風の影

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評判

風の影の評価:

4.23/5点 レビュー 92件。 B ランク

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平均点4.23pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全103件 101〜103 6/6ページ
No.3
(5pt)

若い心と出会う本、そして再会する本

まさに、読む側の心を映し出すような作品です。
世代に隔てなく、是非とも多くの方に読んでいただきたい。
「翻訳文学は苦手」という方でも難なく読める親切さがあり、最も新しい翻訳文学の姿を快く受け入れることができるでしょう。
舞台は1945年のスペインはバルセロナ。
主人公の少年ダニエルは父親に連れられ、世の中から忘れ去られた本が最後に辿り着くという場所を訪れます。
そこで出会った『風の影』という一冊の本が、ダニエルの人生に大きな影響を与えてゆくのです。
ミヒャエル・エンデの某作品を思い浮かべる方も多いことでしょう。
しかし、『風の影』で語られるのは幻想ではありません。
内戦に傷ついた世界の中で生きる、心に美しさと醜さを併せ持つ人間本来の姿が描かれているのです。
友情があり、恋愛があり、もちろんそこには人間らしい猥雑な全てのものがコインの表と裏のように密接な関係を保っています。
自分の心を見つめる夜、それぞれが生きた人間として個性を持つ、多彩で豊富な登場人物が織りなす冒険とミステリーの調べをどうぞ。
風の影 (上) (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 風の影 (上) (集英社文庫)より
4087605086
No.2
(4pt)

ちょっと抹香くさいが‥。

内戦から第二次世界大戦へと続く混乱の中、多くの人が犠牲になったスペインの
バルセロナを舞台に、時代背景を取り込みながら生と死、愛と憎しみを描いた
ミステリータッチの小説。
 エンディングにかけてのこんがらがった糸のほどき方は見事なものだ。
 本書のテーマというべき「愛」と「憎悪」。
 憎悪は破壊に向かい、時として取り返しのつかない結果を生む。
 故に憎悪は強く、愛は弱く見える。遅々たる愛の構築に比べ、破壊は一瞬だからだ。
 しかも愛は、死とともに滅ぶ運命にある。
 考えてみれば、これほど危ういものはなかろう。
 途切れることのない人の営みの如く、新たな愛が常に構築され続けることを信ずる
ことが救いに他ならない。
 そのあたりの宗教観が抹香臭さのゆえんだろう。
 廃墟の中から再び飛び立つ不死鳥の如く、人間の愛と叡智を信ずる著者の思いが
感じられる一冊。

風の影 (下) (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 風の影 (下) (集英社文庫)より
4087605094
No.1
(4pt)

書香かぐわしき一冊。

父親に連れられて行った「本の墓場」で、ダニエルは一冊の本に出会う。
「おまえが選んだその本をおまえは守らねばならない。それは一生の約束なんだ‥。」
 父との不思議な約束と符合するように、その著者の作品を執拗にこの世から
消し去ろうとする、謎の男が出現する。
 一体誰が、何のために‥? 
 スペイン内戦の後、消息を絶った著者の人生をたどるうちに、ダニエルもまた
物語の世界に飲み込まれてゆくのだった。

 一冊の本を巡って多くの人生が綾をなし、走馬灯のようにちらちらと見え隠れしながら、
ミステリータッチの物語は進行する。
 そして読者もまた、いつの間にかその物語のなかに取り込まれ、バルセロナの街を
ダニエルとともに彷徨っている自分に気がつくことだろう。


風の影 (上) (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 風の影 (上) (集英社文庫)より
4087605086