カラマ-ゾフの兄弟
評判
カラマ-ゾフの兄弟の評価:
4.26/5点 レビュー 686件。 C ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全561件 201〜220 11/29ページ
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カラマ-ゾフの兄弟の評価:
4.26/5点 レビュー 686件。 C ランク
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女性がヒステリックになる、カラマーゾフだけではないその他の百姓・貴族連中にも同様の異常さ・狂気が存在する、脱俗に対する世間の羨望と蔑み。
かねてからロシア人とはどういった民族・思想を持つ人々なのか興味があり本作を手にとったが、現在のウクライナ危機などを理解するに十分な資料と判断。
日本人から見て、これは普通に考えてこうでしょ?という所をなぜか予想を超えた行動を取ることをしばしばニュースを見ていて不思議に思っていましたが、
ロシア人には<狂気>が備わっているのだと改めて実感しました。
ミーチャはフョードルを軽蔑し、フョードルもミーチャを軽蔑する。イワンも同じであるが、二人を客観視することでなんとか自己に内在する血としてのカラマーゾフ的狂気を抑制しようとしている。彼らと同化しないように哲学・理論を磨き上げ、徹底対抗する姿勢。
しかし部屋に現れた幻覚の悪魔(自分の中の抑制された意識が別人格として独立しようとしている)を自分の外に見ることによって、改めて自分がカラマーゾフであると認識し、絶対に認めたくないがために、徐々に精神崩壊していく。
こうした純粋な<カラマーゾフ的血統>を一切憎むこと無くアリョーシャは、こころの弱い・寂しい人はその反動から道化に走るものだと、深く理解している。
しかし自身も全くもってカラマーゾフであることも理解している。欲に翻弄された父・兄達はそれぞれうまく行かない結果に走っていったが、アリョーシャはそうはならかなった。単純に精神力の強さやゾシマ長老と過ごしたことだけが彼を救ったわけではなく、最大の恩恵は、アリョーシャ自身が<末っ子>だったことにあるように思える。(スメルジャコフは除く。なぜなら同じ血があるかどうかというよりも、彼は屋敷での単なる貧しい召使であり兄弟として生活していたわけではなかった為)
アリョーシャは自己に狂気を感じることがあっても、一切その狂気・欲にブレーキをかけることが出来ない父・ミーチャを見て、またはその狂気を克服するために哲学・理論で武装したイワンを見ることによって、それらが一切無意味と感じることが出来た。戦うことよりも愛を持ってそれらを抱擁することのみが唯一の手段だと理解することが出来たのである。無くそう、無くそうと戦うことよりも逃げずに狂気そのものを真正面から見て、受け入れたことが彼を堕落させなかったことが救いだったのだと思う。そう、彼には生まれながらにして優秀な反面教師がいたのである。
しかし、フョードル・ミーチャ・イワン、彼らはただ苦しみ無意味な存在だったわけではない。あとに生まれてくる人間に、つまりアリョーシャに、<人間がもとある純粋さ故に、そのままで欲に従順になるとどうなるか>を体を張って証明した勇気ある殉教者と言える。
当時のロシア人の全てが酒、名誉欲、肉欲に溺れていたわけではなく、やはりそれぞれが自分の人生を崩壊させないようにほどほどのブレーキをかけて生活していたわけで、そういう人々から見てカラマーゾフの系譜・一連の事件というのは、自分たちが出来なかった、欲に純粋なロシア人の一生というものを自己犠牲を持って体現してくれた、<聖者>のような存在であったのである。それがなければ当時度々あったありふれた殺人事件としてではなく、<欲の体現者>としてロシア人全体に認識されたからこそ、全国規模で新聞や噂で<有名>になったのである。その証拠が、裁判に押しかけたペテルブルグやその他遠方からの貴族連中の熱狂さである。
下巻の最後辺りまで終始頭のなかにあるイメージとして、フョードル・ミーチャなどは雑な、汚らしい俗物でその対比として長老・アリョーシャがあると感じていた為、アリョーシャが登場するととても嬉しくなったのを覚えている。しかしエピローグを読み終えて、それらの認識は間違いで、汚らしい俗物も聖者も全て元は同じ人間で、<いい人>に出会ったかそうでなかったかの、それだけの差で歩く道が違ったということであった。
個として人間が自分自身の窮極の目標、<欲>を達成するためには必ず他人の犠牲が必要であり、全体として人間全体が目標を目指すなら、パンの為に生きる必要もなく、石をパンに変える奇跡も必要なく、死者を生き返らせる奇跡の聖者も必要ないのである。
なかなかボリュームのある内容で時折周りくどい言い回しが疲れましたが、その疲れすらも全て伏線として存在していたことがあっぱれでありました。
読んでいて、なんとなく、(ロシア人の無神論と日本人の無神論って違うようで似てるなぁ)と思ってしまいました。もちろん性質は全く異なりますが、神を、偶像崇拝を排除し、現実に人間の幸せを願うその気持が、深い部分でつながっているように思えました。
ロシア人が好きになりそうな作品でした。とても良い作品です。