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悪夢の優勝カップ プロゴルファー リーの事件スコア 2



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悪夢の優勝カップ プロゴルファー リーの事件スコア 2の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

これがエルキンズ流

女子プロゴルファー、リー・オフステッドシリーズ第2弾。前作第1作の9月の刊行から早々と2冊目が刊行された。

前作では“アーロン”エルキンズの作品という先入観があったため、妻のシャーロットのロマンス小説風味付けの濃さに戸惑った感があったが、今回は免疫が出来ていたこともあって、前作よりも物語の世界にすっと入ることができた。

今回の事件は憎まれ、殺したいと周囲に思われた人物が落雷に遭って事故死するが、実はそれは巧妙に仕組まれた殺人だったという物。そして第2の殺人として衆人環視の下で毒殺が行われる。
いずれも本格ミステリ的不可能趣味に溢れている謎なのだが、このシリーズの特色はそこにはない。

アーロン・エルキンズ作品の特徴である、特定の人物で形成されるコミュニティの中で嫌われ者である人物が事故に見せかけて殺される、もしくは明らかに何者かによって殺される状況が生まれ、関係者の誰もが一応の動機を持っている手法が本書でも採られている。
そして忘れてならないエルキンズの長所が魅力あるキャラクター。今回も前作から引き続いて登場のペグを筆頭にコットンウッド・クリーク・ゴルフコース理事の面々の個性的なこと。相変わらず実に読んでいて心地よいコージー・ミステリだ。

そんなミステリだからトリック云々を議論するよりもコミュニティの中で誰が一番動機を持ち、また機会があったかについてリーとグレアムの議論は費やされる。ここら辺は堅苦しいロジックのやり取りではなく、まさに好奇心旺盛なカップルが事件についてあれやこれや話し合うといったようなトークの趣があり、和やかだ。
特に第2の殺人については不特定多数の人がいる中でどうやって被害者だけに毒を飲ますことができたか?などということは一切語られず、誰が被害者を殺す動機があったかについてしか語られない。これがエルキンズの作風なのだと初めて本書を手にした本格ミステリファンは理解しなければならないことをここでは述べておこう。

2作目にして地方の警察官であったグレアムとツアープロであるリーの恋が成就するには困難なシチュエーションだったのが一気に解消される。この辺は実にご都合主義的な感じがするが、ロマンスミステリなんてものはこんなものだろう。
こういう風に書いているが、たまにはこんな夢物語的なミステリも読みたいのだ。

ただ主人公リー・オフステッドの風変わりな経歴―元米国陸軍所属―が単に奇抜さだけでしかなく、十分に活かされていないのが難だが、これもシリーズを重ねるにつれて持ち味が出てくることを期待している。

エルキンズのスケルトン探偵ギデオン・オリヴァー物の最新作を読みたいのが本音ではあるが、しばらくはこの夫妻の手によるこのシリーズでその渇きを癒すことにしよう。


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