である。
この新約発売という出来事は日本ドストエフスキー史上最大の革命と言えるだろう。
せっかくこんな良い訳が出たのだから、今学生をやっている若者には
携帯なんていじってないで是非とも読んで欲しい。
この大著をいとも簡単に読めるなんて昔では考えられないバーゲンセールだ。
昔に挫折した人も是非。

亀山さん、このまま『罪と罰』の翻訳もお願いします。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.127
(5pt)

5★歴史的大作の大審問官を現代日本で読み解くメモ■誰もが「白い巨塔」の里見になれるわ

アリョーシャは小川で子供のケンカに巻き込まれる。コレは、イワンの話の伏線だ。石ころは「闘争」パンは「貧困」を暗示する。くたびれた古いコートを着た少年は、孤軍奮闘インティファーダだ。

■悪魔の質問「石をパンに変える」
コレは“争う兵士を平和な農夫にかえる”世俗政治の必要性だろうか?病気を抱える家族に、金銭的誘惑…姉歯建築士の耐震偽装事件05年11月を連想する。イワンの主張は『幼児虐待を前提としたキリスト教社会なんてまっぴらだ!』(幼児虐待は一つの典型例にすぎず、異端迫害や魔女狩りも含む、幼児はマイノリティの象徴か)と聞こえた。ただし、僕ら運用側にも責任があるのでは?と思った。

 例えば、柔道のヘタクソなフランス人がいて、そもそもルールが悪いんだ!「技あり」なんて無くしちまえ!これって責任転嫁に聞こえる。ルールだけの問題か?運用側の問題でもあるだろう、ルールに文句つける前に審判にメガネを買ってやれよ!現実に幼児虐待がある、これって全て聖書の責任か?オレ様が、創造主の想定外なことをしたって構うもんか。そもそもルールの方が、曖昧でおかしいんだ!?

■イワンの問題提起は「教会が国家に属すべきか否か」
いっぽう、ゾシマは「教会の裁判こそが唯一の真実」さらに、教会は犯罪者の更生(良心)を見放さない。《一巻169p》太宰は『人間失格』のなかで“一つの罪に対して、罰は二種類ある”という様なことをいった。つまり

地上の罰(被告vs原告、裁判官、世間)と、もう一つは天上の罰(罪人の良心vs神)だ。

 ゾシマは、神のみが“良心の呵責”を認識でき、科学や精神分析では無理、という。被告の反省の弁は、検証可能か?“犯人が心のなかでは舌を出してるかどうか”例えば光市母子殺害事件99年事件後犯人が友人にあてた手紙が、証拠として公開された。その内容は…字数オーバー次巻へ続く
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)より
4334751172
No.126
(4pt)

イワンとスメルジャコフの成り行きに驚いた

これが初めて読む本ではないのに、特に前半は
まるで今までに一度も読んだことがないかのようにワクワクと読んだ。
イワンの行動と変化には本当に驚いたし、スメルジャコフの役回りにも本当に驚いた。
二人の末がいずれも悲惨だったので、その章を読み終えた時は、
しばらく何もしたくなくなってボーっとしてしまったくらいだった。
3巻で長男の物語が息もつかぬ勢いで進んできた後だったから、
イワンの内面に話しが進んでいって、しかもスメルジャコフが絡んでくるので、
読んでいてとてもドラマティックな展開となり、
だからこそワクワクもし、終末には大きな驚きを覚えたのだと思う。

審判が始まってからはむしろ変化がなく、
検察と弁護人のスピーチは、それまでに既に読んできた内容の重複だったので、
少し間延びした感じがぬぐえず、読む楽しみも減ってしまって、
読み終わるのに時間がかかってしまった。

登場人物の紹介が中心だった1巻、哲学的・宗教的考察が中心だった2巻、
話しが急展開して物語自体がグンと面白さを増した3巻、
どれもとても大きな存在だったけれど、
この4巻も2巻と3巻が終結を向かえる大きな存在だと思う。


カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)より
4334751326
No.125
(4pt)

歴史的大作の前半を読み解くメモ■新潮より光文の方が、リーダーフレンドリーだ

ます新潮に比べ読み易い。どちらも字の大きさは同じだが、新潮はギュウギュウ詰めでシンドイ。一方、光文は段落わけが小まめなので、読みながら息継ぎし易い。
 特に『カラ兄』はキャラも多いし伏線や隠喩がアチコチにあるので、厳密に読みだすと、
何度も前のシーンを見直すことになる。そこで段落が小分けだと関連シーンが探し易いし、なにより段落ごとに丹念に思考しながら読めるのが、大きい。

ヨーロッパの教養の一極『カラ兄』を、アジア的に例えると、アリョーシャは劉備。ドミトリは張飛。イワンは孔明いや曹操か?もちろん董卓はフョードル。すると仲達や貂蝉も?

 第一巻の予備知識●貨幣価値…「3000ルーブル」という財産の話が、よく出てくる。
コレは、どの位の価値か?19世紀当時の大学教員の年俸が丁度この3000ルーブルで、
その教員の召使の年俸※が÷10の300くらいだった様だ。ざっくり言うと、
1ルーブルは千円、1コペイカは十円だ(詳しくは二巻ガイド)。ちなみに、ソーニャの初仕事は銀貨30ルーブル。
アリョーシャが、かじるフランスパンは3コペイカ、ミネラル水はその10倍。
年俸※『賭博者』家庭教師は700、『外套』9等官は400ルーブル。
ちなみに著者が『賭博者』を書いたのも、借金3000ルーブルのため。

 第二巻の予備知識●8世紀の宗教史「ピピンの寄進」
751年 小ピピンの即位(フランク王国カロリング朝
この歴史を知らないと、前半のクライマックス大審問官が理解できない。
そう大審問官が告白した、あの悪魔的取引のルーツだ。

コレは、ピピンと教皇の歴史的取引が前提にある。8世紀すでにローマ帝国は崩壊し、
異民族が荒れる、まあ戦国時代。つまり教会は外敵に対する後ろ盾が欲しかった。
一方、その後ろ盾候補のフランク王国でも権力争いがあった。ピピンは先代メロヴィング朝を凌ぐ権威が、欲しかった。
そこでピピンは、外敵ロンバルド族を討ち、ラヴェンナ地方(後の教皇領)を寄進するのでと…取引をもちかける。
これにより、精神的支配者に過ぎなかった教皇が、現世的直轄領を持つ世俗的支配者となる。

PS●まだ2巻まで読んだとろ、1巻の感想は、とにかく親父の変態ぶりが際立ってて笑えた。だけでなく少女の手紙など心温まる話も。2巻は『神の不在』論争にも熱を帯びてきて…いよいよ大作の片鱗がみえてきたか?てとこ。本作はかなりの長編にして、複数のエピソードが重畳する。何度も精読しないと理解できそうにないため、ここに整理した。まず一巻だけの評価なら★4
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.124
(5pt)

自分の中のイワンとどう向き合うか

イワンと悪魔の対話は実に現代的だ。
酒鬼薔薇聖斗から福島の母親殺し・・・まで、自分の理屈で他人を傷つけ、殺害する人が増えている。それは自分の中にも潜んでいる。
その得体の知れないものを気づかせ、真摯に向き合うことを教えてくれたのが本書だった。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.123
(5pt)

昔読んだ人もぜひ

若い頃、共感できなかった「カラマーゾフの兄弟」の新訳本が一昨年に登場し、読みやすさが評判で異例のベストセラーを続けているとのことで、久しぶりに繙いてみました。

なかなか先に進まなかった小説が、翻訳のせいなのか、今の時代に合致したせいか、或いは自身の歳のせいかとても面白く、すらすら頭に入っていきす。

130年前の作品に提示される様々な問題 (権威、権力、信仰、憎愛、虐待、差別等々)の多くは、今もって解決されず、返って深刻さを増しているようにも思えます。
人は、大きな幸せを願いながらも、身近には簡単に傷つき傷つけてしまう。人間とは何か、生きるとは、どういうことなのか…

さて昨年夏にエピローグ別巻を含む全5巻が、完結しその後、訳者は未完の第二部の構想を『「カラマーゾフの兄弟」続編を空想する』と題した新書版で発行し、これも話題となりました。
人生の後半をより心豊かに軌道修正される上で、この古くて新しい最高峰の文学が役立ちますよう。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.122
(5pt)

遅い盛り上がりだが・・・やはりすごい

読みやすいというので、読みはじめた。べつに読みやすいという感じはなく、普通である。ふつうの日本語という感じだった。ただし、なんともいえない艶がある。人気の秘密は、きっとこの魅力だな、と思った。徐々に盛り上がっていくが、盛り上がり方が遅い。でも、スメルジャコフのあたりからだんだん面白くなった。こういう男がやはり増えているのじゃないか、と思った。たとえば、今回「ルネサンス」殺人事件だって、イワンとスメルジャコフを足して2で割ったようなところがある。父親殺しが主題というのだから、このフョードルが殺されるのだろうが、ちょっとかわいそうなところがある。あそこまでサーヴィス精神旺盛な道化はそうはいないと思うけれど、臭い女に関する趣味のテーマは、けっこうすごい。ドストエフスキーがここまで堕落を知っている作家だとは思わなかった。あそこまで書けるからこそ大作家なんだろうな、とも思う。でも、ドストエフスキーは、どうしてそこまでわかるのか。頭で理解しているだけなのか、それとも彼自身が、どうしようもない道化者で、「悪趣味」なのか。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067