THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ

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THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイの評価:

4.00/5点 レビュー 54件。 D ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全68件 41〜60 3/4ページ
No.28
(3pt)

「真夜中へもう一歩」までもう三歩

矢作俊彦のチャンドラーへの傾斜ぶりは周知のところでしょうが、この本歌取りは(あまりに本歌に近すぎて)成功しているとは思えません。厄介な謎解きは不要としても、もう少しプロットを吟味して、小道具を生かし(横浜も様変わりしたので情景描写に味がなくなりました。これは著者の責任ではなく街の責任でしょうが)、代わりにお得意のレトリックを減らしたほうが面白く読めると思います。著者の特徴としてデビューから現在まで殆ど文体が変わっていないのですが、昔は大人っぽいと思ったものが最近ではガキっぽく感じられます(ブリオやレオンの記事みたいに)。同じ文体を貫くなら「真夜中へもう一歩」を超えてくれることを望みます。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.27
(3pt)

「真夜中へもう一歩」までもう三歩

矢作俊彦のチャンドラーへの傾斜ぶりは周知のところでしょうが、この本歌取りは(あまりに本歌に近すぎて)成功しているとは思えません。厄介な謎解きは不要としても、もう少しプロットを吟味して、小道具を生かし(横浜も様変わりしたので情景描写に味がなくなりました。これは著者の責任ではなく街の責任でしょうが)、代わりにお得意のレトリックを減らしたほうが面白く読めると思います。著者の特徴としてデビューから現在まで殆ど文体が変わっていないのですが、昔は大人っぽいと思ったものが最近ではガキっぽく感じられます(ブリオやレオンの記事みたいに)。同じ文体を貫くなら「真夜中へもう一歩」を超えてくれることを望みます。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.26
(5pt)

さいこーです。

神奈川県警捜査一課の二村永爾が知り合った酔っぱらいの「撃墜王」ビリー・ルウのためにとある事件に巻き込まれてしまう。「誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」……たまらん!設定から最後の一行まで「長いお別れ」にオマージュを捧げられたスタンダード・ハードボイルドだが、そのコクと味わいたるや絶品。横須賀という特殊な土地柄、密入国者、米軍基地、ヴェトナム戦争まで関わる複雑さと猥雑さ。キャラもすべて個性がしっかりと立っているし、台詞もカッコイイ。難点を言えば車とミリタリーの蘊蓄・雑学ネタが多いところ。興味のないものには置いて行かれる。まぁ、あまり重要ではないが。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.25
(5pt)

さいこーです。

神奈川県警捜査一課の二村永爾が知り合った酔っぱらいの「撃墜王」ビリー・ルウのためにとある事件に巻き込まれてしまう。「誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」……たまらん!設定から最後の一行まで「長いお別れ」にオマージュを捧げられたスタンダード・ハードボイルドだが、そのコクと味わいたるや絶品。横須賀という特殊な土地柄、密入国者、米軍基地、ヴェトナム戦争まで関わる複雑さと猥雑さ。キャラもすべて個性がしっかりと立っているし、台詞もカッコイイ。難点を言えば車とミリタリーの蘊蓄・雑学ネタが多いところ。興味のないものには置いて行かれる。まぁ、あまり重要ではないが。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.24
(5pt)

毒とカタルシス

矢作俊彦はもちろん、ベテランの作家である。1950年生まれで、高校生のときに既に漫画家デビューしている。普通、ベテラン作家の作品というのにはどこかしらに「馴れ合い感」とか「熟れすぎ感」があったりするのだけど、この作家の場合は、どの年代の著作を読んでもデビュー作のようにみずみずしい。作家としての気概、時代に流されない反骨精神のようなものを感じる。前作の『ららら科學の子』の主人公は中国の山奥で現代日本を知らずに過ごした男で、『ロング・グッドバイ』の主人公は、いまどきにもなって携帯電話も持っていない男である。刑事なのに。

作家の時代意識は、冒頭にひかれたヘミングウェイの言葉にもあらわれている。

<現代生活はしばしば人に機械的抑圧を与える。酒はその唯一の機械的解毒剤なのである>

原語の「Relief」を、矢作はわざわざ「解毒剤」と訳している。要するに、矢作にとって現代は「毒」なのだ。そういえば、盟友の大友克洋の『AKIRA』の中の現代/近未来も相当毒々しかった。

ところで『ロング・グッドバイ』が名作であるとすれば、それは、「毒」ではなく「解毒」に焦点があるからでる。要は、ヘミングウェイにあやかって酒を飲むシーンがとても多いわけだが、全編を通じてそこに強い解毒作用、カタルシスがある。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.23
(5pt)

毒とカタルシス

矢作俊彦はもちろん、ベテランの作家である。1950年生まれで、高校生のときに既に漫画家デビューしている。普通、ベテラン作家の作品というのにはどこかしらに「馴れ合い感」とか「熟れすぎ感」があったりするのだけど、この作家の場合は、どの年代の著作を読んでもデビュー作のようにみずみずしい。作家としての気概、時代に流されない反骨精神のようなものを感じる。前作の『ららら科學の子』の主人公は中国の山奥で現代日本を知らずに過ごした男で、『ロング・グッドバイ』の主人公は、いまどきにもなって携帯電話も持っていない男である。刑事なのに。作家の時代意識は、冒頭にひかれたヘミングウェイの言葉にもあらわれている。<現代生活はしばしば人に機械的抑圧を与える。酒はその唯一の機械的解毒剤なのである>原語の「Relief」を、矢作はわざわざ「解毒剤」と訳している。要するに、矢作にとって現代は「毒」なのだ。そういえば、盟友の大友克洋の『AKIRA』の中の現代/近未来も相当毒々しかった。ところで『ロング・グッドバイ』が名作であるとすれば、それは、「毒」ではなく「解毒」に焦点があるからでる。要は、ヘミングウェイにあやかって酒を飲むシーンがとても多いわけだが、全編を通じてそこに強い解毒作用、カタルシスがある。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.22
(3pt)

美しすぎるハードボイルドは

「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」のうたい文句に
「なるほど」と思う事しきり。確かにそれはその通りかもしれないと思います。
ですが、リーダビリティと相容れないその回りくどさは、私には馴染めない
ものでした。時間がかかりすぎて正直ストーリーと人物関係が頭に入ってこ
ない体たらく。
これは決して作品を貶めるものではなく、私自身の素養のなさを責めている
だけですから誤解されぬよう。
横浜で生まれ育った私は、作品の中の地理的な描写はほとんど頭に浮かびます。
それこそ遊び場だった伊勢崎町界隈の路地の一本一本まで。
そのノスタルジックが何とか読了させてくれました。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.21
(3pt)

美しすぎるハードボイルドは

「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」のうたい文句に「なるほど」と思う事しきり。確かにそれはその通りかもしれないと思います。ですが、リーダビリティと相容れないその回りくどさは、私には馴染めないものでした。時間がかかりすぎて正直ストーリーと人物関係が頭に入ってこない体たらく。これは決して作品を貶めるものではなく、私自身の素養のなさを責めているだけですから誤解されぬよう。横浜で生まれ育った私は、作品の中の地理的な描写はほとんど頭に浮かびます。それこそ遊び場だった伊勢崎町界隈の路地の一本一本まで。そのノスタルジックが何とか読了させてくれました。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.20
(2pt)

読破に3週を要した

2005版このミス4位
2004年文春ミステリーベスト10 7位
正直、もう少し面白いかと期待したのだが、残念ながら私の好みにはあわなかったようである。
全体として、登場人物の相関図がつかみづらい印象を受け、なかなか読書のスピードが上がらず、読破に3週を要した。
この作品は、longとwrongの違いはあるものの、読み始めればすぐに(読み始める前からでさえ)チャンドラーの「長いお別れ」へのオマージュであることは容易に想像がつく。となると、作品中の主要な謎解きについては、当然結末も予測がたってしまうわけでその部分での興味がそがれることになった。
もちろん、たとえばキングの「呪われた町」のオマージュとしてかかれた「屍鬼」のように、作品の流れがわかっていても、十分に楽しめる作品はたくさんある。しかしながら、この作品にはそのような魅力を感じなかった。
とりあえず、また「長いお別れ」を読んでみるとしよう。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.19
(2pt)

読破に3週を要した

2005版このミス4位2004年文春ミステリーベスト10 7位正直、もう少し面白いかと期待したのだが、残念ながら私の好みにはあわなかったようである。全体として、登場人物の相関図がつかみづらい印象を受け、なかなか読書のスピードが上がらず、読破に3週を要した。この作品は、longとwrongの違いはあるものの、読み始めればすぐに(読み始める前からでさえ)チャンドラーの「長いお別れ」へのオマージュであることは容易に想像がつく。となると、作品中の主要な謎解きについては、当然結末も予測がたってしまうわけでその部分での興味がそがれることになった。もちろん、たとえばキングの「呪われた町」のオマージュとしてかかれた「屍鬼」のように、作品の流れがわかっていても、十分に楽しめる作品はたくさんある。しかしながら、この作品にはそのような魅力を感じなかった。とりあえず、また「長いお別れ」を読んでみるとしよう。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.18
(3pt)

他人の人生

誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」
神奈川県警の刑事二村永爾シリーズのハードボイルドだ。  
 大好きな矢作で、舞台は横須賀、日本帝国軍のベトナム侵攻から、アメリカのベトナム戦争介入まで。そうして現在の横須賀ま継続する、関係性。上記の「」は本の腰巻きにも書かれた文章だけれど、それ以外に、あまりあまり感心するところは無かった。かつて、ぼくもハードボイルドを愛好し、チャンドラーの同名のタイトルの小説が当然脳裏に浮かん出来て、このタイトルを使用する矢作の決意に好感を持ったけれど、矢作のロンググッドバイにおいては、別れに対する深さが、つまりはそこにいたる関係の道程の必然があまり感じられ無かったよ。ハードボイルドのスタイルに忠実であろうとするがために、返って二村から何処か自然な必然を奪っているようにも感じられたよ。
 でも読みやすく、気楽にさわりだけ読もうとしていたら、一気に入って言ってしまったのだけれど、途中からは様々なエピソードにも矢作特有の切れや、シニカルさが影を潜めていたような気がする。
 ハードボイルドのスタイルが、そう生きたいと思う姿が、あるいは既に時代に取り残されたものななのかもしれない。それは男の生き方、矜持というもののあり方で、ロバート・B・パーカー(初秋)の言葉を借りればそれが「マチズモ」であり、その存在意義はフェミニズムの終焉とともに、失われて行ってしまったのかも知れない。
 「優しくなければ、生きて行く資格がない。自己があると生きて行けない」それが現在か。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.17
(3pt)

他人の人生

誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」神奈川県警の刑事二村永爾シリーズのハードボイルドだ。   大好きな矢作で、舞台は横須賀、日本帝国軍のベトナム侵攻から、アメリカのベトナム戦争介入まで。そうして現在の横須賀ま継続する、関係性。上記の「」は本の腰巻きにも書かれた文章だけれど、それ以外に、あまりあまり感心するところは無かった。かつて、ぼくもハードボイルドを愛好し、チャンドラーの同名のタイトルの小説が当然脳裏に浮かん出来て、このタイトルを使用する矢作の決意に好感を持ったけれど、矢作のロンググッドバイにおいては、別れに対する深さが、つまりはそこにいたる関係の道程の必然があまり感じられ無かったよ。ハードボイルドのスタイルに忠実であろうとするがために、返って二村から何処か自然な必然を奪っているようにも感じられたよ。 でも読みやすく、気楽にさわりだけ読もうとしていたら、一気に入って言ってしまったのだけれど、途中からは様々なエピソードにも矢作特有の切れや、シニカルさが影を潜めていたような気がする。 ハードボイルドのスタイルが、そう生きたいと思う姿が、あるいは既に時代に取り残されたものななのかもしれない。それは男の生き方、矜持というもののあり方で、ロバート・B・パーカー(初秋)の言葉を借りればそれが「マチズモ」であり、その存在意義はフェミニズムの終焉とともに、失われて行ってしまったのかも知れない。 「優しくなければ、生きて行く資格がない。自己があると生きて行けない」それが現在か。     
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.16
(3pt)

ホンとにWRONG GOODBYE

二村さんに会って早20年余り、「真夜中へもう一歩」とか
時々読み直して「若かった頃の二村さん」と若かった自分自身を
重ね合わせて感慨にふけっていたりします。
さて、本書読んだ感想ですが、題名からして「マーロウ」の「テリーレノックス」との
出会いから始まる物語とラップしており、最後のオチは予想通りでした。
「矢作さん」は「二村さん」に長いこと言いそびれていた「別れ」を
告げたかったのだと思います。
しかし素直に「グッドバイ」と言えない「矢作さん」はWRONGを付けて
しまったのでしょう。
辛くて苦いショートホープの様な後味が残りました
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.15
(3pt)

ホンとにWRONG GOODBYE

二村さんに会って早20年余り、「真夜中へもう一歩」とか時々読み直して「若かった頃の二村さん」と若かった自分自身を重ね合わせて感慨にふけっていたりします。さて、本書読んだ感想ですが、題名からして「マーロウ」の「テリーレノックス」との出会いから始まる物語とラップしており、最後のオチは予想通りでした。「矢作さん」は「二村さん」に長いこと言いそびれていた「別れ」を告げたかったのだと思います。しかし素直に「グッドバイ」と言えない「矢作さん」はWRONGを付けてしまったのでしょう。辛くて苦いショートホープの様な後味が残りました
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.14
(5pt)

待ちわびていた人たちへ

矢作俊彦の描くハードボイルド小説のストーリーを簡潔に伝えることは不可能だ。ともすれば、読んでいる最中でさえもよく分からなくなってしまう。小説の中の探偵が先を読めずに苦労するように、読者も苦労を強いられる。
 作者が理想とする読者像がどのようなものであるのかは見当がつかないが、ハードボイルド小説には、バーボンでも傾けながら、葉巻でもくゆらせて、書斎でくつろぐ姿が良く似合う。しかし、現実にはそんな読者など望むべくもなく、せいぜいが満員の通勤電車で読まれるのが関の山だ。現に私はこの小説の半分を通勤電車で、残りの半分をバーボンならぬ発泡酒と安ワインで酩酊した頭で読んだ。しかも、一気にではなく、途切れ途切れにだ。ただでさえも複雑なストーリーは細切れになってアルコールで隙間だらけになった脳髄のあちらこちらに散らばってしまった。まるで丸山昇一が脚本を書いた昔の東映セントラルの映画みたいに。
 かといって、この本が出来の悪い本かと言うと、とんでもない。通勤電車の中を横浜の夜の裏通りに変え、(どんなところか行ったことはないけれど)、酩酊した頭にはサイゴンの蒸し暑い風が流れる。ばらばらであるかに見えたストーリーはジグソーパズルのようにつながり(はしないけど)、読後には、まるで鈍器で殴られた二村警部補みたいな重い疲労感が。
 通勤電車の往復で読んでしまえるような軽い本が多い中、どっと疲れる、しかし最高のハードボイルドでした。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.13
(5pt)

待ちわびていた人たちへ

矢作俊彦の描くハードボイルド小説のストーリーを簡潔に伝えることは不可能だ。ともすれば、読んでいる最中でさえもよく分からなくなってしまう。小説の中の探偵が先を読めずに苦労するように、読者も苦労を強いられる。 作者が理想とする読者像がどのようなものであるのかは見当がつかないが、ハードボイルド小説には、バーボンでも傾けながら、葉巻でもくゆらせて、書斎でくつろぐ姿が良く似合う。しかし、現実にはそんな読者など望むべくもなく、せいぜいが満員の通勤電車で読まれるのが関の山だ。現に私はこの小説の半分を通勤電車で、残りの半分をバーボンならぬ発泡酒と安ワインで酩酊した頭で読んだ。しかも、一気にではなく、途切れ途切れにだ。ただでさえも複雑なストーリーは細切れになってアルコールで隙間だらけになった脳髄のあちらこちらに散らばってしまった。まるで丸山昇一が脚本を書いた昔の東映セントラルの映画みたいに。 かといって、この本が出来の悪い本かと言うと、とんでもない。通勤電車の中を横浜の夜の裏通りに変え、(どんなところか行ったことはないけれど)、酩酊した頭にはサイゴンの蒸し暑い風が流れる。ばらばらであるかに見えたストーリーはジグソーパズルのようにつながり(はしないけど)、読後には、まるで鈍器で殴られた二村警部補みたいな重い疲労感が。 通勤電車の往復で読んでしまえるような軽い本が多い中、どっと疲れる、しかし最高のハードボイルドでした。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.12
(5pt)

長すぎたお別れ

もう待つことさえ諦めていた、二村刑事シリーズの第3作。横浜に生まれ住む僕にとって、矢作俊彦は特別な作家だ。隣に住んでいる、とっぽいお兄ちゃんが書いているのかと思わせる、ウチの隣近所を舞台にした物語と、チャンドラーのパクリを隠そうともしないその傾倒ぶりに、プロットだのなんだのはもう関係なくなる。そんなシリーズがまた読めるとは、予想だにしていなかった。ひとこと、うれしい。
物語はタイトルにある通り。「長いお別れ」へのオマージュそのもの。初めて読む人は、ちとアクの強すぎる台詞と、僕にはお馴染み過ぎるくらいの固有名詞や地名の羅列に面食らい、腹を立てるかも知れない。しかし、チャンドラーだってあれほどLAを細やかでリリカルに描かなかったら、今僕たちには読まれていなかったのかも知れないのだ。そういう世界にどっぷりとハマることができれば、この作品は名作となる。いい歳をして愚直なまでにチャンドラーをパクる、矢作俊彦の熱狂的な稚気に乾杯。
なお、舞台設定は実在の町や建物を下敷きにはしてあるけれど、微妙に設定を変えているので探してもムダ。でも老婦人のバー「カーリンヘンホーフ」は実在する。店名と営業形態は違うけれど、ポテト・サラダは本当に美味いですよ。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.11
(5pt)

長すぎたお別れ

もう待つことさえ諦めていた、二村刑事シリーズの第3作。横浜に生まれ住む僕にとって、矢作俊彦は特別な作家だ。隣に住んでいる、とっぽいお兄ちゃんが書いているのかと思わせる、ウチの隣近所を舞台にした物語と、チャンドラーのパクリを隠そうともしないその傾倒ぶりに、プロットだのなんだのはもう関係なくなる。そんなシリーズがまた読めるとは、予想だにしていなかった。ひとこと、うれしい。物語はタイトルにある通り。「長いお別れ」へのオマージュそのもの。初めて読む人は、ちとアクの強すぎる台詞と、僕にはお馴染み過ぎるくらいの固有名詞や地名の羅列に面食らい、腹を立てるかも知れない。しかし、チャンドラーだってあれほどLAを細やかでリリカルに描かなかったら、今僕たちには読まれていなかったのかも知れないのだ。そういう世界にどっぷりとハマることができれば、この作品は名作となる。いい歳をして愚直なまでにチャンドラーをパクる、矢作俊彦の熱狂的な稚気に乾杯。なお、舞台設定は実在の町や建物を下敷きにはしてあるけれど、微妙に設定を変えているので探してもムダ。でも老婦人のバー「カーリンヘンホーフ」は実在する。店名と営業形態は違うけれど、ポテト・サラダは本当に美味いですよ。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446
No.10
(5pt)

帰ってまいりました。

矢作俊彦の新作は懐かしの二村永爾が主人公のハードボイルドである。
タイトルからして凄い。
レイモンド・チャンドラーの「THE LONG GOODBYE」の向こうをはって「THE WRONG GOODBYE」なのだから。
ストーリーの展開も似ている。明らかなオマージュなのだが、
刑事である二村が意気投合する飲み友達ビリー・ルウはテリー・レノックスを思わせるし、
二人が飲むカクテルもギムレットならぬパパ・ドーブレ。
おっと、パパとはヘミングウェイのことで彼の好きだったダイキリをダブルで、って頼み方なんですけどね。
細部の会話にも小技がビシバシ決まりまくりで、痛快です。
「リンゴォ・キッドの休日」、「真夜中へもう一歩」を読みなおし、
ついでに「長いお別れ」まで再読したくなる、そんな大傑作です。
昔、資生堂の男性用化粧品のCFに小さなランチ(ってもう言いませんか、モーターボートですね)に乗って三船史郎が港に戻ってくるのがあって、
そのコピーが「帰ってまいりました」というだけで異常にカッコ良かったのを思い出してしまいました。
THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫) Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE―ロング・グッドバイ (角川文庫)より
4041616093
No.9
(5pt)

帰ってまいりました。

矢作俊彦の新作は懐かしの二村永爾が主人公のハードボイルドである。タイトルからして凄い。レイモンド・チャンドラーの「THE LONG GOODBYE」の向こうをはって「THE WRONG GOODBYE」なのだから。ストーリーの展開も似ている。明らかなオマージュなのだが、刑事である二村が意気投合する飲み友達ビリー・ルウはテリー・レノックスを思わせるし、二人が飲むカクテルもギムレットならぬパパ・ドーブレ。おっと、パパとはヘミングウェイのことで彼の好きだったダイキリをダブルで、って頼み方なんですけどね。細部の会話にも小技がビシバシ決まりまくりで、痛快です。「リンゴォ・キッドの休日」、「真夜中へもう一歩」を読みなおし、ついでに「長いお別れ」まで再読したくなる、そんな大傑作です。 昔、資生堂の男性用化粧品のCFに小さなランチ(ってもう言いませんか、モーターボートですね)に乗って三船史郎が港に戻ってくるのがあって、そのコピーが「帰ってまいりました」というだけで異常にカッコ良かったのを思い出してしまいました。
THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイより
4048735446